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カテゴリー: 社会

あの会社は、こうして潰れた

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 藤森 徹 、 出版  日経プレミアムシリーズ
日本の中小企業がどんどん倒産・閉鎖しています。弁護士の業界でも苦戦している人が多いのは、これまで弁護士にとっての主要な取引先だった中小零細企業や商店が半減してしまったことにもよる。私はそう考えています。
ゲームセンターは苦戦している。ゲームセンターの市場規模は2007年がピークで6780億円あったのが、2015年には4050円と、4割減だ。これは、ネットを使ったオンライン・ソーシャルゲームの影響だ。2015年には、ゲームセンターの2、4倍、9630億円にまで拡大している。
消費者の呉服離れが続いている。呉服の購入額は、この10年間で半減した。
建設業界やサービス業界では、人手不足が想定以上に深刻になっている。
財テクが恐ろしい理由は・・・。もうかったら、人には絶対に言わない。ましてや、損をしたら、絶対に外部には言わない。
100年以上も続く老舗企業には3つの特徴がある。
①事業継承(社長交代)の重要性
②取引先との良好な関係
③番頭の存在
会社にも寿命があるように、つぶれる会社には、何かしら理由があったということのようです。
(2017年5月刊。850円+税)

倍賞千恵子の現場

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 倍賞 千恵子 、 出版  PHP新書
「男はつらいよ」「幸福の黄色いハンカチ」、「家族」「故郷」・・・みんな、すごくいい映画でした。倍賞千恵子が出てくると、何かしらほっとして安心してしまうのです。不思議な女優さんです。美人だと思いますが、決して絶世の美女ではない、なんとなく声かけやすい美女です。
渥美清っていう役者は、山田洋次監督の書いた台本をもうひとひねりしていたのですね。そして、それを山田監督が取り入れて、台本を修正する。それが号外として登場するのだそうです。
渥美清は衣装に着換えるとき、いつもと同じ担当者と軽口をたたきながらしていた。それが、寅さんになるときに必要な儀式だった。なるほど、ですね。ただ衣装を着たらいいというものではないのです。やはり、寅さんそのものになり切っていくための儀式があったのでした。
渥美清は、自分の私生活を最後まで語らなかった。代官山に家族とは別のマンションを構えていたが、それも知る人ぞ知る私生活の秘密だった。
精神をいつも鉛筆の先のように尖らせておく。だから一人でいたいんだよ。
「役者は役名でよばれるうちが花だよ」
渥美清が著者に言った言葉です。著者が周囲から「さくらさん」と呼ばれることをうとましく思っていると語ったときの反応でした。
渥美清は、余計なことをせず、必要なときに必要なことだけをする。そんな人間だった。「男はつらいよ」第一作は1969年に第一作でした。そのとき渥美清は41歳、著者は26歳でした。それ以来、26年間にわたって、兄と妹を一緒に演じたのです。すごいですね。
そして、渥美清は今から20年も前の1996年8月4日に、68歳で亡くなりました。最終作(1995年)の「寅次郎の花」では、おいちゃんの家の居間で横になっています。きっと体がきつかったのでしょう・・・。
著者は山田洋次監督について、一生懸命なあまり、すごくせっかちになったり、非常識だったり、ちぐはぐだったりすると評しています。そこが面白いとも言うのです。
山田監督は、自分の意図したイメージのほうへ強引に芝居をもっていくのではなく、役者のもっているいろいろな引き出しを開けて、「台本とは、ここの部分で合わなかったから、今度は違う引き出しを開けてみよう」と台本を手直ししたり、場合によっては、カメラの位置を変えたりする。
やっぱり映画は、お金を払って、映画館で見なくては・・・。照明がずっと落ちたあと、目の前いっぱいに広がる映像。劇場空間を満たす音。そして客席から一斉にわき起こる笑い声、すすり泣き。
本当にそうなんです。子どものころよくみていた西部劇の初めに出てくる大草原、そこにあらわれるヒーローのガンマン・・・。格好よかったですね、しびれましたね。いい本でした。渥美清の雄姿をまた映画でみたいものです。
(2017年7月刊。920円+税)

他人をバカにしたがる男たち

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 河合 薫 、 出版  日経プレミア新書
自戒をこめて謹んで読んだ新書です。
日本企業に「ジジイの壁」は不滅だ。ジジイは肩書きや属性で人を見る。自分より上なのか、下なのか、で判断する。
自分の知っていることがすべてと信じ込んでいるので、どこの馬の骨か分からない人をバカにする。相手への敬意もへったくれもない。
ジジイとは、自分の保身のためだけを考えている人のこと。組織内で権力をもち、その権力を組織のためではなく、自分のために使う。会社のため、キミのためというウソを自分のためにつき、自己の正当化に長けている。
だから、50代でもジジイではない男性はいるし、女性や若い人の中にもジジイはいる。
社内的に残念な人ほど、社外では偉そうにふるまう。それは自尊心を守るため。
日本のサラリーマン社会は、見て見ないふり症候群の輩(やから)であふれている。人を見下したり、バカにしたり、攻撃する行為の裏側には、他者から評価されたい、認められたいという自己愛が存在している。
次の3つの条件を満たす人が会社では出世する。一に、失敗もしないけれど、成功もしない。二に、よく動くけど、勝手には動かない。三は、下には意見するけど、上には意見しない。
イギリスでの調査によると、階層の最下段にいる公務員は、トップにいる人々と比べて死亡率が4倍も高い。トップが長生きするのは、彼らは裁量権をもっているから。責任感や几帳面さはマイナスに作用する。
日本では管理職の自殺率が5年で7割も増加した。管理職の自殺率は1980年から2005年の25年内で271%も増えた。
かつての日本企業の強みは、従業員が私は会社から大切にされていると思える関係性があったことによる。ところが、それが薄れている。多くの企業が危機に直面しているのは、成果主義とか人件費切り捨て策で非正規ばかりに頼ってしまう企業体質からなのだと思います。
それにしても、つい昔の自慢話をしてしまうというのは要注意なんですよね。本人としては自分の経験を教訓として伝えたいという気持ちがあるのですが・・・。難しいところです。
(2017年8月刊。850円+税)

日本再生は生産性向上しかない

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 デービッド・アトキンソン 、 出版  飛鳥新社
著者の提言には思わず首を傾けてしまうものが多々あります。たとえば、日本にはヨーロッパの大富豪が泊まるような超高級ホテルがない。1泊なんと500万円とか600万円という部屋をもつホテルがないのを著者は問題にしているのです。ええっ、これ以上、日本を超格差社会にしようというのかいな・・・、そう思ってしまいました。
またカジノ主体のIRについても、著者は積極的に導入せよと断言しています。カジノとパチンコを比べるのは、懐石料理の店と牛丼の立喰い店を比較するようなもので、サービスも客層も全然ちがうのだから、比較すること自体が間違いだとします。
著者は、海外のチョー大金持ちをもっと日本に来させるようにすべきだ、それが日本の観光立国につながるというのです。本当でしょうか・・・。日本国内に沖縄の米軍基地のような治外法権の地域をつくるだけのような気がしてなりません。
著者の指摘に納得できない内容ばかりなら、このコーナーで私は紹介しません。実は、なるほど、そうだよね、という点がいくつもあるので、こうやって紹介したいのです。
著者の会社は、文化財保護に関わっていますが、そこで大切なことは、安定的な技術の伝承だというのです。そのときの修理も大事だけど、30年後、50年後の修理も大事なので、ベテラン職員は頼もしいけれど、長く見てくれる若い職人が来てくれると、それもうれしいと言います。なるほど、そういうことなんですね・・・。
日本に来た外国人が日本食をみな好むとは限らないという指摘も、なるほどと思いました。日本人だって、いつも和食を食べているわけではありません。
和食は、みな同じような味だし、満腹できないというのです。
高級な寿司店で、マグロとサーモンだけをひたすら食べている外国人の例も紹介されています。日本人の私からすると信じられない話ですが、そこはやはり食習慣の違いなのでしょうね。
著者は、日本人の心の狭さが目立っているとも指摘しています。これって、ヘイトスピーチの横行に端的にあらわれていますよね。経済状況が悪くなると、心が貧しく、狭くなるのでしょう。これも、例の「アベノミクス」なるものの「成果」(結果)です。貧すれば、鈍す、なのです。
日本は、かつては笑顔の国だったのに、今では、すっかり「暗い印象の国」になってしまったという指摘には、私も正直いって、ドキリとしてしまいました。
日本人は、「日本はすべてにおいて世界のトップ」という思い込みがあるため、日本に欠けているところがあることを認めようとしない。実績を伴っていない、現実認識が欠けている。
これは本当に耳の痛い指摘です。日本が世界で一番だなんて、ネトウヨの世界でしょうね。やはり、謙虚に反省すべきです。どこかの国の首相のようね、うわべだけのポーズではなくて・・・。
(2017年6月刊。1296円+税)

商売は地域とともに

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 NPO法人神田学会 、 出版  東京堂出版
神田百年企業の足跡、というサブタイトルのついた本です。
私は神田の古本屋街を年に何回かは歩いています。送られてくる古書のカタログも楽しみの一つです。
そんな神田には創業100年をこす社会や商店がいくつもあるというのです。どんな会社なのか、100年も生き残れる秘訣は何なのか、それを知りたくて読んでみました。
冒頭に、世界最古企業ベスト10が紹介されていて、あっと驚きます。なんとなんと、ベスト10のうち7社までが日本の起業であり、トップからベスト6位まで全部が日本の企業なのです。これって、信じられますか・・・。トップ(1位)は、あの社寺建築の奈良の金鋼組です。2、3、4位は、旅館なのです。2位は山梨の西山温泉慶雲館。ギネスが認定する世界最古の旅館だそうです。3位は兵庫県城崎温泉の「古まん」という旅館、4位は、石川県粟津温泉の法師旅館です。す、すごいですね。そんな古い、古い、伝統ある旅館が連綿と生き続けているとは・・・。
ものづくりの企業が日本には多いから老舗企業が多いとのこと。サービスを売る商業組織では、中世にまでさかのぼるのはまず存在しない。
神田は、日本橋に次いで老舗が多い。創業100年をこえる老舗が神田には170軒もある。もっとも古いのは慶長元年(1596年)創業の酒店、豊島屋本店。白酒の製造販売で有名なこの店は関ヶ原の戦い(1600年)より前の創業なのです。つまりは、江戸時代より前からということになります。そして、宇津救命丸も慶長2年(1597年)です。はじめは、下野(しもつけ)の国でしたが、江戸に出てきて、神田の地に根をおろしました。
現在の神田は「住むまち」ではなくなりつつある。その象徴が浴場の減少。今は3店のみ。理容室、美容室、クリーニング店も神田から少なくなりつつある。
神田っ子の特徴は、見栄とやせ我慢。なるほど、江戸っ子ですね・・・。
神田に中華料理店が多いのは、中国から日本へやって来た留学生が多かったことによる。明治37年には日本への留学生は1000人をこえ、明治後期には5万人もの留学生が日本にいた。
揚子江菜館の五目涼拌麺(ごもくひやしそば)が写真つきで紹介されています。ぜひ食べてみたいです。ぬきすし総本店の笹巻鮨は美味しそうですね。いちど食べてみましょう。
神田の古書街には160軒以上の古書店があり、世界最大。そこで売られている本は1千万冊だといいます。
ちなみに、私の東京の定宿の一つは山の上ホテルです。すぐ近くのイタリアン・レストランが美味しくて、最近の行きつけの店です。
神田の歴史の一端を知ることが出来ました。
(2017年5月刊。2800円+税)

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