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カテゴリー: 社会

すごい廃炉

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 篠山 紀信 、 出版  日経BP社
福島第1原発の修復工事の推移を著名な写真家が撮っています。ここには安倍首相の無責任な「アンダーコントロール」宣言とはかけ離れた現実があります。
毎日、現場には6000人もの労働者が働いています。放射線量を気にしながらの命をかけた作業です。いったい、どこに「アンダーコントロール」があるのでしょうか。頁を繰って写真を眺めるたびにウソつき首相のノホホンとした白々しい顔を思い出して腹が立ちます。
あってはならないメルトダウン、炉心溶融が起きました。全電源停止、非常用電源まで津波に襲われて作動せず・・・。
先の北海道地震では、泊(とまり)原発は稼働中でなかったこと、非常用電源がなんとか作動したことによって幸いにも大惨事に至りませんでした。
そして、福島ではデブリ(固まり)となった放射能物質を冷やすために注水を続けているため、高濃度汚染水があふれ出しています。少しばかり薄めて、政府と東電は海洋へたれ流そうともくろんでいます。海産物の放射能汚染が心配です。「風評被害」はさらに深刻になるでしょう。放射能汚染水を海へたれ流すなんて、やめてください。
「フクイチ」のあちこちに宇宙服を着ている作業員が黙々と働いています。福岡からも、仕事とお金を求めて、たくさんの人が「フクイチ」の復旧作業現場で働いています。
無人飛行機(ドローン)、無人ロボート投影機そして無人ダンプが活躍しています。建屋から出た高線量がれきを夜のあいだに無人ダンプで移送するのです。でも、いったい、どこへ・・・。
いま、日本全国に少し薄めた放射能汚染土をはらまく計画が進行中です。とんでもない暴挙です。もっていくのなら、「アンダーコントロール」宣言をした首相官邸の庭に積み上げてください。そして、もう一つ。歴代の東電の社長、会長の自宅の地下室に置いて下さい。「絶対安全」のはずなのですから・・・。
台風災害と北海道地震は、日本中、いたるところが危険にみちみちていることを明らかにしました。40階建てのタワーマンションの31階に住む人が停電のためにエレベータ―が動かないので、歩いて31階までのぼりおりして、ついに部屋に閉じ籠ってしまったという話を聞きました。一見豪華なタワーマンションだって大自然の災害にはかないません。廃墟になる前に入ってる住民は早々に逃げ出すべきなんじゃないかと心配します。
この写真を眺めてもなお、アベ首相の「アンダーコントロール」宣言を信じる人がいたら、よほどおめでたい人だということでしょう。ぜひ、図書館ででも手にとって眺めてみてください。
(2018年2月刊。2700円+税)

語りかける中学数学

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 高橋 一雄 、 出版  ベレ出版
ある日、夕刊を読んでいて、ふと目が留まりました。新潟の少年院でボランティアの人が数学を教えているというのです。そして、教えられている少年たちの多くが、たちまち数学を理解できるようになっていくという嘘のような話でした。しかも、ボランティアで教えている男性は、なんと18万部も売れている数学の本を書いているというのです。
ええっ、どんな本だろうか・・・。
実は私は、高校3年まで理科系のクラスにいて、数学Ⅲまで一応は勉強したのです(大学は文科系で受験しましたので、数学Ⅲは必要なかったのですが・・・)。
私が文科系に転向したのは高校2年の3月のことでした。どうにも数学的ヒラメキに欠けるという事実を自覚せざるをえませんでした。とりわけ図形問題で、数学的な発想が出来ませんでした。いま思うと、このときの決心は正解でした。
数学というのは、抽象的思考、論理的思考を鍛えるには絶好のものだと思います。そんな数学が分からないまま人生を終わりたくない。そんな思いから、高校数学にいつかはチャレンジしようと考えていました。そんなときに出会った新聞記事だったのです。
早速、注文して手に入れたこの本は、なんと本分が829頁もある大部なものです。井上ひさしの『吉里吉里国』のように、昼寝するときの枕にちょうどよいほどの厚みがあります。値段だって2900円(プラス消費税)もします。こんな部厚くて、値の張る中学数学のテキストが18万部も売れているなんて、とてもとても信じられません。それも、東大受験の必勝テキストというのではなく、落ちこぼれの人が中学数学をしっかり身につけようというのに役に立つ本だというのです。
さあ、能書きが長くなりました。頁を開いてみましょう。目次をみると、中学1年に始まり、中学2年そして中学3年へ進んでいきます。中学1年だけで300頁あります。さすがに私にとって初めの出だしは、ふむふむと難なく進み、好調でした。方程式も1次方程式なら、そんなに難しくはありません。関数が出てきて、平面と空間の図形が出てくると、少し頭もつかい、スピードが落ちました。それでも中学1年の302頁は2晩でやっつけました。
次は中学2年です。連立方程式が登場し、1次関数が出てきます。まあまあ、ここらあたりはなんとか理解できそうです。この本は、さすがに落ちこぼれの人でも抵抗が少なく読んで前へ進めるように、「アレェー・・・」とか、「おーい、寝ていて大丈夫?」とか。小文字で声かけがはさまっていて、心をなごませてくれます。解説は、すべて話し言葉で、間違った(間違いやすい)誤答例もあり、身をひきしめて正解との違いを認識させられます。中学2年は528頁で終了ですから、正味224頁。つまり中学1年よりボリュームはいくらか小さいのです。三角形と多角形、そして平行四辺形などがあります。
そして最後に、いよいよ中学3年です。私は、昔、因数分解は得意でした。2次方程式だって、なんとかなりました。むずかしいのは図表とともに登場する2次関数からです。円周角やら三平方の定理など、なかなかのものです。円に内接する四角形の面積を求める。次は円に外接する四角形の面積です。ここまでくると、なかなか曲者(くせもの)で、中学3年だけで4晩かかりました。それも完璧に理解したなどとは、とてもとても自己評価できるレベルではありません。それでもなんとかかんとか、秋の夜長に読了しました。必死でした。というか、つい難し過ぎると、眠気が襲ってくるので、大変でした。
著者は、最低でも3回は復習するように求めています。なるほど、3回よめば、本当に中学数学をマスターできるんじゃないでしょうか。数学をきちんと理解したい人には、大人も子どもも、ぴったりの本だと私も思いました。次は、いよいよ高校数学にチャレンジします。
(2018年6月刊。2900円+税)

アフリカ少年が日本で育った結果

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 星野 ルネ 、 出版  毎日新聞出版
カメルーン生まれで関西(姫路)育ちの少年が日本で育つとはどういうことか、マンガで描かれていて、よく分かります。
なんでカメルーン生まれの少年が3歳のとき日本にやって来たのか・・・。
父親は、日本人の学者としてカメルーンの森の生態を研究に出かけたのです。そして、村長の娘・エラに出会い結婚することになりました。マンガによると、カメルーンでは家族の前でプロポーズすることになっているとのことです。
エラの両親は、日本の若い学者と結婚して孤立無援の外国に嫁いでいく決意があるかと問いかけ、娘エラは結婚に踏み切ったのです。そして、日本にやって来たのでした。
3歳から日本に住んでいるので、著者は、外見は外人(ガイジン)でも、中身は日本人そのもの。基本は関西弁と、母親と話すフランス語です。英語はうまく話せません。
母親は、さすがカメルーン人。シマウマ食べた、センザンコー食べた、ニシキヘビもクロコダイルも食べたといいます。ヤマアラシだって食べるようです。鍋で煮込むと、針が簡単に引き抜けるとのこと。本当に美味しいのでしょうか・・・。
そして著者がテレビに出ると聞いたら、そのバックで母親は友人と一緒に踊ったというのです。さすがですね。
いやあ、よく出来たマンガです。感嘆・驚嘆しました。
親も子も日本で生活するのは大変だったと思いますが、こんな楽しくさわやかなマンガとして紹介できているのですから、やっぱり偉大なのは親の力だと思いました。
心に残る、いいマンガです。さっと読めますので、ぜひ手にとって読んでみてください。
(2018年9月刊。1000円+税)

サリン事件死刑囚

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者  アンソニー・トゥー 、 出版  角川書店
 私は上川陽子という法務大臣の人間性を疑っています。この人には、人間らしさというものがまったく欠けているのではないでしょうか・・・。
オウムの死刑囚13人が一挙に処刑されました。それ自体が私には許せませんし、残念でなりません。でも、それ以上に、死刑執行を命じた法務大臣が処刑前夜に安倍首相の前で万歳三唱の音頭をとったというのを知り、心が真っ暗になりました。
その場は、「自民亭」と名づけられた飲み会です。FBで写真が公表されていますが、要するに安倍首相の自民党総裁選挙で勝利するための若手議員かかえ込みの場でした。しかし、ちょうど、広島などで集中豪雨の大災害が報じられているなかでの大宴会です。この宴会のためということでもないのかもしれませんが、大災害指定がなされず、ずるずると延ばされているなかでの宴会でした。それはともかく、その宴会のトリに、死刑執行が翌朝にあることを知っている法務大臣が最後に万歳三唱の音頭をとったというのです。これって、おかしくありませんか、いえ狂ってませんか、その感覚が・・・。
死刑執行してしまえば何も残りません。この本の主人公の中川智正は、京都府立医科大学で大学祭の実行委員長もつとめるなど、在学中の評判は良かったのです。ヨガからオウム真理教に入ったようです。麻原の主治医として大変信頼されていたようです。なんで、こんな真面目な若者が「殺人教団」に入るようになったのか、もっと私たちは中川に語らせ、そこから学ぶべき教訓を引き出すべきではなかったのでしょうか・・・。殺してしまえば、もう中川から何も聞き出すことは出来ません。
この本を読んで、法務省が実は、2012年に死刑囚を一挙に処刑しようとしていたことを知りました。どうしてそんなに早く早くと処刑を急ぐ必要があるのでしょうか。世界の大勢が死刑廃止に動いていることを法務省だってよく知っているはずなのに・・・。
これは、菊池ほか3人の長期逃亡者が自首したり発見されて裁判になったことから延期されたのです。この3人の刑事裁判が終わって、処刑のために全国の拘置所に分散されて、死刑執行は秒読みに入っていたとのこと。恐ろしいことです。
では、この死刑囚、中川智正はいったい何をしたのか・・・。坂本弁護士一家の殺害に加わり、松本サリン事件、東京地下鉄サリン事件に関わっています。なるほど、それでは今の量刑基準表では「死刑相当」になるでしょう。でも、本当に執行してよいのか、それが疑問です。
坂本弁護士一家の殺人事件で、オウムの関与が強く疑われていたにもかかわらず、当時の神奈川県警は、まともにとりあわず坂本弁護士の事件関係者による犯行とか、過激派との関係とか、とんでもないデマを流して、マスコミ・世論をごまかし続けました。このとき、警察がきちんと捜査していたら、地下鉄サリン事件をはじめとする一連の殺害事件は起きていなかったはずなのです。
坂本弁護士一家3人がオウム真理教によって殺害されたのは、今から30年前の1989年11月4日のことです。私も坂本弁護士一家が住んでいたアパートを見学に行きました。まだ犯人がオウムだと確定されていない時期に、弁護士会の現地調査に参加したのです。
オウムは、このほか、小林よしのり(漫画家)、大川隆法(幸福の科学)、小沢一郎(自由党)、江川紹子(ジャーナリスト)も殺害しようとしていたとのこと。まさしく恐るべき殺人教団です。ところが、その後継団体に今なお入信する信者がいるというのです。信じられません。
死刑囚である中川智正と拘置所で15回も面会した台湾出身のアメリカ人学者の本です。大変勉強になりました。
(2018年7月刊。1400円+税)

EVと自動運転

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 鶴原 吉郎 、 出版  岩波新書
私は車に毎日のっていますが、実は車の運転は好きではありません。断然、電車を好みます。車中では本が読めないからです。仕方がないので、車中では、ずっとNHKフランス語のCDを聴いています。聴き流しのほうが多いのですが、それでも耳は慣れます。
自動車事故による死者はピーク時(1970年)の年間1万千人が、今では4千人弱(2017年)に減った。しかし、全世界では125万人もの死者が出ている(2013年)。
そして、そのなかで65歳以上(私も立派に該当します)が50%を超えている。
この交通事故の原因の9割は人間のミス(認知ミス・判断ミス・操作ミス)によるもの。
実は、最近、私は裁判所構内で愛車(レクサス)を駐車しようとしたところ、なぜか暴走して庁舎壁にぶち当ててしまい、6万円余りの補償金を支払わされました。レクサス側は私の操作ミスとして片付けようとしていますが、本人はレクサスの構造(メカニズム)に何らかの欠陥があるのではないかと疑っています。庁舎への衝突事故から3ヶ月たつのに、レクサス側は一向に事故原因をきちんと明らかにしません。『空飛ぶタイヤ』を、ついつい思い出してしまいます。
デフレ社会と言われる日本にあって、自動車の価格は一貫して上昇し続けている。「カローラ」119万円が187万円と、30年間に57%も値上がりしている。
日本国内の新車販売台数は、ゆるやかに減少している。1990年に780万台、2005年までは600万台弱で安定していたが、2009年に470万台に急落し、その後は500万台前後で推移している。
日本では軽自動車が4割前後を占めている。そして、ハイブリッド車(HEV)が日本では販売台数の4分の1以上を占めている。これは世界的に珍しいこと。
日本では自動車産業は成熟産業だが、世界全体では、これから1億台をこえる見込みであり、まだまだ成長産業である。
世界で販売されているクルマの3分の1は、日本メーカー製か日本メーカーの合弁企業製が占めている。アメリカで販売されているクルマの4割弱は日本メーカ-製。ところが、日本製クルマはヨーロッパでは存在感がない。
日本経済は、自動車への依存度を高めている。自動車産業の出荷額は主要製造業全体の2割にあたる52兆円。関連就業人口は1割、550万人にのぼる自動車産業の屋台骨になっている。
アメリカの自動運転車が注目されたのは、軍事作戦で戦死者が出るのを減らすためである。「2015年までに軍事用地上車両の3分の1を無人化する」ことをアメリカの国防総省(ペンタゴン)は目標としている。2007年には1位の車の平均時速は、時速23キロだった。
自動運転の車は、レーザー光線を使ったレーダーによる。周囲360度レーザー光線を照射し、物体にあたってはねかってくるまでの時間を測定することで、車両の周囲のどこに物体があるのか、その物体までの距離はどの程度かを把握する機能をもっている。物体の位置だけでなく、形状までを数センチという非常に高い誤差で正しく検知できる。
日本と世界の車について、その現状と展望をコンパクトに明らかにしている新書です。
(2018年3月刊。780円+税)

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