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カテゴリー: 生物

ほとんど想像されない奇妙な生き物たち

カテゴリー:生物

著者  カスパー・ヘンダーソン 、 出版  エクス・ナレッジ
 この長いタイトルの本は正式には、「ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録」です。そのタイトルどおり、いろんな不思議な生き物たちが登場します。
 トップバッターは、アホロートル。かつて、メキシコの先住民にとっては重要な食材だったが、今では、野生のアホロートルは絶滅の危機に直面している。そして、最大の特徴は、その手足は何度切断されようが、傷跡も残さず繰り返し再生することが可能だ。
 その姿形は異様です。まぶたのないビーズのような目。首から突き出た柔らかいサンゴのようなエラ。トカゲに似た身体から生えた優美な手足に小さな指。オタマジャクシのような尻尾。大きな頭と、いつも微笑んでいるような顔、白いピンク色の皮膚は、気味悪いほど人間そっくり。まるで異星人のようだ。
 オニヒトデは、口が下にあって、肛門が上にある。これは、海底に沈殿している餌を食べるには理想的。
人間とイルカは共同で漁をする。この慣習には、非常に長い歴史がある。
 オーストラリア南東のウルンジェリ族はイルカを聖なるものと考えていたので、イルカを殺すことは禁じられ、漁のときもイルカの餌となる魚はとらなかった。
 イルカは、ボノボと同じくらい性行動が盛んだ。一年中、求愛や性行為を行い、前戯も多く、相手をこすったり、愛撫したり、お互いの性器に口や鼻をすり寄せたりする。
 オスもメスも性器の開口部をもっているため、両方ともに挿入が可能であり、ペニスや鼻先、下あご、背びれ、胸びれ、尾びれなど、すべてが使われる。ハシナガイルカは、10匹以上のオスやメスが一緒になって乱交することがある。イルカは、ハンターとして冷酷かつ優秀だ。
 イルカは互いに協力し、コミュニケーションをとることに長けた生物だ。
 イルカは噴気孔から空気嚢に空気を吹き込み、1000分の1秒にもみたないクリック音を発する。クリック音のパルスや周波数には幅があり、ドアがきしむ音にたとえられる低周波のクリック音は、対象物をざっと把握したり、遠くにあるものを認識したりするときに使われる。より細部を把握するときには、高音のブザーのような高い周波数のクリック音を出す。状況に応じて、イルカは1秒あたり8回から2000回のクリック音を出す。
 人間にはカチカチ、キーキーとしか聞こえないこうした音を利用して、イルカは何キロメートルも離れた場所にある物体を認識している。この音は、数メートル先にいる人間やイルカの皮膚を突き抜け、体内で鼓動する心臓や子宮内の胎児の動きを「見る」こともできる。人間の女性が妊娠していることを、本人よりも前にイルカが気づき、妊娠したイルカに対するのと同じように、その女性を扱った例もある。
 アカゲザルに対して行われた実験では、ごほうびがもらえるレバーを引くと、ほかのサルに苦痛を与えることを目にしたサルたちが、頑としてレバーを引くことを拒否した。
 ミツオシエは、蜜ろうが大好物だけど、蜂の巣を第三者にこわしてもらう。目をつけた助っ人の近くの枝に止まり、独特なさえずりを何度も繰り返す。相手の注意を引くことができたら、蜂の巣の方向に飛びつつ、道すがら頻繁に舞い降りては薄い色の尾羽をちらつかせ、相手がちゃんと見ているか確認しながら誘導する。相手がついてこないようなら、また元の場所に戻ってやり直す。そして蜂の巣に到着すると、最初のさえずりとは明らかに違う声で鳴き、アナグマが人間が巣を壊してハチミツを取り、後に蜜ろうを残してくれるのを気長に待つ。
 ウミガメは、かなり早い時代に陸地から再び海に戻り、それ以来、もっとも長く存続している種の一つだ。陸生だった祖先は、恐竜の時代が始まった2億2500万年前に出現した。
 1980年代初め、太平洋に面したメキシコ浜辺に7万5000匹のオスガメのメスが営巣していた。今では、200~300匹にまで減ってしまった。
 タコは、少なくとも犬と同じくらい賢い。シンボルマークを見分けることに関しては、タコには人間の3歳児か4歳児くらいの能力がある。そして、タコは遊ぶこともある。
 タコは、身体の色や質感を自在に変えられる。類いまれなカモフラージュ能力がある。
 タコは、顔を赤らめるどころか、好みに応じてどんな色にも変化できる。身体にある何万という色素胞を開いたり閉じたりして、周囲の環境の微妙な変化に合わせて、その配列を組織することができる。同時に、岩やサンゴ、そのほかの物体に擬態するべき、皮膚の表面を立体的に収縮させたりねじまげたりもできる。
 さまざまな奇妙な生き物がいますが、なんといっても、その最大のものは人間でしょうね。
 もちろん、この本も扱っています。
(2014年10月刊。2200円+税)

なぜ生物に寿命はあるのか?

カテゴリー:生物

著者  池田 清彦 、 出版  PHP文庫
 もっとも原始的な生物であるバクテリアは、エサが豊富にあり、無機的な環境条件が好適な限り、原則的には死なない。たとえば大腸菌は、栄養条件をふくむ環境条件が好適な限り、どんどん増え続ける。捕食者に食われたり、事故死したりしない限り、細胞系列は不死である。また、がん細胞の系列にも寿命がない。
 バクテリアの細胞系列がどうして不死なのかというと、DNAの総量が小さいため、突然変異の蓄積速度を上回るスピードで分裂して増殖するからである。ふうん、分かったような。
 生物は、無生物にはみられない二つの特徴をもっている。一つは代謝は、もう一つは遺伝である。
 DNAは、宇宙線によって簡単に壊されてしまうので、宇宙線の強いあいだは生物が地球の表面に進出してくるのは容易ではない。しかし、宇宙線が弱まれば、地球の表面には太陽光があふれているので、光をエネルギー源として利用できる生物にとって、これほどすばらしい場所はない。かくして、シアノバクテリアは大増殖をはじめることになる。
 光をエネルギー源として、光と二酸化炭素から有機物(糖類)をつくり、副産物として酸素を放出する。これがシアノバクテリアの光合成である。
 原始大気の大半は水蒸気と二酸化炭素で、酸素はほとんどなかったと思われる。シアノバクテリアのおかげで、地球の大気には大量の酸素が含まれるようになり、ひいては人類の生存が可能になった。
 実は、細胞にとって、酸素は猛毒なのである。真核生物はペルオキシソームという細胞内小器官をもち、活性酸素を無毒化している。
 動物などの真核生物の従属栄養生物は、すべて酸素をつかって有機物を分解してエネルギーを得ている。これは、ミトコンドリアという細胞内小器官が担っている。
 生物にとって最重要な課題は、動的平衡を保つシステムを細胞分裂を通して次々に伝えていくこと。遺伝子はDNAの塩基配列にすぎず、突然変異や多生物との水平移動によりどんどん変わる。
 遺伝子は、このシステムを動かす部品であって、遺伝子がシステムをつくったわけではない。重要なのは遺伝子ではなく。動的平衡を保つシステムを次世代に遺伝させる不死の系列、すなわち生殖細胞なのだ。
動物では、分化した細胞がほかの種類の細胞になることができない(きわめて難しい)。しかし、植物では、分化した細胞の相互転換が比較的たやすい。
 小笠原諸島に存在するハカラメという植物は、葉を一枚とって土の上に放置しておくと、やがて根や芽を出して立派な個体に育っていく。だから「葉から芽」なんですね・・・。
 ヒト(人間)では、ニューロンや心筋細胞の最大寿命は120年と言われている。
 ヒトの最大寿命は、せいぜい120歳、日本では、100歳以上の人口は、1980年に1000人だったが、2013年には5万4000人をこえた。しかし、最長寿の年齢は延びない。
抗がん剤の投与によって一時的にがんが消失しても、運悪く再発すると、同じ抗がん剤は効かないことが多い。突然変異によって抗がん剤体制をもつがん細胞が生じ、この系列だけが生き残って増殖する。これも、なんだか怖いことですよね・・・。
 生物について、寿命は必然です。もちろん、ヒトも同じこと。なにしろ、上がつかえていれば、下の人たちはいつまでたっても上にあがれませんよね。新陳代謝が図れないのです。
 生物の本質について、文庫本なので、手軽に読める本です。
(2014年8月刊。560円+税)

世界一うつくしい昆虫図鑑

カテゴリー:生物

著者  クリストファー・マーレー 、 出版  宝島社
 見事に極彩色の昆虫図鑑です。よくもまあ、これだけ姿も形も色も大きさも、さまざまに異なる昆虫が、この地球上に存在しているものです。この昆虫図鑑をめくりながら、世の中のことを私は実によく知らないことを改めて実感しました。還暦をとっくにすぎて、弁護士生活も40年以上となり、この社会のことは多少なりとも知っているつもりなのですが、実は、まだまだ知らないことのほうが圧倒的に多いことを知らされてしまうのです。
 頁をめくっていると、目がまわってしまうほど、多種多様な昆虫たちが登場します。
 「歩く宝石」と言われるオサムシには、どれ一つとして同じ色と模様の個体がいない。ですから、みんな並べると、統一性はあっても画一性はないのです。それでも、タマムシは1500種、コメツキムシは1万種といいます。それを丁寧に分類している学者がいるのです。学者ってすごい根気が求められる商売ですね。
 奈良の玉虫の厨子のタマムシは死んでも色が変わらない。しかし、キンカメムシは、生きているときには非常に色鮮やかな翅を持っているが、死んだら体色は褪(あ)せてしまう。
 「森の宝石」と呼ばれるプラチナコガネは、周囲の風景まで写し込むほどの金属光沢がある。
 ゾウムシは、世界中に6万種いる。頑丈な外骨格におおわれ、ゾウの鼻のような長い口吻(こうふん)をもっている。
 中南米の熱帯雨林に住むチョウであるベニスカシジャノメは、透明な翅をもち、後翅に眼状紋がひとつずつあり、翅の先はぼかしたような赤色に染まっている。息を呑む美しさです。
 インドネシアのメダマチョウは、鳥に補食されるのを避けるため、翅にふくろうの目玉を擬態した眼状紋をもっている。その目玉は、2個だったり、4個だったり、6個だったりする。
 植物昆虫と呼ばれる昆虫もいます。植物に擬態する昆虫のことです。鳥から見つかりにくいように、たとえば枯れ葉に擬態した体をもったカマキリがいます。そして、この擬態は個体によって全部異なるのです。
 植物昆虫は、互いがあまり似通った姿にならないように努めている。植物昆虫は、植物になりすますだけでなく、植物には必ずある、枯れたり病気になったりした葉や、昆虫の食害の痕まで真似るという、とてつもなく有効な方法を選んでいる。
 健康な昆虫が、昆虫に食われた植物に擬態し、同時にその植物を食べているというのは皮肉な話だ。
昆虫採集家によって昆虫が絶滅することを心配する人がいるけれど、それは事実に反している。恐ろしいのは、生息地をまるごと、根こそぎ人間が破壊して「開発」してしまうことだ。
 230頁の大型図鑑です。値段も3800円と少々高いので、ぜひ図書館で手にとって眺めて楽しんでみてください。
(2014年4月刊。3800円+税)

サイボーグ昆虫、フェロモンを追う

カテゴリー:生物

著者  神崎 亮平 、 出版  岩波科学ライブラリー
 ゴキブリが素早く逃げられるのは、弱い風を尾葉で感じるから。この尾葉は、ゴキブリのお尻に、触角より短いが、一対の突起がある。尾葉には、たくさんの毛が生えている、わずかな風で、この毛が動き、ゴキブリは敵が来たことを察知して逃げる。人間は、刺激を受けて反応するまで0.2秒かかるけれど、ゴキブリは0.02秒で反応する。人間よりも10倍速い。
 ゴキブリは中生代のはじめ、2億5000万年前に地球上にあらわれ、現在に至るまで姿形をほとんど変えずに生きながらえている。
 ミツバチは秒間に300回もの光の点滅を見ることができる。人間は1秒間に50回の点滅しか区別できない。
 昆虫は空気の粘性(ネバネバ感)を感じる。人間は感じることができない。
昆虫は、レンズの焦点距離の問題を解決するため、直径が0.03ミリほど小さなレンズからなる眼(個眼)をつくり出した。これだと焦点距離は短くてすみ、小さな眼として機能する。レンズの直径を5ミリとする眼にしたら、レンズの焦点距離も5ミリとなり、焦点が結ばれるところが頭からはみ出てしまう。
カイコガのフェロモンの発見には、日本が大きく貢献した。研究に使われたカイコガは当時、養蚕業が盛んだった日本からドイツに送られたものだった。100万匹ものカイコが送られ、そのうちのメス50万匹を使って12ミリグラムの化学物質が結晶として単離された。
 カイコガは、脳で複雑な判断をするのではなく、直進、ジグザグターン、回転という行動ターンを、臭いの分布状態に応じて繰り返すことで、匂いの源の探索に成功している。
 カイコガ(成虫)の寿命は1週間だが、頭を切りとっても1週間は羽ばたいたり、歩いたりできる。昆虫は、胸部のみ、つまり胸部神経節があれば、リズミカルな羽ばたきを起こすことができる。歩行も同じ。
昆虫のもつ優れたセンサーや神経系の機能を分析し、理解し、活用することが少しずつ出来るようになってきた。
 その結果、6脚で歩行するロボット、コオロギのオスが鳴き声で呼び寄せる仕組みから音源を探し出すロボット、昆虫が複眼を用いて障害物を回避する仕組みを使った衝突回避ロボット、さらには、オスのガがメスをフェロモンの匂いをたよりに探し出す仕組みをつかった匂い源探索ロボットなどが試作されている。また、昆虫の嗅覚受容体(タンパク質)をそのまま使った匂いセンサーもつくられるようになった。
 昆虫のスーパー能力を解明して、それをロボット技術に応用・開発しているというのです。すごい話だと思いました。
(2014年7月刊。1200円+税)

謎の蝶アサギマダラ・・・

カテゴリー:生物

著者  栗田 昌裕 、 出版  PHP
 アサギマダラは、謎の魅力に満ちた蝶だ。
 アサギマダラは、大草原を渡って、200キロもの長距離を旅している。
 そのことが分かったのは、1980年初頭のこと。
 著者は、東大医学部を卒業した内科医です。ところが、アサギマダラの研究家でもあるのです。なにしろ、年間1万頭ものアサギマダラを捕まえては放すのを目標とし、これまでの10年間で14万頭ものアサギマダラにマーキングしたというのです。信じられないほどにすごい数です。そして、自分がマーキングした蝶に、別の場所で何度も出会ったのでした。いやはや、信じられませんね・・・。
 アサギマダラは、タラハチョウ科マダラチョウ亜科のチョウで、体重は0.5グラム以下、長さは5~6センチ。アゲハチョウほどの大きさ。
 有毒の草を食べ、体内に毒を蓄える。
 海と国境を越えて定期的に渡る蝶は世界に一種、このアサギマダラのみ。
タオルを蝶の目の前で振り回すと、いつまでもついて来る。
 アサギマダラは手づかみで捕獲できる。翅には鱗粉がないので、手で持ちやすい。
 捕獲して、マーキングして放してやると、全国のどこかで1~2%は再捕獲される。
アサギマダラには、人や物体に不思議な執着心を示す個体がいる。
 不思議な蝶ですね。一度つかまえてみたいものです。そして、そのマーキングされているのを見てみたいと思いました。
(2014年9月刊。1800円+税)

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