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カテゴリー: 生物

ハヤブサ

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 ヘレン・マクドナルド 、 出版  白水社
ハヤブサは史上最速の動物だ。時速160キロで飛び、いや時速320キロで降下する。ハヤブサは高速で飛び、目が黒っぽく、開けた空中で活発に狩りをする。
ペレグレンハヤブサは鳥を狙うのに対して、砂漠のハヤブサは哺乳動物やハ虫類、昆虫も獲物にする。どちらのハヤブサも、メスのほうがオスよりも身体が大きい。オスは一般にメスの3分の1ほどしかない。
シロハヤブサは、背中の模様がペン先の形に見えたことから、17世紀のスペインでは弁護士(レトラド)と呼ばれた。
ええっ、ハヤブサは弁護士と呼ばれていたのですか・・・。
ハヤブサは、その感覚系と神経系の働きが高速なため、反応がきわめて速い。ハヤブサの世界は人間よりも10倍の速さで動いている。人間の脳は、1時に20の事象しか処理できないのに対して、ハヤブサは70~80の事象が処理できる。だから、テレビ画面では毎秒25枚が放映されるが、ハヤブサは、これを動画としては認識できない。
一瞬のあいだに、人間よりもたくさんのものをまとめて見られるおかげで、全速力で足を延ばして空中の鳥やトンボをつかむことができる。ハヤブサの仲間のチョウゲンボウは、18メートル離れたところから、体長2ミリの虫を判別できる。
ハヤブサは水はめったに飲まない。必要な水分の大半はエサとなる動物から補給する。
ハヤブサの消化系は短い。生の肉は消化しやすいから。
ハヤブサは、一日のかなりの時間を羽のメンテナンスに費やす。脂肪酸、脂肪ろうの分泌液を出し、羽に塗る。この分泌液には、防水効果のほか、ビタミン前躯体があり、これが陽光を浴びてビタミンDに変わる。
ハヤブサは、だいたい一夫一妻であり、婚外交尾はめったに見られない。
ハヤブサの子は、生後1年目に、およそ60%が飢えに苦しんで死ぬ。
ニューヨークやワシントンのような大都会でもハヤブサが繁栄するようになったとのことです。ハトのようなエサが豊富だからのようです。
ファルコンとも呼ばれるハヤブサについて、いろいろ知ることができる本でした。
(2017年5月刊。2700円+税)

知っているようで知らない鳥の話

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 細川 博昭 、 出版  サイエンス・アイ新書
本のタイトルどおり、驚きいっぱいの知的刺激あふれる本です。
カラスは遊ぶのが大好きで、1つのボールを集団で追いかけて奪いあったりする。証拠写真があり、なるほどと思いました。
カラスのなかには、カレドニアガラスのように、未知の材料から、状況(必要)に応じた道具をつくり出す能力のあるカラスがいる。
オウムも、カラスと同じように自作した棒をつかって、食べ物をたぐり寄せる。
カケスは、エサの少ない冬に備えて、実りの季節(秋)に栄養価の高いドングリを隠して、溜め込んでいく。カケスは、最大4000ケ所にものぼる隠し場所を正確に記憶している。どこに隠したのかを忘れることはない。
大型のインコであるヨウムは、好奇心が強く、安心できる相手と認識した人間を深く信頼する。
ヨウムのアレックスは、色や形などを50以上も正確に理解し、自分の口で名称を言えるようになった。
ブンチョウは、音楽を聞き分けている。クラシック音楽を好み、現代音楽を聞くくらいなら無音のほうがマシと考える。
ニワシ(庭師)ドリのオスは、メスの気を惹く構造物をつくる以外には何もしない。オスのつくった構造物が気に入ったメスは、オスの才能を認め、その場で交尾する。オスのつくる構造物は、完成するまで10ヶ月もかかる。
カモのヒナが卵からかえるのが同時期になるのは、卵の中のヒナが、卵の内側から卵殻を突つき、その音をまわりの卵に伝え、それぞれの出す音を聞いて、自分の成長が周囲より早いか遅いかを知って、成長速度をコントロールしているから。
よくも、こんなことが判明したものですね。観察だけからとは思えませんが・・・。
陸上にすむ哺乳類で、息を止められるのは人間だけ。チンパンジーには、その能力はない。
鳥は、息を止めたり、気管支を通る息の流量をコントロールして歌をつくっている。
インコやオウムは、寝ているときに、寝言として、耳にした声や、覚えている人間の言葉を口にすることがある。
カラスやインコは、人間の視線をたどって、その目が見ている先を知ることができる。
ツバメの赤ちゃんが巣から放り出されているときには、つがいを見つけられなかった若いオスが、カップルを破局させる目的でヒナをつまみ出してしまった可能性がある。
メスは、ヒナが全滅してしまうと、カップルを解消して、新しいパートナーを探そうとする。
いやはや、世の中は奇想天外、知らないことだらけなんですよね・・・。
(2017年3月刊。1000円+税)

カラス屋の双眼鏡

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 松原 始 、 出版  ハルキ文庫
『カラスの教科書』の著者は、カラスや鳥に限らず、ヘビをふくめて、生き物なら、なんでもござれの生物学者だったんですね・・・。
花粉を運ぶのはハチだけではない。鳥も花粉を運ぶ。サザンカやツバキが冬に大きな花を咲かせるが、島を呼び寄せ、蜜を吸うときに花粉を頭にくっつけて運んでもらう。
ハシブトガラスは巣を隠すことに異常なほどのこだわりをもっている。それでも生物学者は簡単にカラスの巣を見つけるのですから、たいしたものです。
カラスは、ふつう巣から少し離れていて、自分の縄張りが見渡せ、かつ、巣の周辺がよく見える場所に陣取って見張っている。
東京・銀座のド真ん中にも、カラスの巣があるなんて驚きですよね。皇居の森の中にあるんじゃないのですね。丸ビルの前の並木にカラスの巣があるだなんて、信じられません。
縄張りがあると、縄張りのなかに住んでいるのは、ペアのカラスの2羽だけ。
ハシブトガラスは、「カアー」と、ハシボソガラスは「ゴアー」と鳴く。
カラスは、しばしば人の声や物音を即興でまねして返す。ハシブトガラスに比べると、ハシボソガラスは鳴かない。ハシボソガラスが鳴きはじめたら、確実に何かが迫っているということ。
カラスは、鳥や獣を捕らえることに関してはシロウト同然である。手際がよくない。
ヘビの起源は、地中仮説が有力になっている。地中では脚が邪魔になるので退化してしまい、目もウロコに覆われてなくなりかけたが、再び地上に出てきたので、目を覆うウロコが透明になって見えるようになった。
ヘビを見たら、すぐ捕まえる。ヘビやクモに咬まれたらどれくらい痛いのか、黙って手を出して咬まれてみる。うひゃあ、なんということをするんでしょう・・・。とても、ヘビ屋なんかにはなれませんし、なりたくもありませんよね・・・。でも、こんな変人・奇人の学者がいるおかげで、判明したことがたくさんあるわけです。世界の視野を広げてくれる本でした。
(2017年3月刊。660円+税)

クマムシへんてこ最強伝説

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 堀川 大樹 、 出版  日経BPマーケティング
体長わずか1ミリしかないクマムシは地球上の最強生物。
その強さは、体を縮めて乾燥している仮死状態(乾眠)に入ったら、マイナス273度の低温からプラス100度近くの高温に耐えられる。ヒトの致死量の1000倍の線量の放射線にも、紫外線にも、そして水深1万メートルの75倍相当の圧力にも、さらには真空でもアルコールにも耐えて生き続ける。
宇宙空間の真空に10日間さらされた乾眠クマムシは、地球に帰還したあと、見事に復活した。
体長1ミリなので、顕微鏡をつかわないと、じっくり観察できないというのが難点ですが、ともかく、その生命力のすごさには圧倒されてしまいます。
クマムシは、ムシつまり昆虫ではなく、動物。小さいけれど脳もあり、消化器官もある。ちゃんと神経や筋肉だってある。
クマムシは水生動物であり、水の中でのみ活動できる。ただ、水中を泳ぐのではなく、水の底を歩く。
ヨコヅナクマムシにはオスがいない。メスは交尾をせずに、自分自身で卵をつくって産む。
クマムシは、これまで1200種が知られている。
最後に、知られざるクマムシを食べてみたとのこと。あまり美味しいものではなかったようです。
かわいくて強い、へんてこな小動物、クマムシのいろいろを知ることのできる面白い本です。いやあ、世の中には、こんな動物もいるのですね。万物の霊長なんて、人間は威張っておれませんよ。
(2017年2月刊。1400円+税)

人生を変えてくれたペンギン

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 トム・ミッチェル  、 出版  ハーパーコリンズジャパン
イギリスの若き教師がアルゼンチンンの海で油まみれのペンギンを救い出し、それからずっと一緒だったという実話です。
ペンギンって、実に可愛いらしい動物ですよね。パンダに似てるところがあります。白と黒のツートンカラーで、愛らしいところなんて・・・。
この40年間に、ペンギンは大幅に減っている。場所によっては、80%以上も減少している。その原因は、海洋汚染、漁業といった人間の活動が原因だ。かつて人間はタンカーから廃油を大量に海へ投棄していた。そして、タンカーの座礁事故も頻発していた。
ペンギンは人間より尾骨がたくさんあるので、その上に座ることができる。
脚の骨の大部分は体の中に隠されていて、体のすぐ下に踵(かかと)がある。ペンギンの足が冷たくならないのは、主として、このため。
マゼランペンギンは、一夫一婦制で、終生連れ添う。
水に入ると、ペンギンは華麗な変身を遂げる。水面を泳いでいるときは、頭と尻尾だけを水の上に出して、まるで泳ぎに自信のないアヒルのよう。だが、いったん水に潜ると、まず右に出るものはいない。水中では優雅で巧みな動きを見せる。
重油まみれのペンギンを洗い流すために、バターとマーガリン、オリーブオイルに食用油、せっけんにシャンプー、中性洗剤を集めた。
ペンギンは洗われるとき、ものすごく怒り、抵抗した。しかし、洗剤を洗い流していたとき、突然、その抵抗をやめた。そして、べっとりした重油を洗い流していることを理解したようだった。ところが、ペンギンの羽には防水効果がなくなり、海に戻ることが出来なくなった。
なーるほど、海中でべっとり濡れてしまえば、さすがのペンギンだって海で生きてはいけないのです。
そこで、どうしたか。ペンギンは助けてくれた若い教師のあとを、ずっとついていくことにしたのです。著者は、なぜペンギンがずっとついてきたのか、その後も長いあいだ不思議に思っていました。すると、ペンギンは群れで生きる動物なので、一頭だけでは生きていけないのです。そこで、著者を仲間とみなして、ずっとついていったというわけです。
そして、結局は、著者のつとめる学校にまでやってきて、生徒たちの人気者になったのでした。名前までつけられています。ファン・サルバドといいます。
頭がよくて、人なつっこい性格だったので、みんなから好かれて幸せな「人生」を過ごしたようです。
ファン・サルバドには手がかかった。エサと水を与え、運動させ、遊び相手をしなければならなかった。学校では、生徒たちがしてくれた。ファン・サルバドは、週に3~4キロの魚(スプラット)を食べた。これはビール1本程度で買えた。
ファン・ダルバドは、きわだった個性で周囲の人を虜(とりこ)にした。聞き上手なうえ、頭や目の動きで受けこたえして、相手を会話に引き込んだ。
これから動物の行動に関する研究がすすんだら、動物たちには、人間が考えているよりはるかに高度な伝達能力があり、仲間同士あるいは人間と十分に意思疎通ができることが判明するに違いない。
ファン・サルバドは著者の旅行中に不慮の事故で死んでしまいました。
ファン・サルバドが残してくれたのは、希望という贈り物だった。
40年も前のアルゼンチンでのペンギンとの出会いと、ともに過ごした日々を楽しく思い出している本ですが、ペンギンのかしこさと愛らしさ、包容力の豊かさが伝わってきて、ほわんほわんと胸が、温かく熱くなってきます。いい本です。
(2017年1月刊。1500円+税)

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