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カテゴリー: 生物

かぴばら

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 岩合 光昭 、 出版  クレヴィス
今では、すっかり猫写真家として有名は動物カメラマンがブラジルのパンタナール大湿原に出かけてカピバラの生態をとらえています。
カピバラは、大地に芽生える新鮮な食物を食べる動物です。ジャガーに狙われ、その食事メニューの一つとされています。
カピバラは、いろんな声をもっている。家族とのやりとりはもちろん、危険を知らせるための大きな警戒音も出す。
ジャガーが近くに出現すると、「ピーッ」とホイッスルを鳴らしたような鳴き声が響くとともに、目にもとまらぬ速さでカピバラは鉄砲玉のように川へ飛び込む。
家族で常に用心し、警戒しながら暮らしている。癒し系と称される、おっとりとした雰囲気を保ちながらも、鍛えられ引き締まった体は、ときにおどろくほどの瞬発力を発揮する。
カピバラは円陣を組んで360度、気をつける。
川の真ん中の浅瀬が安全なことを知っていて、そこでしばし静止する。
川の中に広がる砂洲は、親子でのんびりできる安全地帯だ。
泳ぎが得意なので、水際にいると安心。
夕方になると、家族で草地に向かう。
泥遊びするのは、暑さよけ、虫除けのため。気持ちいい。
ほっこり癒されるカピバラの写真集です。
(2018年8月刊。1000円+税)

子どもには聞かせられない動物のひみつ

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 ハーシー・クック 、 出版  青土社
タイトルに「子どもには聞かせられない」とあるのは、なぜなんだろう・・・、そう思いながら読みすすめていきました。要するに、学校での性教育が遅れている日本だったら、まさしくあてはまりそうな話のオンパレードなのです。
東京の養護学校で教師が苦心のすえつくりあげた性教育について、自民党の議員などが偏向教育として中傷し攻撃したため、教育現場はますます萎縮し、性教育を敬遠して触れたがらないという現実があります。
女性天皇は認めない、夫婦別姓にも反対する。LGBTの人は生産性がない。そんな時代錯誤の考えにこりかたまった人が議員として、もっともらしく議会で「質問」と称してまともな性教育を攻撃するのです。たまりません。性をタブー視するのは良くありません。
ニホンウナギの卵は2009年に太平洋のマリアナ海溝で見つかった。しかし、野生のウナギが交尾しているところはまだ誰も見たことがない。
ナマケモノの胃は、2週間ほどかけて木の葉に含まれる植物繊維や毒性を分解する。ナマケモノの胃袋には、ほぼ丸のままの葉が送り込まれ、友好的な腸内細菌の助けをかりて分解するしかない。だから、ナマケモノはできるだけエネルギーを消費しないように進化した。樹上でのんびりくつろぎ、ゆっくり葉を消化することで、不要な努力を回避している。
こんなナマケモノは、6400万年前から今日まで生きのびている。ナマケモノは一日中、瞑想状態にあるように見えて、実は1日平均9.6時間しか眠っていない。意識はあるが、動作をしない状況こそ、エネルギーを節約し、生きのびるためのカギになっている。
ハゲワシは腐った肉を食べるが病気にならない。それは、動物界のなかで一、二を争う強力な胃酸によって病原菌を撃退しているから。胃酸のPHは希硫酸に匹敵する。ハゲワシの糞は、消毒剤として非常に有効だ。
コウモリは恐ろしい吸血鬼だと思われているが、本当は深刻な病気を媒介し、作を台なしにする昆虫をコウモリが食べてくれているおかげを人間は受けている。また、熱帯の植物にとって主な花粉媒介者の役目も果たしている。
チスイコウモリの寿命は長く、30年もある。
太平洋戦争のころ、アメリカは小さな爆弾をコウモリの大群に背負わせて、日本の都市の上空に放つ計画をたてて、準備してみたそうです。ところが、実験段階で思うように行かず、本番に移る前に中止されました。あたりまえでしょう。でも、その代わりが原子爆弾の投下でした・・・。
パンダ(ジャイアントパンダ)は原初のクマ属の末裔で、2000万年ほど前に別の道を行くようになった。今でもクマとあまり変わらない。
パンダのメスは、セクシーな匂いを木の一番高いところにつけたオスが好みだ。競争に勝ったオスは、ご褒美として、半日で40回もセックスする。
パンダは竹をかじるという食生活を通して、強力な顎(あご)の力を手に入れ、肉食動物のかむ力の比較では、ライオンとジャガーにはさまれて5位に食い込んでいる。
ほとんどのペンギンは一夫一婦制とは言いがたい。コウテイペンギンの85%は、毎年パートナーを取り替えている。ところが、ドイツの動物園にはオスのカップルがいて、10年も一緒だ。そして、ヒナを養子に迎えて子育てまでしている。
メスのフンボルトペンギンの3分の1近くは不貞行為を働き、多くの場合、その相手は同性だ。アデリーペンギンは地球でも数少ない売春に走る動物だ。小石を集めるため、独身のオスに流し目を送り、交尾を求めているそぶりをして、オスと交尾をし小石を得る。ときには交尾せずに小石を得るだけのこともある。
野生のチンパンジーは、いつもお腹のひどい張りに悩まされていて、大きな音でおならをする。湿っぽくて、一瞬のためらいもない。
ギニアのチンパンジーは、葉をつかってスポンジをつくり、ヤシの実からつくった純度の高いアルコールを飲んでいる。ウガンダでは、若いメスのチンパンジーが、お人形遊びのように棒をいじり、抱っこして、寝床をつくって、夜は一緒に寝ていた。
子どもたちに聞かせられないというより、なかなか高度な話なので、それなりに基礎的知識がないと理解するのがたやすくはないという内容の本でした。私は、連休中に面白く読み通しました。
(2019年1月刊。1900円+税)

フクロウの家

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 トニー・エンジェル 、 出版  白水社
フクロウを自ら育て、野生のフクロウをじっくり観察し、またフクロウの絵を微細なところまで描き切った本です。フクロウについて、その子育てから生活まで、さしずめフクロウ百科全書のように詳しく知ることができます。
私は坐骨神経痛の原因を知るため病院に行き、MRI検査を受けて、その結果について医師の説明を受けるまで病院に滞在していた時間内で読み切りました(277頁の本です)。
フクロウは、2500万年ほど前に誕生し、長い進化のなかで多様化してきた。世界に217種のフクロウがいる。フクロウは、南極大陸以外のすべての大陸に生息している。
完全に夜行性のフクロウは半分しかいない。フクロウは比較的暗いなかでも活動できる能力をもっている。
抱卵中のメスはエサを取りには行かず、それはオスの役割。メスがあまりにお腹がすいてくると、巣の中から勢いよく飛び出してオスに体当たりして止まり木から突き飛ばして、エサを早く取ってくるよう促す。
うひゃあ、まるで人間様と同じ行動をとるのですね・・・。
オスはメスの気に入るような巣をつくるが、決定権をもっているのは、あくまでメス。
オスとメスが互いに羽づくろいを始めると、たいていは、その後に交尾する。交尾には単なる儀式以上の意味があり、一晩に何度か交尾する。これも、なーるほど、ですね・・・。
フクロウのなかで最小のサボテンフクロウは、主に食虫性で、人間の親指ほどの大きさで、一般的なニワトリの卵よりも軽く、55グラムほどでしかない。
最大のシマフクロウは、大型のハクトウワシよりも重く4.5キロある。このシマフクロウは、自分と同じ重さの鮭も捕まえる。
フクロウの前方視野は人間ほど広くはないものの、頭を素早く270度回転させることができるため、音や動きに即座に反応し、辺りを見回して獲物を見つけることができる。人間は平均して180度しか頭を回せない。フクロウが首を270度回転させられるのは、頸部に人間の2倍にあたる14の脊椎骨があるから。また、頸静脈も、首をこれだけ回しても、脳に血液を提供するのを妨げない配置になっている。フクロウの目は頭蓋骨から飛び出していて骨の中におさまっているのではなく、軟骨に支えられているため、頭が重くならず、体の前部の軽量化につながっている。
フクロウは、人間の目にはとうていできないレベルで、光量にあわせて瞳孔を収縮させたり拡張させたりすることができる。
キンメフクロウは、耳道の閉口部は極端なまでに左右で高さが異なり、聴覚によって獲物を認知するのに役立つ。
フクロウはほとんど音を立てずに飛翔するのが狩りにおける戦略のひとつとなっている。それは、初列風切羽の半ばに、睫毛のような羽根がふわふわと320本以上も伸びて外線を形成していて、この柔らかい羽根が飛翔時に翼が空気を切る音を弱める。
フクロウのカップルは歌を鳴きかわし、長時間、互いに羽づくろいしたり、オスがメスに好物をプレゼントしたりする。
メンフクロウが猫と一緒に遊んでいる動画がユーチューブで公開された。
フクロウがいるかいないかで、その森の健全性を計ることができる。
フクロウの寿命は、野生では10年以下のことが多いものの、飼育下では20年以上も生きることがある。自然界で生き抜くのは、主として人間による環境破壊のため、ますます難しくなっているようです。
フクロウという鳥について多面的なアプローチがなされていて、大変勉強になりました。
福岡・中州の川端通りに「フクロウの店」がありますよね。一度、入ってみることにしましょう。
(2019年2月刊。3000円+税)

牛たちの知られざる生活

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 ロザムンド・ヤング 、 出版  アダチプレス
私も年齢(とし)をとって、若いころのように肉をたくさん食べたいとは思わなくなりました。先日も新キャベツを蒸したものをどっさり食べて、それだけで幸せな気分になりましたし、レンコン大好き、コンニャクも美味しいと思って食べています。
でも、それでも、たまには牛肉を食べたいと思います。いえ、部厚いステーキ肉ではありません。スキヤキのように野菜たっぷりと一緒に食べたいのです。
ところが、この本を読むと、牛も人間と同じように一頭一頭、性格が違っていて、家族愛が深い動物だということが分かり、そんな牛を美味しいといって食べていいものかと考えさせられます。
この本は、イギリスにある、自然な環境で動物を飼育する農場を営む女性による牛の飼育に日誌のようなものです。
牛乳を飲むと、どの牛から搾られたものか分かるという人たちが働いている農場です。
牛が広々とした場所で、餌を奪いあうことなく自由に歩きまわることが出来、なによりたくさんの年長者の牛がいる群れで暮らせたら、肺や腸の寄生虫に対する免疫は自然につくられる。
ここでは、母牛が自分の乳で子牛を育てる。子牛は、自分の気がすむまで母親と一緒に過ごす。最低でも9ヶ月は母親の乳を飲み、母親が次の出産の1~3ヶ月前に乳を出さなくなると、自然に乳離れしていく。
牛の母子関係は、人間と同じように千差万別だ。多くの場合、子牛は、生後わずか1日か2日で、ほかの子牛と友だち関係を築く。
牛の求めるものは、多くの点で人間と同じだ。ストレスのない環境・安心できる住まい、安全な食事がとれ、そして運動でも、散歩で、ぼうっと立っているのでも、したいようにできる行動の自由。
どんな動物でも、気心の知れた仲間と交流することが必要で、人間の都合ではなく、自分のペースでやりたいことをやりたいように楽しむ権利が認められるべきだ。
子牛が母牛を亡くすよりも、母牛が子牛を亡くしたときのほうが悲しみは、ずっと深い。
長年観察していると、牛たちは、まっとうな環境で暮らしていると、とてもよい判断を下すということが分かる。
互いに体を舐めあうのは、牛にとっては大切なコミュニケーションだ。
牛は、とてもきれい好きで、何らかの理由で体を清潔に保てないでいると、見るからにしょぼくれた様子になる。
牛には愛情がある。牛は生涯の友をつくる。牛は遊びを考案する。牛は人間とコミュニケーションをとれる。
牛は、ときに思慮深い。
さあ、そんな牛だと分かって、それでも食べられますか・・・。小さな声で、ハイ、と私は答えます。前に、日本人女性が3頭の豚を飼育して、大きくなって殺して食べた話を紹介しました。ありがたくいただきます。その精神(こころ)です。
それでも、牛のことを少しは知って大いに考えさせられました。
(2018年7月刊。1600円+税)

狼の群れは、なぜ真剣に遊ぶのか

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 エリ・H・ラディンガー 、 出版  築地書館
圧倒的な面白さです。オオカミたちの顔は輝き、畏敬の念を思わず抱いてしまいます。タイトルどおり、本当に真剣に遊んでいる様子もうかがえます。オオカミの研究がすすんでいることを、この本を読んで実感しました。
著者はオオカミとの接触が20年以上、オオカミとの出会いは1万回以上も体験した元弁護士です。弁護士として、犯罪事件、賃貸トラブル、離婚といった問題に次第にストレスがたまり、熱意をもって公正な勝利に導く代わりに、裁判が苦痛でしかなくなった。優れた弁護士が必要とする距離と非情さに欠けていた。ふむふむ、弁護士稼業も辛いのですよね・・・。
自然のなかで生きるオオカミの寿命は9年から11年ほど。囲い地オオカミだと15年ほど。
オオカミを身近に観察できる人は、静かで控え目な人だ。
人間と同じように、オオカミでも、本当に重大な問題は、最高位の女(メス)が決める。オオカミの家族にとって重要なことは、すべて最終的には彼女の必要性に適応させる。
アルファオオカミだけが交尾を許されているというのは誤った理解だ。これが訂正されるまで20年を要した。オオカミの4分の1は、ほかのパートナーと交尾し、その結果として、一家族内の多数の雌(メス)オオカミが赤ちゃんを産み、その一部は、家族みんなで育てる。
リーダー夫婦はたいてい生涯を通してともに暮らし、リーダーが死ねば、次に経験の豊富な雄がそれに代わる。リーダーの地位をめぐって家族内で真剣な争いが起きることは野生オオカミでは、ほとんどない。
リーダーのお気に入りは、子どもたちとじゃれあい、格闘すること。負けたふりをするのが一番の楽しみだ。これもオオカミの知性のあらわれ。
オオカミの狩りの80%は失敗に終わる。オオカミは純粋な肉食ではなく、死肉、魚、野菜や果物も食べる。最良のハンターは2歳から3歳。
獲物を倒すのは雄のほうに利があるが、雌は動きが敏捷で、狩り立てを得意とする。
オオカミの子どもたちは、遊びながら公正さや協力を学び、していいことと悪いことを区別するようになる。遊びの重要な特徴はセルフコントロールにある。
大人のオオカミも、追いかけっこ、引っ張りあい、かくれんぼといった遊びをする。
遊びは学習とトレーニングの時間であり、相手をよりよく評価するための経験を全員が積む。そのなかで、自分がしてほしくないことは、ほかのものにしないことを学ぶ。
オオカミの家族関係を知ると、人間はオオカミからも学ぶべきことがたくさんあると思いました。
(2019年2月刊。2500円+税)

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