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カテゴリー: 生物

人が学ぶイヌの知恵

カテゴリー:生物

著者 林谷 秀樹 渡辺 元ほか、 出版 東京農工大学出版会
 私は犬派です。幼い頃から犬と一緒に育ちましたから、犬には愛着があります。猫はどうも好きになれません。
 子どもたちが小さいころ、柴犬を飼っていましたが、私の不注意もあって蚊に刺されてフィラリアで死なせてしまいました。この本を読んで、犬について改めていろいろ知ることが出来ました。
 メス犬の生理出血は人間と違って、排卵前後に起きるから、もっとも妊娠に適した時期である。
 イヌは汗をかいて体温を下げることが出来ない。かわりに唾液を蒸発させて、熱を放散させている。
 イヌは肉食に近い雑食なので、丸呑みするのが正しい食べ方である。
 イヌは食べ物の味より臭いで学習し、それによって好き嫌いがある。一般に大型犬は味オンチで、小型犬は好き嫌いの激しい傾向にある。オスよりもメス犬の方が好き嫌いが多い。
 イヌは甘いものが大好きだ。イヌはネコと違って腐肉も好き。イヌはビタミンCを体内で合成できる。イヌは汗をかかないから塩分の排泄が出来ないので、ヒトと同じように塩分をとると、塩分の取り過ぎになって高血圧になる恐れがある。
 イヌの嗅覚はヒトの1億倍もの感度を持っている。イヌの動体視力は優れているから、テレビ画像はヒトと違ってコマ送りにしか見えない。
 イヌがヒトと同じものを食べていると栄養学的に問題があり、虫歯にもなりやすい。ドックフードが好ましい。そして、イヌにはタマネギやチョコレートを与えてはいけない。
イヌも心の病にかかる、飼い主の夫婦げんかが絶えないと、神経性の脱毛症を引き起こすことがある。飼い主と離れていると、鬱状態になり、食欲をなくしてしまう。
 イヌは排便したあと、うしろ足で土をかけるような行動をとるが、それは便を隠すためではなく、自分の臭いをつけるため。
 イヌにとって、臭いは大切な社会的コミュニケーションの手段の一つなのである。
 イヌは叱られると、あくびをしたり、自分の口をなめたり、目をそらしたり、背中を向けてすわったりする。これは飼い主を馬鹿にしているのではなく、怒っている飼い主に対し、落ち着いてよ、もうやめてよと伝えていると同時に、自分を落ち着かせようとしているもの。
 イヌは、もともと群れで生活する動物なので、ひとりで放って置かれるのは苦痛に感じる。そこで、飼い主の外出がイヌにとっての一大事にならないよう、日頃から、慣れさせておくべきだ。留守したときにイヌの気が紛れるようなオモチャを与えるのもいい。
 イヌは、過去の出来事を記憶する能力はあっても、判断応力は欠けている。悪いことをしたイヌを後になって怒っても、なぜ怒られているのか、理解できない。
 イヌは、ヒトの感情や意図を敏感に読み取ろうとし、その動作を積極的に模倣しようとする。イヌが飼い主の家族に順位をつけて認識しているという話は最近は否定されている。
 イヌが腹を見せるのは、服従や信頼を示すシグナルである。しかし、それを強制すると、イヌとの信頼関係を壊してしまう。
 イヌとのことで知らないことが多すぎたと反省させられました。
(2009年7月刊。1400円+税)

自然界の秘められたデザイン

カテゴリー:生物

著者 イアン・スチュアート、 出版 河出書房新社
 1,2,3,5,8,13,21,34,55、89,144…。3つ目以降の数字は、どれも、その前の2つの数字の和となっている。そして、ユリの花びらは3枚。キンポウゲは5枚。ヒエンソウの多くは8枚。アラゲシュンギクは13枚。アスターは21枚。ヒナギクとヒマワリは34枚から55枚、また89枚。大きなヒマワリになると花びらは144枚だ。
 この数字をフィボナッチ数という。フィボナッチというのは、12世紀のイタリア・ピサの人である。いやあ、どういうことなんでしょうね、この規則性は…。
シダの葉は、一部が全体を縮小した形をしている。シダの茎の両脇には、細かく分かれた葉が何枚も並んでいる。葉は茎の根元に近いほど大きく、先端に近づくほど小さくなって、全体として柔らかな三角をつくっている。そして、これが、一つ一つの葉にあてはまる。シダの種数によっては、この構造が4度も繰り返される。
 これまた、不思議なことですね…。
古代ギリシアの哲学者プラトンは、正多面体が5つしかないことを知っていた。正四面体、立方体(正六面体)、正八面体、正十二面体、正二十面体である。
シマウマは縞模様のおかげで、草原でも目立たぬように草を食める。トラは縞模様のおかげで、ジャングルで待ち伏せするときに気づかれずにすむ。縞柄のチョウチョウウオやスズメダイは、すみかであるサンゴ礁の色合いにあわせて飾りたてられている。
 黄褐色のライオンは砂漠の砂と同じ色だ。ヒョウがまだら(斑)の皮をまとっているのは、枝にうずくまっているときに木漏れ日の模様に溶けこむためである。
 自然界の生物のデザインの豊富さ、その奇抜さは、人間の想像力をはるかに超えるものがありますよね。そして、その規則性にも感心してしまいます。どうして、そんなことが可能になったのでしょうか。神のみぞ知る、ということでしょうか…。信じられません。自然には不思議さがあふれていますよね。
(2009年2月刊。1600円+税)

くらげ

カテゴリー:生物

著者 中村 庸夫、 出版 アスペクト
 海月、水母、久羅下。クラゲをあらわす言葉です。海の中をふわりふわりと漂っていくクラゲは夢幻の存在というほか言い表しようがありません。
 英語ではゼリー・フィッシュというそうですが、まさしくゼリー状の姿をしています。でも刺されたら痛い存在です。私も子どもの頃、お盆過ぎに海水浴をして、クラゲに刺されて痛い思いをした記憶があります。
 クラゲは古事記にも登場しているそうですが、なんと、魚や恐竜よりはるか古く、10億年前に地球上に現れたといいます。
 脳も心臓もエラも骨もない。動物でも魚でもない。プランクトンなのである。
 海の中をフワフワと漂っているのは、クラゲの一生の中のほんのわずかな期間であり、その他の期間は「ポリプ」の姿で付着生活をしている。
 さまざまなクラゲの生態が見事な写真で紹介されています。コンパクトな写真集ですが、生物の多様性を発見・実感させるものとなっています。
 漆黒の水中に体を輝かせて浮かぶ姿は、まるでUFOが宇宙から舞い降りてくるような錯覚をおこさせた。
 こんなキャプションがついていますが、まったくそのとおりです。
 しかも、いかにもカラフルな姿がカラー写真で紹介されています。造形美の極致というべきクラゲの姿は、いつまでも見飽きることがありません。
(2009年3月刊。2000円+税)

いっしょがいいね

カテゴリー:生物

著者 間山 公雅、 出版 文藝春秋
 眺めているうちに、心がほんわかあたたまってくる。そんな鳥たちの可愛い写真集です。
 みずみずしい緑の森の中で、枝にとまった2羽のフクロウが仲良く寄り添っています。隣のフクロウの身繕いに手を貸したりもします。
 丹頂鶴に赤ちゃんが生まれました。丹頂鶴は、求愛ダンスで愛を確認しあうと死ぬまでパートナーを変えず添い遂げるそうです。卵は夫婦で交代しながら温め、家族単位で行動します。赤ん坊が親の背中の羽毛に埋もれるようにしてもぐりこみ、頭だけを出しているほほえましい写真もあります。子どもたちは親からエサを分けてもらったりしながら、次第に大きくなっていきます。身体が白いのが親で黄色いのが子どもです。
 ところが、菜の花の咲く頃には、子どもの身体も白くなり親と見分けがつきません。やがて、親にならって求愛ダンスを始めます。
 災害や戦争などを追いかけていたカメラマンが故郷の北海道をまわって写真を撮り始めたのでした。良くできた、小さな写真集です。
(2009年1月刊。1238円+税)

リンゴが教えてくれたこと

カテゴリー:生物

著者 木村 秋則、 出版 日経プレミアシリーズ
 先日、青森に行ってきました。リンゴが木になっているのを見ると、なんだか不思議な気がしてきます。どうしてこんなに重たいものが、たくさん木にぶら下がっているのだろうと疑問を抱いてしまいます。
 私の毎朝は、リンゴとニンジンそして青汁のジュースから始まります。もう何年も続けています。おかげで、健診を受けるたびに境界型糖尿病と指摘されていたのが、パッタリ止みました。ですから、リンゴを一年中、欠かさず食べているのです。
 この本を読んで、完全無農薬で育てた木村さんちのリンゴをぜひ味わってみたいと思いました。
 完全無農薬で育てながら、なんと虫もつかないというのです。信じられない話です。私は、庭でキャベツを完全無農薬で育てようとしたことがあります。でも、見事に完敗しました。世の中、そんな甘いものじゃありませんでした。毎日毎朝、青虫との戦いでしたが、まるで完全に敗北してしまったのです。
 写真を見ると、私より断然年長のように思われるのですが、なんと、私の一歳年下だったのでした。大変な苦労をしたうえ、農薬のせいで歯を悪くしてしまったので、年齢以上に老けて見えるようです。
 リンゴはバラ科の植物。葉がでんぷんを作る。
 青森県はリンゴの病害中に関する条例を定め、肥料や農薬等で徹底した防除管理をしていた。通告された畑の持ち主が、県の指導を無視すると、強制伐採、そして30万円の罰金が科せられた。農薬を使わない木村さんは、「かまど消し」つまり破産者扱いとなり、村八部同然となりました。
 害虫がたくさん害を及ぼすようになると、初めて益虫が出てくる。しかし、食べつくされることはなく、害虫も益虫もいっこうにずっと消えない環境にある。不思議な仕組みだ。
 木村さんは、リンゴの木に話しかけていったのです。声をかけなかったリンゴの木82本は枯れてしまったといいます。まさか……。本当のことでしょうか?
 無農薬栽培の基本は、園地を放任することではない。剪定、園地の手入れ、土づくりなど環境の整備をすることが大切だ。
 自然栽培で失敗しないためには、穴を掘って、10センチ刻みに温度計で測ること。自然の山では、地表の温度と地下50センチの温度には、ほとんど差がない。
 普通の畑は、20~30センチのところに硬盤層があるから、その冷えたところを破壊しなければならない。
 大規模農家でリンゴ園をやった人は、みんな失敗している。リンゴは、手作業の割合が大きく、人件費など経費がものすごくかかる。昔から、リンゴは労多く益なくといわれてきた。
 木村さんのリンゴのつるは柔軟性があり、しなやかで、落下しにくい。ちょっとくらいの風では、びくともしない。
 無農薬のリンゴづくりに長い間挑戦し、ドン底の生活を余儀なくされながらも、畑とリンゴの木をよくよく観察して、その泥沼から苦労してはい上がった木村さんの話には、感動的なものがありました。大したものです。
 サンモリッツの3日間は、快晴に恵まれました。それもそのはずです。サンモリッツの晴天日は、年間平均で322日もあるというのです。実は、ついた初日は夕方近く少し曇ってしまい、すぐ近くにあるピッツ・ネイルという3000メートルの高さの展望台は、ガスに包まれていました。
 ヤギの一種というアイベックスのブロンズ像の前で、たまたま一緒になった日本人夫婦に記念写真をとってもらいました。
 そして、サンモリッツは涼しいのです。というのも、標高1800メートルの高さにある街なのです。そこで、ガイドブックは次のように書いています。
 サンモリッツに着いてまずやるべきことは、深呼吸。サンモリッツの空気は、古くからシャンパン気候として有名だ。泡のなかで光の粒がはじけるような爽快感がある。
 いやあ、これが誇大広告とは思えない爽やかさが、たしかにサンモリッツ湖の周辺を歩いていると味わえるのでした。両手を大きく広げて、何度も深呼吸してしまいました。
 サンモリッツ湖を見下ろす高台にホテルがあります。カールトンホテルは明かりが見えません。閉鎖されている気配です。私はクルムというホテルに3泊しました。湖に面した部屋を注文すべきでした(もちろん割高になります)。反対側の部屋でもケーブルカーが見え、牛たちが急斜面で草を食んでいる光景が見え、また、ピサの社党のように全体が傾いた教会の塔を眺めることができ、負け惜しみのようですが、それなりの風景が眼前に広がっていました。
 私のブログにスイス・イタリアの風景写真を紹介しています。ぜひ、そちらものぞいてみてください。
(2009年6月刊。850円+税)

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