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カテゴリー: 生物

微生物の不思議な力

カテゴリー:生物

小幡 斎・加藤 順子 著 、関西大学出版部 出版
 まことに生き物というのは不思議なものです。信じられない悪条件の下で、綿々と生き延びている生き物がいるのに驚きというより、圧倒されてしまいます。
 たとえば、フィリピン海溝の深度1万メートル、1000気圧の水圧のかかっている堆積物に細菌が棲んでいます。1000気圧で増殖する好圧性の細菌がいるのです。
 そして上空です。ジェット機の飛んでいる10キロメートルほどの上空にも、1立方メートルあたり1~2個の密度で、微生物が生息している。
 地球上の微生物として32億年前の化石が見つかっている。そして、この微生物は、他の惑星から飛来したのではないかと考えられている。うへーっ、こ、これではUFOではありませんか。宇宙には地球上のほかにも生物がいるのは間違いないようです。でも、やたらと接触したら、きっとお互いに生命の危機なのでしょうね・・・・。
 地球上で、カビは微生物の36%を占めていて、その種類は少なくとも10万種類になる。ふむふむ、じとーっとして気持ちの悪い梅雨も、もうすぐやってきます。そのとき、カビが大活躍して困るのです。
 草食動物は、草ばかり食べて、タンパク質はほとんど取っていない。しかし、牛の胃袋の中には、多くの微生物が棲んでいて、その微生物が草を分解消化し、必要なアミノ酸を得ている。
天然ガスを栄養源として微生物を増殖し、その微生物タンパク質を食料に転換できたら、食糧不足の心配は解消される。
 生物の多様性を認識できる本です。
 
(2010年3月刊。2400円+税)

昆虫科学が拓く未来

カテゴリー:生物

著者:藤崎憲治・西田律夫・佐々間正幸、出版社:京都大学学術出版会
 いやあ、学者ってすごいですよね、ほとほと感心します。
 植物は害虫にかじられると、警戒信号を発します。他の植物仲間に注意を呼びかけるのです。それを化学的変化が起きると見抜き、害虫であるシロイチモジヨトウ幼虫の唾液を大量に集め、その唾液からトウモロコシに揮発成分を放出させる物質(エリシター)を単離した。
 昆虫の唾液に注目した点がユニークである。
 それはそうでしょう。チョウの幼虫の唾液なんて、ごくごくわずかなものでしかないでしょうに、それを大量に集めて化学的変化を引き起こす物質を取り出して、それが何であるか解明したというのです。たいしたものですよね。
 昆虫の食害の刺激を受けて放出される揮発成分は、事前に蓄えられていたのではなく、食害の刺激によって生合成遺伝子が活発化され、一酸化炭素から新たに合成された揮発成分が放出されたものである。動かない植物ではあるが、その細胞内では昆虫の食害により何かを感じとり、驚くべき生理的変化が起きているのである。
 うひゃあー、すごいですね・・・。
 平安時代の『堤中納言物語』には「虫めずる姫君」というのがあり、必ずしも女性一般が毛虫やイモ虫を毛嫌いしているわけではないが、勇気をもって退治してくれる男性を女性は頼もしく思うという関係はあるようだ。なーるほど、ですね・・・。
 昆虫少年を大切に育てたいという提言と実践が紹介されていますが、大賛成です。ともかく、人間より前に地球上に現れて、超能力とでもいうべき無限の能力をもつ昆虫から人間はたくさんの学ぶべきものがあります。
 昆虫は人間の100万分の1の脳細胞しか持たないが、それでも10万個の脳細胞をもっていて、飛行や餌の探知などにすばらしい知的活動を発揮している。
 昆虫は地球上で最も繁栄している動物ともいえる。アメンボがなぜ水面をすいすいと歩いていけるのかをふくめて、昆虫にまつわる秘密が次々に科学的かつ化学的に解明されています。化学式のところは飛ばし読みしましたが、それでも楽しく読めました。
 もと昆虫少年だった皆さんに一読をおすすめします。
(2009年4月刊。4800円+税)
 日曜日の夜、歩いてほたる祭りを見に行きました。ホタルより人間のほうが多いかもしれないと思うほどの混雑ぶりでした。竹を切ってロウソクをなかで灯したものを道の両側にズラリと並べてあります。フワリフワリと飛びながら明滅するホタルは、人工的な照明とあまり合いません。夢幻の境地がいささか壊された気になりました。それで、ホタルまつりとは別の場所で、じっくりホタルを見物しました。飛んできたホタルを手のひらにのせて、ふっと息を吹きかけます。

我が家にミツバチがやって来た

カテゴリー:生物

著者  久志 富士男   、 高文研 出版 
 
 とても面白くて、次の裁判を待つあいだに読みはじめたのですが、その裁判を延期にしてもらって読みふけりたい気分になったほどでした。
 なぜって、たとえばミツバチたちがヒマになったら、押しくらまんじゅうをしたり、隠れんぼをして遊ぶというんですよ。これにはさすがの私も驚きましたね。カラスがすべり台ですべって遊ぶというのは知っていましたが、ミツバチも遊ぶんですよ・・・・。
ニホンミツバチは不快なことがあると近くの人間に当たり散らす。たとえば、顔に体当たりする。また、砂糖水はまずいので、最後の非常食としてしか利用しない。なんていう話が満載なんです。セイヨウミツバチではなく、ニホンミツバチの話です。野生のミツバチたちのたくましさには、感嘆してしまいます。
これまでの蜂の巣からさる(分蜂)かどうかは、外勤蜂の過半数の意向で決まる。女王蜂が決めるわけではない。そして、個々のハチは行くのか残るのか、自分の意思で決めている。一度は出ると決めても、あとでやっぱり残ると思い直して戻ってくるハチもいる。うへーっ、これって、いかにも人間的ですね・・・・。
 最近では、田園地帯ではハチは生息できなくなっている。農薬のせいである。稲田や果樹園、それにゴルフ場の近くは避けなければいけない。大規模農場だと、100メートルくらい離れていても、ハチは1年以内に死滅する。
 風下で突然に農薬に襲われると、ハチたちは巣門に出て必死に扇いで農薬を押し返そうとがんばるが、力尽き、巣箱の内外でもがきながら次々に死んでいく。
巣の中にいる雄バチを居候として捕まえて殺すと、働き蜂の機嫌が悪くなり、そのあと人を警戒するようになる。ニホンミツバチは全体の繁殖を考えると、オス蜂も大事にすべきだ。
セイタカアワダチソウは年に2回、花を咲かせ、ミツバチに多大の貢献をしている。
 ミツバチはミツを取られても怒らないが、子どもを傷められると怒る。
人に慣れていても怒る。ミツは切り傷や火傷にすごく効く。外勤ハチは仕事がなくなると、お互いにダニ取りの羽づくろいをしたり、昆虫のくせに押しくらまんじゅうや隠れん坊をして遊ぶようになる。
 近くに強い勢力のハチ集団がいると、力の弱いハチ集団は、そのうちに戦い疲れて防戦しなくなり、女王蜂が殺され、自分たちは相手方に合流してしまう。
 雑木がなくなるとニホンミツバチは死滅し、ニホンミツバチが消滅すると農業は衰退する。この連鎖が見えないまま針葉樹の造林がすすめられてきた。
 ニホンミツバチは力ずくで従わせることはできない。本来は臆病な生き物である。とくに人が近くにいると、警戒を怠らない。ニホンミツバチと付き合うには、優しく接することである。そうすると、必ず信頼関係が生まれてくる。ニホンミツバチに近づくときには、挨拶を忘れてはいけない。
人間が巣箱の存在を忘れていても、ハチはいつも人間の存在を意識している。ときどき、指を番兵ハチに近づけたり、番兵ハチの脇腹をくすぐったりのスキンシップをしてやる。
ハチの羽音は、常に、そのときの気持ちを表現している。羽音が聞こえるときは、ハチは何かを言っている。繁殖期は、うれしいのか、羽音は朗らかで、温和だ。花蜜が豊富なとき、ミツが十分に貯まっているときも同じだ。
女王蜂が老齢で産卵が停止されると、王国に存亡の危機が迫り、どんな群れも荒くなる。これは女王が3年目に入る前後に起こりがちである。
ニホンミツバチは、オオスズメバチに襲われると、人に助けを求める。子どもがシクシク泣くような、か細い羽音で人の胸元をジグザグに飛んだり、人に止まったりする。「あいつらを追っ払ってください」と言っているようである。ま、まさか・・・・と思いました。
ニホンミツバチは、ミツの味がセイヨウミツバチと比べものにならないほど良い。ニホンミツバチは病気にかからず、ダニにもやられない。放任しても
元気に育つ。
 いやはや、もとは高校で英語の教師だった人のニホンミツバチを飼った体験にもとづく面白い本です。一読をおすすめします。
(2010年4月刊。2000円+税)

みんなが知りたいペンギンの秘密

カテゴリー:生物

著者:細川博昭、出版社:サイエンス・アイ新書
 日本人は、世界でいちばんペンギン好きな国民として知られている。
 そうですね。私も、ペンギン大好き人間の一人です。旭山動物園のペンギンにもご対面してきました。もっとも、有名な冬のお散歩を見たわけではありません。
 それに南極大陸での皇帝ペンギンたちの冬の子育ての模様を映画で見て、そのすさまじさに感嘆・感動してしまいました。子育てというのは、これほど生命(いのち)がけの営みなんだと、つくづく自分のしたことを反省させられました。いえいえ、子育てに手を抜いたつもりはありません。ただ、もっともっと真剣に関わるべきだったと思ったということです。
 ペンギンが、ほかのどんな鳥よりもまっすぐ身を起こした体型になったのは、海の生活に適応した結果である。陸上で生活するために、あの印象的なスタイルになったわけではない。
 ペンギンは足の位置を移動させた。尾に近いからだの後方へと足が移動したことで、ペンギンはより水の抵抗の少ない、効率的な泳ぎができるようになった。
空を飛ぶ必要のなくなったペンギンは、軽い骨である必要がなくなった。逆に、海に潜るためには重いからだのほうが有利である。そのため、ペンギンの骨は、密度が高く、重たいものになった。
 ペンギンは、消化を助ける目的のほか、効率の良い潜水ができるように体重を増やす意図から、小石を飲み込んでいる。
 ペンギンは南半球にしかいない。赤道をこえて北半球に行こうとすると、30度をこえる海水の中を長時間、泳ぎ続けなければならなくなる。それは、ペンギンにとって致命的なこと。冷たい海につかって熱を逃がすことでペンギンは体温管理をしている。それが出来なくなってしまう。
 ペンギンは一夫一婦制。オスは、前の年にカップルになり、うまく子育てが出来たメスの帰りを待つ。しかし、オスが待つのは1日だけ。丸一日たっても意中のメスが戻ってこないときには、別の身近なメスを選んで繁殖行為に入る。そうしないと、ヒナをうまく育て巣立たせることができなくなるから。ところが、遅れていた前年のつがいのメスが到着したとたん、オスは、そのメスに駆け戻って、なにごともなかったように交尾を始めるのだ。うむむ、なんということでしょう・・・。
 ペンギンでは、結婚相手を決めるのはオス。メスが協力しないと交尾は成功しない。すべてはメスにゆだねられている。だから、オスは自己PRにつとめる。それを見たメスが、このオスは自分にふさわしいと思ったら、カップルは成立する。2羽はお互いの存在を認めあうかのように向きあってディスプレイを始める。互いのおじぎから始まり、ともに空を見上げて鳴き交わしたり、クチバシを触れあわせたりしながら、それぞれの種ごとに一定の動きを繰り返す。これを相互ディスプレイと呼ぶ。
 事前のディスプレイに熱が入る反面、交尾自体はきわめて短時間に終わる。
 ペンギンは海中で20分以上も息を止めることができるし、最深潜水記録は564メートルである。
 ペンギンは2~5週間も絶食できる。最長はエンペラーペンギンのオスで、3~4ヶ月も絶食し、体重は30~40%も減ってしまう。
 ペンギンは親子、夫婦を音声、顔つき、クチバシのプレートの色や様子、斑紋やからだをおおう羽毛の微妙な違い、挙動にあらわれる個性などもふくめて、さまざまな条件を統合して認知・識別している可能性がある。
 ペンギンのことを深く知ることのできる、面白い本でした。
(2009年11月刊。952円+税)
 久しぶりに日比谷公園を歩きました。新緑のみずみずしさが目に映えて、まばゆいほどです。銀杏の大木はすっかり裸になっていて、梅の実が葉の影にたくさんなっていました。池の周りにはキショウブが花盛りです。
 澄み切った青空なのですが、風が冷たいのです。3月の肌寒さを感じるほどで、良く見ると薄でのコートを着て歩いている人すらいました。
 皇居前広場には今日もホームレスらしき人々があちこち点在して、寝転がっています。日比谷公園の出入り口には、徳之島にアメリカ軍基地不要、と書いたゼッケン、黄色シャツの人々が集まっています。
 私がよく利用する喫茶店に政府(厚労省)参与に再び就任した湯浅誠さんが、いつもの軽装で一人あらわれて食事をとっています。政治の大激動を見れる幸運な時期を生きていると実感します。

ホソカタムシの誘惑

カテゴリー:生物

著者 青木 淳一、 出版 東海大学出版会
 70歳で無職となって昆虫少年に戻った著者の、心躍る採集日記です。読んでる方まで楽しくなります。虫とりカゴを持って野山を駆ける昆虫少年を思い浮かべました。
 ホソカタムシは、大きさが5ミリほどしかない小さな昆虫です。しかも、地味な色合いをしていて、動きも緩慢なので、野外で見つけるのは難しい昆虫です。しかし、昆虫少年たちはそれを難なく見つけます。そこはもう、意気込みが違うのですよ……。
 ホソカタムシは生きている樹木にはおらず、枯れ木に住みついている。枯れ木の菌類か甲虫の幼虫を食べる。生きた樹木は食べないので、害虫にはならない。
 身体はガッチリと固く、光沢はなくても複雑な彫刻が施されていて、触角の先が玉になって膨らんでいて、身体は細く、両側が平行な虫である。
 ホソカタムシは、人間に見つかっても、あわてず騒がず、ゆっくりのっそりと落ち着いて、マイペースで歩いていく。その動きは、まことに優雅で気品に満ちている。
 この本には、ホソカタムシの写真と著者自身のペンで描いた精密画の2つで紹介されていますから、その生態がよく分かります。とりわけ、生態画のほうは、いかにも昆虫少年らしく丹念にペンで描かれていて、ほとほと感心・感嘆します。
 著者はホソカタムシを求めて、熊本、徳之島、石垣島、北大東島、種子島、そして小笠原諸島まではるばると出かけます。沖縄ではハブの出現を心配しながら森の中へ分け入っていくのです。いやはや、さすがに昆虫少年の心を持っていないとできませんね、こんなことは……。
ただ、その地で夜は美味しい料理を食べて、お酒を飲むわけですから、本当に豊かな老後を過ごしておられると、羨ましく思ったものでした。
 細密画の中では、ノコギリホソカタムシが印象に残りました。ギザギザ、コブコブの突起物に覆われた姿は、アニメ漫画に出てくる怪獣のようだと紹介されていますが、まったくそのとおりです。
 東北以南の日本全国どこにでもいるホソカタムシです。でも、これも3~5ミリと小さいので、目立たないんですよね。
 大変な貴重な労作だと思いました。
(2009年2月刊。1600円+税)
 いま、我が家の庭はアイリス、ジャーマンアイリス、ショウブ、アヤメの花盛りです。みんな背が高く、姿も形もとりどり艶やかなので、まさに花園です。アイリスは黄色、ショウブはキショウブ、アヤメは薄紫色です。そしてジャーマンアイリスは青紫色が多いのですが、濃茶色の花のほか純白の花もあります。華麗で会って清楚なたたずまいの真っ白さに、えもいわれぬ気高さを感じます。
 私の個人ブログに花園を公開中です。一度ぜひご覧ください。

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