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カテゴリー: 司法

この人たちの日本国憲法

カテゴリー:司法

著者  佐高 信 、 出版  光文社
 安倍首相は、まるで気が狂ったように日本国憲法を破壊しようと狂奔しています。日本の将来を暗いものにしてしまう安倍首相の支持率が5割というのは恐るべきことです。
宮澤喜一は、最期まで護憲を貫いた。「いまの憲法を変える必要はないと考えている人間です」と言った。
 「わが国は、どういう理由であれ、外国で武力行使をしてはならない。多国籍軍なんかでも、どんな決議があっても参加することはできないと考える」
 「日本は軍隊をもっていて、過去に大変なしくじりをしたしまったのだから、もういっぺんそういうしくじりをしないようにしないといけない。だから、軍隊はなるべくもたないほうがいいんです」
 私は、本当にそのとおりだと思います。
 城山三郎は、自衛隊は軍隊とは違うと強調する。自衛隊の本質は人を救うことにあり、人を殺す組織である軍隊とは違う。人を救う使命を持つ組織というユニークさにおいて、日本の自衛隊は恐らく世界でも例をみない存在であり、これは自衛隊の誇るべきいい伝統だ。日本の自衛隊は、普通の軍隊になる必要はない。
これには、私もまったく同感です。自衛隊は国土災害救助隊でいいのです。
城山三郎は、軍隊に入ってすべてを失い、戦争で得たものは憲法だけだと高言していた。
城山三郎は、佐藤栄作内閣のとき、公安警察がつくった「寄稿の望ましくない著作家」のリストに載せられた。ええーっ、ウソでしょ・・・。
 通産省次官だった佐橋滋は、軍備は経済的にいえば、まったくの不生産財だ。人間の生活向上になんら益するところがないどころか、大変なマイナスであると強調した。
 世界の人類に平和を希求して、自ら実験台になる。これほどの名誉がほかにあろうか。
 非武装国家になれば、軍備に要する膨大な財源がまったく不要になり、国内的には文化国家建設に必要とされる施設に充てられ、対外的には近隣国に対する援助が可能になる。脅威に代えて喜びをまくことになる。佐橋滋の非武装論こそ現実感がある。本当ですよね。
 後藤田正晴は、骨の髄から軍人や軍国主義が嫌いだった。
 「ワシが50年間生き残ったのは、再び日本を軍国主義にしないためじゃ。学徒出陣でいくさに出た学友の3分の1が還らなかった。この死んだ仲間のためにも、ワシは再び軍国主義へ引き金を引いた官房長官とは言われたくない」
まったく、そのとおりです。
 今の自民党には、安倍政権の暴走を止めようという気骨のある国会議員がほとんど見あたりませんね。残念なことです。でも、安倍首相も、そんなに長くはもてないでしょう。アメリカから見離されたらおしまいですから・・・。
(2013年9月刊。1600円+税)

四分の三世紀の回顧

カテゴリー:司法

著者  白井 正明 、 出版  白井法律事務所
 著者は日弁連公害対策・環境保全委員会でご一緒させていただきました。私よりひとまわり年長の先輩弁護士です。このたび大変な大作を贈呈いただきました、まだ全文通読したわけではありませんが、ここに少しだけ紹介させていただきます。
 なにしろ本のタイトルがすごいのです。なんと1分冊目のタイトルは「宇宙・人類・法」です。なぜ宇宙なのかと言うと、著者は都立高校時代に天文気象部に所属し、天文学者になろうとして以来、宇宙に関心を持ち続けているからです。それは隕石やクレーターの踏査に出かけるまでの熱中度です。
そして、人類というと、歴史、それも日本史から世界史まで。なんと古代エジプト史までさかのぼります。世界各地を旅行し、その旅行記も印象深いものがありますが、皆既日食を見に、世界各地へ出かけていく行動力には驚嘆するばかりです。
 そして二分冊目のタイトルが、この「四分の三世紀の回顧」なのです。弁護士生活50年を振り返り、弁護士会活動そして弁護士としての奮闘記をまとめた弁護始末記など、とても役に立つ内容になっています。
 著者は、よほど書くのが好きなようです(私も同じですが・・・)。よくもまあ、ここまで微に入り、細には入り、書きまったくものだと思うほどの弁護士奮戦記になっています。
 弁護士3年目にして、古展ちゃん事件(小原保被告)の上告審の国選弁護人になったとのこと。昭和43年のことです。子どもの誘拐事件です。結局、死刑判決で確定したわけですが、犯人が要求した身代金が50万円だったのを知り、時代の差を感じました。なにしろ、例の3億円強奪事件で世間があっと驚いた時代のことです。
 著者には、ぜひとも引き続き健康で、ご活躍されますよう祈念しています。
(2013年9月刊。2800円+税)

穂積重遠

カテゴリー:司法

著者  大村 敦志 、 出版  ミネルヴァ書房
穂積重遠というと、私にとっては民法学者というより、セツルメント活動を戦前に後援してくれた有力者として親しみを覚えます。私が学生セツルメント活動にうち込んだのは1960年代の後半です。
 穂積重遠は1938年にセツルメントが解散を表明するまで「大黒柱というよりも、巨大な防波堤として」セツルメントに深くかかわった。
セツルメント運動は、1884年にイギリスはロンドンのスラム街にトインビー・ホールと呼ばれる建物が建てられたことに始まる。大学拡張運動の一環として、貧困地域に根ざした学生の福祉活動を志していた。
 日本では、関東大震災の直後に始まり、救援活動から発展し、浮浪者ではなく労働者を対象とした。そして、戦後、セツルメント活動は復活した。1950年に発足し、1955年には全国セツルメント連合(全セツ連)が結成された。
 私の大学生のころには全セツ連大会が年に2回、東京や大阪、名古屋などで開かれていましたが、毎回、1000人近い男女学生が参加する活気あふれた大会でした。
 1980年代にセツルメント活動は一気に退潮し、1991年に氷川下セツルメントは閉鎖された。
穂積重遠は女性運動家を支援した。平塚らいてう、高群逸枝など。
 我妻栄は、直接には鳩山秀夫の弟子だったが、本人は鳩山、穂積、末弘厳太郎という三人の民法学の統合を目ざした。鳩山は債権法、穂積は家族法、末弘は物権法。
重遠が目ざした、立法・社会教育・社会事業を引き継いだのは我妻だった。
 我妻法学を承継したのは、加藤一郎、星野英一の利益考量法学だった。私も星野英一の民法講義を聞いていますが、その利益考量法学の価値はさっぱり理解できませんでした。なんだか、いい加減なやり方だなあという感想を抱いていました。
 穂積重遠の議論は星野英一の議論に、ある種の奥深い影響を与えているように感じられる。穂積重遠は最高裁判事として、尊属殺規定を違憲だとする少数意見を書いている。1950年のこと。それから23年たって、違憲判決が出た。
 穂積重遠は東宮大夫となって皇太子の教育にあたった。今の平成天皇である。
 私は、今の平成天皇を個人として大変尊敬しています。国民主権を柱とする現憲法の趣旨を率先して実践していると認めるからです。
 近くは、熊本に来て水俣病患者やハンセン病の元患者と親しく懇談するなど、その努力は実に目ざましいものがあります。
 穂積重遠の全体像を、よくとらえることのできる本でした。
(2013年6月刊。1000円+税)

「裁判官の品格」

カテゴリー:司法

著者  池添 徳明 、 出版  現代人文社
裁判官13人が実名、似顔絵つきで紹介されている本です。
 私はこんな本がもっとあっていいと思います。裁判官については、三権分立の担い手として身分保障は必要ですが、もっともっと国民から厳しく批判されるべき存在だと思うからです。私も、弁護士生活40年になりますが、尊敬すべき裁判官が少なくないことを認めたうえで、すぐに辞めてほしいと思った裁判官が、その何倍もいる(いた)ことを隠すつもりもありません。威張りちらすばかりの裁判官、まったく当事者の主張に耳を傾けようとしない裁判官、こまかいことばかり気にして、大局観を忘れてしまっているとしか思えない裁判官が、世の中になんと多いことでしょうか。裁判官の6割は優柔不断で右顧左眄型だという元裁判官の指摘がありますが、私の実感もそのとおりです。
 二人目に登場してくる川口宰護判事は、今、福岡地裁の所長ですが、最高裁調査官もつとめたエリート・コースを歩んできた人です。
 福岡の弁護士のなかで、川口裁判長の評判は「意外なまでにとてもいい」。エリートにもかかわらず、きちんとした裁判をする。エリート裁判官にしては意外なくらい賢くて、事実認定もしっかりしている。情に流されたりしないけれど、かといって冷たくもない。
 強権的な訴訟指揮をすることはないし、ていねいで説得力のある判決を書くと評価されている。
大渕敏和判事(25期)については、厳しい評価が加えられています。
 東電OL殺人事件の公判中、居眠りが目立っていた。「この裁判長は、いつも居眠りしていた」と本に書かれている。
 小倉正三・元裁判官については、いつも威丈高で、横柄な言葉づかいと態度で被告人に接していたと評されています。この小倉裁判長の法廷にかかったら、もうダメだと、名前を聞いただけで、弁護士はみなあきらめてしまう。そう思わせる裁判官だった。
 そうそう。そんな裁判官が少なくないのが現実です。そして、当の裁判官本人は、少なくとも外見上は自信満々なのです・・・。
 優秀な裁判官ほど柔軟な訴訟指揮をする。できの悪い裁判官ほど強権的だ。強権的な裁判官は、実のところ自信がなくて気が弱い。
 とても面白い本です。裁判所の内情を知ることができます。
(2013年11月刊。1700円+税)
  今日は私の誕生日です。赤穂浪士の打ち入りの日と同じです。年金支給の通知が来ました。まだ頭の中は30代の気分ですが、頭髪は白っぽくなりましたし、肉体的にはやっぱり60代なのかなあと思わせます。
 でも毎朝NHKのラジオ講座を聴いてフランス語を勉強していると、大学生の気分に一瞬戻ることができます。また、学生生活、寮生活、セツルメント活動を素材とした小説に再挑戦してみたいなという思いもあって、まだまだ学生気分も脱けきれません。というか、その気分にいつまでも浸っていたいという思いが募ります。
 まあ、これが私の若さの秘訣だと思います。
 今年はヒミツ保護法やら国防軍構想などで忙しく飛びまわっていましたので、読んだ本も例年より多く、600冊をこえました。引き続き、この書評を続けていくつもりです。ぜひ、今後ともお読みください。

憲法が変わっても戦争にならない?

カテゴリー:司法

著者  高橋 哲哉・斎藤 貴男 、 出版  ちくま文庫
アメリカは世界中で支出されている軍事費の半分(年に50兆円)をたった一国で支出している、異常なまでの超軍事大国である。
 日本の自衛隊は、人員でも、艦艇・航空機でも、ヨーロッパ軍事大国に比べて小さいどころか、ずいぶん大きな存在である。
 今でも十分に自衛隊をコントロールできていないのに、憲法を改正してしまったら、ますますコントロールできなくなる。
 自衛隊が軍隊(国防軍)になったら、自主性が増すどころか、ますますアメリカの手駒として、アメリカ軍の負担軽減のために、どんな任務につかされるか分からない。
 日本の安全にとっては、いかに「脅威」をつくらないか、いかにして日本に攻めてくる国をつくらないか、逆に、その国にとって日本が大切な存在になるかが大切で、そのための外交努力こそが求められている。
北朝鮮をやぶれかぶれに追い込まない。もし北朝鮮が爆発してしまったら、北朝鮮だけでなく、韓国も日本も破滅に陥ってしまう。
 デンマークの陸軍大将だった人が「戦争絶滅うけあい法案」というのを20世紀の初めに発表した。戦争が始まったら、10時間以内に、まず次の者を最下級の兵卒として召集し、最前線に送り込む。
 第1に、国家の元首。
 第2に、国家元首の男性親族で、16歳以上の者
 第3に、総理大臣以下の大臣。そして官僚のトップ。
 第4に、国会議員。ただし、戦争に反対した者は除く。
 そうですよね。いいアイデアです。戦争になったら、国家元首をはじめとする権力者、支配者は戦場に行かず、うしろの安全なところにいて、国全体に命令を発する。
 「愛する人のために戦う」といっても、実は、国家が発動した戦争にただ動員されていくしかない状況になってしまう。
 そして、戦争に行けば、また、その人を銃後で支えると、愛する人とともに、自分が加害者になってしまう。
 憲法改正というのは、戦争をしかける国にするということです。そんな怖い話に、うかう乗せられないようにしたいものです。
(2013年7月刊。740円+税)

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