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カテゴリー: 司法

刑務所なう。ホリエモンの獄中日記

カテゴリー:司法

著者   堀江 貴文  、 出版   文芸春秋
 いま長野刑務所に入っているホリエモンの刑務所体験記です。もちろん自由を奪われた生活なのですから、実際にはなにかと大変な苦労を味わっているのでしょうが、この本を読むと、開き直って楽しんでいるような印象さえ受けます。
 ともかく、よく書いています。もとから作家志望で、書くことは苦にならないようです。その点は、私とよく似ています。ともかくなんでも書いて、書きまくってしまうのです。そして、刑務所のなかでも新聞を読み、よく本を読んでいます。
 刑務所の臭いメシとよく言われますが、本当はとても美味しいようです。一人あたりの食費は安くても大量につくったら案外おいしいものができます。
 なにしろ、日頃の収容生活で最大の楽しみは食べることなのです。これがまずかったら、暴動が起きてしまうでしょう。
 ホリエモンは長野刑務所は全国屈指の美味しさだと誇っています。なかでもメンチカツは本当に美味しいようです。
 私も福岡刑務所を見学したとき、昼食を食べさせてもらいましたが、文句なしに美味しいと思いました。当初、それは見学者用だから美味しいのかと疑いましたが、そうではないようです。
 刑務所のなかの生活が、ときに実録マンガでも紹介されていて、500頁もある本ですが、飛ばし読みして1時間足らずで一気に読了しました。ホリエモンはこりることなく、意気軒高でした。ここらあたりは、人によって好き嫌いがあるところでしょうね。
(2012年3月刊。1000円+税)

「司法試験流」勉強のセオリー

カテゴリー:司法

著者   伊藤 真 、 出版   NHK出版新書
 司法試験受験界のカリスマ塾長と最近、親しく話させていただいています。近くに寄っても遠くから見たときとまったく同じで、とても誠実、真摯なお人柄です。すぐに心をうちとけて話すことができました。
実感では、弁護士としての実務の中で法律の知識が占める割合は2割ほど。残りの8割はそれ以外のコミュニケーション能力であったり、共感力、イマジネーション能力、まさに人間力とも言えるものが必要で、実は、そうした能力が弁護士としての勝敗を分ける。その分野の特定の専門知識のいわゆる教養や雑学、経験などがあって初めて、現場で活躍できるのだ。
これは、私もまったく同感です。まったくの初対面の人とわずか30分ほどで、弁護士は相談の要点をつかみ、それなりに的確に回答し、この人と一緒に解決に踏み出そうという共感する関係を築き上げなければなりません。
 記憶するためには、自分にとって本当に必要なことだと脳に思い込みをさせることが必要だ。人間は忘れる動物なのだから、忘れることを前提に記憶する作業をすればいい。そのためには、まずは忘れることを怖がらないことが大切だ。記憶の基本は、やはり、「繰り返し」の作業である。記憶する力というのは、あきらめずに続ける力なのだ。
 若い人たちの想像力の衰退化の最大の原因は、本を読まなくなったことにある。本を読むということは、実は想像力を鍛える訓練になる。本を読むと、それが実はプレゼン能力の基礎力を鍛えていくことにつながる。
 わずか200頁の新書版ですが、若者にとって大切なことが盛りだくさんの貴重な本だと思いました。
(2012年4月刊。740円+税)

過労死・過労自殺、労災認定マニュアル

カテゴリー:司法

著者  川人 博 ・平本 紋子  、   出版   旬報社
 身内が亡くなったことを前提として相談を受けているときに、それって過労死じゃなかったの・・・・?と思うことがあります。でも、遺族はなかなか問題にしようとはしません。生前、故人が世話になった会社に弓を引くわけにはいかないという気持ちからです。
 そんな人たちに気軽にすすめることのできるのが、この本です。マニュアル本として、とても実践的な内容です。本文100頁のQ&A方式で実践的かつ明快です。
 「もう疲れました」「悪いのは自分です」という遺書があっても労災と認めなられる。かつては、遺書があれば「故意」による覚悟の自殺だとして業務外とされることが多かった。現在では、遺書にみられる心身の状況や業務に関連する記述が本人の精神障害の症状や業務上の心理的負荷を証明するものとして積極的に評価されることがある。
 労災申請書を出そうとして会社が証明書を書いてくれなかったときには、そのことを書いた証明文をつけて監督署に提出すればいい。
ひどい長時間労働しながら、タイムレコーダーがそうなっていないときには、会社に残ったパソコンで稼働状況を証明する。そのための裁判所の証拠保全手続のときには、パソコンの専門家であるシステムエンジニアを同行して確実に保存する。
 電子的な記録がないときには、同僚から聞き取って報告書をつくる。
つぶれかかっている会社のようなときには、代表取締役個人に対する侵害賠償請求も考える。
 会社と示談するときには、労災保険とは別のものであること、慰謝料であることを明記しておく。慰謝料には所得税がかからない。
著者は私と同じころに大学生でした。今では過労死問題の第一人者です。そのうえ、東大駒場で有名な「川人ゼミ」を1992年から続けています。たいしたものです。引き続きがんばってください。
 著者より贈呈していただきましたので、感謝の気持ちをこめて紹介させていただきました。
(2012年5月刊。1200円+税)

夢をかなえる読書術

カテゴリー:司法

著者   間川 清 、 出版   フォレスト出版
 本を読むと売り上げが伸びるという、まさかを語る弁護士の本です。
 私よりも30歳も若い埼玉の弁護士ですが、なんと弁護士13人、事務職員11人という法律事務所のボスだというのです。信じられません。よほど経営の才覚(マネジメント能力)があるのでしょうね。
 本を読むと売り上げが伸びるかどうかはともかくとして、「夢」をかなえてくれるというのは、そう信じたい気分をふくめて同感です。
 ライバルが本を読まないのは、とてもチャンスなのだ。読んだ人は、それだけで読んでいない多くの人に差をつけることができる。
 読書嫌いの人を見て、なぜ本を読まないのかと気に病む必要はない。それよりどんどん本を読んで、最大の成功を手に入れ、周りの人を置き去りにしたらよい。
 人は本を読まない現実があり、本を読んだ人は成功する事実がある。これは、歴史が証明している。
私が「成功した」といえるかどうかはともかくとして、たくさんの本を読んで、日々充実した生活を送っていると確信を持って言うことは出来ます。
 人は本を読まない。そして、読んだとしても、その内容を実行に移さない。
 年収の高い人ほど、書籍や雑誌の購入費が高い。本や雑誌を読む人ほど、年収が高い。本を読む量とその人の年収は比例する関係にある。
 はてさて、これは本当でしょうか・・・。あまり信用できませんよ。
 本は全ページをめくって、一応は目を通して読んだことにして、自分を納得させる。自分にとって本当に役に立つことが書いていれば、1秒見るだけでも目にとまるので、情報の取りこぼしがなくなる。
 これは、私も実行しているやり方です。脳が自動的に読み分けてくれるのです。
人間の脳は、自分にとって重要なこと、探し求めていることについて、自動的に意識を集中させ、うまくその情報を収集することができるという優れた機能をもっている。
 脳の性能は、自分が思っているより、はるかに素晴らしいので、自分にとって明確化された重要な情報をシャットアウトすることのほうが難しい。本は読みとばしていいということに気がつくと、読書量が一気に増える。
 ここに書かれていることはまさしく、そのとおりです。読みとばしていても、自然に目の動きがゆっくりになるところが出てくるのです。
 著者は1日1冊の本を読むということです。私は年間500冊、そして、1日1冊の書評をかくのを10年以上にわたって続けています。それが楽しいからです。これは自己表現であり、充実した一瞬だからです。
(2012年3月刊。1400円+税)

法律相談のための英語ノート

カテゴリー:司法

著者   宇都宮 英人 、 出版   林田印刷
 すごいです。本職は弁護士なのに、子どもたちに空手を教え、さらには英語にも中国語にも堪能なのです。3年前に『法律相談のための中国語ノート』を刊行していますが、今回は英語ノートです。昨年、『空手と護身の英語ノート』を出していますので、英語ノートとしては第2弾になります。
 子どもたちに英語を教えるほうでも、その成果が本にまとまっています。8年前の『体と心を鍛える日の里空手スクールの実践から』(海鳥社)と、3年前に出たそのパートⅡです。
 著者の空手は、さすがに京大空手部の主将だったというだけに、何も分からない素人の私が見ても、いかにもぴしっと型が決まっています。決して一朝一夕にはできない体型です。
 この英語ノートは、とても実践的な内容です。弁護士が法律相談を受けて直面するだろうという質問を英語で回答するとこうなるというものです。
 たとえば、近所にいる80歳の一人暮らしのお年寄りが訪問販売からいろいろ物を買わされているようだが、という質問があります。民生委員を利用するとか成年後見申立をするというのがその回答になっています。まったくシステムの異なる国から日本に来て働いている人にとって、日本のシステムはとても複雑で分かりにくいと思います。
 解雇など労働契約が解除されたときにともなう質問に対しては、労働審判制度が説明されています。
具体的な質疑応答のほか、ボキャブラリーということで司法の専門用語についての英訳もあります。これで助かる人も多いと思います。
 著者の引き続きのご活躍を期待します。
(2012年3月刊。1600円+税)

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