法律相談センター検索 弁護士検索
カテゴリー: 人間

脳は眠りで大進化する

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 上田 泰己 、 出版 文春新書
 睡眠は人間の成長、とくに脳の神経細胞の成長に必要不可欠、きわめて大切な時間だ。
 これは、私の実感にもぴったりあります。私は、生まれてこのかた、完全徹夜なるものをしたことが高校生のとき、実験してみようと思ってした1回だけしかありません。まるで効果が悪いと思いました。徹夜明けは何も考えられない、脳細胞がまったく働かないことを実感しました。
 2回目は、夏合宿のとき、彼女と二人で話していて、朝を迎えたので、そのまま二人とも寝入ってしましました(ちょっとでも仮眠すれば、なんとかなることも体感しましたが、やはり、それだけのことです)。
 日本は睡眠時間が先進国のなかでもっとも短い。1日あたり1時間も短い。そして、これは労働生産性が低いことにつながっている。日本の長時間労働は低い労働生産性に直結しているというのです。経営者は経団連は反省したほうがいいでしょう。
 睡眠は削ってもいい、ムダな時間ではない。むしろ絶対に必要な時間だ。睡眠中の神経細胞は、一時期かなり強く活性化して一休み、また強く活性化して一休み、というリズミカルな動きをしている。
 生物には体内時計がある。これは地球の外側の時間軸を、生物それぞれが内側にインストールしたもの。
 ヒトゲノム計画から判明したのは、ヒトは2万数千もの遺伝子をもつこと。研究のスピードを上げるため、世代をまたがずに遺伝子を改案する技術を開発した。何やらすごい技術ですよね、きっと…。
 睡眠で面白いのは、睡眠と覚醒を繰り返すこと。レム睡眠のときに夢を見るが、ノンレム睡眠時にも夢を見ることがある。
 レム睡眠時は、完全に眠っているみたいにおとなしい。つまり、脳は活発なのに、身体は非常に不活発。ヒトは、必ずノンレム睡眠から入って、その後レム睡眠になる。
 トカゲのような爬虫類もレム睡眠をとっているようだ。ヒトでも、部分的に脳が眠る。
細胞を起こす、覚醒させるときに必ず働くのがカルシウムイオン。カルシウムが欠乏すると、睡眠に影響がある。
 ヒトは、睡眠時に、神経細胞同士の新しいつながりを獲得し、次の日に少しだけ新しい自分になっている。
 ヒトは、基本的に覚醒時には平均的には忘れていってしまう。
 覚醒は探索することに最適化された状態。
ノンレム睡眠が、シナプスを強くしたり新しく生み出したりするためには最適だ。
脳は、ヒトの体の時間的分業を統括するリーダーである。脳と心臓は驚くほど似ている。脳波と鼓動する心臓の仕組みには共通性がある。脳は第二の心臓だ。
キリンやラクダはあまり眠らない。キリンは細切れの睡眠で、あわせても1日に1時間以内。
 トナカイは、眠らないで、目を開けてモグモグとかんでいる。それは、脳波の周波数に近い。
ヒトの脳と睡眠の大切さを強く実感させられる新書です。著者は、福岡県生まれ、久留米大学附設高校から東大医学部に進学して、ずっと脳研究にいそしんでいるようです。
(2024年6月刊。980円+税)

ドキュメント・生還2

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 羽根田 治 、 出版 山と渓谷社
 私は九重山を歩いたことくらいはありますが、本格的な登山をしたことはありません。また、したいとも思いません。苦労して頂上にのぼって、はるか彼方まで見通したら、さぞかし気持ちがいいだろうというのは分かりますが、それまでの苦労に耐えられそうもありません。登山ではありませんが、大学2年生のとき、授業をズル休みして尾瀬沼に行ったのは、今もいい思い出になっています。
 この本は山で遭難して無事に生還した人たちの手記、聞き取り、そして対談から成っています。みんな長期間の遭難です。重傷を負いながら13日間、道を間違えて8日間、とかです。2週間とかではなく、3週間も山中で一人生き抜いた人もいます。人間の生命力はなかなかのものなんですね…。
ヤマの地図をスマホのアプリで活用するYAMAPは福岡の春山九州男弁護士の長男さんが創設した会社だと聞きました。便利なようですね。
でも、バッテリーが切れてしまったらどうしようもありませんよね。やはり水が大切。石をひっくり返して、アリやミミズを食べたり、苔をむしって食べたとのこと。でも、それで空腹感が満たされるほそのことはない。食べられる山野草の知識があれば良かったでしょうね。
 死ぬかもしれないとは考えないようにしていた。絶対に助かるんだという気持ちでずっといた。簡単にあきらめないということなんですよね。寒いので、夜は寝ずに乾布摩擦をして、昼に寝る。日にあたると、太陽エネルギーのすごさを感じた。太陽光を浴びることによって、体に活力が湧いてくる。
 絶対に無理はしない。迷ったら引き返す。引き返す勇気が大切。ライターやマッチは必需品。脱水症状にならないように、沢の水を積極的にたくさん飲んだ。
 この本の最後に、「自己責任なんだから遭難者なんか助ける必要はない」とか、「救助費用を税金でカバーするな。全額自己負担にしろ」と、心ない攻撃をしてくる人が少なくないとのこと。悲しい現実です。そんなことを言う人は、きっと本人は他人からたすけてもらった経験がないのでしょうね。
人間は誰だって失敗するわけです。その失敗をした人を切り捨ててしまったら、この人間社会はますますギシギシしてしまいます。助けられる限り全力で救出するのは当然のことです。
アメリカ軍の不要不急の高額な戦闘機やイージス艦などを買うお金(税金)は日本は持っているのです。そんな戦闘機を買うよりも生きた人間の救出に使うほうが、よほどいい税金の使い道です。
(2024年6月刊。1760円)

王墓の謎

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 河野 一隆 、 出版 講談社現代新書
 やはり、常識というか、通説は疑ってみるものなんだということが分かる新書です。
 たとえば、仁徳天皇陵は、クフ王のピラミッド(エジプト)や秦始皇帝陵(中国)に匹敵する規模。そして、疑問は…。それだけの墓を潔く技術があるのに、なぜ生活に直結するような社会のインフラにエネルギーをしなかったのか…。
次に、王は、本当に権力者だったのか…も、著者は疑っているのです。
 殷(いん)の王墓は地下深くに巨大な墓室が造営されているが、地上には墓であることを示すしるしはない。そして、殷の王陵のそばにある殉葬抗には、3000体以上が確認されている。3000人以上が殺され埋められたということです。よくも反乱が起きなかったものですね。
著者は「弱い王」という概念を提起しています。それは、権力者が神格化することでなったのではなく、神聖性をまとわせるために社会が必要とし、殺されるために選出された人間。生贄(いえにえ)のように神へ贈与されたのが「弱い王」。死ぬことと引き換えに神と協力できた王が神聖王。つまり、王墓とは、神聖性が特定の王に固定化されるリスクを回避するために人類が発明した優れた機構。王は強い権的な支配者ではなく、自然災害、人為災害など社会の存続を揺るがすような重大な局面に瀕したとき、成員の中から選ばれた人物であり、その人物が威信財を携えて神に捧げる役回りを演じた舞台が王墓なのである。なんだか、これまでの通説とはちょっと違っていますよね…。
 メキシコのテオティワカンには記念建造物はあるが、王墓はない。
エジプトでは、ファラオの関心が現世から来世のほうに重きが置かれるようになった。葬送複合体の中心はファラオの遺骸を納めたピラミッドから、太陽神ラーを祭るための神殿へ移っていった。ファラオが死後に太陽神ラーの下で神となるのであれば、王墓よりも神殿に直接礼拝するほうが祈願がかなえられるだろうと人々が考えるようになった。王が神格化を強めれば強めるほど、人々は王墓を重視しなくなるというパラドックスが生まれた。その結果、王墓はファラオの私的な意思で築かれるものに変質した。
 人々と神聖王との心的関係がもはや回復できないほど隔ててしまうと、ついに王は性格を一変し、むき出しの権力を誇示する「強い王」権力王が誕生した。そうなると、人々の自発的な協力は望めず、強制的な徴発をせざるをえなくなる。
 王墓が全国いたるところにあることの意味が少し分かった気にさせられる、面白い新書です。
(2024年5月刊。940円+税)
 台風一過、朝は涼しくなりましたが、日中はまだ炎暑が続いています。
 庭に出るとツクツク法師が鳴いていますし、彼岸花系統の白い花がたくさん咲いています。サルスベリも、白い花を咲かせています。
 朝顔の花も、紅いの、白いの、そして淡い水色の花が咲いています。
夕方、日が暮れるのが早くなりました。

痛快生活練習帳

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 旺文社ムック 、 出版 旺文社
 団塊世代への提案本です。といっても私たち団塊世代は今や後期高齢者(75歳以上)になってしまいました。今さら何を提案するのかと思うと、実は、この本は今から25年も前に刊行されたものです。
なので、団塊世代は50歳代に突入したばかりで、まさしくバリバリの現役世代でした。だから旅に出ようという呼びかけに素直に応じられます。旅といっても千差万別。豪華なシティーホテルに一人で宿泊するというのもありますが、たいていは自然豊かなところへ足を運びます。東海道五十三次の旅を再現しようという人もいます。まだまだ歩けるのです。足腰が弱ってきたら、もう無理できません。
スズムシなどの「鳴く虫」を自宅の書斎の虫かごで飼って育てている人がいます。その虫の数は、なんと4万匹。たいしたものです。スズムシ、カンタン、マツムシ、クツワムシ、キリギリスなど13種類の鳴く虫を育てているというので圧倒されます。昆虫少年がそのまま大人になったのですね。
 福岡の大学教授が現職のまま漫才師としてプロデビューしたという人がいるのには驚かされます。久留米そして福岡にも、弁護士でありつつ、漫才師を目ざしている人がいます。
 団塊世代が好んで読む本には、ロマンと痛快がある。これには多読主義者の私にも異論はありません。「旅する巨人」という、宮本常一と渋沢敬三を主人公とする本、ヘンリー・D・ソローの「森の生活」は私も読んで、いい本だと思いました。
 そして、江戸時代の商人であり、哲学者でもある山片蟠桃(ばんとう)には心が惹かれます。
 スマホを持たない(持ちたくない)私は、海外旅行は断念して、国内旅行に専念しようと考えています。全国47都道府県の全部に行きましたが、まだ行っていない島はいくつもありますし、足を運んでいない遺蹟や歴史的名所も多いので、そこを少しずつ行ってみようと考えています。歩けるうちが人生の華(はな)ですから…。
 本箱の隅に眠っていた本を引っぱり出して読んでみました。
(1999年10月刊。952円+税)

吉永小百合、青春時代写真集

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 日活 、 出版 文芸春秋
 私は何を隠そう(昔も今も隠してなんかいませんが…)サユリストなのです。
 その小百合ちゃんの青春時代の写真集が出たと聞いて、すぐに注文しました。いやあ、良かったですね、すごい写真で、改めて小百合ちゃんにほれぼれしました。
 映画女優デビュー65周年記念という企画です。私の弁護士生活50年をはるかに上回ります。それでもって、今もバリバリの現役女優なのですから、本当に尊敬します。
 小百合ちゃんと私の共通項がたった一つだけあります。それは、水泳です。私は週に1回、プールで自己流のクロールで1キロ泳ぎます。40分かかります。小百合ちゃんは、どうやら、週に何回か泳いでいるようです。それでいてゴーグルの跡が顔に片リンも見られませんから、よほど、泳いだあとの顔面マッサージを丹念にしているのでしょう。
この本には出てきませんが、高校1年の入学式に日活に入り、それからまともに学校に行っていない(行けなかった)小百合ちゃんは、早稲田大学第二文学部に入学して無事に卒業しています。それもまた、すごいことです。よほど勉強熱心なのですね…。
 この本には小百合ちゃん主演の映画が写真とともにたくさん紹介されています。残念ながら、そのほとんどを私は観ていません。私が観たのは、まずは「キューポラのある街」です。小百合ちゃん17歳、1962(昭和37)年です。まだ私は中学生でした。「青い山脈」とか「伊豆の踊子」は観ていません。小百合ちゃん18歳、1963(昭和38)年の作品です。
 「パリの小百合ちゃん」という写真もあります。セーヌ川のほとり、そしてベルサイユ宮殿の庭に腰かけた小百合ちゃんがいます。そして、さらに残念なことに、「戦争と人間、完結篇」(1973年)も私は観ていません。「ああ、ひめゆりの塔」(1968年)も観た覚えがありません。本当に残念です。
 まあ、それにしてもいい写真集です。私が吉永小百合を心から尊敬しているのは、大女優でありながら、地道な平和を求める取り組みを一貫して続けていることです。
 原爆反対の声をあげ続けていることに、ひたすら共感したいと思います。
(2024年6月刊。3200円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.