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カテゴリー: ヨーロッパ

マリー・アントワネットの宮廷画家

カテゴリー:ヨーロッパ

著者    石井 美樹子 、 出版   河出書房新社
フランス革命の前後を生き抜いた美人の女性画家の生涯を描いた本です。
マリー・アントワネットなど、ヨーロッパの貴人たちの肖像画を数多く描いた画家ですが、この本で紹介されている肖像画も本当によく出来ています。人間の気高さがにじみ出ている見事な肖像画です。美人とはいえ、家庭生活の方は必ずしも幸福一途ではなかったようです。なによりフランス大革命によって、身近な人々が次々にギロチン台へ送られていったとき、どんなにか心細かったことでしょう・・・。自画像を見ると、才能のほとばしりを感じさせる美女だと思わせます。
ルイ16世時代のフランスは、アメリカの独立戦争に肩入れして、軍隊を派遣し、フランスの国庫は破産寸前になった。1788年、つまりフランス大革命の前年には、債務の利息として支払う金額は国庫の42%にもはねあがった。国家破産の大きな理由のひとつは、貴族や聖職者が昔からの特権にしがみつき、税金の支払いを拒否していることにあった。国民は善良な国王を批判するのをためらい、外国人であるマリー・アントワネット王妃に非難の声を向けた。王妃のぜいたくだけで国家が財政難に陥るはずもないが、当時のフランスの国情はスケープゴート(犠牲者)を必要としていた。
マリー・アントワネットの肖像画を見ると、かなりの知性を感じさせる女性として描かれています。その境遇からは、決して庶民の気持ちを理解することはできなかったのでしょう。時代の哀れな犠牲者だったということなんでしょうか・・・。
画家はロシアのエカテリーナ女帝のところにも身を寄せます。
エカテリーナ女帝は若い男性しか相手にしなかった。それには理由があった。年配の愛人を持てば、愛人が女帝を支配しているという印象を世間に与えてしまう。女帝は誰にも支配者の侵害を許さなかった。身体は女性でも、支配者としては男であるとエカテリーナは常に主張した。
エカテリーナは啓蒙主義を信奉する君主として喧伝されたが、その思想には限界があり、農民一揆がうち続くと、反逆農民に対する残虐な報復を許した。エカテリーナは、ウィーンやベルリンに、国結してフランスの王政を復古しようと呼びかけたが、フランス人の亡命がロシアに流入すると、考えを変え、指一本あげようとはしなかった。
フランスの亡命貴族を助けると宣伝しながら、彼らのぜいたくな暮らしぶりを見て、援助する気持ちを失った。なーるほど、やっぱり支配者なんですね。
ルイーズ・ヴィジェ・ルブランは、ついに祖国フランスに戻ることができた。12年ぶりのころだった。そして、1842年、86歳でルイーズは永遠の眠りについた。
ぜひ一度、本物の肖像画を拝みたいと思いました。
(2011年2月刊。2400円+税)

パタゴニアを行く

カテゴリー:ヨーロッパ

著者   野村 哲也、 出版   中公新書
 
 パタゴニアとは南アメリカ大陸の最南端にある地方です。
 自然の豊かな写真に魅了されますが、住んでいるのはほとんど白人。つまり、先住民は絶滅させられたわけです。虐殺だけでなく、白人が持ち込んだ病気に抵抗力がなかったようです。
背の高い(男性180センチ、女性170センチ)先住民は、巨人伝説を生み出しました。混血によって美人も多いようです。
 それにしても豊かな海産物、そして果物も豊富です。
富士山によく似た山もあります。
 お城の山と呼ばれる山は面白い変わった峰を抱いています。
 海に出ると、クジラ・ウォッチングも出来ます。クジラたちが潮吹きをすると、卵をたくさん食べたあとのオナラの匂いを立てることを知りました。たまらない臭さのようです。
 ペンギンもあちこちいます。ペンギンはリーダーのいない動物。誰が偉いという感覚がない。みんな平等に泳ぎまわる。
 夜になると、満天の星空が手にとれるような近さで迫ってきます。
 15年間にわたって世界中を旅した著者が一番気に入っているというパタゴニアの素晴らしさがよく伝わってくる写真集です。
(2011年1月刊。940円+税)

日本のロマネ・コンティはなぜ「まずい」のか

カテゴリー:ヨーロッパ

著者   渡辺 順子、 出版   幻冬舎ルネッサンス新書
 
 去年夏にフランスはブルゴーニュ地方へ出かけ、ロマネ・コンティのブドウ畑を見学してきましたので読んだ本です。
 ワインはボトルの大きさに比例して価値も価格も上がっていく。なぜなら、ボトルが大きければ大きいほど、ワインはゆっくり、かつじっくりと熟成し、生命が長くなるからだ。しかも、生産者は、品質のある年にしか大きいボトルを造らない。だから、通常のボトルに比べて味も格別である。ワインの大きいボトルは、希少価値も高いためオークションに出ると、ワインコレクターは競って手に入れたがる。
 ロマネ・コンティを飲むなら、ワインを愛する人たちと喜びを分かちあいながら、最高のシチュエーションで飲みたいもの。どうせ高いだけで、そんなにうまくはないだろうという気持ちで飲むのとでは、当然のことながら味わいもちがってくる。飲む側がワインに敬意を持ち、万全の態勢でのぞんではじめて、その本当の魅力を見せてくれる。
これは、まさしくそのとおりだと私も思います。ロマネ・コンティこそ飲んだことはありません。(ぜひ一度は飲んでみたいと思っています)が、やはり、レストランでこのワインは造り手がこんな人で、いつもの年よりこんなに味わい深いですよという講釈(能書き)を聞いていると、そうか、そんなに美味しいワインなのか、ありがたくいただこうという気になり、いつも以上に美味しくいただけるのです。食べ物も飲み物も、やっぱり雰囲気と、見た目が大切です。
 ロマネ・コンティは1年に6000本しか生産されない。12本入りの箱だと、わずか500ケースでしかない。だから、初めの卸価格が20万円ほどだとしても、流通階段で何倍も値上がりしていく。日本ではネットで買うと1本100万円というのですから、驚きです。
 ところで、ロマネ・コンティはラベルがシンプルで偽造しやすく、高価で売れるため、もっともフェイク(にせもの)がつくられている銘柄である。
 うひゃあ、ロマネ・コンティと思って飲んだら、そうじゃなかったということもあるのですね。そしたら、それを飲んだら当然、まずいと不満を言う人も出てくるでしょうね。
 ワインのオークションに参加できない人が事前に入札するのをアブセンティという。オークションでの売れ行きは、写真の出来ばえに大きく左右される。年代もののワインなら、できるだけホコリを積もらせたまま撮影し、古さが際立つようにするなど、万全の注意を払う。
 プレミアムワインとは、ロマネ・コンティのような高いワインのこと。それに対して、カルトワインとは、主としてアメリカはカリフォルニアのナパ・ヴァレーつくられている高品質かつ高付加価値のワインのこと。カルトワインなるものがあることを私は初めて知りました。
 カリフォルニア・ワインもフランスに負けないような高品質のワインを輩出しているようです。まあ、しかし、なんといっても、ワインは、かの地フランスで、ゆっくり休暇をとって、仕事に追われない日々のなかで味わうのが一番です。日本で、仕事のあいまに、あくせくしながら飲むものではありませんよね。
 それはともかく、日本女性がこの分野でも活躍していることを知って、その姿には頭が下がります。
(2011年2月刊。838円+税)

ヘルファイヤー・クラブ

カテゴリー:ヨーロッパ

著者   イーヴリン・ロード、 出版   東洋書林
 
 ヘルファイヤー・クラブとは、地獄(ヘル)の業火(ファイアー)という意味です。18世紀のイギリス社会にいくつもあった秘密クラブです。
 ヘルファイヤー・クラブには三つの構成要素があった。すべてのクラブは社会や教会が教える道徳や倫理を否定し、社会に対して集団的に破壊活動をおこなった。彼らは深夜、面白半分に罪のない通行人を襲った。第二に宗教に対する嘲笑的態度であり、第三に、セックスに眈溺した。会員は常に男性であり、若くて有閑階級の出身者だった。
 ロンドンの人口は、1700年に57万5千人(イギリスの総人口の7%)、1750年には67万5千人(同11%)。毎年7千人もの人々がロンドンに流入していた。
ヘルファイヤー・クラブは、宗教に対してますます懐疑的になっていった社会を如実に示すものであった。クラブ会員の多くは、ヨーロッパのグランド・ツアーに行ったことがあった。グランド・ツアーはヨーロッパの宮廷、飾り棚、珍品、結婚式、宴会、葬儀などをできるだけ見ようとするもの。グランド・ツアーは、送り出す一家にとってお金のかかるものだった。たいていの家が望んだのは、教育の仕上げであり、洗練と経験を得させしめることだった。多くの旅先が、ローマ・カトリックの国々という危険があった。ローマ法王に謁見することが普通だったが、カトリック教徒なら法王の履物に接吻しなければいけないところ、お辞儀をするだけで良かった。
 イギリス人は、イタリアでは夫も妻も浮気をすることにひどく驚いた。上流階級では、夫も妻も、愛人をつくっても表向きはプラトニックな関係だとしておけば許されることになっていた。そりゃあ、驚きますよね。でも、これはフランスでも同じでしたよね。
18世紀のイギリスでは、セックスはペンで生計を立てようとする作家やジャーナリストにとって格好の話題であり、性的に露骨な本がますます多く出版されるようになった。
女性は父権制社会がつくった規制によって現状にとめおかれ、その枠組みから外れることは許されなかった。男性は愛人を囲い、売春宿で快楽をむさぼることに呵責を感じなかった。性的に露骨な本を購入できたのは、それらを書斎やクラブに隠しもっていられるきわめて裕福な人々だけだった。「わいせつ本」は、ヘルファイヤー・クラブの会員のように、国会に議席を有しており、国法を制定したり、執行したりする権威ある人々、すなわち上流階級の人々の特権だった。
イギリスの都市における売春は頭痛の種で、街頭で誰の目にもつくものだった。
イギリスでは1837年に住民登録が確立させると、人生の大事な出生、結婚、死亡は、もはや教会の専売事項ではなくなった。
1840年代には国の調査委員会による国勢調査や労働者階級の状況についての調査が繰り返し実施された。これによって労働者の生活はいい方向に変わった。
18世紀のイギリス社会が分析されている本です。宗教のもつマイナス面が指摘されています。先日、アメリカのキリスト教会の牧師がコーランを焼き捨て、それに怒ったイスラム教徒の人々が国連機関を襲撃するという事件が発生しました。この牧師(神父でしたか・・・?)は博愛精神を身につけていないわけですが、アメリカ社会がそんな人を事実上容認しているというのは恐ろしいことです。やはり、世の中にはやってはいけないことが多々あるわけです。みんな違って、みんないいという金子みすずの精神は宗教の世界でも生かされなければ嘘でしょう。
(2010年8月刊。3600円+税)
静岡にある浜岡原発を直ちに廃止すべきだと毎日新聞に大きな見出しのコラム記事がのっていました。たしかにそうですよね。福島原発の大事故でも恐ろしいことですが、東海大地震が予測されているときに、「絶対安全」の神話が崩れてしまったからには即刻、手を打つべきでしょう。無為無策で手をこまねいていて、東京が住めなくなったら、日本はどうなりますか・・・。
日本人は、今もっと怒り、声を上げるべきではないでしょうか。あきらめてはいけません。投票率が5割を切るなんて、子孫のことを考えたら、許されませんよ。声かけあい、励ましあって、政府と電力会社を激しく監視すべきだと思います。

暗殺国家ロシア

カテゴリー:ヨーロッパ

著者    福田 ますみ 、 出版   新潮社
 
 この本を読むと、アメリカと同じように、ロシアっていう国も人が簡単に殺されてしまう恐ろしい国だとつくづく思います。
 ロシアのテレビは報道統制がすすんで、犯罪を通してロシア社会の病巣を抉り出す報道は、今のテレビ界ではほとんど出来なくなっている。テレビで批判できない組織や人物のリストがどんどん増えていっている。
 ロシアでは、今、ジャーナリストたちが次々に襲われている。ロシアでは、ジャーナリストの身辺を脅かす襲撃事件が年間80~90件起こっている。プーチンが大統領に就任した2000年から2009年までに、120人のジャーナリストが不慮の死を遂げた。このうち70%、84人が殺害された。自分のジャーナリスト活動が原因で、殺されたと推測できるのは、さらにそのうちの48人。この48人の殺害のほとんどは、嘱在殺人と思われるが、首謀者も実行犯も逮捕されたのはほとんどない。
 ソ連時代、いわゆる反体制派は厳しい弾圧に晒された。投獄され、精神病院に放り込まれ、国内流刑や国外追放された。とはいえ、スターリン独裁下は別として、その後、処刑された者はいない。ところが、現代の体制批判者は裁判によらず、白昼の街頭でいきなり射殺される。うひゃあ、こ、こわいですね。
 エリツィンを民主主義者だと信じたのは、どこのどいつだったのだと自己嫌悪に陥るというのか、現在のロシア人の大方の心理である。あの流血騒ぎは、単なる権力闘争でしかなかったことを疑う者もいない。
 地方のローカル紙や全国紙の地方支局のジャーナリストの方が、より危険だ。地方の権力者を批判すれば、狭い限られた地域の中で反響が大きいから、それだけダイレクトにリアクションが返ってくる。ロシアでは、地方の権力者のなかには、自身がマフィアの親玉だったり、そうでなくとも犯罪者集団と密接につながりを持つ人物がうようよいる。彼らは法に訴えるなどという、まどろっこしいことはしない。殺し屋を雇い、記事を書いたジャーナリストの殺害を企てる。
ロシアでは、有力者は政権内部や治安機関に大きなコネクションを持ち、莫大な賄賂を払っているため、めったなことでは逮捕されない。これは公然の秘密だ。
 また、有力なギャング団も、治安機関や有力者と内通していることが多く、組織を一網打尽にするのは至難の業だ。
 ロシアでは、白昼、首都のど真ん中で政治家や実業家などが、車に仕掛けられた爆弾で爆殺されたり、銃弾で体を蜂の巣のように射抜かれて殺されるなどの凄惨な事件が四六時中起きている。莫大な身代金を要求する誘拐団も暗躍しており、不可解な失踪を遂げる者も珍しくない。
そして、社会を覆う、無差別テロに対する恐怖がある。地下鉄を利用するとき、プラスチック爆弾を身につけた自爆テロ犯が一緒に乗り込んでこないかと、常に怯えるような社会において、チェチェン人が一人ぐらい行方不明になったところで、「それがどうした?」という反応しか呼び起こさない。
 ロシアの新聞「ノーバヤガゼータ」は1993年の創刊以来、17年間に2人の記者が殺害され、記者1人が不審死を遂げ、契約記者2人そして顧問弁護士まで殺されている。歴史の浅く、小規模なメディアで起きた、これだけの犠牲は世界的にみても例がない。
 ソ連が崩壊して3年たった1994年のロシアの日刊新聞は17種、3930万部に減った。人口千人あたり267部、4人に1人が購読していた。2004年の日刊新聞は250種、1328万部とさらに大幅にダウンした。人口千人あたり551部、2人に1人は購読している。
 現在のロシアのあまたあるメディアの中で、政権による報道規制がもっとも進んでいるのはテレビである。
 警察官をふくめたロシアの公務員の汚職・贈収賄は今に始まったことではない。プーチン時代に入ると、汚職はもちろんとして、ギャング団顔負けの悪質な犯罪が警察官のあいだに蔓延した。
 ロシアのインターネットは、政権による厳しい報道統制を免れている、ほとんど唯一のメディアである。
 現在のロシアにおいて、リベラル派は圧倒的に少数である。それは、エリツィン時代にリベラル派を自称した政治家たちに国民が煮え湯を飲まされたからだ。自由で平等な社会の実現を約束した彼らが国民にもたらしたものは、混乱と無秩序、そして貧困だった。
 プーチンはこうしたエリツィン流自由主義に懲りた国民の心理を巧みにつかんで国内を引き締め、資源価格の高騰を追い風に経済を立て直し、強いロシアを取り戻した。いま、プーチン・メドべージェフ政権の支持率は70%を下まわらない。
 ロシアの怖い、恐ろしい実情を読んでいて嫌になるほど暴露した本です。私にはアメリカは、同じことをもっとスマートにやっているだけとしか思えません。どうでしょうか・・・。アメリカによるイラク、アフガニスタン侵攻、そしてアメリカ国内の貧困・死亡率の高さは問題ですよね。
(2010年2月刊。1600円+税)

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