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カテゴリー: アメリカ

ドット・コム・ラヴァーズ

カテゴリー:アメリカ

著者:吉原 真里、 発行:中公新書
 いやあ、団塊世代であり、インターネットと日頃とんと無縁な私にとっては、とてもショッキングな本でした。
 この本のサブタイトルは、ネットで出会うアメリカの女と男です。オビに書かれているフレーズは、「インターネットは愛の救世主か?!」です。もっというと、アメリカ男たちとオンライン・デーティング。大手サイトに登録した著者は、ニューヨーク、そしてハワイで、さまざまなアメリカ男たちと「デート」する。メールのやりとり、対面。交際、そして別れの中から、人間臭いアメリカが見えてくる――。
 40歳の東大卒で、ハワイ大学教授の独身女性が良き伴侶を求めるうえで、ハードルが高いことは、それなりに想像できます。この本は、そんな経歴の著者が活路をインターネットに求めて格闘した人生の日々を、かなり赤裸々に語りつづったものです。
 うむむ、知りませんでしたね。アメリカでこれほどインターネットが出会いの場として活用されているとは。日本でも出会い系サイトで知り合ったという弁護士を知っていましたが・・・。
 オンライン・デーティングというのは、要するにインターネット上のサイトを使ってデートの相手を探すこと。2006年度の業界の総売上は6億4900万ドル。現在、有料で合法なインターネット・サービスの中で最高の収益をあげている。アメリカでは、オンライン・デーティングはすっかりメインストリームになっている。主流として定着している。ええーっ、そ、そうなんですか…。
 登録料は、月に20ドル(2000円ほど)。あるサイトは、ここを介して出会った男女1万組が結婚している実績を誇っている。
 ストレートの女性がゲイの男性に惹かれる理由はいくつかある。さまざまな困難の中で、あえて自分に正直に生きる選択をしているゲイの男性は、人間関係において非常に真面目であることが多い。友達を大切にし、まめに連絡をとり、よく話をするし、こまめに気をつかう。一般的に言うと、ゲイの男性は平均的なストレートの男性に比べて、人間関係に意識的な努力を払う人が多い。そして、話を良く聞いてくれる。ゲイの男性は、おしゃれや身だしなみ、インテリアにこだわる人が多い。
 ところが、ゲイの世界のインターネットの勧誘サイトでは、あまりに性的露出度が高い。つまり、ペニスのアップ写真などがこれでもかとばかりに載っている。ひえーっ、これって信じられませんね。
 オンライン・デーティングでは、多くの人は同時進行的に複数の相手とデートを重ねており、そのこと自体に腹を立てる筋合いはない。ううむ、そういうことなんですね。
 著者の相手になった男性には、ユダヤ系の人が多かったのですが、それは、会話や議論が好きで、感情表現が豊かであり、濃厚に人間臭いやりとりができるからでした。
 アジア人女性(もちろん日本人女性も含みます)は、アメリカ人女性よりも性的に奔放である、というのは嘘ではないようだ、とも書かれています。うーん、そうなんでしょうか。
 著者は、この本によると、10人以上もの男性との出会いをそれなりに「楽しんだ」ようです。そして、月20ドルの料金は十分に元が取れた、と考えています。
 オンライン・デーティングでは、安全のために、本人同士が連絡を取り合って相手に知らせない限り、本名やメールアドレスは分からないようになっている。なーるほど、ですよね。むやみに変な人に知れたら、面倒ですからね。
 ベッドの中での行動やセックスについての態度には、その人の人間性がよく現れるから、相手のことを良く知るためには性的関係を持つのが大事だとも思う。むむむ、このセリフは、なかなか簡単にはいえませんよね。
 いやあ、世の中はこうなっているんだな、と改めて認識を新たにしたところです。こんな本を書くと、ますます男性の多くは引けてしまうと思います。でも、子供好きだということですから、ぜひ良き伴侶を見つけて子供をもうけてくださいね。 
(2008年6月刊。780円+税)

世界を不幸にするアメリカの戦争経済

カテゴリー:アメリカ

著者:ジョセフ・E・スティグリッツ、出版社:徳間書店
 ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者です。クリントン政権では、大統領経済諮問委員会の委員長であり、世界銀行の上級副総裁兼チーフエコノミストもつとめています。現在はコロンビア大学教授です。そのような保守本流の経済学者のズバリ直言ですから、重みがあります。
 今となっては、アメリカのイラク侵攻が恐ろしい過ちだったことは明らかだ。4000人のアメリカ兵が死亡し、5万8000人が重軽傷ないし深刻な病いを負った。10万人のアメリカ兵が深刻な精神障害になって帰還しており、慢性的な症状に苦しめられるだろう。
 サダム・フセインの統治はお粗末だったが、今のイラク国民の生活はその頃よりも悪化している。イラクに侵攻して中東に民主主義をもたらすというアメリカの大義名分は、今ではむなしい夢に思える。
イラク開戦の決断は、数々の間違った前提にもとづいていた。
イラク侵攻して5ヶ月の2008年の運用費は、イラクだけで月に125億ドルを超える。
2003年に比べて44億ドルも増えた。アフガニスタンと合わせると月160億ドルになる。
この160億ドルという金額は、国連の年間予算、またアメリカの13州分の年間予算と同じ。しかも、この金額には国防総省が通常の支出として一年間に支出した5000億ドルを含んでいない。
 イラク侵攻は、民間の軍事警備会社に新たな機会を与えた。国務省が支出した金額だけでも、2007年には40億ドルになる。3年前は10億ドルだった。
 2007年にブラックウォーターやダインコープなどの戦争請負会社で働く警備員は1日にして1222ドル、年間44万5000ドルを稼いだ。それに対して、陸軍軍曹は1日に140〜190ドル、年間で5万〜7万ドルだった。このように請負兵は軍人より費用がかかるうえに、軍の規律や指揮の下に置くことが出来ない。
 このような民間業者との契約が増えて、今では10万人以上がイラクで活動している。
 今や、アメリカは兵士と将校の補充・確保に苦労している。それは戦争反対の声の高まりと、死傷者数の多さによる。入隊年齢の上限を35歳から42歳に引き上げた。また、重罰犯の元受刑者も兵隊として受け入れるようになった。そして、経験豊かな兵士が軍を離れて民間の戦争請負会社に移らないように、再入隊ボーナスとして最高15万ドルを支払っている。
 2007年末までにイラクとアフガニスタンで重軽傷・病気になったアメリカ兵は6万7000人。少なくとも4万500人が戦争に直接起因しているとみられている。
 多くの退役軍人がM-1戦車とA-10攻撃機から発射された対戦車砲弾に含まれる劣化ウランにさらされた。退役軍人の障害手当は3000億ドル前後になると見込まれている。
 イラクとアフガニスタンで任務につく兵士の大多数は、その危険性を十分に理解していなかった。その3分の1は州兵軍や予備軍から召集された者であった。彼らは自分が長期間にわたって国外に配置されるなど想像もしていなかった。
 イラクとアフガニスタンからの帰還兵の健康問題の最大のものは精神障害だ。自殺率は10万人につき19.9人にまで高まっている。その自殺者の4分の1がイラクやアフガニスタンでの軍務中に起きている。
 アメリカは、アフガニスタンとイラクに戦争を仕掛けたため、2008年度末には9000億ドルの負債を抱えることになるだろう。今のアメリカは、滅亡直前のローマ帝国である。
 アメリカはイラクを長期占領すべく巨大な軍事基地をイラク国内にいくつも築き上げた。
 バラド基地は、縦7キロ横5キロの広さがあり、2万2500人の兵士を収容する。アサド基地には1万7000人の兵士のほか、民間の戦争請負業者が入っている。
 バグダッドにあるアメリカ大使館は、ニューヨークの国連本部の6倍以上の規模だ。
 アメリカによるイラク戦争が間違っていたこと、そしてそれがアメリカ国民にも不幸をもたらしつつあり、アメリカ国家経済を危機に導いていることがよく分かる本です。
 庭の酔芙蓉の花が咲いています。朝のうちは見事な純白の花なのに、お昼過ぎると昼食をとった時に軽く一杯やってほろ酔い加減になったように朱がさし始め、夕方になる頃にはすっかり出来上がって赫味の強い花になってしまいます。酔芙蓉とは、よくぞ名づけたものです。
(2008年5月刊・1700円+税)

NGOの選択

カテゴリー:アメリカ

著者:日本国際ボランティアセンター、 発行:めこん
 日本国際ボランティアセンター(JVC)が発足したのは、1980年のこと。インドシナ難民の支援に始まり、カンボジア、アフガニスタン、イラクなど、さまざまな紛争地で活動してきた。JVCの特徴のひとつは、紛争状態にある地域での人道的支援活動と併せて、長期的な開発協力をもうひとつの柱としている。
 アメリカ軍はアフガニスタンで、PRTと呼ばれる軍による人道的支援活動を展開している。アメリカ軍によるPRTは、対テロ軍事作戦と一体となっている。そのため、PRTが活動する地域では、NGOが軍事衝突に巻き込まれやすい。危険な地域だからアメリカ軍が人道支援をするのではなく、アメリカ軍が人道支援をするためにNGOが危険にさらされている。
 テロリストから攻撃される危険のあるところで、丸腰のNGOは活動できない。だから、武装した軍が復興支援を担うしかないというのがPRTの論理だ。しかし、アメリカ軍は、アメリカ軍自身による援助が必要だとされる治安の悪化を自ら作り出しているのが現実の姿である。そして、PRTの援助自体が復興開発支援で不可欠の住民参加、公平性と持続性という原則からかけ離れているために、一時的に住民の歓心を買うことができても、長期的に住民の自立を促すことには繋がらない。
先日、JVC代表理事の谷山博史氏の講演を聞く機会がありました。ペシャワール会の伊藤さんがアフガニスタンで殺害された直後でしたので、その点にも触れた講演でした。以下、谷山氏の講演要旨を紹介します。
 第一に、アフガニスタンの情勢は最近になって急に悪くなったのではない。
 第二に、地元の人に信頼されてペシャワール会は守られてきた。それでも今度のような事件が起きた。地元の長老が犯人と交渉中だという報道があったので、地元の論理で解決されるものと期待した。ところが、警察が犯人を追い詰め、アメリカ軍がヘリコプターで追跡している報道があったので、これは危ないと思った。
 第三に、日本のメディアの動きを注目していたが、先の「自己責任論」大合唱のようなバッシングは幸いにも起きなかった。それでも、アメリカ軍が支援をやめたらタリバン以前に後戻りしてしまうという論法が一部で声高に出ている。しかし、これは国際社会への不信を駆り立てるものでしかない。
軍隊による人道支援というのは、とても危険なもの。NGOの活動と軍事行動との境界があいまいになってしまう。軍隊を派遣していないからこそ、日本の援助はアフガニスタンの人々から高く評価されてきた。日本は、軍事的な支援に固執することなく、周辺国を含む紛争当事者の包括的な和平に向けた協議を主導して進めてほしい。
 これらの指摘に、私はまったく同感でした。 
(2008年5月刊。740円+税)

マネーロンダリング

カテゴリー:アメリカ

著者:平尾武史、出版社:講談社
 ヤミ金の五菱会がスイスに51億円も預金していたと報道されたとき、あっと驚きました。ヤミ金が儲かる商売だとは知っていましたが、それほどだとは思っていなかったからです。この本は、そのスイスの銀行に51億円もの預金があることが発覚した経緯と、その後の顛末を追跡しています。
 プライベートバンクとは、個人資産を専門に管理したり運用したりする銀行のこと。ここでは1億円以上の預金ができるような富裕層のみがお客であって、それ以下の庶民はゴミ以下の存在に過ぎません。
 東京芝公園近くの超高層マンションは、私も上京して浜松町から霞ヶ関にある日弁連会館に向かうタクシーの中からよく眺めます。マンションの23階から35階は賃貸マンションとなっていて、家賃は月85万円。うひゃあ、誰がこんな高い家賃を支払えるのでしょう。なんと、そこにヤミ金の帝王たちが住んでいたのです。
 五菱会グループのトップに君臨していた梶山進は34階に家賃92万円の一室を借りていた。梶山は工業高校を中退した後、塗装工などをしていたが、新宿でヤクザとなり、ダイレクトメールや電話で勧誘するヤミ金を始めて大当たりした。そして、梶山は稲川会系から山口組へと転身した。
 ヤミ金でボロもうけしたお金の一部は、ラスベガスのカジノで遊ぶための保証金として日本国内の銀行の貸金庫に預けることが出来る。梶山は200万ドル(2億円)も預けていた。梶山はカジノでVIP待遇を受けていた。そのなかでも最上級の「鯨」クラスである。
 カジノでは上客用の特別個室を利用していた。ディーラーをこの部屋に呼び込み、一回の掛け金は通常で100万〜200万円。多いときは1時間7000万円ももうけた。
 梶山は香港在住で、クレディ・スイスのプロパーを通じて、スイス銀行に51億円預けることが出来た。
 組織犯罪処罰法で問題となる犯罪収益の中には脱税が入っていない。そして東京地裁は、ヤミ金グループ幹部に対して、クレディ・スイス香港に不正送金されたお金について追徴(国による没収)を認めなかった。追徴しないと、被告人の手に戻ってしまう可能性もある。そこで、法律を改正して、このようなときには国が没収して被害者へ分配することが出来るように改正された。
 今、その被害者への分配が進行中です。ところが、ヤミ金グループがあまりにも多くいるため、どのヤミ金が五菱会に該当するのか、資料不足もあって多くのヤミ金被害者が届け出しにくい実情があります。
 それにしても、こんな違法な犯罪収益を暴力団から確実に取り戻し、吐き出させるのは、税務署当局の今すぐなすべきことではないでしょうか。 シカゴのギャング王であったアル・カポネを逮捕して下獄させたのは、エリオット・ネスの脱税取り締まり班でした。日本にも「アンタッチャブル」が欲しいように思います。
 フランスで久しぶりにトラベラーズ・チェックを使いました。パリのホテルで50ユーロ使ったのですが、おつりをくれません。今やトラベラーズチェックなんて、時代遅れで、嫌がられるだけの存在のようです。
 エクサンプロヴァンスのホテルのフロントで両替を頼んだところ、銀行でしてくれと断られてしまいました。土曜日なのにどうしましょう。そこで、カードで現金を引き出せるか試してみることにしました。すると、暗証番号を入力したらユーロのお金が出てきたのです。日本のカードをフランスで使ってユーロ札が出てくるなんて、不思議な気がしました。街角にある両替所より、きっと手数料は安いと思います。カードさえあれば、現金をあまり持ち歩かずにすむというわけです。帰国して一週間もしたら、口座から引き落としましたという報告書が届きました。早いものです。ホント、便利になりました。この便利さって、正直言って、ちょっと怖いです。
(2006年9月刊・1700円+税)

アンディとマルワ

カテゴリー:アメリカ

ユルゲン・トーデンヘーファー 岩波書店
  イラク戦争で、アメリカ兵が既に4000人も亡くなりました。イラクの人々はその何十倍も殺されています。こんな数字の裏に、一人ひとりにかけがえのない人生があったこと、それがある日突然に奪われてしまったことに、私たちはなかなか思いが行きません。この本は、アメリカとイラクの二人の子どもを通じて、アメリカによるイラク侵略戦争の悲惨な実態を浮き彫りにしています。
 そのとき、誰がこの本を書いたのか、それはどういう立場の人物なのかが問題になるでしょう。著者は、なんとドイツの保守的政治家だった人物です。ドイツ最大の保守政党CDU(キリスト教民主同盟)の議員であり、親米と反米主義を唱える右派議員として名高い人物でした。今は政界を引退していますが、ソ連によるアフガニスタン侵略にも抗議する勇気ある行動を起こしています。そのような経歴のドイツ人の語る言葉に耳を傾けるのも悪いことではありません。
 不正には不正で、テロにはテロで抵抗すべきではない。その国が民主的な法治国家であるかどうかは、敵をどのように扱ったかによって分かる。テロリストと同じ土俵に乗ってはならない。
 戦争は人間の卑しい本能を呼び起こす。アブグレイグ刑務所の捕虜虐待事件は事故ではない。イラクに対する横暴な戦争の当然の結果なのだ。残酷さや人間に対する軽蔑は伝染する。フェアな殺人や強姦がないように、フェアな侵略戦争もあり得ない。
 侵略戦争はまた、政治学や戦略家たちによる前線の若い兵士たちに対する裏切りでもある。兵士たちはいつも、侵略ではなく、防衛だと思わされている。そして、政治家たちは、自分やこどもたちが戦争へ送られる心配なしに、書斎や居間でのうのうと戦略を練っている。
 アメリカ海兵隊員(予備兵)として、18歳でイラクにおいて戦死したアンディはヒスパニック系で、フロリダ州立大学で経営学を学ぶつもりだった。ある日、アンディは海兵隊の広告を読んだ。資料を請求した人には、もれなく重量挙げ用のグローブをタダでくれるという。アンディはそのグローブが欲しかった。資料を請求すると、格好いい徴募係がやってきて、熱心に海兵隊入りをすすめた。予備兵として登録するだけなら・・・。アンディはいつのまにかイラクの戦場へ送られ、戦場で砲撃に当たって即死してしまった。
 イラクの少女マルワは12歳。イラク戦争が始まり、妹を殺され、自分も右足切断の大ケガをした。父親は戦争前に病死していた。著者は、マルワをドイツに招いて治療を受けさせた。そして、マルワの医師になりたいという夢を叶えてやるべく奨学金を送り続けている。
 個人の善意には明らかに限界があります。でも、こうやってイラク戦争で殺され、傷ついていった人々の詳しい実情を知らされると、この間違った戦争は一刻も早く止めなければいけない。そのために、日本と世界は何をしなければならないのか考えさせられます。
 
(2008年3月刊。1700円+税)

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