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カテゴリー: アメリカ

パブリック

カテゴリー:アメリカ

著者   ジェフ・ジャービス 、 出版   NHK出版
 若者たちは、古い世代が戦々恐々とするパブリックな未来に生きている。自分をオープンにすることへの見返りを分かっているからだ。
 インターネットは、ただのコンテンツを運ぶ媒体ではない。それは、人と人とがつながりあう手段だ。インターネットは既存世界の一部だという考え方には異議がある。それはもう一つの並行宇宙なのである。それほど「別物」なのだ。
 インターネットは、この世界の新たな層、新たな社会、または、よりパブリックな新しい未来へのもうひとつの道筋なのだ。インターネットは、破壊の道具、つまり古い絆を再び分断し、ぼくらを制約から解き放ち、未来の姿をあらためて模索させる触媒だ。インターネットが再びぼくらを原子にする。
 社会がパブリックになることは明らかだし、避けられない。抵抗してもムダなのだ。だが、その新しい社会がどんな形になるかは、まったく予想もつかない。
インターネットをうろついているとき、それを見られるのはうれしくない。
 インターネットは「深い読書」と、それがもたらす「深い思考」を阻むと言う人がいる。そこには、本こそが思考を刺激する唯一の、または最良のものだという思い込みがある。
インターネットができてから読む本の数は減ったが、インターネットのおかげで知識欲は増えた。なぜなら、インターネットは好奇心を呼びさまし、それを簡単に満たすことができるからだ。
 2011年の初め、13歳以上のアメリカ人の半数以上がフェイスブックに登録している。
 アメリカのティーンエイジャーと若年層の4分の3と、成人の半分がソーシャルネットワークを利用していた。1億7500万人をこえるツイッターユーザーが毎日1億回ツイートし、合計で250億のつぶやきを残している。アメリカの成人の1割は、ブログを管理している。
 ユーチューブは、毎分35時間分の動画を受けている。
 果たして、本当にインターネットは人類の知恵を向上させ、相互の結びつきを深めるものなのでしょうか。今の私には、大いに疑問です。
 私の身近な人がツイッター中毒となり周囲の状況が目に入らなくなって周囲の人が困ったということが起きました。その人を見ていて、あまりにインターネットの世界に入りこみ過ぎていて、じっくり落ち着いて考えることが出来なくなっている気がしました。
 インターネットの怖さは依然として小さくないというのが私の意見です。
(2011年6月刊。760円+税)

キレイならいいのか

カテゴリー:アメリカ

著者   テボラ・L・ロード 、 出版   亜紀書房
 アメリカの女性弁護士の書いた本です。ABA(アメリカ法曹協議会。日弁連みたいな団体ですが、強制加入ではなく任意加入)の女性法律家委員会委員長もつとめました。
 容姿に関して、男性と女性は別々の基準が適用される。ダブルスタンダードがある。
 男性は買い物代行サービスや美容のプロの世話にならず、そのための費用を払わずともちゃんとした身なり整えることができる。それなのに、なぜ女性はそれが出来ないのか。
 たとえば、女性のはくハイヒールはひどい腰痛や足の障害の大きな原因になる。女性の5分の4がこうした健康問題をいつかは経験する。
 アメリカ人は、年間400億ドルを投じてダイエットに励んでいる。
 ダイエットに励む人の95%は1~5年のうちに体重が元に戻る。
 消費者が化粧品に投じる180億ドルのうち、材料費が占める割合は7%にすぎず、残りは高価な包装費や、科学者に言わせると効果のない商品の広告費である。
 身だしなみへの投資額は全世界で年1150ドル。ヘアケアに380億ドル、スキンケアに
240億ドル、美容整形に200億ドル、化粧品に180億ドル、香水に150億ドルである。
 だが、このようにお金を使っても、効果はめったに上がらない。
 アメリカの女性は、毎日平均45分かけて基本的な身づくろいをする。
 アメリカでは、成人の3割、思春期の女性の6割がダイエット中だ。
 アメリカ人の1%弱が無食飲症を患い、4%がむちゃ食いをする。
きれいになるための努力から満足感を味わうこともあるだろう。だが、こうした努力は、不愉快な重荷になるし、恥辱感や挫折感の源ともなり、不必要な出費を強いることもある。
 イギリスの有名な女性歌手スーザン・ボイルがイメージチェンジしたとき、マスコミが叩いた。背が低くて太っているけれど、それがスーザン・ボイル。それで何がいけないって言うの?スーザン・ボイルはそう言って開き直った。しかし、それでも周囲からの重圧に耐えかねて、ストレス治療のため入院することになった。
 性的嫌がらせを禁止する法律が出来た。その問題点は、過剰反応ではなく、被害申告があまりに少ないことだった。
 明白な容姿差別禁止令をもつ国はアメリカのほかはオーストラリア一国のみ。アメリカと同じく、オーストラリアでも、審判所に持ち込まれる容姿差別の訴えの大部分(6割)は、人種、性別、宗教、障害など、容姿以外の要因が関係している。訴えの大多数(9割)は成功していない。
女性にとっての美しさのもつ問題点を多角的に検討した本です。
(2012年3月刊。2300円+税)

ティーパーティ運動の研究

カテゴリー:アメリカ

著者   久保 文明 ほか  、 出版   NTT出版
 アメリカの保守主義の実像を知りたくて読みました。ティーパーティって、いったい何なのか・・・・?
 ティーパーティ運動の主要な目的として、宗教的な争点があげられることはほとんどなく、経済争点が主である。
 ティーパーティ運動の支持者の半分近くは無党派層である。この運動は、保守的であり、共和党員と無党派とが混合した運動である。
 ティーパーティ運動は、ローカルでかつ小規模な団体が多く存在している。ティーパーティ運動には指導者がいない。運動全体をまとめる旗振り役は存在しない。
 多くのローカルなティーパーティ系団体は、巨大な連邦レベルの組織と結びつくことを望んでいない。一見すると連邦レベルで一つのまとまった集団のように見えるティーパーティ運動は、実は地域レベルの数々の社会運動の集まりに過ぎない。
 近年の無党派層の急激な保守化、無党派層の急激な経済保守化には、「大きな政府」化によっても好転しない現状に対する反発として理解できる。
 2008年から2010年にかけて、自らのイデオロギーを保守と答えた人が37%から42%へと5%も増えた。他方、穏健と答えた人は、37%から35%に、リベラル派は22%から
20%へと減少した。
 「大きな政府」化を行っても好転しない現状に反発する人たちのうち無党派の人たちは、その多くが近年になって保守化、しかも経済的に保守化した。そして、そうした人たちが、ティーパーティ運動の支持者の半分近くを占めるようになった。ティパーティと共和党主流派との政策的な溝は大きい。
 オバマ大統領について、マルクス主義者ではないが、マルクスモデルの一部を内面化している人物だと見ているそうです。ええっ、そんなバカな・・・・、と思いました。オバマ大統領は、史上もっとも急進的な大統領だというのです。本当でしょうか・・・・???
 減税、小さな政府、大きな自由。この理念というのは、大金持ちにとって住みやすい国づくりということですよね。私は、とんでもない政策目標だと思うのですが、案外、中間層がこれにころっと欺されてしまうのですよね。
ところで、自らをティーパーティと名乗るのは、18%で、実際に行動したり、寄付したりするのは4%に過ぎない。
ティーパーティの内情を分析した本として興味深く読みました。
(2012年1月刊。2800円+税)

レーガン

カテゴリー:アメリカ

著者   村田 晃嗣 、 出版   中公新書
 在任中は、あれほど人気のなかったレーガンが今ではアメリカ史上最高の大統領だと評価されているそうです。そんなことを聞くと、アメリカって本当に変な国だと思います。
 レーガンは自分がアルツハイマー症にかかったことを自ら公表しました(1994年11月)。そして、レーガンの生前から神格化が始まったのでした。
 レーガンは、大統領在職中は、知性に欠けるもとB級映画俳優と軽蔑され、危険なタカ派として、その政策やイデオロギーは激しい非難にさらされた。ヒトラーや吸血鬼ドラキュラと並んで嫌われたことすらある。
そうなんです。私もそのように見ていました。この本で、B級映画俳優としての実像、そして映画人組合長としてFBIにこっそり情報を提供し、アカ狩りに加担していた内情を詳しく知ることができました。
 レーガンは、貧しいアイルランド移民の末裔として生まれ育った。レーガンは離婚歴をもつ、史上初(唯一)のアメリカ大統領である。
 子どもたちとの関係は緊張をはらんでいたものの、レーガンは大統領として家族の絆の大切さを説いた。さらに、信仰の必要性を語りながらも、自らは教会に足を運ぶことはほとんどなかった。
 「小さな政府」と「強いアメリカ」を標榜しながら、結果として着任時の3倍にのぼる膨大な財政赤字を残し、ソ連との和解に着手して冷戦の終結に貢献した。
 レーガンの曾祖父はマイケル・オリーガンという。アイルランド風のオリーガンをレーガンに改めた。
 レーガンの父親は靴のセールスマンであり、放浪し、飲食におぼれていた。ただし、父親は黒人やユダヤ人への差別を憎む人でもあった。レーガンにとって、父は反面教師であり、母は心の故郷であった。父のアルコール依存症は深刻な問題であったが、レーガンはそれを知られないように陽気で社交的に振る舞わなければならなかった。
 レーガンは写真撮影のように書物を鮮やかに暗記できる記憶力があった。レーガンは書簡の人であり、生涯に1万通以上の手紙を書いた。
レーガンの出世の第一歩は、スポーツ・アナウンサーだった。その声は、重要な生計の糧となった。機転と当意即妙の話術を身につけた。そして、レーガンは黄金の声をもち、抑揚や口調を工夫して技術を磨いた。
 レーガンの映画デビュー作は実は犯罪映画だった。カトリックの背景をもちながら、レーガンは典型的なプロテスタントに見えた。
レーガンは葬儀に出席することを嫌った。葬儀の重苦しい雰囲気は、レーガンの楽観主義と相容れなかった。
 レーガン一家はニューディール政策によって救済されたにもかかわらず、政府が平時に税金で社会福祉を拡大することには反対した。
レーガンは優れたエンターテイナーだったが、優れた俳優とは言いがたかった。レーガンは俳優として大統領を演じたにすぎないという評価は、政治家としてのレーガンを過小評価するのみならず、俳優としてのレーガンを過大評価するものである。
 なーるほど、そのように評価すべきなのですね・・・。
 レーガンには戦前、共産党シンパの友人がいて、共産党への入党も考えていたようです(本人は強く否定)。そして、戦後、レーガンは映画俳優組合の委員長に就任します。しかも、5期連続の委員長です。ところが、こっそりFBIに情報を提供していました。つまり、FBIのスパイだったわけです。
 マッカーシー旋風のとき、公聴会ではレーガンは証言を拒否した。だから、リベラル派をふくむ多数の好感を得て委員長に連続して再選された。ところが、裏ではFBIのスパイをしていた。同じ反共主義を標榜しても、マッカーシーにとっては政治的方便だったがレーガンにとっては確信だった。
レーガンは賭博場やナイトクラブを好まず、仕事以外では、読書に没頭した。レーガンはかなりの読書家だった。レーガンは「リーダーズ・ダイジェスト」などからエピソードやジョーク、統計を拾い出しては丹念にメモをとり、自ら原稿をかいて、スピーチに磨きをかけた。スピーチライターの原稿を読むだけの政治家とは、演説修行の練度が違う。
 これには驚きましたね。レーガンはスピーチライターだったし、実況中継アナウンサーとして当意即妙に話しが出来たというのです。これは、ブッシュ(子)とは大違いです。しかも、レーガンは中国の孫子だけでなく、レーニンの本まで読んだというのです。うへーっ、すごいです。
レーガンは決して偉大な知性の人ではなかった。しかし、ひとかどの読書人であり、実務的な知識や応分の教養は身につけていた。そうでなければ、あれほどのユーモアのセンスは発揮できない。レーガンの知性を過小評価するのは危険だ。ただし、レーガンはもっぱら自分の信念を確信し、補強するために読書する癖があった。それがレーガンの知的限界だった。
 権威や体制への順応は、レーガンの変わらぬ資質の一つだった。カーターは、レーガンに対して、自分の知性と知識の優越を確信して討論会にのぞんだ。だが、勝負を決したのは、知性や知識ではなく、自信とビジョンそして表現力だった。
 レーガンは決して人種差別論者ではなかった。そもそもレーガンは人種問題にほとんど無関心だった。
 かつて演説原稿を自ら起草してきただけに、レーガンの加筆・修正は要点をおさえていた。危機や悲劇に際して共感と希望を平易に語ることは、指導者の重要な資質である。
レーガンという人物を正しく知るうえで大変有益な本だと思いました。
(2011年11月刊。880円+税)

世界サイバー戦争

カテゴリー:アメリカ

著者   リチャード・クラーク、ロバート・ネイク 、 出版   徳間書店
 サイバー兵士が、損害や混乱をもたらす目的で、国家が別の国家のコンピューターもしくはコンピューター・ネットワークに侵入する行為が、サイバー戦争である。
 著者はアメリカの安全保障、テロ対策国家調整官などを歴任しています。この本を読んで、もっとも怖いと思ったのは、「敵」国家のコンピューター・ネットワークのすべてを破壊してしまったときには、最前線にいる司令官は孤立し、上官との通信ができず、また生き残った後任の存在を知らずに自分ひとりで決断せざるをえなくなり、それは、えてして戦い続けることを選択しがちだということです。
 つまり、情報を断たれた第一線の現場司令官は上部の停戦命令を知ることなく、戦争続行指令を出し続けるだろうということです。これは、現代世界では最悪の破局を招きかねません。これって、とても恐ろしいことですよね。
 サイバー戦争に関して、5つの教訓がまとめられています。
第一に、サイバー戦争は現実である。第二に、サイバー戦争は光速で展開する。第三に、サイバー戦争は全地球規模で発生する。第四に、サイバー戦争は戦場をとびこえる。第五に、サイバー戦争はすでに始まっている。
 ちなみに、北朝鮮の国内には、アメリカと韓国のサイバー戦士が攻撃するような目標がほとんど存在していない。
 サイバー戦争は、ある種の優位性をアメリカに与える一方、他のどの国よりも深刻な危機にアメリカを陥れる。
 アメリカの情報機関の高官によると、中国はサイバー空間におけるアメリカの最大の脅威ではない。ロシアのほうが絶対に上だ。そして、高度の技能をもつサイバー戦闘部隊は、イスラエルにもフランスにも存在する。
 サイバー犯罪者は、インターネット攻撃の経路をとして利用し、標的の情報を入手したあと、標的にダメージを与える。
 このように、インターネットにたよる国家は「敵」の国家から、そのシステムをスパイさせるだけでなく、破壊されてしまう危険があるのです。
 私のようにインターネットに頼らない生活を送る平凡な市民にとっては何でもありませんが、国家にとっては何でもありませんが、国家にとっては存立の危機につながるものがサイバー攻撃・戦争なのです。
(2011年3月刊。1700円+税)

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