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カテゴリー: アメリカ

格差と民主主義

カテゴリー:アメリカ

著者  ロバート・ライシュ 、 出版  東洋経済新報社
 クリントン政権で労働長官となり、オバマ大統領の下でアドバーザーをつとめ、現在はハーバード大学教授である著者によるアメリカ社会を厳しく告発する本です。ピケティのほんと趣旨はほとんど同じだと思います。
 ところで、このような経歴の著者は、ひそかにカール・マルクスを崇拝する共産主義者だとマスコミで攻撃されているとのこと。そして、共和党の国会議員が、アメリカ連邦議会には共産党員でもある民主党員が80人前後もいると発言したとのこと。信じられない「アカ攻撃」です。アメリカ連邦議会に80人もの共産党の国会議員がいるなんて、聞いたこともありません。ちなみに、日本の衆議院には21人もの共産党の国会議員がいて、国会における質疑応答が最近少しまともになったと私は考えていますが、いかがでしょうか・・・。
 オバマ大統領に対して、共和党のギングリッチ議員(議長)は、「アメリカ史上最高のフードスタンプ大統領」と呼んだ。これって、ある意味で、ほめ言葉ではないかと思うのですが、どうやらアメリカという国では最大級の罵倒言葉のようです。
 アメリカの超富裕層上位400人だけで、下半分の所得階層にあたる1億5000万人の勤労所得を合算したよりも、さらに多くの富を手中にしている。
 あまりに多くの所得と富とがトップ層に偏ったために、膨大な中間層が購買力を失ってしまい、景気を維持することができなくなった。
 所得と富がトップ層へと集中していくにしたがい、政治的権力もまた上層へと集中していった。
 アメリカの連邦最高裁では保守派の判事が多数を占めるため、政界に際限なく巨大マネーが流れ込む水門を開けてしまった。
超富裕層の蓄財は、彼らの会社が雇っている大勢のロビイストや広報マンを通じて政界へと流れていく。
 政治は、ますます意地悪く二極化し、無力化されていく。有権者は怒りっぽく、対抗馬をけなす候補者のほうを支持しがちになる。物事が何も解決しないので、人々はますます「どうせ何も解決すまい」と思い込んで、斜にかまえるばかりだ。
 アメリカのCEOは、業績にかかわらず巨額の報酬を保証されている。CEOは、企業を危機的状況に追い込んでも、一財産を築くことができる。なぜか?
 お粗末な業績にもかかわらず、CEOが巨額の報酬を得ることができるのは、取締役報酬委員会を自分の言いなりになる取り巻き連中で固めているからだ。
 政府の大きさは、本当は問題ではない。問題なのは、巨額の資産が政府をのっとりつつあること。政府が小さくても、それが資金力に支配されている限り、ウォール街や軍需産業、巨大保険企業、スーパーリッチ層などの命令には従うことだろう。
 経済は誰のためにあるのか。いまのような経済システムでは、経済成長や株式市場の値上がりによる富のほとんどは、国民の大半には行きわたることがない。
 学校、公園、道路、水道などの公共財の劣化が続けば、国民生活の質は向上しない。アメリカで起きていることは、個人のモラルの破綻ではない。公的モラルの崩壊に悩まされているのだ。
 GEなど、多くの大企業は税法をうまく利用(活用)して、まったく税金を払っていない。
 日本でも、トヨタが長年にわたって法人税を払っていません。そのうえ、消費税の関係では払うどころか、もらうものが莫大だというようですから、とんでもないことです。さらに、研究開発費として1200億円も減税対象になっていたことが、最近、明らかにされました。
 国民の多くが怒り、いらだっている。そこにポピュリストが大きな嘘をついて誘導していっている。この点は、アメリカも日本も、まったく同じなんですね・・・。
 改革は、ワシントンの内側から何ひとつ起こらない。外にいる善良な人々が変革を求めて起ち上がり、それが組織となって精力的に行動しないといけない。あなたと、あなたのような人々が、社会を変えてみせると決心しない限り、この国を本当に変えるような意義のあることが起こるはずがない。
アメリカ人の生活水準を向上させる方法は、政府が国民へ投資すること。まずは教育、国民同士そして世界中の人々を結びつける通信システムや交通システムへの投資だ。
 ワシントンの政治が多くの国民の期待を裏切るのは、政治家に正しい行動をするよう圧力をかける国民がほとんどいないからだ。
 そうなんです。今こそ怒りを声に出すべきときではないでしょうか。安倍政権って、ひどすぎますよね。
 福岡選出の大物の元国会議員が山崎拓氏も古賀誠氏も、そろって安倍政権に任せたら危ないとくり返していることは重大な意味を持っていると私は思います。
(2014年12月刊。1600円+税)

アメリカの卑劣な戦争(上)

カテゴリー:アメリカ

著者  ジェレミー・スケイヒル 、 出版  柏書房
 アメリカは、いま無人機による攻撃、そして特殊作戦部隊を重用しているようです。いずれもアメリカ兵の損耗が少なくてすみ、議会の承認がいらない作戦です。
 しかし、果たして、それが現地でどれだけの効果を上げているのか。逆効果、反作用も想像以上に大きいのではないか・・・。
 アメリカ政府に雇われた者も、アメリカ政府のために働く者も、暗殺はもちろん、それを企てることも禁ずる。これは、カーターが発令した大統領令。しかし、実は、何が暗殺にあたるのかが定義されていなかった。
 国をもたない敵に対する国境なき世界戦争が、党派をこえて大々的に承認されたことに勢いづき、ブッシュ政権は世界が戦場であると宣言した。
 CIAは、初めのうちは秘密収容所をもっていなかったので、尋問するために容疑者をエジプト、モロッコ、ヨルダンなどに送り込んだ。外国の情報部に尋問を任せることで、アメリカ議会から調査される面倒もなく、好き勝手に尋問できる便宜がある。
 1979年のイラン革命のあと、首都テヘランのアメリカ大使人質事件のとき、53人のアメリカ人を救出する作戦が実施されたが、大失敗に終わった。その屈辱から、統合特殊作戦コマンドが生まれた。統合特殊作戦コマンドは、国家安全機構のなかで、もっとも厳重に守られている極秘の軍隊である。
 当初、デルタ・フォース、SEAL、第75レンジャー連隊など、さまざまな精鋭部隊から、その力を引き出そうとしていたから、当然、統合特殊作戦コマンド内には確執が広がっていた。各精鋭部隊が、みな、自分たちの部隊の優越性を信じていたからである。
 1993年夏、アフリカ、ソマリアのモガディッシュで、統合特殊作戦のコマンドのブラックホーク・ヘリコプター2機が撃墜され、ソマリア民兵とのあいだで激しい戦闘となり、18人のアメリカ兵が死んだ。
 2002年のイエメンにおける小型無人プレデターによる攻撃は、対テロ戦争発生の瞬間だった。
 アメリカ軍は、イラクの旧体制の指導者たちを選び出し、彼らがいなくなれば、イラクの暴動、戦闘は終わると考えていた。しかし、それは、とんでもない間違いだということは、まもなく分かった。
 統合特殊作戦コマンドは、敵ネットワークの行動パターンを解析し、反抗勢力およびそれと疑わしき人物の監視プログラムの開発をはじめた。顔認識システムや体温識別システムなど、最先端の生体認識技術や化学を利用し、遠距離から個人を識別した。
 さらに、生体反応性追跡用添加物を標的の人物の身体にこっそりつけてマーキングするという手法も開発した。付着した物が信号を発し、統合特殊作戦コマンドは、それを受信して離れた場所から標的を24時間、365日監視する。
 捕虜に「物」(タガント)を付けたうえで釈放し、その信号の発信源をたどれば、テロ組織もしくは反抗グループにたどり着くことも不可能ではない。
 イラクで激化する反抗活動のためにパキスタンに派遣する人材が不足した結果、ブッシュ政権はパキスタンの戦争を「下請け」に出すようになった。そこでブラックウォーター社の出番となった。ブラックウォーター社のかかえるコントライターたちの多くは、アメリカ軍特殊部隊の元隊員であり、とくに秘密作戦に従事する部門に属する者たちだった。
 2009年1月に大統領に就任した数週間のうちに、オバマ大統領はブッシュ時だの強硬なテロ対策の多くをそのまま継続するという明確なメッセージを送った。
 尋問の責任を追及していたオバマは、大統領になってからは、それを覆した。オバマは、対テロ対策については前任者の政策のほとんどを継承し、最終的には、ほぼすべての大統領令を改定することなく承認した。そして、オバマは毎週のようにパキスタンを空爆した。
 オバマは、秘密作戦プログラムを全面的に支持し、無人航空機による作戦活動がさらに増えていった。就任後まもなく、オバマ大統領はCIA長官にビンラディンを早く捕まえるように圧力をかけた。
 アメリカによる汚い作戦の一端を暴いた貴重な本です。
(2014年10月刊。2500円+税)

米軍と人民解放軍

カテゴリー:アメリカ

著者  布施 哲 、 出版  講談社現代新書
 アメリカと中国が戦争するなんて、悪夢の最たるものです。正気の沙汰ではありません。もちろん、アメリカも中国も、お互いに戦争する気はさらさらありません。日本の一部で、そんなシナリオが語られているにすぎません。
 この本は、そんな悪夢を、現実のものと仮定したときのシミュレーションをしたものです。これが現実になったら、日本を含めて人類は全滅してしまうとしか言いようがありません。
 でも、アメリカ軍と中国軍の戦闘能力を知ることは必要ですよね。そんな観点で紹介します。
 この10年間で、中国の国防予算は4倍にふくれあがった。2014年には13兆円近くとなり、世界第2位。日本の軍事費5兆円を大きく上回っている。総兵力の面でも、日本の自衛隊25万人に対して、人民解放軍は230万人と格段の差がある。
アメリカは攻撃型原子力潜水艦(SSN)を53隻も保有し、毎年2隻ずつ建造している。
 また、アメリカは空母を11隻もち、空母は、護衛のイージス艦やSSNとともに空母打撃群という単位で行動している。
 空におけるアメリカ軍の優位性は、安価で高度な攻撃能力を持つ地対空ミサイルSAMの登場によって揺らいでいる。攻撃側は、安価なミサイルで効果地な目標を攻撃あるいは無力化できる状況が生まれている。高価で高性能な有人機を運用するアメリカ軍にとって、被害コストが大きい不利なゲームになりつつある。
 中国にとって、海軍は中国の影響力を拡大させ、エネルギーや食糧を確保し、共産党の一党独裁体制を維持し続けるためのツールになっている。
 中国の海軍は、軍の行動の及ぼす対外的な影響の大きさを認識していて、武力行使には抑制的だ。これに対して、中国の海警は、そうした認識が薄く、威嚇や強硬姿勢を軍より選択しやすい傾向にある。
ミサイルは、きわめて安価な兵器だ。中国の対艦弾道ミサイル(DF-21)は、一発あたり9000万円(87万ドル)ほど。その運用ノウハウは難しくなく、途上国軍隊でも抑える程度のもの。
 アメリカにとって、日本は前方展開拠点としての地政学的位置があることからの重要性がある。
 日本という補給拠点、修理拠点、出撃拠点をアメリカ軍が失えば、アメリカ軍は西太平洋における軍事作戦の遂行が困難になってしまう。
中国が短期決戦を目ざすとすれば、嘉手納の航空戦力をミサイル攻撃で叩くことが想定できる。そうなれば、アメリカ軍に犠牲者が出て、アメリカは世論に後押しされてアメリカ軍を派遣させざるをえなくなる。
嘉手納の存在は、アメリカにとっては「巻き込まれ」を意味し、アメリカの関与を引き出したい日本にとっては、アメリカ軍を日本の防衛に「巻き込む」(つなぎとめる)意味がある。
 嘉手納基地は、このように中国からのミサイル攻撃に対して脆弱なため、アメリカ空軍はグアムにあるアンダーセン基地に戦力を集中することを想定せざるをえない。
 戦争が国家を総動員した長期間にわたる総戦力であったのは第二次世界大戦、また朝鮮戦争までのこと。現代戦は、2週間から、せいぜい4週間ほどで終結することが前提とされている。
攻撃後に散開した人民解放軍の特殊部隊を制圧・捕獲できたのは、わずかでしかない。
 アメリカと中国の間にいる日本の交渉力を強める特効薬は、日本経済の成長だ。
 中国に対して経済面で過度に依存することは、中国の要求に対する日本の脆弱性を高め、日本の戦略的判断の幅を狭めることになりかねない。
大いに考えさせられる本ではありました。
(2014年8月刊。880円+税)

ブラックウォーター、世界最強の傭兵企業

カテゴリー:アメリカ

著者  ジェレミー・スケイヒル 、 出版  作品社
 「殺しのライセンス」を持つアメリカの影の軍隊は、世界で何をやっているのか?
 これが本の帯についたフレーズです。イラク戦争での民間人の虐殺、アルカイダ幹部など反米分子の暗殺、シリア反体制派への軍事指導などの驚くべき実態。そして、アメリカの政府界の暗部との癒着が暴かれています。
この悪名高いブラックウォーター社は今ではありません。といっても、名前を変えただけです、今では、「アカデミ」と名乗っているとのこと。シリアでの反アサド勢力の武装兵士たちを訓練し、同社の傭兵がトルコからシリアへ数千人単位で派遣されているという。また、ウクライナにおける動乱にもかかわっている。
ブラックウォーターは、日本では、つがる市(旧車力村)のレーダー警備にあたっていた。
 イラクで2005年6月から2007年9月までに、ブラックウォーターが関わって死者が出た発砲事件は少なくとも10件あった。
 ブラックウォーターは、単なる警備会社の一つではなく、アメリカによるイラク占領でもっとも重要な役割を果たしていた傭兵企業だった。ブラックウォーターが、この役目を担い始めたのは、2003年夏に2700万ドルの随意契約を受注してからのこと。それは、ポール・ブレマー大使の警護をする契約だった。
 イラクでの最初の契約から2007年後半までのブラックウォーターは、国務省を通した「外交安全保障」関係だけでも10億ドルの契約を得た。
 マリキ首相はブラックウォーターの追放を訴えたが、その後もブラックウォーターはイラクに居続けた。これは、イラクに主権がないことをはっきり示したということ。
 イラクでサービスを提供していた傭兵企業は170以上あったが、ブラックウォーターは、これらのなかで最新鋭集団と広く認められていた。
アメリカ要人の警備にあたっては、イラクの一般市民の生命はまったく軽視された。
 ブラックウォーターは、軍ではなく、アメリカ政府直属の監督下にあった。
 2005年から2007年10月までにイラクにいたブラックウォーターの要員が砲火を開いた件数は195件、そのうち80%以上で、最初に発砲したのは、ブラックウォーターだった。
 ブラックウォーターは、イラクにいる隊員を120人以上も解雇した。これは、イラク派遣の人員の7分の1にあたる。
 イラクの戦場には、推定10万人の民間契約要員がいた。
 対テロ戦争とイラク占領は、アメリカに多くの企業を生み出したが、ブラックウォーターほど華々しく権力と利益を手にし、隆盛を成しとげた企業は、ほとんど存在しない。
 ブラックウォーターは、アメリカをふくむ9ヶ国に2万3000人以上の傭兵を派遣している。ブラックウォーターは、武装ヘリコプターを含む20機以上からなる航空隊を擁している。
 ノースカロライナ州にある本部は、世界最大の民間軍事施設であり、1年に数万人の警察官や「友好国」の部隊が訓練を受ける。
ブッシュ政権が宣言した「対テロ戦争」で最大の受益者となったのは、ブラックウォーターだった。オサマ・ビン・ラディンが、今日のブラックウォーターを作ったのだ。
 多くのアメリカ兵は、傭兵に恨みを抱いていた。平均的なアメリカ兵(歩兵)が1週間かかって稼ぐお金を、傭兵は一日で稼いでいる。
ブラックウォーターの契約要員は、殺されるか不具にされる可能性が高いことを知りながら、自らすすんでイラクへ行った。契約書には、その点が明記されていた。
 ブラックウォーターは、アメリカ国内のカトリーナ災害のときにも出動し、巨額の利益をあげた。
2008年、イラクにおけるアメリカ軍の現役兵の人数と民間契約要員数は1対1だった。
 アメリカ当局の個人警備サービスは、2003年には500万ドルの支出だったのが、2006年には6億1300万ドルまではね上がっている。
 民間軍事企業に戦争の重要な役割を任せることは、必ず大きな腐敗を生み出すものだと思いました。そして、それは、また無責任体制ともつながっていきます。「イスラム国」の「隆盛」も、この民間軍事会社頼りと無関係ではないでしょう。軍事に頼るだけでは、本当の解決にならないことに一刻も早く、アメリカ国民は気がつくべきだと思いました。
 500ページもある大部な労作です。
(2014年8月刊。3400円+税)

ベルリン危機・1961(下)

カテゴリー:アメリカ

著者  フレデリック・ケンプ 、 出版  白水社
 1961年8月、東ドイツがベルリンの壁をつくるに至った経過と、その前後の米ソ首脳の苦悩に満ちた息詰まる対決状況を活写した本です。
 キューバ危機の直前の首脳は、アメリカは若いケネディ大統領であり、ソ連はニキータ・フルシチョフ首相です。それぞれ難しい国内政治をかかえ、そのうえ軍部は核戦争をけしかけていたのです。いつの世も、軍部は紛争を武力で解決しようとします。自らの威信を高め、存在価値を大きくアピールする絶好の機会になるからです。世の中の平和とか安定というのは、軍部にとっては二の次、どうでもいいことでしかありません。いつだって勇ましいことを声高に言いたてる人がいます。それでも、卑怯者とののしられながらも、国のリーダーは国民の安全を第一に考えるべきなのです。
東ドイツのウルブリヒトは、ソ連の了解を得ると、ベルリンの壁を一挙にこしらえてしまった。アメリカをふくめた西側は、まさかそんなことはあるはずがないと信じ切っていた。
 私もベルリンには1回だけ行ったことがあります。国際会議に参加したほか、ヒンデンブルグ門とベルリン博物館を見学しました。いえ、もう一つ。ちょうど、アメリカのイラク攻撃の前夜でしたが、ベルリンの高校生などがアメリカのイラク攻撃に反対する長い長い元気なデモ行進を目撃することが出来ました。私は大学生のころのベトナム反戦デモを思い出して感動しました。集団的自衛権の行使容認の閣議決定がなされても、日本の高校生や大学生が大規模な集会とデモ行進をしたということがないのは、本当に残念です。
 私が行ったときには、ベルリンの壁はもうありませんでした。ここに、かつて壁があったという説明を聞かされましたが、まさしくまちのド真ん中に壁はあったのでした。
 東ドイツのウルブヒトが壁をつくりたいというのを、ソ連のフルシチョフは、苦悩したあげく承認した。これを実行したら、社会主義の世界的評判は大打撃を受けるだろう。しかし、西側へ毎日、東ドイツ市民が大量に脱出しているとき、それをくい止めなければ、東ドイツ経済は崩壊するのが目に見えている。
 アメリカでは、キューバでアメリカ軍は大きな失敗をした。政治問題を過小評価して、軍事的、作戦的な諸問題に集中しすぎた。
 ケネディ大統領にとって、ラオスで失敗してもかまわない。キューバでも同じこと。どちらも、アメリカにとって、あるいは歴史におけるケネディの評価にとって決定的な意味はもたない。しかし、ベルリンは違う。ここは、世界の運命を決する大闘争の中心的な舞台なのだ。
そのころ、東ドイツから西側へ、1日2000人、週に1万人をこす人間が脱出していた。
 東ドイツ経済を急速に改善する方法はなかった。圧倒的な西ドイツの物質的優位を前にして、難民の流出を抑え、東ドイツの崩壊をくいとめるには、壁をつくって封じ込めるしか選択肢はなかった。
ベルリンの境界閉鎖は、ドイツ政治を再編し、アデナウアーは二度と完全には回復しなかった。
 ケネディもフルシチョフもまともに核戦争の危機に直面していた。ソ連の核ミサイルがニューヨークやシカゴを襲ったときには、500万人から1000万人の犠牲者が出ると予測されていた。熱核戦争においては、人命は容易に奪われる。アメリカの核攻撃によって、ソ連側の死者は50万人から100万人ほど。別の想定では、1億人以上のソ連人口が減少するとみられていた。
 フルシチョフは、党内に強力な反対者がいて、彼らがまとまることを恐れた。まとまらないようにするためのエサは既に送付ずみだった。
 ケネディは、キューバ危機から8ヵ月たった1963年6月にベルリンを訪れた。ベルリン市民100万人がケネディ大統領を歓迎した。
このころ、人類の運命を握っていたケネディとフルシチョフの実像を可能な限り掘り下げた意欲作だと思いました。忘れてはいけない世界史なのではないでしょうか。ともかく、核の脅威なるものを一刻も早く根絶したいものです。
(2014年6月刊。3200円+税)
 投票日は私の誕生日でした。フェイスブックで告知されるので、何人もお祝いの言葉をかけていただきました。ありがとうございました。このブログの愛読者のチョコさんからは見事な花束も届けていただきました。重ねてお礼を申し上げます。
 開票結果を知って、平和憲法を守るための活動をレベルアップする必要性を痛感しました。同時に、福岡の弁護士のつれあいの方が見事に当選の栄冠を勝ちとられましたので、うれしさ一杯です。

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