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カテゴリー: アフリカ

アフリカに進出する日本の新宗教

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者 上野 康平 、 出版  花伝社
 このところ、創価学会に並んで幸福の科学の政治面での派手な活動が目立ちます。あちこちで候補者を立てています。よほど資金が潤沢なのでしょうね。
その幸福の科学など、日本の新宗教がアフリカに次々に進出しているというのです。驚きます。いったい言葉の壁、生活習慣の違いをどうやって乗りこえるのでしょうか。そして、その活動資金はいったいどうするのでしょうか。アフリカから日本まで来ると30万円はかかりますよね。アフリカの庶民にとっては高値の花ではないでしょうか・・・。
この本では、創価学会と幸福の科学のほか、崇教真光(まひかり)や統一協会、真如苑などが取りあげられています。
日本国内の新宗教の信者は3000万人。これは人口の23%にあたる。そして、宗教家が70万人いる。これは、全国の小中学校の教員数が67万人なので、それよりも多い。
幸福の科学は、東アフリカの小国ウガンダで流行している。ウガンダ国営テレビが大川隆法の講演と映画を放映した。そして、2012年には、国立スタジアムで大川隆法が1万人規模の講演会を開いた。
天理教は、コンゴ共和国で活動している。
真如苑は、日本では創価学会、立正校正会に次いで多い100万人の信者を有する。真如苑は、ブルキナファソで活動している。
崇教真光は、ヨーロッパ・アフリカ方面指導部をルクセンブルグの古城に置いている。1987年に1億6千万円で古城を購入した。西アフリカから日本へ、年に数回、岐阜県の総本山での祭礼に参加しようと、ビザを申請するアフリカ人が大勢いる。
コートジボワールでは、1990年に創価学会の支部が設立されていて、当初200人の会員が、今では3万人になっている(らしい)。
アフリカの地に日本の新宗教が本当に根づくことが出来るでしょうか・・・。疑問が深まりました。
(2016年7月刊。1500円+税)

食い尽くされるアフリカ

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者 トム・バージェス、 出版  集英社
 巻末の解説文を紹介します。
 中国はアフリカ経済を発展させるといって資源開発を次々にすすめている。しかし、今までのところ、アフリカの人々には、その恩恵はまったく及んでいないというのが現実だ。エネルギーを輸出するためにつくられた交通インフラは、人々のために役立っていないどころか、むしろ安価な中国製品が大量に流出するルートになり、アフリカ現地の工業化を大きく妨げている。そのうえ、そのインフラ建設費の3割は汚職によって消えている。
 天然資源関連の産業は、国内に雇用を生まない。そのため、アフリカの人々のあいだに大量の貧困が発生している。
 中国の汚職官僚たちは、中国内で略奪システムを構築し、そのシステムを通して蓄えた富を秘匿性の高いタックスヘイブンに隠すテクニックを身に付けた。今のアフリカの天然資源国における略奪システムは、中国の高級官僚によってつくられた汚職システムが修正されて、アフリカに輸出されたものと言ってよい。
 中国とアフリカとは、今このような関係になっているのですね・・・。
 植民地時代のヨーロッパの帝国や冷戦時代の超大国が姿を消し、資源の宝庫であるアフリカ大陸には新たな支配の形が生まれている。アフリカに生まれた新たな帝国を支配するのは、もはや国家ではない。何ら国民に責任を負わず、影の政府を通じて国土を支配するアフリカの政治家、彼らを世界の資源経済と結びつける仲介者、企業秘密を盾に汚職をおこなう東西の多国籍企業、この三者の連合勢力がアフリカを支配している。
 中国は、ニジェールでウランを採鉱し、未開発の油田を掘削する権利を受けとる代わりに、独裁者タンジャが独裁政治を遂行するために必要な手段を提供した。そして、5600万ドルのうちの4700万ドルは反乱を鎮圧するための武器の購入にあてられた。
 中国は、アフリカの変化にあわせてアフリカ諸国に支援の手を差し伸べている。中国は2004年にアンゴラで協定を結んだあと、コンゴやスーダンとも同じ取引をした。いずれも、インフラを提供する見返りに天然資源をもらうという数十億ドル規模の取引である。
中国の海外での契約の3分の1はアフリカとの契約である。アフリカにおけるインフラ支出の3分の2は中国に資金が占めている。
アフリカの主要水力発電ダム10基の建設資金の大部分を中国が提供する。これらのダムによって、アフリカ大陸全体の発電量の3分の1の電力を生産する。
 エピオチアでは中国が構築した携帯電話鋼が利用され、中国が建設した空港を通じて貨物が流通している。アフリカ連合の新しい本部ビルは2億ドルかけて、エチオピアの首都アディスアベバにつくられたが中国が資金を提供した。
アフリカへの融資の最大の資金源は、国有の中国輸出入銀行だ。
中国の国有企業は、シエラレオネから南アフリカに至るアフリカの天然資源をもつ欧米の企業から230億ドルを費やして持分を購入した。
中国は、欧米の諸国と競争だけでなく、協力もしている。
アフリカの資源国家の支配者は、国民の同意を得なくても国を統治できる。それが資源の呪いの核心にある。資源ビジネスがあるかぎり、支配する側と支配される者との社会契約は成立しない。
アフリカにおける中国の存在感は日に日に強大となっていますが、そこには大きな問題もあることを認識させられる本です。
(2016年7月刊。1900円+税)

スリ・コレクション

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者  ナギ・ヨシダ 、 出版  いろは出版
 これはすごい。とてつもない美的センスです。想像もつきません。よくぞ、このような写真を撮った(撮れた)ものです。
 若い日本人女性ならではの突撃精神がなければ、並みの日本人男性には撮る勇気もないでしょう。なにしろ、舞台はアフリカのエチオピアの奥地。首都のアジスアベバから何と車で片道3日間、悪路を走った先に位置する。そのうえ、世界有数の虫大国だから、南京虫、ダニがうようよ。ダニで足がマシンガンで撃たれたような痕だらけになって若い日本人女性カメラマンがたどり着いたのです。
 撮影期間は、わずか5日間。待ったなしです。ここでは写真そのものは紹介できませんので、そのすごさの一端を想像してもらうために、この女性写真家の文章を引用します。
 まずは川で水浴び。そのあとは、思い思いの草花を手あたり次第に集めて、顔や身体にまきつけていく。石灰石や赤土を山から持ってきては水に溶かして自分の顔や身体に塗る。自分では見えないところや手の届かない場所は、友だち同士でメイクしあう。褐色の肌に葉柄のスタンプ。顔の周りに巻きつけた野生花のリース。見たこともない実をつけた樹木のクラウン。
日本の生け花の草月流もまるで顔負けの美的センスのオンパレードです。いやあ、まいりました・・・。すごいです。
スリ族のファッションは感情表現そのもの。太古の時代から、ほとんど変わらない姿のまま、自然の中で生きてきた。満月が出れば身のまわりにある草花で自分を着飾って踊る。うれしいことがあればメイクをして歌う。ファッションは自分の心を表現するための楽しいもの。
 この若き女性写真家は、まだ幼いころ、マサイ戦士を見て憧れたとのこと。中学2年生で学校をドロップアウトして英語もろくに話せなかったというのに、アフリカの奥地にまで出かけて少数民族の写真を撮り続けているのです。たいした根性です。
 一見の価値が十分にある写真集です。3400円(プラス税金)と、ちょっと値がはりますので、近くの図書館(に購入してもらって)でぜひ手にとって眺めてみてください。人生観がほんの少しだけ変わることを、私がお約束します。それにしても、どうやって、こんな奥地までたどり着けたのでしょうか・・・。そんな旅行記も読んでみたいものです。
(2016年4月刊。3400円+税)

「14歳の兵士、ザザ」

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者  大石 賢一、石川 森彦 、 出版  学研
 あまりマンガは読みませんが、これは考えさせてくれるマンガです。日本でマンガ原作者として生活している若者が飽き足らない思いをしているとき、アフリカへ赤十字の活動を見学に行って、現地ですさまじく悲惨な戦場を体験してしまうというストーリーです。
 基本的にはマンガを主体とした本なのですが、最後の2頁に、アフリカでの取材状況を撮った写真があり、マンガに描かれた状況が事実だということが確認できます。
 アフリカはコンゴ民主共和国が舞台です。昔々、アフリカの諸国が植民地から独立するとき、コンゴのルムンバ大統領がその一番手でした。ところが、アメリカのCIAに虐殺されたのでした。アフリカの利権をめぐっては、アメリカやヨーロッパの旧「宗主国」たちが依然として介入しているのが現実です。
 最近、リビアの内戦状況のニュースを読みましたが、外国軍の下手な介入が内戦を複雑化させて、平和の回復をかえって難しくしているとのことでした。国連の平和部隊と赤十字のような地道のような活動こそが今のアフリカには必要なのではないでしょうか・・・。
 それにしても、この本で焦点を当てているのは14歳の少年兵です。本当に残酷な現実です。少女はレイプされ、連行される。少年は幼いころからカラシニコフを持たされ、戦場で先頭に立たされるというのです。
 10代前半で人を殺すのを何とも思わない状況に置かれたら、その後の人生はどうなるでしょうか・・・。考えるだけでも、背筋がぞくぞくしてきて、震えが止まりません。
 今、私たちは現実から目をそらさないこと、武力に武力で対応しても何の解決にもならないことを自覚することではないかと思います。ご一読をおすすめします。
(2015年10月刊。1200円+税)

人質460日

カテゴリー:アフリカ

(霧山昴)
著者  アマンダ・リンドバウド 、 出版  亜紀書房
  2008年、カナダ人のフリー・ジャーナリストのアマンダ(女性)は、元恋人のカメラマンとともに誘拐され、1年半におよび監禁生活を過ごした。
  その体験記です。読んでいくと、本当に気が滅入ってしまいます。もちろん、本人たちのほうがもっと大変だったと思います。殺されそうになったりもしますが、ともかく身代金の交渉がまとまり、生きてカナダに戻ることができました。最後まであきらめなかった精神力には頭が下がります。
  生きのびるためにイスラム教徒に改宗したり、コーランを覚えたりもしたようです。
  一度は隠れ家から脱走に成功したこともあったのですが、結局は地域の人々が味方してくれなくて、誘拐犯グループに戻されてしまいます。そこが、ソマリアという地域のお国柄なのでしょうね。誘拐ビジネスが経済を与えているのです。
  今は、ケニアで難民生活を送っているソマリア人女性のための学校をつくる手伝いをしているとのことです。すごいですね。その行動力に敬意を表します。
解放のために支払われた身代金は100万ドルを上回ったとされています。二人で、等分したということです。1億円の半分ですから、5000万円でしょうか。大変な金額ですよね・・・。
  ムスリムになりたかったら、心をこめて信仰告白をすればいい。場所はモスクである必要はないし、指導者(イマーム)に証人になってもらう必要もない。儀式めいたことは、ほとんど行われない。改宗にあたっては、アラビア語で簡単な誓いの言葉を唱えるのだが、肝心なのは、その言葉を心から信じるという確信だ。誠実さが問われる。
  アッラー以外に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒であると誓った。
  イスラム教の教えは、天国は常にあなたを手招きしているというもの。信者は来世を目ざして生きている。現世で手にすることができなかった喜びも、長きにわたって縁がなかった慰めや富や美貌も、天国に入ればその人のものとなり、痛みや試練や争いはすべて消え去る。天国はどこまでも広く、完全無欠の楽園だ。誰もが美しい衣をまとい、食べきれないほどのご馳走が並び、宝石で飾られたふかふかの寝台が置いてある。木が生い茂り、山にはじゃこうの香りが漂い、川が流れる涼やかな渓谷がある。完璧な場所なので、果実は決して腐らず、人は33歳のまま老いることはない。地上での苦しみには終止符が打たれ、門の向こうには永遠の至福がまっている。
  私は、イスラム教を信じている人は、それはそれでいいと思います。ともかく、どんな宗教であれ平和に共存できる世の中でありたいと心から願っています。
  来世も大切でしょうが、現世はもっと大切なのです。だって、私たちは、今を生きているのですから。その一点で、宗教の違いをこえて、みんな平和のうちに生きていたいと願います。みんな違って、みんないいのですから、、、。
(2012年10月刊。2700円+税)

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