法律相談センター検索 弁護士検索
アーカイブ

ほたる

カテゴリー:未分類

著者:栗林慧、出版社:学研
 毎年5月中旬すぎると、わが家の近くにホタルの乱舞するのを見ることができる。6月半ばをすぎるとホタルは見れなくなる。ホタルは子どものころも見ていた。
 あっちの水は苦いぞ、こっちの水は甘いぞ。本当に、そんな歌をうたってホタルを笹で追ってつかまえ虫籠に入れていた。これが蛍雪の花っていうんだよ、と大人に教えてもらった。
 「源氏蛍全記録」と銘うった、この写真集は3900円。蛍の一生を詳しく追い続けた実に見事な記録写真に心が動かされた。そして、その解説文を読んで再び感嘆した。なんと大分県の中津無礼川に40日間もキャンプ生活をしたことがあるのだという。すごい。まったく脱帽。
 『栗林慧全仕事』(学研)も素晴らしい写真集だし、そのビデオも一見の価値がある。ホタルのことを知りたかったら、ぜひ、この写真集を買って見て、読んでほしい。

あやめ横丁の人々

カテゴリー:未分類

著者:宇江佐真理、出版社:講談社
 祝言の席に、花嫁の好きな男が押しかけてきて花嫁をさらっていく。花婿は男の意気地を立てるために追いかけ、男を切り捨てる。花嫁はあとで自死してしまう。花婿は逆うらみから花嫁の一族から追われ、あやめ横丁に隠まわれる。ところが、この横丁の住人はすべて訳あり、いわく因縁のある人々ばかり・・・。
 江戸時代の下町を舞台とする時代小説。訳ありの訳がひとつずつ解き明かされていく展開は、なかなか胸をうつものがある。あやめ横丁の由来も花の名前ではなかった・・・。たまに江戸情緒にひたってみるのも乙なもの。

手紙

カテゴリー:未分類

著者:東野圭吾、出版社:毎日新聞社
切なくて切なくて、泣けてくる話。福岡県弁護士会の職員(吉田さん)から、絶対おすすめですとキッパリ断言され、迷わずその日のうちに書店で見つけて読みはじめた。
 兄が強盗殺人で刑務所に服役。弟は、そのハンディを背負って社会でなんとか生きていこうとする。両親は死亡しており、兄弟2人きり。ところが、刑務所にいる兄の存在が弟の行く手に何度となく大きな障害となって立ちふさがる。大学進学、就職、恋愛、子ども・・・。弟は兄を捨て去ろうとする。しかし・・・。身内に犯罪をおかした人の辛さがしみじみと実感される。たまらなくなって途中で放り出したいほどの切なさに身が震える。
 でも、このあとどうなるのかという好奇心もあって、2日間で読みとおした。
 弁護人になって被告人の情状弁論をし、その行く末を考えることはあっても、その身内のことまでは考えたことが少なかったので、いわば頂門の一針でもあった。想像力がかきたてられる一冊。

マネーロンダリング

カテゴリー:未分類

著者:橘玲、出版社:幻冬舎
 タックスヘイヴンとかマネーロンダリングという言葉を耳にすることはあっても、それが実際にはどのようになされるのか、まったくイメージがつかめない。この本は、香港を舞台にしたマネーロンダリングがどのような手続ですすめられるのか、きわめて実践的な手引書となっている。もちろん、恋あり、殺しあり、復讐ありでハラハラドキドキの展開なのだが、興信所をつかっての資産・所在調査の手口など、よくもここまで調べたものだと感心する。オビに「合法的な脱税に関する貴重な情報が縦横に織り込まれている」というのもウソではない。それにしても、国外に隠すほどの大金をもっていない庶民はいったいどうなるのだろうか・・・。

仮釈放

カテゴリー:未分類

出版社:新潮社
 吉村昭の本です。大庭弁護士がメールで推薦してくれましたので、読んでみました。不倫した妻を殺した真面目な高校教師が無期懲役となり、長い刑務所生活を過ごしたあと、仮釈放されて社会に出て生活するようになったときに感じるとまどいが迫真の描写で、身につまされます。元囚人が普通に生活していくことは、こんなにも大変なことなのか、改めて考えさせられました。
 吉村昭の本は何冊か読みましたが、いずれも徹底して調べあげた、という印象をいつも受けます。凄みさえ感じるほどです。モノ書き志向の私ですが、ちょっと真似できそうもありません。井上ひさしとともに吉村昭は尊敬する作家です。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.