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ザ・エクセレントカンパニー

カテゴリー:未分類

著者:高杉良、出版社:毎日新聞社
 カップ麺のマルチャンがアメリカ進出に成功する過程が小説として描かれています。日本企業がアメリカに定着しようとするときに、労使関係でどんな苦労があるのか、市場を開拓するために求められるものは何かが具体的に示されていて、勉強になります。
 トヨタやソニーだけがエクセレントではない、という帯の言葉にうなずかされます。
 それにしても「社員に優しい日本型経営がアメリカ合衆国を征す」というのは本当だろうか、とも思いました。工場にアメリカの組合活動家がオルグに入ってきて組合を結成しようとするのを、アメリカの弁護士の指導も受けながら見事に阻止した話が紹介されています。ここでは労働組合は企業の発展を阻害する悪としか描かれていません。
 日本の企業内組合が平和問題などにあまり目を向けなくなっている状況を憂えているものの1人として、労働組合すらつくらせないという企業であって本当によいのでしょうか・・・。いろいろ考えさせられました。

触法精神障害者の処遇と精神医療の改善

カテゴリー:未分類

出版社:明石書店
 この本は、福岡県弁護士会の精神保健委員会がシンポジウムや夏合宿など研究成果をまとめたものです。私も福岡県弁護士会の会長として夏合宿に参加していましたので、その感想が9行ほど載っています。
 日本の精神障害者は204万人いると言われるなかで、精神科の病院に33万人が入院し、うち医療保護入院が18万います。5年を超える長期入院が15万人となっています。
 殺人罪についてみると、一般犯罪者の再犯率は28%に対して、精神障害者は6.8%。放火は、一般犯罪者が34.6%に対して精神障害者は9.4%。つまり、触法精神障害者あるいは重大な犯罪行為をした精神障害者の人が、一般犯罪者に比べてより棄権であるとは言えません。今回の法案の問題点の一つは「再犯の恐れ」の有無を医療機関が判断することになっていることです。

人体市場

カテゴリー:未分類

出版社:岩波書店
 人体ブローカーは儲かるビジネスだ。現代の状況は、19世紀の「死体泥棒」を思いおこさせる。この本を読むと、人間の身体(部品)が商品として売買されている、おぞましい実情を知ることができる。
 アメリカでは、人体をめぐるビジネスは1300の企業と170億ドルの資本を擁するバイオテクノロジー産業の一部として急成長を遂げている。
 現在、アメリカ国防省では、すべての軍所属者に遺伝子の検査を義務づけ、血液を採取している。軍の血液試料保有数は350万以上になっている。毎年生まれる新生児400万人の血液試料を用いた遺伝子の集団検診プログラムが試行されている。50州すべてにおいて、犯罪者には司法DNA鑑定用の血液提供が義務づけられている。
 本人も知らないうちに、人間の身体が丸ごと管理され、商品化されている。恐ろしい世の中だ。

司法改革への警鐘

カテゴリー:未分類

出版社:信山社
 アメリカには今、200万人をこえる囚人がいる。1991年には122万人、1999年に193万人だった。しかも、20年以上の終身刑が27万人、死刑囚が3335人いる。1997年から1999年1月までに500人が処刑され、1930年から1998年までの処刑者は4359人。
 囚人の87%は44歳以下。18歳から44歳までの人口の5%が刑罰法規の監視下にある。1999年に刑罰法規の監視下にある620万人のうち520万人が男性。
 アメリカでは重罪宣告を受けて選挙権を失った人が390万人いるが、そのうち140万人がアフリカ系アメリカ人の男性。
 カリフォルニア州には7000人の囚人を収容する刑務所があり、さらに2万人収容の巨大刑務所を建設しようとしている。刑務所だけを専門に建設する会社が100社以上あり、年間40〜60億ドルの売上高。
 民間刑務所に収容されている囚人が8万5000人いる。1987年には3000人だった。今後10年間で36万人になる見込み。全米にある3400の地方軽罪刑務所には10万人の人々が職員として働いており、この業界で使われる金額は年650億ドル。そこに目をつけた広告があり、専門の建設業者はアメリカでもっとも有望な投資対象となっている。今後ますます伸びる業界だと見られている。
 また、民間企業は囚人労働を利用している。新しい巨大刑務所は、その中に数千エーカーという工場群を建設中。
 この本は、アメリカにおける恐るべき刑務所ビジネスの内情を紹介しています。一読の価値があります。ぜひ手にとってお読みください。

日米経営比較

カテゴリー:未分類

出版社:大学教育出版
 著者は私より7歳年長で、早稲田大学を卒業して神戸製鋼所に入り、32年間のサラリーマン稼業(ニューヨークとメキシコ駐在員)から神戸大学教授に転身した人です。
 この本には、その長いキャリアをふまえた重みがありますので、少し紹介します。
 アメリカ企業の最大の弱点はヒューマン・ファクターにある。アメリカの会社は、たしかに人間に優しくないGEが年間10億ドルも従業員の生涯学習に投資し、雇用は保障しないが転職適応力は保障するという考えがうかがえる。
 日本の会社は600万社。1990年代の初めは毎年30万ほどの会社が設立されていたが、1998年には14万社に減った。1994年には廃業率が開業率を上まわり、1998年には会社が3万社も減ってしまった。アメリカは開業率が14%で、毎年80万社が生まれている。日本の会社は少産多死、アメリカは多産多死。
 会社はエリートだけでは成り立たない。普通の人のやる気をいかに高めるかが問題。
 日本の社長の当面の危険な存在は、有能と評された一部社員の暴走、総会屋に目を光らせる警察と検察、株主代表訴訟を組織する弁護士集団である。

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