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新世紀の労働運動ーアメリカの実験

カテゴリー:未分類

出版社:緑風出版
 アメリカの労働運動がどうなっているのか知りたくて読んでみました。
 アメリカでも労働組合の組織率は長期低落傾向にあります。1954年の35%が最高で、1980年に23%だったのが、今や11.2%にすぎません。ストライキも1977年の3111件が、1995年には385件となっています。その結果、実質賃金は1973年から1995年の間に15%低下し、若年層世帯の実収入は3分の1ほど減少しました。
 そのなかで、1995年10月の大会でAFL・CIOは改革派のジョン・スウィニーが勝利し、執行評議会には、女性が6人、アフリカ系9人、ラテン系1人、アジア系1人を含むことになりました。組織率を向上させるための方法として注目されるのが、学生を組合オルグに採用することです。1000人以上の大学生を全国に配置したのです。
 弁護士の関わりで言えば、使用者側は組合潰しの弁護士を雇っています。しかし、反対に労働者を組織する役目を果たしている弁護士もいます。
 AFL・CIOは伝統的に民主党の支持基盤でした。スウィニー執行部は、少しずつ主体性をもって政治に関わろうとしているようです。

イラク、湾岸戦争の子どもたち

カテゴリー:未分類

著者:森住卓、出版社:高文研
 昨年4月に発刊された本ですから、今年のイラク戦争の場面は出てきません。でも、劣化ウラン弾が、イラク全土に放射能をまき散らし、大勢のイラク国民が苦しんでいることが写真で見てよく分かります。白血病、無脳症・・・。無言の写真は実に雄弁です。子ども専用墓地まであるとは・・・。すでに核戦争が始まっていることを実感させる寒々とする写真が続き、つい目をそむけたくなります。
 でも、私たちは勇気をもって現実を直視し、感じたことを声にする必要があると思います。あのときイラクへ自衛隊を送るのを阻止しておけばよかった・・・と後になって悔やまないように、何らかのアクションを今おこしましょう。

豊かさの条件

カテゴリー:未分類

著者:暉峻淑子、出版社:岩波新書
 『豊かさとは何か』(岩波新書)の著者による続編みたいなものです。前の本がドイツ語では『貧しい日本』という題で出版されたことを知って、ええーっと驚き、ついうなずいてしまいました。エンゲル係数で有名なエンゲルの言葉が紹介されています。各国の経済力は物的生産量などで比較するのは無意味で、経済力を表す真の指標は、それぞれの国民の生活水準、つまり福祉の測定としての生計費である。これを、著者は、民主主義や人権の基礎が生活の福祉水準にあること、経済の活力もまた、自由と安全を基盤にした人間の活力なしにはありえないことを示したと解説しています。
 さらに、エンゲルは、ごく少しずつなだらかな暮らしの向上が、人々の生活と行動を堅実で着実な発展に導く、急激に成金になったり、逆に落ちこんだりする中では生活の荒れと退廃を免れない、安心の支えなしに人間社会は成り立たないということも言っているそうです。私も、まったく同感です。
 70代の著者が内戦で荒廃したユーゴスラビアに何度も出かけ、日本の子どもとホームステイの交流を実現するなど、そのたくましさには感嘆させられます。つい朝寝坊してしまう日本の若者も、いざとなれば立派にやるべきことをきちんとやれることも紹介され、安心します。でも、日本の家庭に詩集がほとんどなく、最後まで本を読み終えるのは困難という子どもが日本は世界で一番多いという点は、日本の将来に不安も覚えます。モノにあふれた日本ですが、心は貧しい日本人が多いように思われてなりません。

変わる家族、変わる食卓

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著者:岩村暢子、出版社:勁草書房
 ショッキングな本です。日本民族の食習慣がダメになりつつあることが実感させられます。これでは日本女性の長寿世界一の座も、いつまで維持できるか不安です。
 食費はやりくり次第なので、節約してお金は他のことに使いたいという主婦が一般的。
 食べることに関心なし。料理に手間暇かける気分になるような時間はない。同じ食卓を囲みながら、他の家族の食べているものに、子どもも親も無関心になっている。妻が家庭でつくった夕食メニューが何であろうと、「その日、自分が食べたいもの」をコンビニで買って帰り、自分は食べたいものを食べる夫が増えている。
 食は文化です。フランスのブリア・サヴァランの有名な言葉、「どんなものを食べているか言ってごらん。あなたがどんな人物か言ってみせよう」。
 どんなものを、どこで、どのようにして食べているかは、人間としての存在そのものに深く関わっているものです。私は、マックもケンタも、そしてコンビニもホカ弁も無縁の生活を送ってきました。本当に日本人の食生活はこれでいいのか、深く考えさせられる本です。一度、ぜひ手にとって読んでみて下さい。

蝶を育てるアリ

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出版社:文春新書
 自然界は不思議なことだらけ。私は昆虫の話も大好き。この本は昆虫のさまざまな生き残り作戦を紹介している。
 事務所の前の街路樹でセミがうるさく鳴いている。木の根元にはセミが地中からはい出てきた穴がボコボコあいている。7年間も地中にいて、地上の生活はわずか1週間足らずというのがセミの一生。彼らの寿命の短かさにはかなさを感じる。ところが、この本によると、むしろ寿命が短かいことがメリットになることもあるという。人間の1世代を30年とすると、100万年の間に3万世代となるが、年1化の昆虫なら100万世代に達する。つまり、計算上は30倍のスピードで世代が変わるので、環境の変化にうまく適応できるから、生き残る確率が高くなる。
 このほか、小鳥が昆虫をどれくらい食べるのかという数字に驚きました。シジュウカラは一羽で1年間に昆虫を12万5千匹食べる。つまり、1ヶ月に1万匹、1日平均300匹以上を食べないと生きていけないのだ。道理で、小鳥は、いつもせわしく飛びまわっているわけだ。

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