著者:日米問題研究会、出版社:現代書林
小泉首相は国連で安保常任理事国になろうと必死に努力していますが、なったところでどうせアメリカの票が増えるだけという冷ややかな見方が国際社会の常識になっています。私も、そう思いますが、本当に情けない話です。
この本は、だったらいっそのことアメリカの51番目の州になった方が日本人は幸福になれるんじゃないのか、ひとつそれを検証してみようというものです。面白い試みです。
アメリカの人口は2億8千万人。日本は1億2千万人。だから新合衆国の人口の3分の1を日系アメリカ人(日本人)が占めることになる。同じく世界のGDPの45%も新合衆国が占める。そして、新合衆国の下院議員の3分の1、223人の下院議員がニッポン州から生まれる。しかし、今後少なくとも35年間はニッポン人大統領はうまれないことになるだろう。
問題は、そんなことより、普通の人々にとって、生活が暮らしやすくなるかどうかでしょう。そこを見てみましょう。
アメリカには自治体のない地域に住む人々が1億人いる(全人口の38%)。アメリカには戸籍制度はないし、住民票もない。
アメリカでは1973年に徴兵制度は廃止され、いまは志願制。ただし、有事の際には、選抜徴兵が実行される。これは18〜25歳の男子の義務となっている。州軍には正規軍の予備役としての役割がある。現にイラクには、アメリカから招集令状を受けた州兵3万人が派兵されている。
現在、アメリカでは2億5千万丁の銃を9千万人が保有しており、銃によって毎年3万人近く死亡している。しかし、アメリカより銃の所有率が高いカナダでは年間の死亡者は160人にすぎない。銃の所持を禁止している日本でも年に40人が死亡。
アメリカって本当に怖い国なんですね。
今の日本は国民皆保険制度だが、アメリカにはこのような制度はない。アメリカでは自分の健康は自分で守るもの。だから、低所得層は無保険とならざるをえない。人口の14%、4000万人が無保険者。公的医療保険制度が2つあるが、あわせても人口の24%が対象。メディケアは65歳以上と身障者が対象で、メディケイドは低所得者層が対象。お金さえ出せば超優秀な医療を受けられるが、そこそこの資産しかなく、メディケイドほど貧しくないという人々は、最先端の医療の恩恵に浴することはできない。
アメリカでは老後も自己負担が原則。死ぬまで自己責任だ。アメリカの老人介護は、人生の「勝ち組」は超豪華な介護施設で老後を満喫することができる一方で、中間層はナーシングホームにも入れないという現実がある。
こうやって、いろいろ検討していくと、やっぱり今の日本の方が断然いいと思います。いえ、アメリカがひどすぎるのです。アメリカみたいな国にはなりたくない、したくない。つくづくそう思います。
「日本はダメな国なんかじゃない」。それがこの本の結論です。
うーん、やっぱりそうなんですよね。いろいろ参考になりました。
日本がもしアメリカ51番目の州になったら
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