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水族館飼育員のキッカイな日常

(霧山昴)
著者 なんかの菌 、 出版 さくら舎
 水族館の主役は生きもの。水族館というと、福岡の海の中道にあり、別府の「海たまご」そして、鹿児島のイルカの泳ぐ水族館をすぐに思い出します。
 水族館も博物館のひとつだなんて、初めて知りました。
 著者は水族館とは専門違いの美術史専攻で、博物画を研究していたのですが、ひょんなことから水族館に飼育員として就職してしまったのです。そのトホホ…な苦労話が、ホノボノ系のマンガとあわせて紹介されていますから、よく理解できました。
 魚も大変個性が強いということを初めて知りました。脱走癖のあるタコ、元気なのに突然絶食する魚、高価なエサ(エサ)しか食べない魚、ずっと隠れていて担当飼育員でもめったに見ない魚…。
 同じ種でも、個体によって性格が違う。なので、イルカやアザラシ、ペンギンなどの海獣類の個性が顕著なのは当然のこと…。気の強いアシカ、騒がしいのは嫌いなアザラシ…。
 イルカになめられると、水をかけられたり、ボールでもてあそばれたりする。
水族館の飼育員になって辛いのは、生きものの病気や死に何度も向き合わなければならないこと。
 水族館の目玉商品として「イワシの大群」の乱舞がある。その大量のイワシは、飼育員が総出であたる。重い、揺らしたらダメ、距離が長い、1秒でも早く移さないとダメ…。こうなると、命がけのバケツリレーとなる。いやはや、必死なんですね…。
 採集・調査して得た生きものの名前を判別する「同定」は意外と難しい。長年のプロであっても苦労するものだ。
 イルカのトレーナーになるのはかなり難しい。もともと需要が少ないうえ、競争倍率はすごく高い。
 水族館の裏(バックヤード)も図解されていて、絵でよくわかる仕掛けになった、楽しい本です。
(2023年7月刊。1400円+税)

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