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スパイと公安警察

著者 泉 修三、 出版 バジリコ
 内外のスパイを尾行したり、摘発したり、公安警部としての自慢話が中心の本ですが、その反面、家庭は崩壊し、自律神経失調症になったり、アル中になったりと心身もボロボロになって、いやはや実に非人間的で大変な仕事だということも伝わってきます。
 過激派の手配写真も、実はニセモノがあったりするそうです。逃亡犯を安心させるためのテクニックなんだそうです。そっかー……、と思いました。
 外国のスパイを摘発するため、罪名がないときの別件逮捕を「引きネタ」と呼ぶことも知りました。その引きネタ探しに2年もかけることがあるといいます。ことの善し悪しはともかくとして、何事も地道な基礎作業の積み重ねだということなんですね。
 内閣調査室、外事一課(ソ連KGB対策)、公安三課(右翼対策)、公安特別捜査隊(中核派対策)、外事一課(国際テロ班々長)、など、警部補10年で要職を渡り歩いているとのことですから、それなりに有能だったのでしょう。
この本を読むと、著者は一匹狼的な性格があまりに強く、チームで動くことは苦手だったように思われます。すると、出世も当然のことながら遅れますよね。
 公安畑の警察官の仕事ぶりの一端を垣間見る思いのした本でした。
 
(2009年2月刊。1600円+税)

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