(霧山昴)
著者 荒木 飛呂彦 、 出版 集英社新書
私は、目下、40年以上も前の弁護士見習い(司法修習生)のころを小説にすべく挑戦中なのです。これは「法服の王国」に触発され、また、江上武幸弁護士(久留米)にけしかけられて思いたったのです。
小説というからには、読まれなくてはなりません。毎年500冊以上の単行本を読んでいる私ですので、読み手の気持ちは、しっかり理解しているつもりです。やっぱり、なんといっても、ハラハラドキドキ感が必要です。この次は、どんな展開になるのだろうか・・・という緊張感をもって頁をめくる楽しさが欠かせません。そして、読み終わったときのホッとする安堵感が大切なのです・・・。
とは言っても、それを文字にするのは大変です。口で言うほど、やさしくはありません。
この本は、漫画家が、その企業秘密を惜しげもなく公表しているので、とても勉強になりました。
キャラクターを作る時には、絵になる前に、必ず身上調査書を書く。これによって、キャラクター造型に矛盾を感じさせる事態を防ぐことができる。
身上調査書は、キャラクターの属性という、あいまいで目に見えないものを可視化する。
私も、7巻ものの長編小説を書くときには、私なりの身上調査書をつくっていました。しかし、書いているうちに、どんどん話が発展していって、矛盾は避けられませんでした。それが、プロとアマの違いなのかもしれません・・・。
ストーリーつくりの鉄則は、主人公をなるべく早く登場させること。
読者が求めているのは、アゲアゲのプラス・ストーリーである。がんばっても、がんばっても勝てないという、マイナス続きの本は、誰だって読み続けたくはない。
そうか、そうなんだ・・・、と反省せられました。読み手の気分や感情にあった本を書こうと思いました。
セリフは、自然体であること、これに尽きる。
モノカキを自称する私にとって、とても役立つアドバイス満載の新書でした。
(2015年4月刊。780円+税)
2015年6月20日


