法律相談センター検索 弁護士検索
2013年5月 の投稿

法と実務 9

カテゴリー:司法

著者  日弁連法務研究財団 、 出版  商事法務
司法制度改革とは、いったい何だったのか。それは、アメリカの要求に押しきられ、日弁連が敗退の一途をたどったものでしかなかったのか・・・。
 いえ、決してそういうものではありません。司法制度を国民の身近なものにするための、弁護士会の多年の苦労がついに実ったものでもあるのです。もちろん、そこには政治的な妥協の産物が入り、十分なものとはいえない面も多々あります。しかし、司法改革イコール悪だとか、失敗だったなどと全否定したり、弁護士を卑下したりするようなものではありません。本書は、そのことを多くの弁護士が分担して明らかにしています。
 『こんな日弁連に誰がした』(平凡社新書)の著者と、対決トークをすることになったことがありました。私は、喜んで応じるつもりでしたが、残念ながら著者の急病のためドタキャンになって実現しませんでした。その本で、著者は司法改革なんてとんでもない失敗だったと言わんばかりの論陣を張っています。それについて、本書は、それでは「弁護士という職業に対する誇りや自信が失われ、内向きの消極的な議論に陥っていくことになる。そして、対立軸を立てて、ステロタイプ化する議論は、弁護士間に色分けや反目を拡げ、その結果として日弁連の求心力が失われ、弁護士統合の機能を失っていく」としています。
 この指摘に私はほとんど同感です。というのも、1994年、1995年ころの日弁連は、「相次ぐ後退にもかかわらず」「全面敗北するにいたった」状況だったのです。なにしろ、「理解者と思ってきたマスコミ、消費者、労働界を含めて全委員から孤立し」てしまっていたのでした。
 要するに、周囲の人々は日弁連に好意的な人々もふくめて、みんな日本の弁護士は少なすぎて役に立っていないと見ていたのです。それなのに、弁護士会の内部では、なにがなんでも増員反対論が大手を振ってまかりとおっていました。
 私が司法試験に合格したのは、もう40年以上も前のことですが、2万3000人のなかからわずか500人しか合格しないというのは、いくらなんでも少なすぎると思いました。毎年、少しずつ少しずつ合格者を増やしていき、合格者を1000人ほどにしておけばよかったのです。それを、なぜか、ずっと500人程度に抑えこんでいた反動から、もっと増やせの大合唱が法曹以外から湧きおこってきて、弁護士会はそれに耐えられなかったと思うのです。
 私は、この本の論文集のなかでは、宮本康昭弁護士の指摘が歯に衣着せず、透逸だと思いました。
 司法制度改革審議会の委員となった曽野綾子が欠席がちで、辞任を求める投書が殺到した。財界の推薦した委員は大物財界人ではなかった。竹下守夫は常に最高裁の意向に配慮して、改革を抑える役割を果たし続けた。中坊公平が委員になることに法務省が強い難色を示していた。このように、忘れるわけにはいかない人選と構成でした。
 そして、改革審の意見書をもとにして、その具体化のために10コの検討会が設置され、議論がすすみました。このとき、中坊公平は「審議会の13人の委員が国民なのだ」と言ったが、それは明らかな誤りだ。そして、法曹一元に反対し、陪審制に絶対反対だと言っていた東大の井上正仁が、裁判員制度を受けいれざるをえなかったのでは、狭いロビーの枠内にとどまらない広い国民の要求があったからだ。本当にそうですよね・・・。
 私は担当役員として労働審判制度が誕生していく過程をつぶさに実見することができましたが、これについては、酒井幸弁護士がレポートしているとおり、菅野昭夫座長の高い識見とともに、労働側の鵜飼良昭弁護士と経営法曹側の石崎信憲弁護士の熱意、とりわけ鵜飼弁護士の粘り強い努力によって実現していったこと、このことを私はぜひ現場を見たものとして特筆したいと思います。
 労働審判制度が発足して、7年がたった。年間1500件の申立(利用)を見込んでいたが、その倍以上になる3500件程度の申立が毎年あっている。そして、8割ほどの解決率となっている。私の身近な知人は、労働者側の審判員を6年続けて任期を終えましたが、9割もの解決率だし、とても良い制度だと思うと、手放しで礼賛しています。
いま、日弁連会員は3万を超えている。その3分の1は30代の会員であり、20代をふくめると、半数近い45%をこえるまでになっている。そして、弁護士の所得は年々低下していて、2000年度に1300万円だったのが、2010年度は959万円となっている。そうなんですよね・・・。私のところもそうです。いま精一杯の営業努力をしているところです。
 人数が増えれば、競争激化は避けられない。良質の法的サービスを適性・妥当な金額で受任したい、受けたい、これをどうやって実現するのか、引き続きの課題だと考えています。司法制度改革を振り返るためには絶対に欠かせない貴重な一冊です。それにしても名は体を現すの逆をいく、このネーミングはなんとかなりませんかね・・・。
(2013年5月刊。3800円+税)

自民党・改憲案を読み解く

カテゴリー:社会

著者  長谷川 一裕 、 出版  かもがわ出版
自民党の改憲草案の問題点を分かりやすく解説したコンパクト(本文84頁)で、安価(1000円+税)なブックレットです。
戦後68年たって、一度も改正されていないから、今の憲法は古くさくなってしまったと叫ぶ国会議員がいます。とんでもないことです。
 古いものがダメだというのなら、ギリシアの古典哲学が今も大切に語られているのは、どうなるのでしょうか。それに、聖書なんて古くさいからダメだなんて、まともな人だったら誰もそんなことは言いませんよね。古くて新しくても、内容さえ良ければいつまでも大切にしなければいけないのだと私は思います。
憲法は、いわば空気や水のようなもの。空気や水は、人間が生きていくうえでなくてはならないものなのに、日頃はそれを意識することがない。いざ失われようとしたとき、その価値が分かる。本当にそうなんですよ・・・。
 憲法は、国民の暮らしに深くとけこみ、目に見えない大切な役割を果たしている。それは、社会を支える「見えないインフラ」と言うこともできる。
 日本国憲法が、日本を占領した連合軍総司令部(GHQ)の民政局メンバーが起案した草案が原型となって制定されたことは、まぎれもない事実である。しかし、制定過程をつぶさにみると、単純に日本国民の意思に反して押しつけられた憲法とは言えないこともはっきりしている。たとえば、GHQ民政局原案では、貴族院が廃止されて一院制だった。国民主権についても、当初は「天皇は日本国民至高の総意に基づき」とあったのを、国会審議のなかで、「(天皇の地位)は主権の存する日本国民の総意に基づく」と改正され、主権が国民にあることが明確化された。また、生存権の規定も新しく入れられた。
 「この押しつけがあったおかげで、我々はいま、世界に誇ることができる歴史上最高の憲法をもっている。この憲法のおかげで、戦後日本というレジームは、日本の歴史上最大の成功をおさめた」(立花隆) 私も、まったく同感です。
 アメリカの憲法には時代遅れの部分がある。たとえば、アメリカの憲法には、移動の自由、教育、労働組合を結成する権利、女性の権利に関する規定など世界の70%の憲法がカバーしている人権についての規定がない。そして、逆に世界の2%にしかないような「武器を携帯する権利」を憲法に明記している。うひゃあ、とんでもない憲法ですね。
 自民党の改憲草案を読んだ作家はこう言った。
「前文の文章が下手すぎて泣ける。思わず添削したくなる」
 ホント、そのとおりです。復古調といっても、まるで美英文調ではありません。いかにも下手くそな、せいぜい中学生の出来の悪い作文です。これで国を愛せというのですから、本当に泣けてきます。いったい誰がこんな下手くそな前文を書いたのでしょう。そして、自民党案として承認したのでしょうか・・・。ついつい号泣したくなります。一度ぜひ、あなたも自民党の改憲草案の前文を読んでください。現憲法の前文の格調の高さとの落差にガックリ肩を落とすことを私がきっぱり保証します。
 自民党の改憲草案の前文には「和を尊び」という言葉があります。これではまるで、道徳の教科書です。聖徳太子は「和をもって貴としなす」と言ったとよく言われています。しかし、「憲法十七条」の全文をぜひ一度読んでみて下さい。実は、その当時の日本は、ケンカが絶えず、裁判があまりにも多いのだから、日本人よ、ほどほどにしろ、もっとケンカせずに仲良くしなさいといさめたという内容なのです。つまり、日本人は昔から、ケンカと裁判好きだったのです。それを戒めたものなのです。それが、いつのまにか、日本人は和を大切にするからケンカも裁判も少ないなどと間違って逆に理解して言い広める人が少なくないというだけなのです。著者にも、一度、ぜひ『十七条の憲法』の全文と解釈にあたっていただくようお願いします。
自民党の憲法草案は、天皇を元首とすることを憲法に明記すること、そして、日の丸・君が代の尊重義務、さらには元号のことまで憲法に定めるとします。何と、その根拠は、明治憲法で天皇を元首とする規定があったからだというのです。明治憲法と現憲法には明らかに大戦による深い断絶があるのに、連続性があるとしているわけです。そこには大戦をひきおこした反省がまったく認められません。こうなると、単に復古調だということにとどまりません。東アジアを含めて、全世界から戦争の侵略戦争をひきおこしたことを反省しない態度をとる日本は厳しく糾弾されるしかありません。
 ところで、明仁天皇は、国旗・国家について、「やはり強制になるということでないことが望ましいですね」と発言しました。これは本当に立派な、見識ある発言だと思います。右翼を自称する人々も、少しは天皇の「おコトバ」で頭を冷やすべきではないのでしょうか・・・。
憲法9条の縛りを解き放ち、正真正銘の軍隊へ・・・。自民党の改憲草案によると、いまの自衛隊は無制限の自衛権の行使を認めている国防軍になる。自衛隊は、既に高い練度と高度な装備を保有し、総兵力は24万人、年間の防衛予算は4兆7000億円と、世界的にみて上位にある。公式の英語名称も自衛隊ではなく、陸軍、海軍、空軍になっている。国会で小泉元首相も安倍首相も自衛隊は軍隊だと堂々と答弁している。しかし、正真正銘の軍隊なのかどうかという点では、装備や兵力だけでは決まらない。軍隊として機能するのか否かを見る必要がある。
自衛隊は装備、予算は一流だけれども、憲法9条のもとで厳しい制約と縛りがかけられている。だから、自衛隊は、軍隊ではあっても一人前の軍隊とは本当は言えない側面がある。
私は、人を殺したことのない自衛隊をある意味で誇りに思っていますし、敬意を表します。そして、そのためにアメリカ軍は日本の自衛隊を心底から、は信用していないのです。日本の自衛隊員はトップから一兵卒にいたるまで誰も、一人として、戦場で人を殺したことがありません。そんな軍隊って、全世界では珍しい存在なのです。そして、日本人として、私は、そのことを誇りに思っています。人を殺さない「軍隊」だったら、いっそのこと、大災害救助隊と名前を変えたらいいのです。3.11のときには本当によくやってくれました。
この小冊子は80頁のなかに考えるべきことがよくまとまっています。多くの人に活用してほしいと思います。願わくば、もっとマンガとかイラスト(図)を盛り込んでもらえたら、もっととっつきやすい本になるのに・・・と思いました。ぜひご一読ください。
 著者から贈呈していただきました。ありがとうございました。
(2013年4月刊。1000円+税)

謎の独立国家リマリランド

カテゴリー:アフリカ

著者  高野 秀行 、 出版  本の雑誌社
500頁もある分厚い本です。面白くなかったら読みとばそうと思って読みはじめました。すると、面白いのです。いやあ、フリーのジャーナリストって大変なんだねと感嘆しながら頁をめくるのももどかしい思いで読みすすめました。そしてアフリカのソマリアについての認識をすっかり見直しました。ソマリアといったら、モガディシオです。アメリカ軍がコテンパにやられてしまいました。その惨状は映画にもなりました(『ブラックホークダウン』)。今なお戦闘状態の絶えない怖い国というイメージがあります。ところが、そのソマリアには北の方にソマリランドという平和な国があるというのです。そして、日本の海上自衛隊が出かけた海賊の国プントランドの実態が突撃取材で明らかにされます。最後に、ついに著者はかのモガディシオにも潜入に成功するのでした・・・。すごく面白い本です。半日かけて一気に読了しました。
 ソマリランドで走っている車のほとんどは日本の中古車。清武温泉、弘前セレモニーホール、はくあい幼稚園などとボディに大書された車が走っている。丈夫な日本車がドバイ経由で輸入されている。日常生活で通用しているのはソマリランド・シリング。ソマリランドで印刷しているのではない。イギリスで印刷して空輸している。
 ソマリ人は根っからの遊牧民。遊牧民の生活をそのまま都市にもち込んでいる。
 ところが、ソマリランドの町のなかで銃を持った人間を見かけることはない。過去には内戦をしていたが、氏族の長老の話し合いで終結させ、武装勢力は武器を返上し、民兵は正規軍兵士や警察官に編入された。
 実のところ、家庭には銃はあるようです。それでも、町では銃声を聞くこともありません。
ソマリランド中央部は、一般の人でも十分安全に観光旅行ができる。1泊50ドル程度の清潔なホテルがいくつもある。そして、庶民の料理はびっくりするほど美味い。味がマイルドで、肉は軟らかく、火の通り方や塩加減、油の量など、何をとっても日本人の標準値に近く、日本的な味。ただ、ソマリア人は手づかみで食べる。
 ただし、車に乗ると、1日に少なくとも1回はパンクする。道路が悪いうえに、古タイヤを修理して繰り返し使っているから。
 ソマリランドは、朝のうちは仕事をするけれど、それは朝8時に始まって昼の1時まで。そのあと5時まで仕事はしない。じゃあ、そのあと何をしているのか?
 カート宴会だ。カートとはアラビアチャノキ。見かけは、ただの木の葉っぱだ。枝からむしって、若い葉や柔らかい茎の部分をばりばり食う。葉っぱだから、まずい。土埃もついている。しかも、胃から消化吸収するため、効き始めるのに30分以上かかる。効くまではがんばって食べなければいけない。やがて、体の内側から、とても懐かしい心地よさが広がってくる。体の芯が熱くなり、意識がすっと上にもちあがるような感じがする。
 お酒と違って、カートは意識の明晰さは失われない。そして、記憶を失うこともない。カートをやると、気が大きくなり恐怖心がなくなって、集中力が増す。だから、受験生にも人気だ。ドライバーもカートをかむ。眠くならず、集中力が持続するからだ。
ソマリランドの治安がいいのは、氏族の網があるおかげだ。掟を破ったら、氏族の網を通じて必ず捕まる。
 ソマリランドには何の産業もない。国を支えているのは、海外に住むソマリア人からの送金だ。毎月1人500~1000ドルを送ってくる。故郷の人に忘れられたくないからだ。
 成人男子の多くが毎日1ドル以上はカートに費やしている。海外からの仕送りの大半はカート代に消えている。このカートは9割以上がエチオピアからの輸入。ソマリランドは1日に3000万ドルも輸入している。
 世界最大のソマリ人コミュニティは、アメリカのミネソタ州のシネアポリスにある。そこにソマリ人が10万人は暮らしている。
 ソマリランドが平和なのは、何も利権がないことにもよる。牧畜しか産業はない。利権がないから、汚職も少ない。土地や財産や権力をめぐる争いも熾烈ではない。銃がないのに反比例して、言論の自由は広く浸透している。
 ソマリ人は、いくつもの国に分かれているが、ソマリ語はどこでも通じる。ただし、外国人には難しい。ソマリア人は、人なつっこさゼロ。ソマリ人は絶対に自分を安売りしない。安いカネで働くなら、何もしないほうがマシと考える。
 ソマリランドは選挙を実施し、野党が勝利すると、与党が受けいれた。民主的な政権交代が実現した。
 ソマリア・シリングはソマリアが無政府状態になっても通用している。これは経済学の常識を越える事実だ。
 海賊は基本的に個人がやるもの。カネを出した人間は経費一切を負担する代わりに身代金は全額もらう。海賊が人質を傷つけることはまずない。ソマリの掟で、捕虜に暴力をふるうことが禁止されているから。身代金は人質に対してではなく、積み荷に支払われる。
モガディシオは、完全民営化社会。政府はなく、すべて氏族が支配している。携帯と送金の会社は襲われない。モガディショは、トラブル全般が基幹産業になっている。だから、誰も真剣にトラブルを止めようとはしない。
内戦を止めるために、敵対する氏族が娘20人ずつを交換した。美しい娘を選んで送り出す。初めのうちはいじめられていても、子どもが産まれると変わる。両方にとって孫になるから。なーるほど、そんな解決法もあったのですね。
ソマリランドに行ってみたくなるような面白さにあふれた本です。一読をおすすめします。
(2013年3月刊。2200円+税)

犬のココロをよむ

カテゴリー:生物

著者  菊水 健史・永澤 美保 、 出版  岩波書店
犬派の私は、犬について論じている本を見逃すわけにはいきません。
 犬は5万年前から1万5000年前には人間と共に生活を営みはじめた。そして、400種をこえる犬種がつくり出された。といっても、この400種は、わずか数百年のあいだに作成されたモノ。地球上の生物の中で、犬ほど多様性に富んだ動物はいない。なぜ、犬がこれほどまでに短期間のうちに遺伝的多様性を獲得できたのかは未解決なのである。
犬は発達時期に人間の社会と接触することによって、成長したあと人に対する恐怖反応が減少し、同時に訓練能力が向上する。8週齢までに人の家庭的な環境で飼育されなかった犬は、成長後に人を回避する行動をしたり、見知らぬ人への攻撃性が高くなったりする。
 6週齢より前に子犬を親や兄弟犬から離れてしまうと、その後、その子犬はほかの動物やまわりの人との関係を良好に保つ、いわゆる社会化が阻害され、さらに体重が減少したり死亡率が高くなったりする。
 犬は、そもそも生活の場にはトイレをしない。必ず、自分の安心した住みかから離れた場所に排泄する習慣性をもっている。
 子犬にとってもっとも大切なことは、飼い主との関係をうまくつくること、成長して社会性を身につける時期にできるだけ多くの経験を積むこと、あとは行動を制御することを覚えること。
 犬の世界は、人の世界とは異なる。たとえば、犬の視神経には、赤色光に反応する細胞がない。犬の嗅覚は人の1000倍、感知能力は100倍から1万倍もある。
 犬が人間の匂い嗅ぎをするとき、親しみのある相手だと、太ももから足の付け根にかけて匂いを嗅ぐ。見知らぬ相手だと、手から腕、さらには胸部にかけて匂いを嗅ぐ。
 犬は、個々の人間を見分けることができる。そして、少なくとも3年間は記憶が残っている。
 犬は東アジアに起源をもち、世界に広がっていった。もっともオオカミに似た遺伝子をもつ犬種として、柴犬、チャウチャウ、秋田犬があげられる。うひゃあ、柴犬がオオカミに似ているだなんて、信じられません。
 日本古来の犬は、オオカミと犬をつなぐ素質をもつ、非常に貴重な犬である。
生物学的には犬とオオカミは同じ動物種である。
 オオカミは、生後3年の性成熟過程を過ぎると、遊びの行動をしない。しかし、犬はいくつになっても遊びに飽きることがない。犬は年老いてきても見知らぬものへの興味や探索心をもち、学習能力や友好な態度がいつまでも高い。見知らぬ犬や人への寛容性などは犬の特徴だ。
 犬のことをさらに知ることのできる本です。130頁の薄い本なので、すぐに読み終えてしまいました。また、犬を飼ってみたいのですが、自由に旅行に出かけられなくなるのも困るので、あきらめています。
(2012年11月刊。1200円+税)

なぜ、あの会社は顧客満足が高いのか

カテゴリー:社会

著者  福冨言・川又啓子ほか 、 出版  同友館
日本のホテル業界の顧客満足度調査のナンバーワンは、帝国ホテルでもホテルオークラでもなく、スーパーホテルだった。
 私はまだ利用したことのないホテルですが、1泊5000円の安さです。1泊3万5000円以上のザ・リッツ・カールトンと同じレベルの満足度だそうです。本当にそうなんでしょうか。リッツ・カールトンにも泊まったことがありませんので、何とも言えませんが・・・。
 スーパーホテルの稼働率は90%、リピート立も70%と高率だ。日本全国に104のホテルを展開している。たしかに、よく宣伝・広告しているのを見かけますよね。
 スーパーホテルは料金前払いシステムで、チェックがない。ルームキーもない。チェックインも自動チェックイン機が対応する。
 ベッドの下に空間のないタイプのベッド。だから、ベッドの下にホコリがない。枕は自由に選べる。ベッドは大きめで低反発マット。防音対策・照明も工夫されている。
なにより、スーパーホテルでは、個人事業主が対応してくれる。自分の夢のために頑張っているから、創意工夫の意気込みが違う。なーるほど、ですね。
 スターバックスとドトールコーヒーの比較もあります。私はスタバはあまり利用したくありません。カフェラテの出てくるのがいつも遅いからです。他の店とそれほど味に違いがあるとも思えないのに、なぜか遅いのです。
ドトールの顧客の平均的な店舗滞在時間は30分以内だそうです。たしかに、私もそうかもしれません。昔ながらの喫茶店がないから、いつも仕方なく入っています。学生の時代は一杯のコーヒーで2時間も3時間も彼女とだべっていました・・・。
 カフェの業界の顧客満足度ナンバーワンは、カフェ・ベローチェだそうです。私も、これには納得します。思わずうなずきました。
 生涯にわたってパーソナルサービスを提供し、顧客満足を高めるには、ライフプランナーが辞めずに顧客に接し続けることが絶対条件だ。そこで、離職しない人材を獲得するため、転職が一般化している生命保険営業の経験者は採用しないことにしている。
 なるほど、なるほど、これは大変見識ある方針だと思います。私の知る限りでも、転職を繰り返す人があまりにも多いのが生保レディーです。そして、少なくない人が無理な営業で借金までしてしまうのです。
 それにしても、弁護士である私もわが身をふり返って反省させられるところがある本でもありました。
(2012年12月刊。2000円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.