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2012年12月 の投稿

ヘルプマン (16巻)

カテゴリー:社会

著者   くさか 里樹 、 出版   講談社 
 身につまされるマンガ本のシリーズです。とりわけ、この16巻は、いわゆる定年後をいかに過ごすかが共通の切実な話題となっている団塊世代である私の背筋をゾクゾクさせてしまう寒い話でした。もちろん、弁護士ですから私自身には定年がなく、しばらくは元気で働けるものと自負しています。それでも、もし弁護士でなかったら、どうなっているのだろうかと心配になったのです。
16巻の主人公は女性のデザイナーです。若いときには、言い寄る男どもを振り切って独身生活を謳歌していました。ところが、64歳になった今、住み慣れた賃貸マンションを出ていかざるをえなくなったとき、高齢者の一人暮らしでは、住むところを見つけるのも苦労するのです。
 そして、まだまだデザイナーとして十分に働く自信があるというのに、取引先からはIT化のすすむなかで、もう仕事はまかせないと冷たく宣告されてしまうのでした。
 同じ独身女性仲間を頼って転がりこもうとすると、その彼女が、なんと脳いっ血で倒れてしまったのです。それなりの資産のある彼女を身内が引きとり田舎へ連れていこうとします。彼女は元気なうちにエンディングノートを書いていて、自分のマンションで最後まで生活することを希望しているのに、そんなノートには法的効力はないと言われてしまいます。主人公は途方に暮れるばかり・・・。
 十分な介護を受けたくても受けられない現実。ゆっくり充実した世話を入所者にしたくても出来ない介護職員の悩み。ともかく待遇が劣悪なので、長く働くのはとても厳しいという現実があるのです。
 少し前の認知症編も、今回と同じように身につまされました。次第に、自分が自分でなくなっていくと言う不安感が全身を包みます。それは、そうなったでむしろ本人は幸せなのかもしれません。でも、周囲が大変ですよね。
いずれにしろ、21巻のうちようやく16巻まで読了しました。あと5巻、完全に読みきります。いま、誰かれかまわずおすすめしているマンガ本です。あなたもぜひお読みください。
(2011年2月刊。543円+税)

動かす力

カテゴリー:司法

著者   渡部 喬一 、 出版   KKベストブック 
 法曹の大先輩による味わい深い本です。
 物事をすべて肯定系で考えていくためには、まず自分という人間を好きになること。自分が好きになれば、生きていることも楽しくなってくる。
 法律三分、人間七分。つまり、事件の解決にあたっては法律だけではなく、人間性を重視することが大切だ。人間力を高めるためには、まず、自分自身の内面を高め、強くするよう心がけなければならない。そのためには肯定力を十分に生かして常に前向きに、肯定的に物事をみることが大事だ。
どんなに苦しい状況に陥っても、ピンチこそチャンスだと常に前向きに明るくとらえること。そのことによって、苦境にも力強く立ち向かっていける。何よりも内なる力の源たる気力を充実させること。そのために大事なのは、言葉の力だ。
 朝8時には事務所に出て仕事をはじめるというのは、あまりマネしたくありませんが、この本で何回も強調されている、法律三分、人間七分については、大いに共鳴したことでした。
 今後とも、ますますのご活躍を祈念します。
(2012年4月刊。1524円+税)

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