著者:田沼武能、出版社:ネット武蔵野
著者が世界の子どもの写真を生涯のテーマーに決めたのは、今から40年以上も前の 1966年、37歳のとき。初めてアフリカの大地を踏んだのは1972年。
黒柳徹子はユニセフの親善大使となって毎年アフリカを訪問している。そのとき著者は必ず同行し、写真をとる。写真家は大変だ。撮影日時、難民キャンプの呼び名、キャンプの人口、子どもの名前、年齢、親の名前などなど。夜遅くまで撮ったフィルムと一緒にデータをきちんと整理し、次の朝を迎える。うひゃー、すごいんですね。
アフリカでは6000万人の子どもが貧困のために学校へ行けない。アフリカでは内戦と同じくらいにエイズが重大問題だ。世界の人口65億人のうち11%がサハラ以南に暮らす。その63%がエイズウィルスの感染者、エイズ孤児の80%がアフリカに集中している。
そんなアフリカに住み、生活している子どもたちですが、写真に登場しているアフリカの子どもたちの目はキラキラと輝いています。弟妹の守りをし、みんなと楽しそうに遊んでいます。
手製のギターを弾きながらコーラスに興じる子どもたちもいます。娯楽の少ない村では、著者の乗る車を子どもたちはどこまでも走って追いかけてきます。
サッカーで遊ぶ子供たちの写真もありますが、よく見ると、普通のサッカーボールではありません。古新聞を丸めて、ぼろ布で包み、ひもで巻いただけのものです。でも、そんなサッカーボールで一日中遊んで飽きません。女の子たちは民族衣装で踊ります。
水運び、市場での物売り、畑づくり。子どもたちはたくましく生きていきます。家造りだって手伝います。
学校で勉強もしたいのです。コーランを朗唱します。青空教室のこともあります。内戦犠牲者のカロン君は政府軍の少年兵となり、ゲリラに両腕を鉈(なた)で切り落とされてしまいました。栄養失調で死んでいく子どもも大勢います。その前にガリガリにやせ細ってしまいます。
1年間に世界の子どもの22%がアフリカで生まれ、5歳未満の子どもの死の49%がアフリカの子ども。50万人の女性が妊娠と出産に関連して亡くなるが、その大多数がアフリカでのこと。世界にいる1520万人のエイズ孤児の80%がアフリカの子ども。アフリカではHIV感染者の61%が女性。マラリアによる犠牲者100万人のうち、95%がアフリカの人々で、その大多数が5歳未満の子ども。
いやあ、アフリカを見殺しにはできませんよね。日本という国はいったいアフリカのために何をしているのでしょうか・・・。
(2008年5月刊。1900円+税)
アフリカ、子どもたちの日々
