著者:本田計一、出版社:化学同人
庭でキャベツを栽培したことがあります。青虫の卵がキャベツの葉にくっつき、すぐに青虫となるのです。毎日毎朝、割りバシで青虫をつまんで殺しました。とてもじゃないけど追いつきませんでした。キャベツの葉はみるみるボロボロと食い荒らされていきました。この憎き青虫が、やがて優雅に空を舞うチョウに変身するなど、なんとも信じられません。
チョウとガの違いは、葉にとまったとき羽(翅)を閉じているのがチョウで、開いているのがガだと一般に言われている。しかし、アゲハチョウは翅を開いてとまることが多いため、あまりあてにならない。結局のところ、専門的にはチョウとガの区別はされていない。しかし、ガの多くは夜行性であるのに対して、夜行性のチョウはいない。それに、よく見ると、触角も羽状(ガ)か棍棒状(チョウ)かの違いがある。
前にも紹介したことがありますが、モンシロチョウは人間の目から見ると、オスもメスも真白です。ところが、紫外線フィルターを通して見ると、オスは真黒に見え、メスは真白に見えるのです。だから、オスはメスを見間違えることがありません。しかし、オスがメスを追いかけてディスプレイという求愛行動をしても、必ずうまくいくわけではありません。メスはオスと選択するのです。どんなオスでもいいというわけではありません。うーん、やっぱりキビシイのだー・・・。
オスは光を頼りとして自分の交尾器(ペニス)をうまく調節している。交尾の時間は1時間程度。メスは産卵するとき、光を利用して産卵管の出具合を確認し、さらに産卵管の触覚で葉に触れたことを確認して、正確に産卵している。うーん、すごい・・・。
チョウはお酒を飲めるそうです。樹液を飲むチョウは、アルコール系と酸のにおいを好むのです。それで、あのように昼間から酔っ払ったようにフラフラ飛んでいるのか。つい、そう思ってしまいました。
チョウの祖先が地球上に出現したのは8000万年前ころのこと、白亜紀の後期にあたる時代です。アゲハチョウは5000万年前に出現したというのですから、すごいものですね。
この本は、小学校の教室でチョウを飼ってみることをすすめています。大賛成です。といっても、簡単なことではないようです。
ノーベル賞を受賞した福井博士や白川博士はチョウ少年だったとのこと。チョウ少年であることはノーベル賞への必須条件だと書かれています。なるほど、自然界の神秘に早くなら目覚めていることは、後に人間としても大成する基礎づくりになるでしょうね。
それにしても、虫が変身して空を飛ぶようになるなんて、まさに世の中の不思議です。
私が、神様は万物の創造主であるという説を信じないのも、ここに根拠のひとつがあります。こんなに手のこんだことを万能の主がする必要がどこにあるのでしょうか・・・。
ワンダフル・バタフライ
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