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2005年10月 の投稿

金沢はおいしい

カテゴリー:未分類

著者:金沢倶楽部
 大人のための金沢極上案内というサブタイトルがついています。いかにも美味しそうな料理がカラー写真で紹介され、店のマップもついているので、便利このうえもありません。
 久しぶりに金沢へ行きましたので、私もその前にこの本でしっかり予習し、お店も予約して出かけました。
 人生、健康に生き、元気に死ぬには、なによりも、おいしいものをおいしくいただくことが大切。このなかから、あなただけの「運命の一軒」が見つかりますように・・・。
 この本にはこう書いてあります。まったくそのとおりです。私も、その「運命の一軒」を探りあてることができました。
 まずは、日本料理の「つる幸」です。あとで金沢の弁護士に聞くと、自分たちも滅多に行かない(行けない)店だということでした。6頁にわたってお店と主(あるじ)そして料理が紹介されています。
 なにげない素材をはっとするほどの味に仕上げる工夫は何人も真似ができない。上品、たおやか、そして静謐なたたずまいのひと皿ひと皿に、まさに日本料理の真髄が凝縮されている。料理は楽しく美しく、そして美味しい。一汁一菜の端々にまで、いのちを削った覚悟がこめられている。二代目の主はまだ37歳と、若い。若々しさがあふれる中にも、二代目ならではの力強さがいっそう極まってきたと評判。
 私が行ったのは秋(10月)でしたから、香りのよいホンモノの松茸も出ました。ともかく一皿一皿が本当に手のこんだ料理です。見た目に美しく、眼で秋を感じて楽しませ、舌で味わせてくれるのです。栗のイガイガまで本物そっくりにつくられているのに驚嘆しながら、味わい尽くしました。最後の栗ごはんは、ついつい、日頃になく2杯目を食べてしまいました。若いころと違って、肥満を気にせざるをえないのが残念です。
 翌日は、やはり金沢のお寿司屋さんに出かけることにしました。もと金沢大学が近くにあって、大学の先生方がよく利用していたという「千取(せんとり)寿し」へはるばるタクシーに乗って出かけました。長くて広い板目も見事なカウンターの向こうに、寿司職人が4人も立っています。
 寿司は小ぶりで、ネタとシャリのバランスが実に絶妙である。
 この本に書いてあるとおりです。おまかせコースを最後まで全部食べ尽くし、甘エビに似た「ガス」と呼ぶエビと白い貝殻のむき身を追加して食べました。甘エビにもいろんな種類があるようです。ここでは基本的に金沢近海ものを食べさせてくれます。目の前で、あざやかな手つきで寿司を握ってくれるのを、一つずつしっかりかみしめて味わっていきました。ホンモノの寿司を食べたぞ、と叫びたくなるような満足感にみちみちて店をあとにしました。そして、値段の方も案外に高くなかったので、さらにうれしさが募りました。
 近江町市場にも2度、顔を出しました。生きのいい魚たちがたくさん並べられていました。金沢のおみやげで特筆すべきなのは不室屋の麩です。「宝の麩」を買って帰りました。モナカのような格好をしていますが、お椀に入れて、お湯をそそぐと香りも高いおすましができ上がるのです。これは重宝です。しかも麩ですから、軽くて、お土産品にはもってこいです。それやこれやで、しっかり金沢を堪能してきました。もちろん兼六園にも行き、百万石通りもブラブラしてきました。
 いったい金沢に何をしに行ったのか、ですか。もちろん会議に参加したのです。これからの弁護士はどうあるべきか、しっかり勉強もしてきたのですよ、ホントに。

天文学入門

カテゴリー:未分類

著者:嶺重 慎、出版社:岩波ジュニア新書
 子ども向けの本なのかもしれませんが、大人である私が読んでも楽しく、勉強になりました。なにより、星のカラー写真が見事です。
 私の夏の夜の楽しみは月を眺めることだというのは前に紹介しました。その月はどうやって誕生したのか。
 地球がまだ完全に固まっていないころに、火星ほどの大きさの天体が衝突して地球の中身をえぐり出し、飛び散った放出物が集まってできた。だから、月の岩石を分析すると、地球の内部にあると考えられている岩石によく似ている。
 ところで、アポロは実は月面に降りていないという内容の本を私が紹介したところ、トラックバックで、アポロが月面におりたのを信じないとは、と嘆かれてしまいました。NASAのホームページに写真がたくさんあるのを見れば一目瞭然だということです。申しわけありませんが、まだ見ていません。ホンモノなのでしょうか。それにしても、公刊されている月面写真の背景が真っ黒で、星がちっともうつっていないのはなぜでしょうか。NASAのホームページの写真は背景に星がちゃんとうつっているのでしょうね。
 人間の身体と宇宙にある星との結びつきも紹介されています。
 人間の身体のおもな成分である炭素や酸素や窒素などは、かつて天の川銀河のなかで輝いていた恒星の内部でつくられたもの。だから、人間は星の子ともいえる。人類の文明社会に不可欠な金・銀・銅やウランなどの物質は、超新星爆発の瞬間につくられたもの。
 宇宙の年齢は137億歳。うーん、その前には、宇宙はなかったのか。なかったとしたら、それは無からうまれたということか・・・。まるでよく分かりません。
 でも、今も、この瞬間にも、広大な宇宙のどこかで星が誕生し、また死滅していっているのですよね。広大というにはあまりにも広すぎます。無限大といいたいところですが、有限なんですよね。でも、有限といっても、一人間として、手の届く範囲ではありません。うーん、どうしよう・・・。といっても、何ができるわけでもありませんが・・・。今度、日本人の青年実業家が23億円も出してロシアの会社による宇宙観光旅行に出かけるようです。お金のある人にはいいのかもしれません。今度はホリエモンが乗り出すそうです。値段も2割とか1割に大幅にダウンするといいます。大金持ちの道楽にはいいでしょう。でも、どっちにしても普通の市民にとってはまるで夢のような話でしかありません・・・。
 なぜ夜空は暗いのか。星が無数にあるのだったら、空は一面光り輝いているはずなのに・・・。そのこたえは、天体の年齢は有限だから。人間が見渡せるのは光速と宇宙年齢のかけ算の距離にすぎない。天体からの光の量をすべて足しても無限大とはならない。夜空が暗い、ということは、宇宙に歴史があることの反映。うーん、宇宙に果てはあるのか。
 宇宙はいずれなくなってしまうものなのか・・・。秋の夜長に虫の音を聞きながら、私の悩みも深まる一方なのです・・・。
 10月半ばの日曜日、夕方から庭に出て畑仕事をしていました。太陽が沈むと、たちまちまん丸い満月が出て一番星が輝きはじめました。星の輝きがあまりにも鮮烈で、しかも空高く揺らいでいるように見えましたので、一瞬、飛行機かヘリコプターかと思いました。あわてて双眼鏡やら望遠鏡をもち出して星を眺めました。キラキラと宝石のようにまばゆいばかりの輝きでした。きっと宵の明星だったのでしょう。なんとなく高価な宝石を手にしたような、そんな得した気分になりました。

町工場こそ日本の宝

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著者:橋本久義、出版社:PHP研究所
 東京の下町の小さな町工場にいながら、いわば世界を動かしている岡野雅行氏に大学教授がインタビューしてできあがった本です。なるほどなるほど、と思わせ、町工場を見直すと同時に、チョッピリ日本の将来に自信も持たせてくれます。
 岡野氏はあくなき探求心にみちみちています。オレは、値段が高いのか安いのかしか言わないような企業には愛想が尽きた、と小気味のよいタンカを切っています。こんな言葉を聞くと、つい拍手をおくりたくなります。
 町工場が強いのは、大企業はみな自分の身内で足を引っぱりあっているからだという言葉も出てきます。うーん、なるほど、そうなんだー・・・。
 やはり社長は現場を知っていなければダメだ。現場を知っていると、お金のことを言わない。人間、お金のことを言うようになると、もうダメ。そうなんですねー・・・。
 機械は調子を見ながら、具合の悪いところをすぐに直していかないと、元に戻らなくなる。ちょっとしたガタや引っかかりの原因をその都度とり除いていく。ネジを締め直す。油を塗る。ときに、ちょっとヤスリをかける。そうやっていつも注意して見てないと、どうしようもない壊れ方をしてしまう。中国の企業が新しい機械を入れても、新しいうちはいいけど、いったん壊れたら、もう使いものにならない。だから、3年たってもカタログどおりの性能が出る日本製品が売れる番になるんだ。なるほどー・・・。
 ものづくりの現場では、ハイテク製品は雑貨から生まれている。ローテクの雑貨をやっている人は、そのノウハウをすぐハイテク製品に転用できる。
 岡野氏は痛くない注射針をつくりあげ、大量に生産・販売していることで有名です。この注射針は、全長20ミリあり、80ミクロンの穴が通っているのに、溶接せず、穴を開けているのでもないのです。金属の板が溶接なしで丸まってぴったりあわさり、ハリの中を通る液は漏れません。すごーい・・・。感心してしまいます。
 今では、岡野氏の町工場は修学旅行のコースにもなっているというのです。本当にいいことだと思います。子どもたちにモノづくりの楽しさを見せて、実感させるって、素晴らしいことじゃありませんか。
 日本って、もうダメな国なんじゃないか、日本をあきらめよう。そう思ったときに、ちょっと待って、この本を手にとってみて下さい。案外、日本も捨てたもんじゃないぞ。そんな気にさせてくれる本です。

西都原古墳群

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著者:北郷泰道、出版社:同成社
 九州にある古代遺跡として、吉野ヶ里と並んで名高い西都原(さいとばる)古墳群について解説した本です。宮崎県の高台にある本当に広々とした雄大な規模の古墳群です。まだ見たことのない人には、ぜひ一見するよう強くおすすめします。私は3度行きましたが、やはり九州は日本の文明発祥の地だと行くたびに確信しています。
 なにしろ、前方後円墳だけでも宮崎県には177基もあります。ちなみに、福岡県は筑後の44基を含めて186基です。
 前方後円墳の規模からすると、九州での上位10位のうち5基が日向にあり(大隅を旧日向とすると計7基)、残るは筑後(岩戸山と石人山)と豊後(小熊山)になります。このように日向の地は突出しているのです。
 西都原の前方後円墳は、4世紀の前半には誕生したとみられています。金製耳飾りや歩揺のついた金銅片、馬具類が出土しています。
 大阪府堺市にある仁徳天皇陵と伝えられる大仙古墳について、ゼネコンの大林組が築造期間を積算したそうです。それによると、1人2000人、1日8時間、1月25日として、15年8ヶ月、のべ680万7000人を要したとのことです。それからすると、西都原古墳にある女狭穂塚の築造には、のべ50万人で2年半を要したと推測されています。当時、それだけの人間を集中できるだけの権力をもつ人物が宮崎にいたわけです。
 この本は、八女市にある岩戸山古墳(6世紀)よりもはるかに大きい前方後円墳である女狭穂塚古墳の被葬者は誰なのか推測しています。結論からいうと、それは仁徳天皇の妻(髪長媛・かみながひめ)だとしています。つまり、古墳時代である5世紀前半に、畿内の大王家(当時は、まだ天皇とは言っていませんでした)と婚姻関係をもった南九州の豪族が宮崎(日向)に存在していたのです。
 西都原古墳は発掘・整備がすすんでいます。鬼の窟古墳など、見ごたえある古墳がたくさんあります。ぜひぜひ見てきてください。

談合業務課

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著者:鬼島紘一、出版社:光文社
 大林組の課長だった人が、自分の体験にもとづいて談合の実際を実名をあげて告発した本です。汐留・丸の内・六本木ヒルズなどの都心の一等地を大林組が相次いで落としていった内幕が赤裸々に暴露されています。大手ゼネコンがからむ建築はすべてゼネコン同士の談合によるものだということがよく分かり、寒々とした思いにかられてしまいます。
 もちろん、談合は犯罪です。だからゼネコンとは会社ぐるみ違法集団だということにもなります。ゼネコンが昔からヤクザと親密な関係にあるのも当然なんですね。なんとかならないものでしょうか・・・。
 「業務」(談合のことです)担当者から入札金額が指示されますが、その際のメモも現物が紹介されています。入札1回目の金額と2回目のそれとが具体的に書かれたものです。動かしがたい迫真のメモです。
 もちろん、大林組だけが談合をやっているわけではありません。どのゼネコンも同じです。ただ、社員数1万3000人の大林組に途中入社して12年間在職していたというだけに、その体験にもとづく談合の告発はなるほどと思わせます。
 大林組の本社ビルには、100人ほどの天下りOBのいる部屋がある。建設省や運輸省、道路公団などから天下ってきたOBの巣窟になっている。OBたちは、それぞれの出身母体から仕入れた情報を切り売りする。それは、お隣の机にすわる人にも軽々しくは口外できないほどの価値がある。
 談合という不正な方法で落札した企業が利益を得たとき、それは国民に余計な税金負担を強いたことを意味する。談合がなければ、予定価額の1.5倍から2倍で売れた可能性があるのに、低い価額で売却されていった。
 談合がないときには、ゼネコン同士が叩きあいで採算割れとなってしまう。
 この本は談合に政治家は介入していないとしています。本当でしょうか・・・。その一方、政治家への上納金は、工事受注額の3%が定価だともされています。私は、やはり談合には政治家と暴力団の双方が介入していると確信しています。
 予定価額を直接に聞き出せないとき、入札保証金の額を銀行関係者などから聞き出し、それによって予定価格を推定するという方法もとられています。この入札保証金の額についても、絶対に外部にもらさないものになっているはずです。ところが、大林組は、この入札保証金の額を、なぜか事前につかむことができたのです。
 おおっぴらに談合ができなくなった今日、業務担当者は他社の業務担当者と会社名を暗記しなくてはいけない。しかし、すべては裏で決まっていく。ゼネコンは事件にならないようにするため、積算書に会社特有の項目をたてたり、当初の数値を少しばかり変化されたりするなどの対策をとっている。
 毎日毎日、この「業務」に従事している人はどんな気持ちなのかなあ、と不思議に思いました。良心のとがめはもうなくしてしまったのでしょうか・・・。だから、この本をいまも大林組に残って勤めている人が読んで、どう思うのか、関心があるところです。

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