著者:西沢淳男、出版社:講談社選書メチエ
 代官というと、すぐ水戸黄門に出てくる強欲な悪代官というイメージを連想します。たしかに、そのような悪代官もいなかったわけではないようですが、多くは旗本のなかでも最低ランクの官僚として真面目に仕事をしていました。いえ、それどころか地元民から神様のようにあがめられ顕彰碑を建ててもらった代官も多かったのです。
 代官採用試験で、そろばんをつかった割り算の計算問題が出されたというのが紹介されています。57万3000石を1俵13斗7升入りに換算すると何万何千俵になるかという問題です。今の電卓なら簡単ですが、これをそろばんでやると、ちょっと面倒です。
 代官職のほとんどは世襲ではなかったとのことです。本人のみというのが81%もあります。それはうまみがなかったどころか、出費が大変だったということです。代官になるには2000両もかかり、部下に悪い者がいたら、借金をかかえてしまい、下手すると、島流しになってしまうというのです。ですから、それなりの能力が求められるので、世襲は無理でした。
 江戸時代の中間管理職としての代官の日常生活を垣間見る事のできる本です。
代官の日常生活
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