法律相談センター検索 弁護士検索
2005年6月 の投稿

塔と仏堂の旅

カテゴリー:未分類

著者:山岸常人、出版社:朝日新聞社
 瀬高の清水寺には立派な五重の塔があります。奈良の法隆寺の五重塔は8世紀にたてられたものですが、心柱(しんばしら)は地面から塔の頂上まで1本で突き抜けています。ところが、12世紀に建てられた京都府加茂町の浄瑠璃寺の三重塔は1階部分には心柱がありません。
 この本には、塔内部の構造が写真とともに図解されていますので、素人なりによく分かります。よくぞ複雑な構造物をコンピューターもない時代に建てたものだと感服します。
 10世紀に建てられた京都・山科の醍醐寺の五重塔もまことに優美な姿です。安定した荘重なプロポーションだと紹介されていますが、まったくそのとおりです。見ているだけで、心がなごみ、うたれます。
 16世紀に建てられた奈良の根来寺大塔(多宝塔)は、四角い建物のなかに円筒形の建物がはさまれた感じです。はじめて、こんな形の塔があるのを見ました。100年ほどもかけてつくられたというので、私は二度びっくりしてしまいました。日本の建築は、時間をかけてつくるのが本来の姿だったというのです。うーん、そうなのか・・・。そう言えば、知人がたてた1億円の豪邸を見学しに行ったことがあります。そこは一人の大工さんが1年半ほどかけ、材料選びからじっくりコツコツとつくりあげていったという説明でした。そうなんですねー・・・。
 会津若松市にあるさざえ堂という建物の奇抜さにも驚かされました。内部に螺旋状の階段があって、上りながら2周すると最上階に至るというのです。
 堂塔の構造が部品の名称とともに解説されています。いろんな工夫がなされていることがよく分かります。京都や奈良をゆっくり散策してみたくなりました。ご一緒にいかがですか・・・。

難民キャンプの子どもたち

カテゴリー:未分類

著者:田沼武能、出版社:岩波新書
 ベイルートのパレスチナ難民キャンプの子どもたちは手製の銃を持って兵隊ごっこをしています。一番のリーダーは本物の銃を持っています。ですから、兵隊ごっこは、やがて本物の兵隊の訓練に化けるのかもしれないのです。
 サラエボの難民施設の子どもは、心のケアのために画用紙に絵を描かせると、黒く塗りつぶし、自分の顔にまで黒い絵の具をつけました。あまりに恐ろしい体験をすると、描く絵も暗いものになるのです。
 エチオピアの難民キャンプは飢えのため、文字どおり骨皮筋衛門となった少女、そして人体模型のように肋骨が透けて見える少年がいます。1日20人の子どもたちが死んでいきました。
 ザイールの難民キャンプではあまりにも大量の難民が出たので、両親とはぐれた子どもたちが続出し、写真をとって親を見つけ出す作業がすすめられていました。
 13歳で少年兵にさせられたリベリアの男の子はゲリラから両腕をナタで切り落とされて道端に放置されているところを国連職員が通りかかって救出しました。でも、両親がなくて、アフリカでどうやって生きていくのでしょうか・・・。
 子どもたちが著者にいま一番ほしいものとして白い紙に書いたのはPEACE ONEでした。ぼくたちは、平和がいちばん、なのだということです。ホント、そう思います。
 世界中の難民キャンプが紹介されています。カラー写真だし、子どもの笑顔もいくらかはありますので、辛い状況を子どもたちがなんとか乗りこえようとしていることを知って、チョッピリ心が救われます。

「かあさん、おかたをたたきましょ」

カテゴリー:未分類

著者:國房 魁、出版社:新日本出版社
 歌いたくなる写真集の第2弾です。子どもたちの生き生きと輝く笑顔に、つい吸いこまれそうになってしまう、そんな素敵な写真集です。2500円という値段ですが、心身のリフレッシュ剤になりますから、決して高くはありません。ぜひ、買って頁をめくって、子どものころを思い出してみて下さい。
 第1集は「ドンと鳴った花火だ」でした(出版社は同じ)。どうしたらこんなに生命に光り輝く子どもたちの笑顔が撮れるのか、素人カメラマンを志す私には不思議でならない写真が満載でした。
 桜の木の下をランドセルを背負った子どもたちが一列になってにぎやかに通学しています。先頭はちょっとおませなお姉ちゃん。続くは、ひょうきん族のお兄ちゃん。みんな、ランドセルからって学校に行くのが嬉しくてたまらない。そんな気持ちがストレートに伝わってきます。
 秋の夕暮れどきです。日が沈むまで、まだ少し間があります。刈り入れの終わった田んぼで女の子たち5人組が遊び終わって、これから家に帰るところです。前の子の肩に両手をかけて汽車汽車シュッポシュッポと駆け出しました。健康ではち切れそうな笑顔を田んぼにふりまいて、一列になって走っていきます。
 春の小川で、男の子たちが網をもって底をすくいます。どじょっこ取ったぞ。男の子の弾ける笑い声が聞こえてきそうです。野球帽のツバをうしろにまわした、ヤンチャ盛りの男たちが素足になって遊んでいます。
 村の夏祭りに出かけるハッピ姿の三姉妹がいます。頭にキリリとはち巻きを締めているのが、いかにも粋です。でも夏は、やっぱりスイカ。井戸でよく冷やした赤いスイカを庭にゴザを敷いてガブリとかぶりつき、タネを口の中からペッペッと上手に吐き出します。ゆでたトウモロコシなら、かぶりついて、きれいに食べ尽くします。
 童謡の歌詞と見事に溶けあった写真集です。どうぞ、あなたも手にとって童心ワールドへ・・・。

南極って、どんなところ?

カテゴリー:未分類

著者:柴田鉄治、出版社:朝日新聞社
 南極大陸の昭和基地で越冬生活した人にとってのいちばんのお土産品は、なんとキャベツだそうです。キャベツの葉をなまでかじる。これが涙の出るほどうれしいことなのです。
 新鮮な野菜に飢えているからです。といっても、最近は、野菜を室内で生産できる設備もあるようです。そう言えば、宇宙ステーション(このところ、その話題がなぜかマスコミには出てきませんね・・・。これも例のアポロが月まで本当に行ったのかどうか疑われていることに関連があるのでしょうか・・・)でも、野菜づくりが課題になっていましたね・・・。
 南極大陸の大きさは日本の33倍、しかし、インド大陸の4倍でしかありません。冬はマイナス45度。しかし、夏の昭和基地には雪がなく、天気のいい日には布団を屋外に出して干すそうです。南極大陸はどこの国の領土でもないと思っていましたが、なんと7ヶ国も領土宣言をした国があるそうです。日本は、もちろん領土宣言なんかしていませんが、40人もの越冬隊員がいるそうです(女性も、最高4人)。
 アザラシとペンギンは潜水するときには正反対の行動をとるそうです。アザラシは潜水する直前に息を吐き出し、ペンギンは逆に息を吸いこみます。アザラシは潜るときには楽でも、浮上するときに必死に泳がなくてはいけません。ペンギンは息を吸って浮力があるので潜るのに必死だけど、浮上するのは楽々なのです。初めに楽をするアザラシと、後で楽をするペンギンという違いがあるのです。面白いですね。
 南極大陸では隕石がよく見つかります。なんと、アメリカが発見した1万個を抜いて、日本は1万6千個も発見し保有しているというのです。月隕石が9個、火星隕石も6個もっています。月隕石や火星隕石というのは、小惑星の衝突を受け、クレーターができるときに地表から跳ね飛ばされた岩石です。300万年前に火星から飛び出して、数万年前に地球に落ちてきたというのです。300万年近くも惑星のあいだの宇宙空間を漂っていたというとんでもないスケールの話に、ボー然としてしまいました。
 南極大陸に取り残され、冬を生き抜いたカラフト犬のタロとジロの話も出てきます。今でもはっきり覚えています。1959年1月のことです。私は小学生でした。
 南極大陸の氷が地球の温暖化によって溶けつつあるという報道もあります。良好な自然環境を子孫にきちんと伝え残すのも私たちの責務のひとつではないでしょうか・・・。

平家物語図典

カテゴリー:未分類

著者:五味文彦、出版社:小学館
 平家物語、つまり源平合戦の様子やその当時の人々の生活が絵巻物によって解説されていて、大変わかりやすい本になっています。
 日本の弓は、本来は木製だった。日本の馬は、今の体高160センチをこえるサラブレッドより15センチ以上も低かった。でも、それはアジアの草原馬からみて平均的なもので、日本の馬だけが低かったのではない。ということは、蒙古の馬もサラブレッドほどの体高はなかったということでしょうか・・・。大鎧などの武具を着装した騎兵は体重をふくめて100キロを超えるので、それを乗せる馬は気性が荒くなければ、とてももたなかった。明治以前の日本には去勢の技術はありませんでした。
 壇ノ浦合戦で最終的に源氏に敗れた平家は安徳天皇以下、三種の神器とともに入水した、というのは知っていました。しかし、それをしたのが平清盛の妻時子であり、それが平家の宿敵、後白河法皇へ一矢を報いるための時子の強い意志にもとづくものであるという解説を読んで、なるほど、そうだったのかと思わず膝をうってしまいました。
 平氏も源氏も、その一族のなかは決して一枚岩ではなかったということも語られています。それぞれの一門内で激しい抗争があっていたのです。
 庶民の生活も少し紹介されています。料理は必ずしも女性の仕事ではなく、魚肉を切り分けたり盛りつけをするのは男の仕事でした。まな板で鯉を切り分けている夫の手もとを眺めながら、頬づえをついて、あれこれ注文をつけている妻の姿が絵に描かれています。日本の女性は平安時代の昔からたくましかったことがよく分かります。
 カラー写真を眺めているだけでも楽しい図解・平家物語です。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.