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2004年11月 の投稿

客人(ソンニム)

カテゴリー:未分類

著者:黄?暎、出版社:岩波書店
 「現代韓国最高の作家」が朝鮮戦争の真実を語った小説です。まさに朝鮮民族の悲劇があますところなく描かれています。
 最近の韓国映画『ブラザーフッド』にも、北朝鮮軍による人民虐殺と捕虜殺害のシーンがありました。あれは歴史的な事実だと思います。しかし、同時に韓国軍の方も、北朝鮮の人々と人民軍捕虜を虐殺しています。
 この本は、これらの事実をきちんとふまえつつ、北朝鮮で人民軍シンパ層を虐殺したのが、キリスト教信者であったことを明らかにしています。「汝の敵を愛せ」ではなく、「敵は殺せ」を実践したのは、熱心なキリスト教徒たちだったのです。
 キリスト教とマルクス主義は、考えてみれば、一つの根から生えた二つの枝であった。
 済州島四・三事件のときに島民虐殺で名をはせた西北(ソブク )青年団はキリスト教徒を主体としていた。
 うーん、キリスト教って、いったいどんな宗教なのか、改めてそのことも考えさせられる小説でした。同じ民族同士、顔見知り同士が、イデオロギーの違いで殺しあった朝鮮戦争の痛手を韓国はまだ克服しきれていないように思えます。

民法編纂と明治維新

カテゴリー:未分類

著者:坂本慶一、出版社:悠々社
 現職の裁判官が、明治はじめの日本民法がつくられていく過程を解明している本です。大変分かりやすい本でした。
 日本民法の基礎をなしているのはドイツ法ではなく、フランス法だというのは、私も大学で学んだ気がします。ボワソナードが活躍したことは有名です。それは、江戸時代末期にフランスと徳川幕府が親密な関係にあったうえ、フランスほど日本と似かよった国情と国民性をもつ国はないと考えられていたことによるというのです。初めて知りました。
 ただ、この本が、江戸時代、金銭貸借をめぐる訴訟はあまりなかったかのように書いている(38頁2行)のは間違いだと私は思います。『世事見聞録』をはじめ、江戸の庶民は、相手が武士であろうとなんであろうと、どんどん裁判を起こしていたと
いうのが真実だと思います。
 江藤新平について論じた部分は、なるほど、そうだったのか、うん、そうだろうと思わせるところ大でした。江藤新平は司法卿になり参議になって、民法その他の法律制定に大きく貢献しています。ただ、そのやり方はかなり強引だったようで、数多くの敵をつくってしまったようです。
 江藤新平は国権を重視する考え方で一貫しており、決してラディカルな民主主義者ではなかった。江藤新平は、あくまで尊皇、国権主義者であり、自由民権につながる思想は有して居なかった、と著者は指摘しています。なるほどと思いました。それにしても、江藤を憎んで、「臨時法廷」にのぞんでまで死刑を督励していた大久保利通には呆れてしまいます。まさに、国家権力の不正行使の権化とも言うべき存在です)

ヤンキー、弁護士になる

カテゴリー:未分類

著者:金崎浩之、出版社:講談社
 暴力団組長の妻だった大平光代弁護士の本『だから、あなたも生き抜いて』(大平光代、講談社)を読んですごく心をうたれたことを思い出しました。いま大平光代弁護士は大阪市の助役をしています。
 こちらは、元暴走族のリーダーをしていた青年が偏差値38、高校退学そして定時制高校を経て大学に入り、ついに司法試験の合格するという話です。子どものころの荒れようは読む人の心を寒からしめます。ともかくケンカづくめの毎日です。番長をめざして一対一でケンカしたり、集団乱闘事件を起こしたり、学校からも親からも愛想を尽かされます。
 高校を退学させられて働きはじめ、労働の単調さに愕然とし、再び学校に戻る気になります。入った定時制高校で教師にめぐりあい、勉強の意欲を燃やし、ついに大学入学に成功するのです。基礎がなくて勉強するのは本当に大変だったと思います。一点突破の勉強法でそこを乗り切り、大学ではESSで活動します。そして司法試験に挑戦。すごい根性の人間(ひと)です。
 それにしても、非行に荒れるわが子を放りっぱなしにする父親って私にはとても信じられません。でも、多いんですよね・・・。会社(父親は銀行員)では猛烈社員だったようですが、子どもと対話をしようと思わなかったことが不思議でなりません。家庭に楽しみがなくて、仕事(会社)って、そんなに面白いものなんでしょうか・・・。誰か、その心境を教えてください。

ガラスのお腹

カテゴリー:未分類

著者:海月まき子、出版社:新風舎
 22週5日で赤ちゃんが生まれました。体重はわずか520グラムです。身体の皮膚もまだ完全にできていません。目も完成しておらず、まぶたの切れ目がありません。皮膚ができていないため、母親も触れることができません。
 体重は生後12日目に420グラムにまで下がりました。哺乳瓶の乳首も普通のものは大きすぎて吸えません。子犬用の哺乳乳首をつかってみます。体重が1キロをこえたのは、5ヶ月たってから。1歳の誕生日を迎えて、ようやく2キロになりました。
 人間の生命力ってすごい。改めて感心させられました。そして母親の愛情は偉大です。

21世紀の特殊部隊・特殊作戦篇

カテゴリー:未分類

著者:江畑謙介、出版社:並木書房
 日本をふくむ各国の軍隊が特殊部隊をもち、テロなどに備えているのは周知の事実だ。
 1995年6月、ボスニアの上空で警戒飛行していたアメリカのF16にSA6地対空ミサイルが命中し、撃墜された。パイロットのオグレディ大尉の救出作戦が始まった。同じ筋書きのアメリカ映画を以前に見たが、そんな事実があったことを初めて知った。海兵隊を投入して、無事に救出できたが、装備その他が十分でなかったうえに、アメリカ空軍の面子がまるつぶれになったという問題もひきおこした。現実には、救出作戦を誰がいったい担うのか、絶えず縄ばり争いが起こる。
 この事件のあと、救難用通信装置の性能が格段に向上したという。しかし、SOS信号も敵のおとりかもしれないので、救出部隊は恐る恐る近づくしかない。そこで無人偵察機も活躍するようになった。というのも、1人の人間を救出するために、10人の救出部隊と2機のヘリコプターの損失を出すことがあるが、それではいかにも割りがあわないからだ。特殊作戦を成功させるのも綿密な打合せと訓練を要することなのだ。

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