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2004年9月 の投稿

新撰組実録

カテゴリー:未分類

著者:相川司、出版社:ちくま新書
 新撰組のユニホームは浅黄色のダンダラ羽織だった。これは忠臣蔵の義士が討入りのときに着用した装束だった。浅黄という色はライトブルーに近い色で、本来なら羽織なんかに使わない。江戸川柳では、浅黄裏は田舎武士を嘲笑しているように、ヤボの代名詞だった。赤穂義士たちが切腹にのぞんで着用した死装束は、浅黄の小袖に浅黄の袴、浅黄の裃と、すべて浅黄色だった。これは切腹裃とよばれるものだった。
 時代の流れをしっかり認識するにはやや物足りませんが、新撰組の実情の一端は分かります。

セックス・ボランティア

カテゴリー:未分類

著者:河合香織、出版社:新潮社
 なるほど、これが社会の現実なんだと思いました。障害者だって、やっぱり恋愛したい。性欲もある。オビに書かれているとおりです。せいは いきる こんぽん。やめるわけ にはいかない。障害者専門風俗店があり、ホストクラブの店で障害者割引をしているところがあるそうです。オランダでは障害者に対してセックスするためのお金を市役所が助成金として出しています。月に3回、年に36回、セックスするお金を市役所からもらえます。そしてセックスする相手を派遣するボランティア団体もあるのです。
 人間とは何か、の根本問題を考えさせてくれる本です。

シンポジウム・イラク戦争

カテゴリー:未分類

著者:冨澤暉、出版社:かや軍事叢書
 今回のアメリカによるイラク侵略戦争を軍事科学からどう統括するか、という自衛隊の元幹部によるシンポジウムをまとめた本です。
 同台経済懇話会というのがあることをつい先ごろ知りましたが、この本によると、陸軍士官学校と幼年学校の出身で、戦後、官庁・企業・団体・法曹界で活躍している有志の団体です。1975年に発足し、上場企業の役員を主として、会員1000人。現在は防衛大学校出身者も会員としています。
 軍事革命(RMA)とは何かというのが主要なテーマとなっています。今回のイラク戦争は、「全縦深目標直撃無停止攻撃」と定義できる。イラク戦争の真っ最中にも、ペルシャ湾には、日本のタンカーが1日あたり40隻も行き来していた。いくらRMAが発達しても、しょせん最後の戦勝を決めるのは、死の危険をいとわない任務に邁進する使命感をもった兵士だ。これに勝る近代兵器はない。
 私は自衛隊の幹部(いわゆる制服組)が日本の政治の表舞台に登場しつつあると認識していますが、これこそ軍国主義復活だと恐れます。しょせん軍人とは、人殺しの技術を身につけた技術屋集団でしかありません。軍隊に権力をもたせていいことは何ひとつ考えられません。そもそも、いかに効率よく多数の人を殺せるかという議論を何の心の痛みもなくできるという人を、果たして人間と言えるのでしょうか・・・。

警察の視点、社会の視点

カテゴリー:未分類

著者:広畑史朗、出版社:啓正社
著者は現在、福岡県警本部長です。栃木県警本部長をつとめていたとき、石橋警察署で、被害者の親からの捜査要請を無視しているうちに、その少年が殺害されたという重大な警察のミスが発覚しました。この対処をめぐって、各署に出かけて一般署員に向けてした訓話を中心にまとめた本です。
 著者は、その後、政府の司法制度改革推進本部のもとにおかれた裁判員制度・刑事検討会の委員もつとめています。いわば警察官僚のチャンピオンなのです。私も一度その講演を拝聴しましたが、なるほどと思わせるソフトな語り口でした。
 警察官に不祥事が多いというけど、実はそれほどでもない。弁護士に比べたら格段ましなんだ。このことが何度も紹介されています。警察官の士気を高揚するために本部長として言いたかったことでしょうが、弁護士である私には、やはり大いにひっかかります。
 「バブル経済の崩壊後、毎年2桁台の弁護士が逮捕されている。弁護士は1万7千人、警察職員は26万人だから、警察官が年間150人以上捕まる計算となる。警察職員より弁護士集団の方が犯罪発生比率のはるかに高いことは、案外知られていない」
 「弁護士の現職は1万5千人、うち懲戒請求が1030件。弁護士の10数人に1人がクライアントから不適正だとして懲戒請求を受けている。なかなかのものじゃないか、ということを公然と言いたいのを私はじっと我慢している」
 私も弁護士に非行がないとはもちろん言いません。しかし、弁護士の逮捕が年間2桁というのを問題とするなら、警察は例の裏金を自ら全面的に明らかにしてからモノを言うべきだと思います。証拠となる会計帳簿を自ら処分しておいて、真相究明できませんでしたというのは通りません。しかも、ことは本部長以下、部長クラスの幹部がほとんど利益を享受していたという問題なのです。警察が国民の信用を回復するためには、まずは裏金問題を公正に処理すべきではないでしょうか。

上がれ、空き缶衛星

カテゴリー:未分類

著者:川島レイ、出版社:新潮社
 350ミリリットルのジュース缶が人工衛星になるなんて・・・。しかも、それを大学(院)生が打ち上げるとは、信じがたい話です。世の中もすすんだものですね。さらにそのあと、1辺が10センチのサイコロ型の、人間の手のひらにのってしまうほど極小の衛星を同じく大学(院)生がつくって宇宙へ打ちあげ、今も立派に実用衛星として通用しているというのです。たいしたものです。
 この本は、そんな空き缶衛星を大学(院)生たちが打ちあげに至るまでをドキュメントタッチで追いかけています。ブレインストーミングという、枠にとらわれない自由な発想の議論、助走期間中にしぼまないようなアドバイスが必要なことなどの教訓も紹介され、はじめは荒唐無稽であっても、工夫次第でモノになることがあることが示されています。いつまでも夢をもち続けることの大切さが伝わってくる本です。

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