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2004年6月 の投稿

動物と人間の世界認識

カテゴリー:未分類

著者:日高敏隆、出版社:筑摩書房
 私がいるから世界があるのではない。世界があるから私がいるのだ。唯物論はこう言っていると思います。しかし、「私」が人間でないときに、「私」から見える世界は全然異なるものなんですね。この本は、そこを詳しく解き明かしています。
  人間の目からは、オスもメスも白色にしか見えないモンシロチョウですが、オスとメスとでは色が違います。メスは紫外線と黄色のまざった色なのです。モンシロチョウには紫外線が見えるから、その違いが分かるのです。ところが、モンシロチョウには赤が見えません。しかし、アゲハチョウには赤が見えます。ネコは、紙にネコの絵を描くと、ホンモノのネコと誤認してしまう。近寄って匂いをかいで、やっとネコじゃないと認識する。
  メスのニワトリの耳に手術して聞こえないようにしたら、卵を産んだものの、かえってヒナを次々に親ドリがつついて殺してしまった。ヒナドリの声が聞こえないから、怪しげな侵入者だと誤認して殺してしまったのだ。
  このように、目だけでなく、耳や鼻も世界を認識する手段として重要な役割を果たしており、それによって全然別の「世界」がそれぞれの動物にはあるというのです。本を読むと、「私」たちの世界も広がるというわけなんです。

復讐総会

カテゴリー:未分類

著者:江上剛、出版社:新潮社
 会社勤めの経験のない私が言うのもなんですが、大会社はどこも闇の世界と深くつるんでいる気がしてなりません。大会社には、たいてい汚れた仕事をする専門の部署があり、ベテランがいます。そして、ときどき摘発され、自殺者まで出ることがあります。
  でも、いつかの新聞コラムに「盆栽でしかない」と評されていました。要するに、上の方へ(司直の手は)伸びなくて、下に広がるばかりだ、というのです。なるほど、言い得て妙ですね。
  第一勧銀の銀行マンとして、最後は広報部次長の要職まで勤めた著者が、非情な銀行の内幕を暴いています。ストーリーとしては、少々できすぎという気もしましたし、退職刑事でこれほど人情味(そして信望)もある人がいるだろうか、と疑問には思いました。
  銀行の貸しはがしの実情も描かれています。過労死した銀行員のお通夜のときに、退職金の金額を並べたて、これだけもらえて良かったですね、そう言い放つ銀行員の同僚も登場します。そういうこともあるんだろうな、そう思いました。会社のためと思って尽くしていた人に対しても会社は非情なものだと、事件を通して何度も思ったことが私にもあります。

アメリカは恐怖に踊る

カテゴリー:未分類

著者:バリー・グラスナー、出版社:草思社
 アメリカは怖い国だと私は考えています。そうなんです。いいですか、アメリカでは200万人が刑務所に入っているんですよ。1990年に比べると、なんと2倍増なんです。アメリカ国内には2億5000万挺の銃があり、銃撃によって年間2万8000人が死んでいます。こんな現実を知らされて、恐怖におののかない人がいるでしょうか?
  しかし、と、この本は語ります。アメリカは怖いところだとマスコミや学者が過度に言いたてている現実があることを見抜くべきだ、というのです。
  アメリカでは毎年80万人以上の子どもが行方不明とされています。しかし、と著者は言います。行方不明の子どもたちの実態は、親による虐待から逃げた、別居中の親から連れ去られた子どもというのが大半であって、家族以外の他人に誘拐されたりした子どもは、年に200人ほどしかいない、だそうです。200人は果たして少ないのでしょうか。
  いえ、私も、恐怖をあおる人々の尻馬に乗って騒ぎたてるのはやめようという指摘に、少しばかり反省はさせられました。ゴメンナサイ・・。

公認・地震予知を疑う

カテゴリー:未分類

著者:島村英紀、出版社:柏書房
 地震予知には方程式もなく、科学的根拠には乏しいと著者は指摘しています。それは、天気の長期予報と同じようなもので、経験的に予測しているにすぎないということです。海溝型地震の長期的予知については可能としていますが、それも、80年から150年先には起きるだろうという程度のものです。よく聞かされる大地震の前兆があったという話も、結果と結びつけているだけであって、本当にそれが前兆なのか科学的に検証されているわけでもないとしています。
 1978年に成立した大規模地震対策特別措置法については、大変な人権の制限をする有事立法と同じ危険なものだと強く警告しています。なるほど、そうだったのかと思いました。また、大地震によって原子力発電所が被害にあったとき、その被害者は置き去りにされるしかないだろうと指摘しています。放射能汚染はチェルノブイリ事故で起きましたが、同じような事態が日本で発生しないという保障はどこにもないのです。これまた大変なことだと思いました。

もしかして愛だった

カテゴリー:未分類

著者:阿川佐和子
  もちろん?「恋愛論」ではありません。食欲と物欲関係について語るアガワ節?炸裂です。「読書家ではなかった」そうですが、文章のセンスって天性のものなのでしょうか。

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