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2004年6月 の投稿

枕草子REMIX

カテゴリー:未分類

著者:酒井順子、出版社:新潮社
 清少納言の『枕草子』は、もちろん大学受験時代に読みました。古文は好きでしたし、得意科目でもありましたので、高校の図書館で古典文学大系を借り、原典で読んだ覚えがあります。でも、この本を読んで、そんなことが書いてあったのかと再認識させられました。他人(ひと)の悪口を言ったり、品定めをしたり、のぞき見を楽しんだり、まるで当今の女子高校生と同じようなことをしていたんじゃないか。著者はそう言うのです。
  ええっー、そんなことあり、かなあと思うのですが、どうも、あり、のようです。
  説教の講師は、顔がいい人に限る。講師の顔をじっと見つめるからこそ、言っていることの尊さも感じられる。説教の講師は、顔よき。講師の顔をつと見守らへたるこそ、その説く言(こと)の尊さも、おぼゆれ。
  昔、カメラのない時代です。和歌は写真みたいなもの。著者はそのように指摘しています。なるほど、そうなのかー・・・。でも、和歌って、そんなにイメージをわかせるものかしらん・・・。うーん、よく分かりません。
  しばし、平安時代の雰囲気に浸ることのできる本でした。受験勉強で出会ったときの清少納言のイメージが、少しばかり変わりました。

風雲・祖谷のかずら橋

カテゴリー:未分類

著者:原田一美、出版社:国土社
 徳島の山奥にある橋の由来を物語るお話です。
  祖谷(いや)では、時の権力者に反抗した一揆や戦いがしばしば起こりました。木地師と呼ばれる山の民もいて、平地に住む里の民との抗争もあったようです。領主・蜂須賀家政と全村あげての戦いに立ちあがっていく様子が、子どもの目を通して語られています。
  かずら橋をぜひこの目で見てみたいと思い、5月末に出かけました。なるほど、徳島市から吉野川をのぼりつめた上流にある秘境の地でした。園尾隆司裁判官(最高裁民事局長)の出身地だということも知りました。ところが、秘境の地がテーマパークに大変身する大がかりな工事が進行中でした。ええーっ、これでは秘境の地ではなくなってしまうよ。そりゃあ卑怯だ(!)と叫んでしまいました(お粗末さま)。

その借金なんとかしましょう

カテゴリー:未分類

著者:吉田猫次郎、出版社:朝日新聞社
 天下の朝日新聞が出した本ですから、大変な信用度があります。私がちょこっと自費出版で出したような本とは信用度のランクがまるで違います(悔しいことに・・・トホホ)。自分の倒産、借金整理の体験をもとにした本ですから、借金をかかえた人が解決法を探るうえで役に立つことは間違いありません。
  弁護士に依頼して債務整理をしても借金依存症は治癒しないだろう。もがき、苦しんではいあがって、初めて借金依存症という病気からは抜け出せるものだ。そのとおりだと弁護士である私は思います。借金癖は病気みたいなものなので甘やかして返済を肩代わりすると、絶対にまた借金をくり返し、親子ともども不幸になる。再起に対する強い意志と具体的な事業計画があれば必ず再起できる。私も、同感するところが大です。
  このような猫次郎氏のホームページに30万件のアクセスがあるというのです。やはり弁護士(会)は、この分野でも取り組み不足だと改めて思いました。
  債務整理にはカウンセリングがとても大切だと思っている専門家があまりにも少ないのが悲しいという指摘がなされています。本当にそのとおりです。今でも、クレジット・サラ金被害をなくす運動のリーダーのなかにカウンセリング無用論を繰り返し高言してはばからない人がいるという悲しい現実があります。

ロングフェロー日本滞在記

カテゴリー:未分類

著者:チャールズ・A・ロングフェロー、出版社:平凡社
 明治の初めにアメリカから陽気なアメリカ人の青年が日{にやってきました。北海道から九州まで旅行し、東京に家を買って住みつくほど日本を気にいってしまいました。
  アメリカの大詩人ヘンリー・ロングフェローの息子ですから、お金には困りません。せっせとアメリカの家族へ手紙を書いて日本の様子を知らせます。写真もたくさんとっています。日本の様子がよく分かる写真です。たくさんの写真をながめるだけでも、明治の初めの日本の様子が分かってうれしくなります。
  日本の若い芸者たちの写真がたくさん紹介されていますが、笑顔を見せているのは珍しいそうです。現代日本にもいそうな美人です。130年ほど前の日本人ですから、それほど違うはずもないのですが、あまりに今風なので、びっくりしてしまいました。
  日本人ほど芝居小屋や茶屋で楽しむことを知っている国民はいない。服をほとんど脱いでしまい、すっかり寛ろいでタバコをくゆらしたりしゃべったり、食べたりしている。
  日本人は貧しい物乞いの前を素通りすることなどまずない。たとえわずかな金額でも、そこには善意が感じられる。
  明治政府の役人たちは半分以上が道ばたで拾われて、政府のために悪知恵を働かせ悪事を働いたために高い地位を手に入れた。だから、小役人は嘘つきの名人だ。日本人は多かれ少なかれ嘘をつくのが得意だ。
  明治天皇が20歳だが、見たところは30歳のようだ。その顔立ちは極めて日本的で、大きくて平たい鼻、黄ばんだ肌の色。そのまなざしは鋭く輝いていた。あのような顔は江戸の町でたびたび見かけた。衣裳はいたって簡素だ。話すときは決して口を大きく開かず、歯の間から言葉をつぶやくだけ。我々の方をまっすぐに顔を見て話す。優しい慈悲深い表情だ。しかし、口を閉じると、たちまち威厳のある、まじめでむしろ無表情な顔になった。
  明治天皇の表情をじかに見た人の描写を初めて読みました。映画『ラスト・サムライ』に明治天皇も登場していましたが、ロングフェローの描写のとおりだな、私はそう思いました。

クモはなぜ糸から落ちないのか

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著者:大崎茂芳、出版社:PHP新書
 クモの糸の研究を25年以上も続けているというのですから、その持続力には頭が下がります。クモの糸でネクタイを編む可能性を追求しているそうです。クモの糸には柔軟性があるので銃弾のエネルギーを吸収できるから、防弾チョッキの素材にふさわしいというのには驚きました。ただし、草食性のカイコとちがってクモは肉食性だし、共食いの心配もあるので、大量飼育ができません。採算性に難点があります。
  クモの祖先は海中に生活していて、それが淡水へ移って、次いで陸に上がったといいます。クモは、4億年間も生きてきました。クモは昆虫ではありません。昆虫は足が6本で、クモは、サソリやダニと同じく足が8本あるからです。
  クモの糸は粘着性があるわけですが、自分の足がからまないのかと不思議に思っていましたが、つくるときには足場糸をはっていて、あとで足場糸を取り外すのです。つまり、自分の足にも下手するとクモの糸がくっつくのです。クモは絶えず2本からなる命綱をつかいながら動いているというのにも驚きました。クモもあわてて地面に落ちてしまったら死ぬのです。身が軽いから、そんな心配はないと私は思っていました。
  生まれたばかりの子グモたちの群に棒を入れたところ、一番下でフラフラしている子グモをその上にいた子グモが助けに降りて、上に引き上げてやった。しかも、牽引糸をすべて集めるという整理整頓までした。そんな観察が紹介されています。子グモ同士が助けあっているというのです。とても信じられませんよね・・・。

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