著者:斎藤環、出版社:紀伊国屋
ひきこもりの人口は100万人、平均期間は4.1年。平均年齢は20歳前だったのが、今では20代となり、30歳以上は珍しくない。ひきこもりの最年長は40代後半になっている。今や、ひきこもり救出ビジネスまで世の中に現われた。「2時間でひきこもりを直す」という自称カウンセラーすらいる。
ひきこもっている若者の心の中は、焦燥感と惨めさで充満し、激しい空虚感や絶望的な怒りに襲われている。一見すると、無為・無気力のように見えても、「普通の生活」に対する憧れの強さは平均的な若者の「意欲」の比ではない。ひきこもっている人のコミュニケーション拒否は、むしろ絶望的なまでのコミュニケーションへの憧れを背景としている。
ひきこもりの相談は1年間で1万4千件ほどあり、その77%が男性。ひきこもり期間が10年以上というのも2割ほどある。家庭内暴力も同じく2割ある。
親しい友人や恋人関係が成立すると、特別な指導や指示はなくとも、多くのケースでアルバイトや通学を始めるようになる。
著者は、青少年がひきこもる権利を社会がしっかり保障すべきだと主張しています。「ひきこもり」が生き方の選択肢のひとつにまで高められるとき、「ひきこもり」は減少するというのです。ひきこもりについて深く考えさせられる本でした。私の住む団地にもひきこもりの子どもたちがいます。決して他人事(ひとごと)ではありません。
ひきこもり文化論
未分類

