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二・二六事件

著者:須崎慎一、出版社:吉川弘文館
 二・二六事件(一九三六年)というと、皇道派対統制派の対立・抗争を思い描きます。山川出版社の『詳説・日本史』の影響です。この本は、それが間違った俗説であることを立証しています。農村の窮乏や社会大衆党の躍進に危機感を強めた青年将校が、軍備の飛躍的な増強を実現するため、それを阻む財閥、その具体的あらわれとしての高橋是清財政と元老・重臣を打倒し、戒厳令を施行して青年将校や軍部にとって都合のいい内閣を実現するというのが決起の目的だったというのです。
 ところが、刑死した北一輝は、政友会の実力者であった森格から5万円をもらい、三井財閥から年間2万円という大金をもらっていました。財閥に養われて自家用車をもち、お抱え運転手もいたというほどの優雅な生活を送っていたのです。だから、実際には財閥打倒どころではなかったのです。
 二・二六事件当時の青年将校の意識を知るうえで目を開かされる本です。

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