法律相談センター検索 弁護士検索
2003年10月 の投稿

『心』と戦争

カテゴリー:未分類

著者:高橋哲哉、出版社:晶文社
 福岡の小学校の通信表(通知表)に神社の絵があるなんて、知りませんでした。えーっ、と驚いてしまいました。「心のノート」をつくった主要なメンバーは、戦後の経済的繁栄は教育勅語のおかげだといっています。しかし、教育勅語で心の教育を受けたはずの人々が、あの侵略戦争の原動力になったのではないでしょうか?
 それにしても、いまの日本の報道は、なぜ、あんなにも画一的なのでしょうか。どの新聞も政府の統制を受けていないはずなのに、見事に共通パターンで大見出しも記事もつくられています。選挙が始まりましたが、小選挙区制の問題点にふれることもなく、ひたすら二大政党制による政権交代の可能性を追求し、弱者の視点からの報道を置き去りにしています。日本人に再び戦争への道を走らせる道具だてがつくられつつあることを実感させられる本です。

欺術

カテゴリー:未分類

著者:ケビン・ミトニック、出版社:ソフトバンク
 ケビン・ミトニックは「史上最強のハッカー」として有名だ。富士通もアメリカで被害にあっている。逮捕されて禁錮5年の実刑判決を受けた。2000年1月に連邦刑務所から出て、本年1月に保護観察期間も終了した。今では企業側に立ってセキュリティのコンサルタント会社を営んでいる。この本は、その立場で実戦的なハッカー対処法を明らかにしている。
 この本で紹介されている犯行の手口を読むと、たとえば、かかってきた電話の番号表示も簡単にごまかせることが分かる。アメリカの刑務所では、国選弁護人事務所とは直通電話回線がある(日本にはそのようなシステムはない)が、それを利用して受刑者が外部と自由に電話で話せるテクニックまで紹介されている。まさかと思う手口だ。コンピューターは便利なようで恐ろしいツールだと再認識させられた。

ニッポン人には、日本が足りない

カテゴリー:未分類

著者:藤ジニー、出版社:日本文芸社
 私はテレビを見ませんし、わが家にはテレビがありません。30年来のことですし、困ることはないのですが、ただ広告の話についていけないので当惑させられることがあります。この本の著者も「公共広告機構のテレビCMでおなじみ」とオビに紹介されていますが、私は見たことがありません。
 それはともかく、アメリカから日本の中学・高校の英語教師の助手としてやって来たアメリカ人女性が、スキー指導員の男性と知りあって結婚し、山形県の山奥の温泉旅館の女将として日本に定着したというのです。すごく勇気のある女性だとつくづく感心しました。彼女は今では和服も自分で着れます。また、それがとてもよく似合っています。そんな彼女から今のニッポン人には日本が足りないと指摘されると、なるほどと、ついうなずいてしまいます。山形県尾花沢市の銀山温泉です。団体客ではなく、個人のお客として行ってみたい温泉です。誰か行かれた方がありますか?ぜひとも泊まった感想を教えてください。

果てしなき論争

カテゴリー:未分類

著者:ロバート・マクナマラ、出版社:共同通信社
 720頁もあり、手にとるとズシリと重たい本だ(定価も3800円と高い)。マクナマラ元国防長官というと、団塊世代にとってはベトナム侵略戦争の立役者の1人である。その彼が1995年11月にハノイを訪問し、ボー・グエン・ザップ将軍と対談したというのだから、世の中は変わった。
 この本は、マクナマラ元長官たちがベトナム戦争について、ベトナム側の将軍たちと討議したことをふまえ、ベトナム戦争を総括しようとしたものだ。私としては珍しく2ヶ月ほどもかけて少しずつ味読した。
 大事なことは、過去というのは歴史家のためだけにあるわけではないということ。強さと持久力は、自分自身の歴史とつながりを持つことから生まれる。過去と未来は現在で均衡を保っており、人は自分自身の歴史に深く強く触れる範囲に応じて、将来を制御することができる。
 北ベトナムが正規軍の連隊を送って南の解放戦線を支援しはじめたのは、アメリカが北爆を開始して南に軍隊を送りこんだあとだった。1965年に北の3個連隊が中部山岳地帯に送りこまれ、11月にイアドラン渓谷でアメリカ軍と戦った。このとき、アメリカ兵は300人が戦死し、北ベトナム軍も少なくとも1300人の戦死者を出した。
 アメリカによる北爆によって、北ベトナムの戦意をくじいたどころか、民衆の怒りをかきたて、ますます政府のもとに結束を固めた。当時のベトナムには爆撃対象となるほどの工場はもともとなく、効果は薄かった。ホーチミンルートは複線のルートであり、いくらアメリカ軍が爆撃しても補給ルートを根絶やしにすることなど不可能だった。
 南の解放戦線の方が主戦派であり、北ベトナムは当初ずっとアメリカ軍との衝突を回避すべく南を抑えようとしていた。北ベトナムの統制力は決して想像されるほど強くはなかった。ところがアメリカ政府は、ずっと北ベトナムがすべての戦闘を指令していると考えていた。まったくベトナムを誤解していたのだ。
 アメリカが北ベトナムへ地上侵攻したときには、中国軍が直ちに反撃のためにベトナム内に入って反撃する密約が北ベトナムと中国のあいだで成立していた。そうでなくても現に20万人の中国軍工兵隊がベトナム内にいて、アメリカ軍の爆撃機を撃墜したりしていた。
 マクナマラ長官がベトナム戦争について教訓を引き出すためにベトナム側と対話するについてはロックフェラー財団の後援があったという。ベトナム後遺症は今回のイラク戦争にまで影響していると言われるアメリカならではのことだ。それにしても、かつての敵と真剣な対話をしてまで真実を明らかにし、教訓を引き出そうとするアメリカ側の努力には心うたれるものがある。ベトナム戦争はまだ終わっていない。

佐伯チズの頼るな化粧品

カテゴリー:未分類

出版社:講談社
 お化粧なんかに縁のない男の私がどうしてこんな本を読んだのか。もちろん、すべての女性に、いつまでも若々しく美しくあってほしいからだ。厚化粧で嫌な感じを与えるのも困るけれど、髪の毛はボサボサ、身なりを全然かまわないなんていうのは、もっと困る。
 朝のメイクは、これから始まる一日の戦闘服。この言葉を目にして、正直いってのけぞるほど驚いた。そうか、女性は、朝、家を出るとき戦場へ戦いに出かけるのか・・・、と。男性も家の外に7人の敵がいると言われているけれど、女性は、もっと多いのかもしれない。
 この本には化粧品のつかい方についてきわめて実践的な注意がたくさんある。技術的なことはさっぱり分からないので、紹介を省略する。気のついたところを2つのみ書き出してみよう。
 30代からのメイクには意外性は不要。求められるのは知性と清潔感、これに尽きる。・・・これはまったく同感だ。週に一度は、お肌の断食。家に帰るとすぐにメイクを落とし、休日は一切メイクをしない。・・・なんだか、よく分かる心境だ。
 著者は1日2人に限定した完全予約制の美容サロンを開設している。すごーく高いんだろうな、と思う。それにしても、高校を卒業して以来、水着を一度も着たことがなく、海水浴にもスキーにも行ったことがないというのだから徹底している。やはり、何事によらず、プロは違う。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.