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色を奏でる

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著者:志村ふくみ、出版社:ちくま文庫
 チャン・イーモウ監督の中国映画「英雄」を見ました。ストーリーもさることながら、色彩感覚の見事さに感嘆させられました。画面に眼が吸いつけられ、いっときも目が話せません。映画が終わってタイトル・クレジットを見ているとワダエミと日本人の名前が出てきて、あれっ、と思いました。パンフレットを買って読むと、たしかに日本人なのです。黒澤明監督の「乱」でアカデミー賞優秀衣装デザイン賞を受賞した衣装デザイナーだそうです。赤い色の服を54もの彩度に分けて染色工場でつくり出していくなど、信じられない話が書かれています。
 この本は、映画とは全然関係ありません。植物染料による染色が紹介されています。どんな色が出るか、それは草木まかせ。化学染料は脱色できるが、植物染料は脱色できない。キラキラ生き生きと眩しいばかりに輝く染めた糸の写真を見ると、布もいいなあ、さわってみたいものだなあと思います。

新・日本永大蔵

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著者:船橋晴雄、出版社:日経BP社
 創業以来、1400年以上という古い会社(金剛組)が大阪にあります。信じられない古さです。キッコーマン醤油は340年前。江戸時代から生き残っている会社がいくつもあるというのも驚きです。あの虎屋は戦国時代創業のようです。1本4800円の大棹羊羹はずしりとした重さで、さすがに一味二味ちがいます。そんな由緒ある企業の生き残り秘策が紹介されています。
 『会社の寿命』(日経新聞社)という本を読んで、会社にも寿命があることを知って驚いたことを思い出しました。

ケルトの木の知恵

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著者:ジューン・ギフォード、出版社:東京書籍
 サンザシは、エロチックな香りを放つそうです。女性の性的な分泌液の匂いを思い起こさせるとのこと。性欲を目覚めさせ、生殖能力を高めるといいます。えっ、サンザシってどこにあるんだろう。中年を自覚する私は周囲を見まわしてしまいました。
 シラカバは短命で80年、オークの寿命は1000年。しかし、イチイはなんと9000年。ホントかな・・・。ヤナギは、ときには理性も分別もかなぐり捨てて、心ゆくまで涙に暮れることも必要だと教えている。
 イギリスの先住民ケルト人の文化を、そこに生え育つ木々を見事な写真で紹介しながら説明した本です。頁をめぐりながら心やすまるひとときでした。

何をやっても癒されない

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著者:春日武彦、出版社:角川書店
 著者は産婦人科医として大学病院に6年間つとめたあと、精神科医になりました。なぜか?
 わたしをうんざりさせたのは、世の中にはいかに身勝手な人たちや「いい加減」で卑しい人たちが多いかという事実であった。子どもを道具か、せいぜいバービー人形程度としか捉えていない親の多さに呆れてしまった。こんな親たちの安易な発想や無分別な衝動に加担することに、わたしはつくづく嫌になった。分娩に立ち会った医師として「おめでとうございます」と言わねばならない。自己欺瞞も限界に達した。
 なるほど、なるほど・・・。納得した。
 それぞれの医者には、それぞれ特有のトーンをもった患者さんが集まるという経験的事実がある。これは、そっくりそのまま医者を弁護士におきかえてもあてはまります。心という不思議を考えさせてくれる精神科医によるエッセーです。

日本に治安は再生できるか

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著者:前田雅英、出版社:ちくま新書
 著者は団塊の世代の刑法学者。「大人は犯罪をあまり犯さない国、日本」がついに崩壊しはじめたという警告の書。これまで、日本は治安の良さを誇ってきた。浴衣姿の若い娘が1人で夜道を銭湯に通っているのを見て外国人が驚く。今や、そんな光景が神話となりつつある。刑務所などの行刑施設に、定員6万5千人を上まわり、6万8千人が収容されている。女性も増え、3千人をこしている。覚せい剤事犯の2割は女性だが、実は10代では男女半々になっている。刑務官は1万5千人で、10年前に1人あたり3人だったのが、今では5人を受けもっている。それもあって、所内の暴行・傷害は5年間で3700件から6400件に増え、懲罰件数も2万6千件から3万7千件へと増えた。日本でも外国並みに刑務所での囚人暴動がいつ起きても不思議ではない状況になっている。
 ともかく犯罪が増えている。とくに外国人と女性が増えた。1年間に検挙される32万5千人のうち20万2千人が送検され、12万人あまりが警察で放免される。被告人は5万人にみたないが、判決は重罰化の傾向にある。
 犯罪の検挙率は急激に低下し、2割を切った。とくに強盗罪では5割を切ってしまった。
 凶悪犯罪の増加が目立つ。強盗は10年間で3倍になった。強制わいせつもそれに近く、166%贈。絶対数の多い窃盗も1.5倍になった。来日外国人の犯罪が増えている。強盗の5割以上が中国人で、4分の1がブラジル人。そして強盗の4割は少年。いろいろ考えさせられる衝撃的な問題提起の本だと受けとめた。

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