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決闘裁判

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著者:エリック・ジェイガー、出版社:早川書房
 中世騎士道と裁判の本質を問い返す、大変面白い本でした。うむむ、なるほど、で、一体、この決闘裁判はどうなるんだろうと、思わず頁をめくる手が速くなりました。
 フランスでは、当時、宿敵イングランドとの1世紀に及ぶ「百年戦争」のさなかにあった。たび重なる出兵、遠征。戦争が長引き、黒死病(ペスト)が猛威をふるった。死がすぐ隣りあわせにあった陰鬱な封建時代だった。だからこそ、フランス国王を筆頭に、諸侯や庶民までが「決闘裁判」を壮麗かつ壮絶な見物として楽しみにした。
 中世は訴訟がよく起こされた時代であり、とくにノルマンディの貴族は訴訟好きだった。それでも、ノルマンディの一介の家臣が、伯爵の決定に対して高等法廷に訴訟を起こしたなど、誰も聞いたことがなかった。
 事件が起きたのは、1386年1月。カルージュ夫人が、主人の留守に、有力な騎士ル・グルに強姦された。中世の法典と裁判によると、強姦は重罪であり、極刑に値する罪であった。しかし、強姦の被害者の多くは、他言すれば恥をかいて不名誉な思いをするのはおまえのほうだと脅され、犯罪を公表することで家族や自分の評判に傷をつけるよりは、沈黙を守るほうを選んだ。そのため、法的には強姦は重罪になるはずなのに、現実には強姦した男は罰せられず、訴えられることもないことが多かった。
 カルージュはル・グルを訴えたが、ル・グルは否認する。そこで決闘裁判になった。
 フランス法の下では、国王に上訴する貴族の男性には、相手に決闘裁判を申し込む権利が認められていた。つまり、決闘によって裁判をおこなう。決闘は、侮辱と認められたものについて名誉を守るべく行われたもの。決闘裁判は、当事者のどちらが偽誓したかを決定する正式な法手続きだった。これは古来の習慣だった。民事事件であれば、決闘代理人(チャンピオン)を立てることができた。しかし、刑事事件では、本人同士が闘わなければいけない。敗者への罰は死。
 1200年ころ、フランスでは民事訴訟では決闘はなくなり、刑事訴訟でも、決闘裁判ができるのは、貴族の男性のみに限られた。
 1296年、国王フィリップ4世は、戦時中の決闘を完全に禁じた。1306年、ある種の刑事裁判における上訴についてのみ、決闘裁判が復活した。
 決闘にのぞむ騎士たちは、槍、斧、剣などの武器を手にして盾をかまえ、軍馬に乗って闘う。負けると命を失うだけでなく、家族も敗北の汚辱をこうむる。決闘は当事者同士の闘いであるだけでなく、家同士の闘いでもあった。
 決闘の場には、1本の槍、2本の剣、1本の斧、1本の短剣を持ちこめる。日没までに決着がつかないときには2日目も続行しなければならない。数千人の大群が、修道院の庭に見物につめかけた。
 国王は、もっとも地位の高い見物人であるだけでなく、法律により裁判長でもあった。パリ高等法院は国王の名のもとに決闘裁判をおこなっており、シャルル国王は、神の聖別により、採決を下す、最高の君主かつ判事として行動する。
 決闘裁判は、観衆の声援や野次で邪魔される、騒々しい娯楽ではなかった。見物人は、ほとんど息もつけないくらい押しだまっていなければならなかった。
 決闘が始まったら、二人は、容赦なく、しかも規則もなしに戦う。背中から突き刺そうが、砂をかけて敵の目を見えなくしようが、馬から突き落とそうが、まったくかまわない。騎士道精神なんて、まったく問題にならない。
 決闘で殺されたほうは、絞首台へ引きずられ、有罪を宣告される。そして死刑執行人のもとへ運ばれる。財産も没収される。
 決闘で敗北したとき、「被害者」の女性も嘘つきであることが立証されたことになる。虚偽の告発は厳しく罰せられる。火あぶりの刑に処せられるのだ。
 さあ、この二人の決闘はどうなったでしょうか。果たしてカルージュ夫人は火あぶりになるのでしょうか。ハラハラドキドキです。映画にもなるそうです。フランス映画でしたら、フランス語の勉強のためにも見るつもりです。
(2007年11月刊。2100円+税)

脳と心で楽しむ食生活

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著者:家森幸男、出版社:NHK生活人新書
 世界25ヶ国、61地域をまわって、のべ1万6000人の血液と尿そして食事のサンプルを集めたというのですから、すごいものです。
 男女間の平均寿命は8年以上あるが、その差は心筋梗塞にかかる率と関係が深い。だから、大豆や魚を毎日しっかり食べることで寿命をのばすことができる。
 楽天的に生きる人は、そうでない人に比べて、心臓死に至る確率は45%しかない。ナンクルナイサーと沖縄では言うそうです。なんとかなるさの精神が大切なんです。
 脳梗塞が起こりやすくなったのは、高脂血症や糖尿病が増えたため。
 脳卒中と食事との関係を調べるため、100%脳卒中を起こすラットをつくりあげたそうです。そのために5000匹のラットが飼える研究室をつくったというのですから、学者の世界も大変ですよね。5000匹ものラットを飼っている状況を想像すると、ゾクゾクしてきます。
 100%脳卒中を起こすラットに食塩を与え続けると、100日以内に確実に脳卒中になる。ところが、一緒に大豆や魚などのたんぱく質を与えておくと、脳卒中にならずに長生きすることができる。
 コレステロールは多すぎても問題だが、少なすぎても体に悪影響を及ぼす。
 長寿国のグルジアでは、肉はゆでたり蒸したりして脂肪分を除いて食べている。また、塩でなく香辛料をつかう。そして、グルジアでは、とにかくヨーグルトをよく食べる。朝昼は、ドンブリ一杯ほどの量。ヨーグルトは、乳糖が乳酸になっているので、お腹にやさしく、栄養分の吸収が良く、カリウムもとれる。
 長寿のマサイ族の食生活は食塩がなかった。そして、ひょうたんに牛の尿とすすを入れたうえで牛乳を注いで、ヨーグルトをつくり、1日に3リットルも飲んでいる。これで、ナトリウムのほかカリウム、カルシウム、マグネシウムもとっている。
 さらに、牛の首を刺して血をとり、発酵乳に混ぜて飲む。血を飲んで鉄分を補給し、ビタミンCをとる。マサイ族は食塩をとらないから、その汗がしょっぱくない。ふえーっ、そうなんですか・・・。
 ブドウやナッツやザクロにはポリフェノールが含まれているので、身体にいい。
 塩分を過剰にとっているチベット人は50代に亡くなるので、60歳以上は少ない。しかも、突然死が多い。これは心筋梗塞が多いということ。
 魚のタウリンをわずかとるだけでも、血圧を下げ、脳卒中や心臓死を予防できる。
 日本の女性は心臓死やがんによる死亡率が世界一少ないので、全体の死亡率を下げ、長寿になっている。
 糖質制限食をなんとか続けています。お米、めん、パスタは、なるべく食べないようにしていますが、知らない店に入って昼食をとろうとするときが困ります。ご飯を全然食べないと不審がられても困りますので、三口ほどは食べることになります。
 一ヶ月ほどたち、今、なんとか66キロ台に突入することができています。70キロになろうとしていたことからすると、3キロはやせたことになります。お腹が空きますので、そんなときには緑茶を飲んでごまかします。コーヒーも砂糖とミルク(植物性油のまがいもの)は入れないようにしました。目標の65キロ台になるまで、引き続きがんばるつもりです。
 本日が御用納めです。新年は1月7日から始めます。皆さん、どうぞ良いお年をお迎えください。新年が世界と日本の平和にみちた年になりますように・・・。
(2007年9月刊。700円+税)

いつまでもデブと思うなよ

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著者:岡田斗司夫、出版社:新潮新書
 1年で50キロの減量に成功したというのです。すごいことです。写真をみたら、ますますそのすごさが分かります。48歳で体重117キロが67キロになったというのです。ちょうど、今の私の体重になったわけです。私は70キロになりそうでした(胴まわりが2センチも増えてしまいました)ので、減量につとめています。65キロにまで落とすのを目標としています。
 絶食したわけではない。脂肪吸引もしていない。スポーツジムにも通っていない。特別のサプリメントも飲んでいない。それで、50キロの減量に成功した。なぜ?
 ダイエットをはじめた1年間について、辛いことより楽しい思い出の方が多い。これは負け惜しみではないようです。ダイエットに成功したことにない人には分からないかもしれない。でも、ガンガンやせていくにつれて変わっていく自分。変わっていく周囲の見る目。このうえなく楽しく、エキサイティングな体験だった。
 とくに週1キロずつ減りはじめた3ヶ月間の変化は想像を絶した。どんどん体が軽くなっていく。走っても息が切れない。階段を駆け上がれる。まるでスーパーマンにでもなっていく気分だ。若返るとは、こういうことかと感動の毎日だった。
 いやあ、すごいですね。ぜひ、私もその感動を味わいたいものです。
 成功するダイエットは楽しい。
一つ目、なぜ始めると、注目され、急にもてるようになる。
二つ目、自分に自信がつく。
三つ目、他人からの評価が変わる。「デブがなに言ってるんだ」という反感が消える。
四つ目、自分の人生をコントロールできる。
 今は、見た目主義社会である。家柄や学歴より、見た目が重視される。
 ダイエットの第一段階、助走は、記録をつけること。朝・昼・晩そしておやつも何を食べたか記録する。体重も毎日のように計る。これだけで、5ヶ月間に10キロも体重が減った。
 第二段階は、カロリー計算する。まだカロリー制限しなくていい。
 第三段階でカロリー制限する。たとえば、王族のような食事をする。えっ、何?贅沢する。もったいないとは考えない。食べたいものの、真ん中、一番いいところだけ食べて、あとは捨ててしまう。
 平均1日1500キロカロリーを実現する。毎日、水を2リットル飲む。そして、低カロリーでおいしく食べられるものをいくつかもっておく。これが勝負だ。
 サプリメントの代わりに著者がすすめているが、ミネラル豆乳ダイエット。豆乳200cc、野菜ジュース200ccを混ぜて、朝食がわりに飲む。これを飲むと、不思議に食欲が抑えられるそうです。私も今度ためしたみることにしましょう。
 もう少し食べたいな、というところで食べるのをやめる。10分ほどたつと、ちょうど満腹になる。ちょうど満腹というところまで食べてしまうと、10分たつと食べすぎでちょっと苦しくなる。満腹感を出すセンサーは胃袋の上部にあるので、満腹サインは10分ほど遅れて出てくる。
 太っている人は、常に頭だけの食欲に忠実に生きている。しかし、身体からの食欲には無頓着だ。スリムな人は、身体の食欲に忠実に生きている。ダイエットをすすめると、食べ物の好みが変わってくる。これは、身体のかすかな欲求を感じているということだ。
 そう。食べるときの注意は、身体が求めなくなったら、そこでストップするということ。ひとくち食べるたびに味わい、自分はあとひとくち、本当に食べたいだろうかと感じながら食べるのだ。欲しくなくなったら、食べるのを止めればいい。それでダイエットは完成する。
 このダイエットは、人生そのもののコントロールと同じこと。当たり前のことを当たり前に繰り返す。なるほど、なるほど。すごく合理的な発想なのに、すっかり感心してしまいました。
(2007年8月刊。700円+税)

高学歴ワーキングプア

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水月昭道
ISBN:9784334034238
私が大学生だった15年前、大学院というのは理系の学生が修士号をとるために行く場所でした。文系の学生は大学に研究者として残る者しかおよそ通わない場所でした。ところが、いまやたくさんの就職浪人が大学院で生み出されているそうです。自分もその被害者だということで感情的な文章ではありますが、実態を世間一般に告発するために新書を使った点は評価すべきでしょう。ノラ博士はあと数年後に確実にロースクールからも出てきます。甘言に惑わされた若者達の行く道はいずこにあるのでしょうね

ジョルジオ・アルマーニ

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著者:レナータ・モルホ、出版社:日本経済新聞出版社
 ブランド品など、とんと縁のない私ですが、その名前くらいは知っています。アルマーニって、どんな人物なのかなと思って読んでみました。ずい分前にグッチについても本を読んで、この書評に紹介したように思います・・・。
 アルマーニは、イタリア北部の決して裕福とはいえない中産階級に生まれた。1934年7月11日、アルマーニは国立ミラノ大学医学部に入学し、3年で退学した。一兵卒としてシエナの工作部隊に入隊し、医療班に所属する。兵役を終えて、建築家のアシスタントになる。アルマーニは百貨店で、さまざまな仕事をこなした。そこで人々の望むものを見きわめる鋭い感覚を身につけた。そして、世の中が必要としているものの一歩先を読むことも。生来の観察眼の鋭さが、アルマーニの強力な武器となった。
 ふむふむ、そうなんでしょうね。同じものを見ていても、凡人のボンヤリした目では見えないものが、天才には見えているというわけなのでしょう。
 この本には、アルマーニの幼いころから現在に至るまでの写真が満載されていて、その仕事と生活の様子をイメージすることができます。
 アルマーニは、経営部門を担当した男性と同棲していました。つまり、ゲイだったのです。なぜか、芸術家にゲイの人々が多いですよね。それって、関連性があるのでしょうか。それとも単なる偶然なのでしょうか。
 アルマーニにとっては、仕事こそが人生そのものであり、プライベートとの区別はない。華やかさとは無縁の日常生活を過ごし、毎朝9時にオフィスに入る。アルマーニは俗世間とのつきあいを嫌い、無類の整理整頓好きだ。
 アルマーニは、アメリカ人のイタリアについてのイメージを一新した。それまでは、薄暗く、苦悩にみちた、高潔だが貧しい、というものだった。そんなネガティブなイタリア人についてのイメージが突如として霧散し、エレガンス、グラマラス、見るものをうならせる才能という、まったく正反対の価値観にとって代わられた。
 安物の旅行鞄ひとつでやってきた、運命に任せるしかない無学な移民というイメージが消え、美的感覚と創造性に圧倒的に勝る国というイメージがアメリカに浸透した。
 アルマーニは、意外なアイテムを組み合わせる。スーツのボトムにレザーパンツをもってくる、ロングジャケットにショートパンツを組み合わせる。ジャケットの上にベストを重ねる。生地の特性を最大限に生かす感性。ユーモアあふれるディテールや奇想天外なシンメトリー感、驚くような素材をつかって伝統的な形を新しいものに仕立てあげる。着こなしにもたらされた自由。なんといってもアルマーニの服は着心地がいい。
 ふーん、そうなんですか・・・。アルマーニなんて一度も着たことがありませんから、それがどんなことなのか、よく分かりません。
 アルマーニと仕事をするには、忍耐力、自己犠牲、情熱という資質が求められる。アルマーニはチームを組んでの仕事を理想とする。終始なごやかなチームというのではなく、活発な議論のできるチームを望む。
 アルマーニは、ミスをする人間に対して寛容ではない。過ちは決して許されない。
 アルマーニの発想のなかには日本の影響もある。北斎の浮世絵や広重の風景画にえもいわれぬ魅力を感じる。
 いやあ、すごいですね。イタリア人のアルマーニに日本の浮世絵の影響があるなんて、信じられません。
 アルマーニの最大の長所は、自分のアイデアをとことんまで信じること。本能的な勘に逆らうと、その決定は必ず裏目に出る。いつだってそう。自分の着想のほうが正しいという確信をもっている。それがアルマーニの強みだ。
 いまや、アルマーニ・グループは従業員4900人、13の製造工場をもち、売上高が14億2800万ユーロに達するモード界屈指の大企業である。
 すごいことですね。やはり発想が根本的に凡人とは違うのでしょうね。
(2007年7月刊。2800円+税)

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