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クライマーズ・ハイ

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著者:横山秀夫、出版社:文芸春秋
 面白い。これぞ小説の醍醐味だ。読みはじめるや否や、すぐ地方紙の社会部記者になったかのように、日航機墜落事故を追う重苦しい雰囲気に浸ることができた。
 1985年8月。いったい、あのとき自分は何をしていたのか、今ではもう思い出せない。もちろん福岡で弁護士をしていて、ときどき飛行機で上京していた。だから、大阪行きの飛行機が落ちたことを知って、ヒヤッとしたことを覚えている。でも、相変わらず飛行機には乗っている・・・。
 地方新聞の内部の葛藤が描かれ、スクープ合戦と販売部門との対立抗争が見事なまでに生々しく暴かれる。日航機事故という大惨事を売りものにしようとするジャーナリズムの限界を知り、苦悩する記者魂にぐいぐいひきこまれていく。記者の生き甲斐とは何なのか。

シンポジウム・三角縁神獣鏡

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出版社:学生社
 景初3年6月に卑弥呼の使いが魏の帯方郡に到着して朝見を願い出た。帯方郡では役人を同行させて都の洛陽に出かける。景初4年、卑弥呼は朝貢し、親魏倭王に封ぜられ、銅鏡百枚を授けられる。いま 日本各地に出土し、中国本土には出土しない三角縁神獣鏡が、その「銅鏡百枚」なのか、長年論争されている。中国でつくられた、いや日本でつくられた、中国の工人が日本でつくったもの、いくつもの説があり、まだ決着がついていない。
 この本は、鏡の部分を拡大して、その違いを説明しながら、論点を整理していて、大変勉強になった。

ベトナム症候群

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著者:松岡完、出版社:中公新書
 アメリカは1975年のベトナム撤退に至るベトナム戦争での苦い敗戦(戦死者5万8千人)の後遺症を今に引きずっていると言われています。
 クリントンもブッシュも団塊の世代ですが、いずれもベトナム戦争をうまく逃れています。このこと自体がアメリカでは強く批判されてきました。
 アメリカで軍隊は大衆の支持を受けている。しかし、同時に反軍感情もアメリカの伝統である。アメリカ軍将校に対する国民の評価は銀行強盗よりましという程度だった。この本にはそう書かれています。うひゃー、そうだったのか・・・。
 ベトナム戦争への徴兵に従わなかった者は57万人、うち起訴された者は2万5000人、有罪判決を受けた者は9000人。実際に処罰されたのは3000人。そんなに徴兵逃れした者がいたのか・・・。豊かな家庭の子どもほど戦場に行かずにすんだんだ・・・。
 戦争体験のない者ほど好戦的だというのは本当のように思います。イラク戦争のときもそうでした。日本でも、自民党の主戦論者は40代の若手に多く、かえって戦争体験のある後藤田氏や野中氏は平和憲法を忘れるなと叫んでいます。
 イラクに自衛隊を派遣して、イラクの人々を殺したり、日本人が殺されたりする危険が迫っています。なんとかしてやめさせたいと歯ぎしりする思いです。

江戸の旗本事典

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著者:小川恭一、出版社:講談社文庫
 著者は有名な江戸研究家の三田村鳶魚の最後の弟子です。ですから、江戸時代の実相がことこまかに紹介されています。なるほど、なるほど、とうなずくほかありません。
 「丈夫届」というものを初めて知りました。出生届のようなものですが、江戸時代は、幼児の死亡率が高かったので、すぐには幕府に出生を届けず、何年かたって丈夫に生長しているということで届けたというのです。しかも、そのとき「公年」といって、本当の年齢(とし)よりも5歳ほど年長に届け出ていたのです。それは、当主が17歳未満で死ぬと養子が許されずに絶家となるから、その危険を避けるためでした。
 もうひとつ。武家社会のいじめにあった被害者が殿中で刀を抜いて3人を殺し、2人に傷を負わせました。ところが、いじめの張本人は無傷で逃げおおせてしまいました(あとで、御役ご免の処分は受けています)。旗本8万騎といっても、実数は5千人ほどだったことなど、江戸時代の一面をよく知ることのできる便利な本です。

伝記・正岡子規

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出版:松山市教育委員会
 秋晴れのさわやかな日、久しぶりに松山城にのぼりました。リフトに揺られ、心地よい秋風を全身に受けとめ、下界をはるかに見おろし、しばし憂き世の些事を忘れました。
 道後温泉の一角にある子規の半生に触れることができました。子規がベースボールを愛好していたこと(最近、野球の殿堂に飾られたとのこと)、東大予備科に入り、そこで知りあった夏目漱石と同じ家に下宿していたことも初めて知りました。
 15歳で野心に燃えて上京した子規です。私も18歳のとき、大いなる期待に胸をふくらまして上京しました。残念なことに、たちまち巨大都市・東京には幻滅させられてしまいましたが・・・。子規は病気とたたかいながら、俳句そして短歌の革新を目ざしました。その感覚の鋭さと命をかけた努力ぶりには頭が下がります。春や昔15万石の城下かな

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