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日本の阿片王

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著者:倉橋正直、出版社:共栄書房
 戦前、ケシの栽培と普及に一生をかけ、日本だけでなく、中国・台湾・朝鮮にまで渡って指導していた1人の日本人がいた。その名を二反長音藏(にたんちょう・おとぞう)という。この本は、日中戦争と阿片の関係を見事に解明している。
 100万の大軍を8年もの間、中国大陸に派遣し続けることは、日本の歴史はじまって以来の未曾有の大事業であった。それに要する費用は、当然、莫大なものとなり、日本にとって予想外の負担であった。日中戦争の本質は、まさに「片手に剣、片手に阿片」による侵略戦争であった。阿片政策がなければ、8年もの長期間、100万の大軍を中国大陸に派遣し続けることなどとうてい不可能であった。すなわち、日中戦争を裏方の財政面で支えていたのは阿片政策であった。阿片を吸うという中国民族の弱点に食らいつき、骨までしゃぶり尽くす。これが日本の阿片政策の真髄だった。1930年代、日本は、モルヒネ・ヘロイン・コカインの生産では、ダントツの世界第一位だった。世の中、本当に知らないことだらけですね・・・。

オランウータンの不思議社会

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著者:鈴木晃、出版社:岩波ジュニア新書
 オランウータンはボルネオとスマトラにしかいない大型類人猿です。オランウータンとは、マレー語で「オラン」がヒヒ、「フタン」が森の意味ですから、「森のヒト」ということです。ですから、オランウータンは決して「一匹」などと呼ぶべきではありません。一頭、いや一人と呼ぶべき存在です。今や、絶滅に瀕していますが、それも人間、とくに日本人のせいなのは残念です。
 オランウータンは密林のなかで単独生活することを基本としていますが、孤立して生活しているわけではありません。オスとメスは森のなかに「デート・スポット」というべき出会いの場があり、交尾し、繁殖します。その交尾は、ほとんどお腹とお腹をつきあわせた前向きの姿勢(いわゆる正常位)、メスの方があお向けに寝ころんですることが多いそうです。チンパンジーの交尾時間が2〜3分、ゴリラが数分から長くて8分間というのに、オランウータンは25〜40分間、長いと1時間に及ぶものもあります。
 オランウータンの子育ては実に愛情たっぷりで、6〜8歳まで母親が子どもの面倒をみます。それまでに、どの樹種から、どうやって食物を手に入れるのか、母親から学ぶのです。ですから、母親と一緒に育っていないオランウータンの孤児を、いきなり森に戻してやっても、その子は森で生きていくことができません。ボルネオ島の熱帯雨林を守るのは、それを破壊し続けてきた日本人の責任だとつくづく思いました。

雑草博士入門

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著者:岩瀬徹、出版社:全国農村教育協会
 花や野菜を育てるときの敵は、日照りとあわせて、雑草です。とくに夏の雑草取りは大変です。でも、この本を読むと、雑草も可愛いらしい花を咲かせていることが分かります。
 たくましさが違います。踏まれても叩かれても、どんなにしても生き延びようとする雑草には感嘆するしかありません。そういえば、大牟田出身の労働者作曲家である荒木栄には「雑草(あらぐさ)の歌」という傑作がありました。
 コニシキソウ、スズメノカタビラ、メヒシバ、ホトケノザ、コハコベ、オオバコ、タンポポ、カヤツリグサ・・・。たくさんの雑草がわが家の庭にもたくましく育っています。

王朝びとの恋

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著者:西村亨、出版社:大修館書店
 源氏物語をベースにして平安朝の貴族の人々の恋愛や結婚などを取りあげた本です。でも、私がこの本を読んでもっとも驚いたのは、実は「おてもやん」でした。
 おてもやん あんたこの頃 嫁入りしたではないかいな 嫁入りしたこたしたばってん 御亭どんが菊石平だるけん まあだ盃やせんだった 村役鳶役肝入りどん あん人たちのおらすけんで あとはどうなときゃあなろたい
 もちろん、よく知ったセリフです。この菊石平(ぐじゃっぺ)とは、「あばた」を意味します。そして、「おてもやん」とは、つくね芋を意味する手芋のことだそうです。「春日南瓜(ぼうふら)どん」とか「げんぱく茄子(なすび)のいがいがどん」というのと同じように、野菜の世界を歌っているのです。なるほど、そうなのか、と手をうってしまいました。ヨバイは、好色な卑猥なものという理解があるが正しくないとも指摘されています。なんのやましさもないヨバイがあり、公然たる社会生活の一端だったのです。たとえば、飛騨の白川村では結婚を認められるのは長男だけ。どこの家でも、家の娘が生んだ子どもはいるが、息子たちの子は他家で育っていました。女ヨバイもあったといいます。
 末摘花は大変な醜女だったので、光源氏は、興ざめして近寄らなくなった。でも、彼女が飢え死にする寸前、光源氏が再会して救ってやった。源氏物語に、そんなストーリーがあったことを改めて認識しました。
 相見ての後の心に比ぶれば 昔はものを思はざりけり  (拾遣集)
 見ずもあらず 見もせぬ人の恋しくは  あやなくけふや ながめ暮らさむ (在原業平)

評伝・岡潔

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著者:高瀬正仁、出版社:海鳥社
 日本の近代数学の第一人者・岡潔の生い立ちからフィールドワークで綿密にたどった大著です。542頁もあって、難しい数学の話もありますので、そのあたりはいつものように適当に飛ばし読みしました。
 岡潔は、私が中学2年生のころ、『春宵十話』というエッセイ集を出して人気を集めました。私がその本を読んだのは中学3年生か高校1年生のころでした。分かりやすくて、眼を開かせる文章だったので、とても感心したことを今もよく覚えています。対談集『人間の建設』は高校2年生のときに読み、これまた感激しました。天才数学者ですが、狂気に走ったこともあることを、この本で初めて知りました。岡潔35歳、広島大学の助教授のとき、「発狂して強盗事件を起こして」脳病院に収容されたのです。あんまり根をつめて考えると気が狂うこともあるのでしょう。
 岡潔といっても、50歳以下の人にはあまりなじみがないことでしょうが、先の2冊を読んで感銘を受けた人には天才の生きざまを知る手がかりとなる本です。

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