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おい、ブッシュ、世界を返せ

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著者:マイケル・ムーア、出版社:アーティストハウス
 『アホでマヌケなアメリカ白人』(柏書房)に続く第2弾です。鋭い舌鋒でブッシュ大統領を追求していく様が小気味よく、胸がスーッとしてきます。マイケル・ムーア監督の『ボウリング・フォー・コロンバイン』も考えさせる、いい映画でした。
 ブッシュ一族は、ビン・ラディン一族とビジネス上の深い関係があり、あの9.11の数日後にビン・ラディン族一族24人をアメリカから緊急出国させたなんて、とても信じがたい話です。
 イラクに大量破壊兵器なるものがなかったことはアメリカ占領後、半年間かけて念入りに捜索したCIAの責任者が明言したところです。では、アメリカのイラク侵攻はいったい何を根拠としたものだったのでしょうか?間違いはただされなければなりません。日本政府もイラクへ自衛隊を派遣する前に、はっきりした声明を出す責任があると思います。
 キューバにあるアメリカのグアンタナモ基地には、アフガン戦争で捕らえられた捕虜680人が今も収容されています。弁護士もつかず、裁判にかけられることもなく、無期限の収容なのです。本当にアメリカは無法な国だと思います。
 ところで、アメリカには「死んだ小作人の保険金」とか「死んだ門番の保険金」と呼ばれるものがあることを知りました。企業が従業員にこっそり生命保険をかけていて、従業員が死んだら会社が高額の保険金を受けとるという、日本でも問題になっているものです。会社が従業員の死によって不当にもうけるのは許せないことだと思います。従業員の遺族に渡すべきお金だと私は思います。日本の裁判所も、最近は少しずつ理解を示してはいますが、まだまだ会社の利益を優先させる考えが根強いようです。

レーニンをミイラにした男

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著者:イリヤ・ズバルスキー、出版社:文春文庫
 衝撃的な写真がいくつもある本です。まずは病床のレーニンという写真がすさまじいのです。よく知られた精悍なレーニンではありません。レーニンはアテローム性動脈硬化症と2年にわたって壮絶な闘いをしたそうですが、病んで疲れ果てたレーニンの、いかにも精気のない顔には、ただただ哀れみを感じるばかりです。
 レーニンも、妻のクルプスカヤも遺体の保存は望んでいませんでした。ところが、レーニンが死んだその晩には遺体の永久保存が決定されています。そして、専門家が呼び集められました。苦心惨憺のすえ、永久保存に成功するのですが、これは放置しておいていいというものではなく、絶えず手を入れなければならないのです。専門家は特別待遇で優遇されました。著者は親子2代にわたってレーニンの遺体保存に関わってきました。
 スターリンも、ディミトロフも、金日成も、そしてホーチミンも、ロシアの専門家たちによって遺体が保存されました。やはり偶像崇拝ですよね。レーニンの遺体も、本人が生前に希望したとおり、埋葬すべきものではないでしょうか。ロシアでは反対が強いそうですが・・・。
 そして、次に驚く写真がロシア・マフィアのお墓です。ロシア最大のマフィア組織「ウラルマッシュ」のメンバーの墓が立ち並ぶ墓地があるのです。黒く大きな(高さが3メートルあるのもあります)墓石には、等身大で故人の生前の姿が彫られています。平均年齢35歳というマフィア・メンバーの墓は腐敗するロシアのまさに象徴です。ひどいものだと思いますが、ヤクザに取りしきられている日本も、他人事(ひとごと)みたいに笑う資格はないかもしれません。

明治日本の女たち

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著者:アリス・ベーコン、出版社:みすず書房
 明治日本で英語を推していたアメリカ人女性による日本女性論です。
 今でも日本人は、結婚生活を必ずしも一生のものとは考えていない。夫と妻の双方から結婚を解消することができる。庶民は離婚に対して強い抵抗感もないので、結婚と離婚を幾度も繰り返す男性は珍しくない。女性だって、一度や二度離縁されても、再婚や再々婚することはしょっちゅうある。上流階級でも離婚は珍しくない。
 驚くべきことは離婚の数の多さではなく、お互いのことを誠実に深く思いやる幸せな夫婦がたくさんいることである。実際の生活では、妻は夫の収入をあずかり、家計を管理していることが多い。
 ここに書かれているように、明治日本こそ離婚率は最高だったのです。いま離婚率が増えたと騒いでいますが、明治日本の足もとにも及びません。明治日本の女性は忍従するのみだったというのは間違った思いこみです。

呪医の末裔

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著者:松田素二、出版社:講談社
 ケニアにある一族4代の生きざまを日本人の学者が丹念に追って紹介した本です。アフリカの社会の内側をのぞき見した思いがしました。
 アフリカ大陸は今、深刻な危機にあります。たとえばHIVです。2850万人がHIVウイルスに感染し、これまでに1100万人のエイズ孤児が生まれ、今後20年間のエイズによる死者は5500万人と予測されています。ボツワナでは全人口の40%がPWH(HIVとともに生きる人)だというのです。ケニアでも220万人が感染しており、これは全国民の9人に1人の割合です。
 ケニアのアフリカ人は定住民というより、漂泊の民でした。結婚するにしても、マーケットや水場の近くで若い男が女性を見つけて、すぐ一緒に生活をはじめることが珍しくない。女性の両親からすると、あるとき市場に出かけた娘が突然に行方不明になるわけですが、大騒ぎはしません。村の日常生活において、それは「結婚」の可能性がもっとも高いからです。そのうえで、婚資の交渉が双方の一族のあいだで始まります。たとえば牛10頭の一括払いで話がまとまります。
 白人のもとでサーバントとして働くことがあります。そのときの考えは、白人の世界とアフリカ人の世界はまったく別物で、無効の世界はワシたちの世界ではない。だから、そこで何が起こっても、ワシたちの世界には関係のないこと。そう思っているからこそ、長く勤めることもできる。同じ世界に生きていると思えば腹もたつ。しかし、都市化がすすむなかで、社会が停滞し、後退していった。ぎりぎりの生活をしている者同士での寛容の心をもてなくなってしまった。
 身内が死んでお葬式をしたり遺体を引きとるについても、金銭のトラブルから、いがみあうようなことまで起きているのです。こんなことは昔はとても考えられなかったことです。ケニアの大草原でライオンを見てみたいと思いますが、都会のジャングルはもっと怖いところだとしみじみ思いました。

砂漠の戦場にもバラは咲く

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著者:姜仁仙、出版社:毎日新聞社
 ソウル大学を卒業し、ハーバード大学で学んで韓国人の女性記者がイラク戦争に従軍したときのルポです。
 アメリカはイラク戦争のとき、600人の記者を同行させました。うち、13人が死亡しています。すごく高い比率です。25万人のアメリカ軍兵士が5400人も死んだ勘定になります。もちろん、そんなに兵士は死んでいません。どうして、記者はそんなに死んだのか?よく分かりませんが、記者には自ら危ないところへ出かけていこうと習性があることは間違いありません。
 アメリカ軍は「エンベット」方式で記者を従軍させました。記者は交代せずに長期に従軍する。指定された部隊から離れたら資格を失う。作戦を事前に報道しない。3つの条件がつけられました。記者は防毒マスクを身について、銃も手にします。イラクの人々から見たら、侵略軍の一員でしかありません。
 バグダッドという名前は「平和の都市」だそうです。アメリカ軍はそこに攻めこみました。砂漠の戦場に女性記者が入ってトイレはいったいどうしたのか、疑問をもつでしょう。夜まで半日待ったこともあるというのです。ですから、砂漠で水を自由に飲めなかったそうです。
 戦闘を間近で見たいなんていう、仕方のない好奇心は捨てて欲しい。死んだり、負傷する軍人たちを、そのすぐ横で見るなんていうのは、もう、人間として後戻りできない道に踏みこんでいくようなもの。
 こんな言葉があります。本当にそうだろうと思います。人間を殺し、殺されていく人間を平然と眺めることができるとしたら、その人は、もはや人間ではないというしかありません。化物(ばけもの)でしかないのです。アメリカ軍への本質的批判を欠落させている、この韓国の女性記者は、その一線を越えてしまったような気がしました。

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