法律相談センター検索 弁護士検索
カテゴリー: 未分類

日米戦争同盟

カテゴリー:未分類

(霧山昴)
著者 吉田 敏浩 、 出版  河出書房新社
安部首相がトランプ大統領の言いなりに買わされるF35はAとBの両型で105機。1兆2000億円にのぼる。そんなお金があったら、学費を無料化して、奨学金を充実できますよね。
「かが」と「いずも」はF35を搭載する予定。つまり名実ともに空母となる。もはや「ヘリ空母」でもない。
日本の自衛隊はアメリカ軍とともに戦う。だけれども、対等な関係ではなく、使い走りのような存在として、いいように使われるだろう。
アフガニスタンやイラクで、すでに日本の自衛隊はアメリカの戦争に加担した。日本人の多くがそのことを自覚していないだけで、イラクやアフガニスタンの人々は日本をそのように見ている。
日米合同委員会は、日米地位協定の運用に関する協議機関で、日本政府の高級官僚と在日米軍の高級軍人で構成されている。日本側は、すべて文官の官僚(トップは外務官僚)、アメリカ側は、大使館公使を除いてすべて軍人。
東京にある横田空域は日本列島の真ん中をさえぎる巨大な「空の壁」だ。この横田広域は、日本の領空なのに、日本の航空管制が及ばず、管理できない。日本の空の主権はアメリカ軍によって制限され、侵害されている。そのため、羽田空港をつかう民間機は、急上昇したり迂回させられたりする。
このような外国軍隊によって首都の空が広範囲に管理されているのは世界に例がない。
しかも、その法的根拠が疑わしいのに、日本政府はいまだに問題を明らかにしない。まさにアメリカの言いなり。
武器の開発・輸出にしても、アメリカの軍需産業の主導下に日本企業が組み込まれるだけ。巨大なアメリカの軍産複合体に従属するかたちで日米軍需産業の結びつきが深まっていく。
イラクに自衛隊が派遣されたとき、日本通運も実はイラク入りしていた。
ええっ、そ、そうなんですか・・・。ちっとも知りませんでした。そんなことは報道されていなかったと思います。
今、日本中にオスプレイが配備されようとしています。とんでもないことです。死の欠陥飛行機とも呼ばれているオスプレイなんて、日本のどこも必要ありません。
日本という国の現実を知るために欠かせない本だと思いました。
(2019年7月刊。1700円+税)

脳は、なぜあなたをだますのか

カテゴリー:未分類

(霧山昴)
著者 妹尾 武治 、 出版  ちくま新書
人間って、単純なところが多々あるんですね。この本を読むと、ますます、そう思ってしまいました。選挙のとき、有権者は顔を見て投票しているというのです。
顔だけを見て競争力があるとして選ばれたほうの人物が、実際の選挙でも当選していた確率が71.6%だった。結局は顔なのだ。だから、選挙ポスターはきわめて重要。なんとなく力強いから。なんとなく信頼できそうな顔をしているから・・・。そんな些細な、瞬時に形成されるような印象こそが、選挙のとき一番大事なようだ。
単純接触効果というものがある。マインドコントロールの一種である。なんらかの対象に何度も接触すると、その対象の好感度が上がる。つまり、繰り返し見たり聞いたりすると、それが好きになってしまう。
CMや広告にさらされていると、私たちの好みは、無意識のうちに影響され、形成される。メディアに踊らされるのである。自分の意思で、自分がほしいから手に取ったと私たちは考えている。しかし、実は、そのお菓子を手にとったのは、無意識のうちにCMや広告で操られた結果に過ぎないのだ・・・。
アンカリング効果というものがある。アンカーというのは、いかりのこと。提示された数字がいかりのように機能して、思考がそこから大きく外れることができなくなってしまう。
たとえば、1万円の正札がついている商品があると、実際にはよそでは千円で買えるものでも、なんとなく5千円の価値はあるという思考をして、半額に値切って買い、もうけたと考えてしまう。
この本には、こんな実験も紹介されています。信号のない横断歩道を渡ろうとしたとき、いかにも高級なベンツがやって来たら、ベンツの走行を優先させて、歩行者は立ち停まる。ところが、いかにもボロそうな軽四輪車が走行してきたときには、歩行者は立ち停まらず、車を停めて歩いて渡る。金持ちは、いろんな場面で優先的に扱われて当然だという思考がそこにはある。
なーるほど、そう言われたら、恐らく、私もそうするかな・・・。
心理学を中学生や高校生にも教えるべきだと著者は主張しています。この本を読んで、なるほどと思いました。
(2016年8月刊。780円+税)

敗者の古代史

カテゴリー:未分類

(霧山昴)
著者 森 浩一 、 出版  KADOKAWA(文庫)
筑紫君石井(つくしのきみのいわい)が継体大王(ヲホド王)と戦った。これを「磐井(いわい)の乱」と呼ぶのは正しくない。石井(いわい)は北部九州を治めていた地域国家の王であって、ヤマト政権に服属していたわけではないから。
筑紫を「つくし」と読むのは慣用であって、古くは「ちくし」(竹斯)である。
当時の国際情勢は、磐井が新羅と組み、ヲホド大王が百済と組んだことが読みとれる。継体21年(527年)におこった継体・磐井戦争は、朝鮮半島での情勢と連動していた。地域国家の王としての磐井の立場では、侵入者と戦うのは当然の行為だった。
磐井は、玄界灘にのぞんだ糟屋に海の拠点をもっていた。磐井は海の王者でもあった。そして磐井は、火(肥後と肥前)と豊(豊前と豊後)に勢力を伸ばしていた。
磐井戦争の最後は、高良山と御井と呼ばれた泉のある土地でおこなわれた。磐井は負けて斬られたが逃亡した。しかし、その子は港は奪われたものの存続することができ、筑紫の君として、地域の豪族となった。
磐井の墓である岩戸山古墳は、墳長132メートルで、北部九州では最大規模である。ちなみに、ヲホド大王の今城塚古墳は、墳長190メートルの前方後円墳。
いま、岩戸山古墳のあたりはきれいに整備され、博物館もあります。まだ行っていない人々は一度ぜひとも行ってみて下さい。
山鹿市には鞠智(きくち)城が復元されています。一般には白村江の戦いで、日本軍が大敗したため、朝鮮半島が攻めて侵入してきたとき、太宰府で喰い止めきれなかったときの備えと位置づけられています。
ところが、著者は、そうではなくてクマソ勢力を威圧するための施設だと考えています。この鞠智城見事に復元されています。ここもまた一見の価値のある場所です。
さすが古代史の権威の本だけあって、とても驚くような話が満載の読んで楽しい日本史の本です。ぜひ買って、手にとって読んでみて下さい。
(2016年10月刊。800円+税)

ガザの空の下、それでも明日は来るし人は生きる

カテゴリー:未分類

(霧山昴)
著者  藤原 亮司 、 出版  インプレス
 自爆攻撃をして爆死した子の親は次のように語った。
 「その日もいつもと同じ時間に起きてきて、いつもと同じように家族と朝食を食べ、そして家を出た。息子は、パレスチナの子どもや女性が撃たれるニュースを見て、憤りを感じていた。10人いる兄弟のなかでも、とくに優しい子だった。世界では、息子のような人間をテロリストと呼ぶことは知っている。でも、戦闘機やヘリコプターでパレスチナ人を殺し、町を破壊するイスラエルと、せいぜいライフルくらいしかない我々がどう戦えというんだ。私は殉教した息子を誇りに思う」
 むむむ、なんということでしょうか・・・。
 パレスチナ人の女の子に「大きくなったら何になりたいの?」と質問をした。その答えは、「朝、目が覚めて自分が生きていると分かったら、その日、何をしようかと考えるけれど、いつ死ぬかもしれないから、先のことは分からないな」。そして、続けた。「将来のことは、大人になるまで生きていたら考えるよ」 これが10歳の少女の言葉です。なんと苛酷な状況下に生きているのでしょうか・・・。
 イスラエルでは、男女ともに18歳になると兵役義務があり、男性は3年、女性は2年弱の兵役に就き、男性は40歳までは毎年1ヶ月間の予備役義務がある。もし兵役拒否をしようものなら、イスラエル社会のコミュニティーからはみ出して生きることになる。
 イスラエルでは、学校教育の中で、軍がいかに素晴らしいものであるかを徹底的に刷り込んでいく。
分離壁の効果は絶大だった。それは、パレスチナ人「テロリスト」の侵入を防ぐとともに、イスラエル人の意識のなかで、パレスチナ人の存在を薄める効果をもたらした。ユダヤ人だけでなく、イスラエル国籍をもつアラブ人にとっても、パレスチナ人が同胞という意識は薄れた。
 今やイスラエル軍の姿は見えない。無人攻撃機やF16からの空爆と遠方からの砲撃。イスラエル軍の兵士や戦車を一般のパレスチナ人は見ることがない。そして、遠くから飛んできたミサイルで突然に殺され、家を壊される。
 危険がいっぱいのパレスチナ現地を取材している数少ない日本人ジャーナリストです。ヨミウリ・サンケイもパレスチナの現地に特派員を出して戦場の実際を生々しく報道したらいいと思うのですが・・・。
 たくさんの写真も臨場感にあふれています。
(2016年5月刊。1800円+税)

ガリレオ裁判

カテゴリー:未分類

(霧山昴)
著者  田中 一郎 、 出版  岩波新書
  1633年にローマ教会の宗教裁判にかけられたガリレオが、有罪判決を受けた直後、「それでも地球は動いている」とつぶやいたという話は有名です。本当の話だったのでしょうか・・・。
異端審問所がガリレオに下した判決は無期限というものだった。ただし、判決の翌日には減刑された。
ガリレオは、当時、トスカナ公付き首席数学者兼哲学者だった。
ガリレオ裁判に関する書類をナポレオン・ボナパルトがフランスへ持ち帰り、そして相当のものが失われてしまった。
ナポレオン・ボナパルトはローマ教皇朝庁に保管されていたガリレオ裁判の全文書を没収し、フランスに運ぶことを命じた。1801年のことである。輸送費用に60万フランをつかい、3239箱、10万2435巻を運んだ。これにはガリレオ裁判の記録を出版し、科学の進歩を阻んできたカトリック教会の蒙昧さを衆目にさらす目的があった。ルイ18世は、バチカン文書を返還すると約束したが、全部は戻らなかった。
 宗教裁判は、大半が書面でされるもので、異端審問官である検邪聖省の枢機卿たちは、最後の判決を言い渡す瞬間まで被告と顔を合わせることはなかった。実際に被告を尋問するのは、検邪聖省の事務官の役目だった。枢機卿たちは、その報告にもとづいて判決を下した。宗教裁判の目的は、被告に異端思想を招いていることを自覚させるとともに、贖罪のための機会と手段を与える(量刑の確定)こと。正式に裁判が開始されてしまえば、無罪判決はなかった。
 「それでも地球は動いている」とガリレオがつぶやいたという記述は、ガリレオが亡くなったあと18世紀(1757年)に初めて出てくる。
ガリレオは判決のあと、死ぬまで自宅軟禁の処分が解かれることはなかった。外出するのにも許可を要した。カトリックの間違った教義によって、ガリレオの自由は奪われたわけです。ホント、宗教の思い込みって恐ろしいですね・・・。
ヨハネ・パウロ2世は、科学的真理と「聖書」の記述が異なるときには、「聖書」を文字どおりの意味をこえて解釈しなければならないというガリレオの主張を認めた。1979年11月のことである。ようやく、というか、あまりの遅さに改めて驚かされます。
(2015年10月刊。780円+税)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.