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カテゴリー: 社会

ダイナスティ

カテゴリー:社会

 著者:デビッド・S・ランデス、出版社:PHP出版社
 ファミリー企業とは、創業者あるいはその家族によって所有され経営されている企業のこと。同族経営と言われると、マイナス・イメージもある。
 しかし、このところ欧米ではファミリー企業は再評価されている。『フォーチュン』誌の選んだ世界のトップ500社のうちの3分の1をファミリー企業が占めており、EU(ヨーロッパ連合)では国民総生産と労働市場の3分の2をおさえ、あなどりがたい勢力となっていて、その優位性は明らかである。日本では、245万社ある企業の94%は同族企業で、上場企業でも4割はファミリー企業である。
 この本は、世界のトップ巨大企業のうちのファミリー企業の内情を描いたものです。ファミリー企業は、一族が多産かどうか、その生命の再生産能力にかかわるところが大きい。
 また、風習や文化によっては、直系の男性だけを後継者とみなし、女婿はおろか実の娘でさえも会社に参加させず、彼らを部外者としてしまうファミリー企業も多い。反対に、トヨタ自動車のように、血統については寛大で、姻戚だけでなく、養子縁組でもよいとする文化もある。
 銀行業は二つの理由からファミリー企業向きである。銀行業で成功するには、基本的に人間関係が大切で、誰と知りあいで、誰を信頼し、誰から信用されるかというコネクションである。しかも、生産企業と違って銀行では絶えず発達する技術にそれほど依存することもない。一年単位でも技術革新に対応できるような有能な技術者は必要としない。つまり、家族以外の人材に頼る必要性に乏しい。
 ダイナスティ(王朝)は、愚者であっても支配でき、また、しばしば愚者が支配した。
 ユダヤ教の習慣では、おいとおばとの結婚は禁じているが、おじとめいの婚姻は認めている。ロスチャイルド家の孫たち18組の結婚のうち16組はおじとめいかいとことの結婚だった。一族のなかの婚姻は、社会的にも文化的にも利点があった。習慣や秘密を外部から守ることができた。
 逆境のなかで不屈であることこそ、ダイナスティを支える力である。ロスチャイルド家は外部からの支援は受けたが、その核心はあくまでも一族だった。
 フォードは反ユダヤ主義者で、ナチスから堂々と勲章をもらった。そして、ニューディール政策をとったルーズベルト大統領を毛嫌いした。工場内の労働組合をつぶすために暴力団に頼んで殺させることもした。
 アイアコッカは、フォード社でめざましい成果をあげた。会社の経営は好転し、社会でのフォードのイメージは定着した。アイアコッカが社長になってもおかしくなかった。しかし、彼は一族でなかった。精力的で野心家で、家族の手に負えなかった。強大になりすぎたため、アイアコッカはフォード社から排除されてしまった。
 ファミリー企業の継承は世界各国でも必ずしもうまくはいっていないようです。偉大な父親の下では虚弱な息子が生まれがちなのは、世の東西を問わないからです。

メディアと政治

カテゴリー:社会

著者:蒲島郁夫、出版社:有斐閣
 日本のテレビ報道の特性は5つ。
1.一つの事柄が視聴率をとれるとなれば、各局ともそれに話題を集中する洪水報道化すること。
2.時間的制約があるため、善玉・悪玉の二項対立で番組をつくる傾向があること。
3.視聴者に提供される情報はカメラがとらえた映像に限られるため、制作者の意図に誘導しやすいこと。
4.テレビは映像が命であるため、映像のない事柄はニュースになりにくいこと。
5.放送は一定の時間内に終わらせなければならないこと。
 これらの制約をのがれて番組を制作することは、物理的な事情もあって難しい。そのうえ、民法では、ある程度の視聴率が見込めない番組はつくることができない。
 そうなんですよね。テレビのワイドショーをふくめて、ある時期に一つのテーマに集中して報道し、しばらくすると、さっぱり取り上げなくなる。その後、どうなったのか、後追い記事(報道)はほとんどされません。私も、その点がすごく不満です。いろいろ多角的な視点からの報道をしてほしいものです。
 大嶽秀夫・京大教授は日本におけるポピュリズムの特徴について、次の3点をあげる。
1.新聞のテレビに対する批判姿勢が弱く、テレビの人気を新聞が増幅する傾向をもつ。2.メディアの横並び体質と、視聴者にこびる性質がとくに強い。
3.テレビでの意見表明は大きな権威をもっており、無批判に受けいれられる傾向がある。 テレビをまったく見ず、新聞を丹念に読んでいる私にも、この指摘はまったくあたっていると思います。一般紙がテレビ報道を批判することは、まずありません。
 新聞で社説は社論である。これを執筆しているのは論説委員。これは、経営にはしばられない社長直属の独立機関である。論説委員は、記者歴20年以上で、専門性が高く、各部から複数選ばれる。トップである論説委員長(論説主幹)の下に、デスクワークもする論説副委員長が数人いて、総勢20人はいる。結論は全会一致が原則。どうしても意見がまとまらないときは、論説委員長が最終判断を示す。重大な決断は主筆(社長)が下すが、そこに至るケースはめったにない。
 政治改革(小選挙区制の導入)のとき、郵政改革のとき、マスコミが誤った方向に世論をリードしていった責任は重大だと私は考えています。

情報戦の時代

カテゴリー:社会

著者:加藤哲郎、出版社:花伝社
 著者の個人ウェブサイト「加藤哲郎のネチズンカレッジ」は、累計100万件近いアクセスを記録しているそうです。
 IT技術が、それ自体として分権化をうながし、ネットワーク型コミュニケーションをもたらすというのは幻想である。むしろ、市民による活用と抵抗がないならば、地球的規模での独占・集積化も可能である。
 つまり、インターネットや携帯電話のような個人単位のコミュニケーション手段が広がることで、一方でさまざまな個性のネットワーク型結合が可能になると同時に、他方で、その大元を押さえ、個人情報や私的コミュニケーションまで集権的に管理し支配しようとする動きも現れる。
 私も、そのとおりだと思います。インターネットは大変便利なものですが、情報統制する怖いものでもあると思います。
 改憲論議は、世論レベルではムードが先行しており、賞味期限を論ずるよりも、まずは立憲主義と現行憲法の中身を知る知憲こそが国民的規模で必要なのだ。逆に言うと、護憲勢力の主張も、「昔の名前で出ています」風の保守的イメージでしか浸透していない。
 新聞の調査で「改憲」についてのイメージを問いかけたところ、現実的29%、未来志向28%、自主独立14%、軍拡10%、復古的8%という回答だった。
 このように、かつての護憲=恒久平和、改憲=軍拡・復古という構図では、今日の改憲ムードの流れは変えられないのである。
 うむむ、そうなんですか・・・。いろいろ考えさせられる本でした。
 6月17日に受けた仏検(一級)の結果を通知するハガキが届きました。45点でした。自己採点は50点でしたから、5点も下まわりました。合格基準は90点ですから、とてもとても足りません。ちなみに、150点満点です。今回はいつも以上に難しかったのですが・・・。めげずに毎朝フランス語を勉強しています。仏和大辞典を愛用しています。ボキャブラリーを増やし、なんとか用例を覚えて仏作文も少しはできるようにがんばりたいと思います。

おいしいハンバーガーのこわい話

カテゴリー:社会

著者:エリック・シュローサー、出版社:草思社
 毎日、アメリカ人の14人に1人がマックを食べている。毎月、アメリカの子どもの 10人のうち9人がマックにやって来る。アメリカ人は年間130億個のハンバーガーを食べている。地球を32周できる量だ。1968年にマクドはアメリカにしかなく、1000店だった。今は、世界中に3万1000店ある。
 1900年代のはじめのアメリカではハンバーガーは、貧しい人の食べもので、不潔な、安全ではないものと考えられていた。次のように言われていたのです。
 ハンバーガーを食べるなんて、ごみ入れの肉を食べるようなものだ。
 2007年の今、私は、今こそ、マックって、そんなものだと叫びたい気分です。
 マクドナルド社は、新しい店の用地を選ぶとき、セスナ機に乗って学校を探し、その近くに店を出した。そのうちヘリコプターをつかい、校外の広がる方向を割り出し、道路沿いの安い土地を探した。今は、宇宙からの衛星写真をつかっている。
 マックのマニュアルは1958年当時は75ページだった。今は、その10倍、重さが2キロもある。これは、一人ひとりの社員の能力をたたえることはせず、ひたすら取りかえのきく従業員を求めるということ。すぐに雇えて、すぐにクビにできて、すぐに取りかえられる人間をマックは求めている。一般にファーストフードの店員は3〜4ヶ月でやめるかクビになる。賃金がひどく低いからでもある。
 内容がつまらなくて、賃金が低くて、手に職のつかない仕事を、マックジョブという。辞書には、マックジョブとは、賃金が低くて、出世の機会がほとんどない仕事だと書かれている。マックジョブとは、将来性のない仕事のことだ。
 マックは労働組合がない。ただし、日本では2006年5月にマック労組ができた。ケンタッキーフライドチキンにも2006年6月に労組ができた。
 マックのフライドポテトは店にとって割がいい。生のジャガイモの代わりに冷凍ポテトをつかったので、コストが下がった。ハンバーガーより、ずっと割がいい。
 アメリカの冷凍フライドポテト市場の80%を巨大な三つの会社が支配している。仕入れた値段の20倍で売っている。しかし、生産農家はもうかっていない。
 フライドポテトの味を左右する大きな要素は、揚げ油だ。大豆油7、牛脂93の比率で混ぜた油だフライドポテトを揚げる。
 加工食品をピンクや赤・紫色に染めるためのカルミンは、ペルーなどでとれる小さな虫の死骸からつくられている。
 アメリカの公立高校1万9000校、これは全国の高校の5つに1つにあたる、で特定ブランドのファーストフードが売られている。学校が金もうけの土俵となっている。売上げの一部を学校が受けとるのだ。
 30年前、アメリカのティーンエージャーは清涼飲料の2倍ほど牛乳を飲んでいた。今では、牛乳の2倍の清涼飲料を飲んでいる。清涼飲料の缶1本に含まれる砂糖の量は茶さじ10杯分だ。
 現在、アメリカでもっともたくさん牛肉を買っているのはマックだ。精肉業界の大手4社で、市場の84%を占めている。そのため、個人牧場主は生計を立てるのが難しくなった。
 チキンマックナゲットは牛肉と同じ不健康な脂肪を多く含んでいた。牛脂で揚げていたからだ。
 牛を処理するスピードは、1時間に400頭の牛を処理するというもの。ファーストフード・チェーンに供給するための精肉システムは、病気をまき散らすのにも有効なシステムだ。アメリカでひき肉にされる牛のうち4分の1は乳の出なくなった乳牛。その乳牛は病気にかかっていることが多い。マックはひき肉の多くを乳牛から得ている。割合に安くて、肉の脂肪が少ないからだ。
 私の自慢は、20年以上もマックを口にしたことがないということです。コーラも飲みません。赤坂の交差点にあるマックに若い人たちが群がって買い求めているのを見るたびに、彼らの口とその精神の貧しさに哀れみを感じてしまいます。だって、マックって、いかにも人工的な美味しさでしょ。子ども時代、マックに口が慣らされてしまうと、素材の良さなんか分からなくなってしまいます。

岐路に立つ日本

カテゴリー:社会

著者:後藤道夫、出版社:吉川弘文館
 明仁(あきひと)天皇は、即位したあと靖国神社に一度も参拝していない。ええーっ、そうだったんですか。そう言われたら、聞いたことありませんよね。父親である昭和天皇が靖国神社に参拝したのは1975年(昭和50年)11月21日が最後で、そのあと1978年にA級戦犯が合祀されたからは一度も行っていない。
 宮内庁は、議論の分かれているところには行かれないと説明する。なーるほど、ですね。
 明仁天皇は1996年に栃木県の護国神社に参拝したことがあるが、そのときも、事前にA級戦犯が合祀されていないことを確認したうえのこと。
 このように、A級戦犯の合祀は、天皇と靖国神社、護国神社との関係を切断する結果をもたらしている。
 明仁天皇は戦後的価値観をそれなりに身につけている。たとえば、昭和天皇時代と異なり、天皇単独の行幸(ぎょうこう)が減り、天皇と皇后はそろって行幸啓(ぎょうこうけい)が増え、皇后の役割の増大が目立っている。記者会見を受けるときにも、天皇と皇后が並んで坐り、記者の質問も「両陛下にうかがいます」となっている。天皇と皇后はまったく平等に扱われている。
 また、1999年11月の在位10年記念式典の際に民間代表として選ばれたのは、阪神・淡路大震災の被災者(女性)と、障害者スポーツの代表(女性)だった。
 明仁天皇は、韓国のノテウ大統領が訪日したときの宮中晩餐会で次のように発言した。
 「わが国によってもたらされたこの不幸な時期に、貴国の人々が味わわれた苦しみを思い、私は痛恨の念を禁じ得ません」
 この発言は、右派のナショナリストに大変なショックを与えた。このあと、彼らは天皇を政治の局外に置くべきだと主張しはじめ、天皇の天首化を主張することはしなくなった。
 世論調査によると、若年層は皇室に親しみを感じず、無関心層が分厚く存在している。尊敬20%、好感41%、無感情36%となっている。
 女性週刊誌がこのところ一部に雅子さんバッシングを相変わらず書いていますが、あまり皇室の提灯記事を見かけないのは、このことの反映でもあるのでしょうか。
 小沢一郎はアメリカと日本財界の意向を受けて、日本の軍事大国化を目ざした。そのためには社会党をつぶすか変質させなければならない。そこで、小選挙区制を導入することにした。中選挙区制ならともかく、小選挙区制で社会党が生き残るには共産党でなく民主・公明党と組むしかない。そうなると、社会党は安保・外交政策を転換させる必要がある。小選挙区制が導入されたら、社会党は少数政党へ転落するか、変質するか、どちらかを選ばざるをえない。いずれに転んでも障害物としての社会党は消える。この小沢の狙いはあたった。
 いま、その小沢一郎は民主党の代表です。自民党と民主党と名前の違いこそあれ、政策的にはまったく同じ。憲法改正をすすめる点も違いありません。いつだってアメリカ言いなりです。にもかかわらず。マスコミは相変わらず、あたかも違いがあるかのように二大政党制をもちあげるばかりです。いやになってしまいます。
 日本人のなかにも多種・多様な考えがあることをふまえて、少数野党の言い分をきちんと報道するのは公器としてのマスコミの責任ではないでしょうか。
 まやかしの二大政党論は、もううんざりです。

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