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カテゴリー: 社会

ルポ・国際ロマンス詐欺

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 水谷 竹秀 、 出版 小学館新書
 会ったこともないのに、メールの文章だけで結婚しようと思い、相手の言いなりになって、大金を次から次に送金していく人が後を絶ちません。会ったことがないといっても、ネット上で相手のハンサムな顔は見れますし、声も聞けるのです。といっても、「国際」というからには、日本語に変換したものです。ところが、それが、みーんなニセモノ。怖いですよね、ここまでネットで社会は「すすんで」いるのですね…。「顔」も「声」も変換できて、いかにも本物らしく対応するのです。
そして、信じ込むほうにも、いささか問題があります。ちょっと怪しいなと思いつつ、夢心地に浸っていたい気分から、その疑問を自ら打ち消してしまうのです。騙される人の特徴は、寂しさや失望感をかかえ、心に隙間のある人。
 自分は不幸であるというイメージをもち、悲観的にとらえている人、ある程度教養があり、異文化に関心をもっている人。損を現実化させたくない心理が働く。
 素直で、真面目な、いわゆる「いい人」が多い。自分が善意だから、相手も善意だと思い込んでしまう。
でも、結局のところ、騙される人が悪いのではない。騙す人間が悪い。これは私も弁護士としてまったく同感です。
この本では、騙す人間の正体を探るため、著者はアフリカのナイジェリアにまで行ってきました。そこで出会った騙す悪人の正体は…。
 なんとなんと、ナイジェリアの大学生たちが、お金欲しさに「ロマンス詐欺」をやっているというのです。ナイジェリアの若者たちは、10人のうち8人までもがサイバー犯罪に関わっている。彼らは深刻な犯罪をしているとは考えていない。彼・彼女らを「ヤフーボーイ」とか「ヤフーガール」と呼ぶ。
 貧困だけが理由ではないようですが、貧困が主要な要因であることは間違いありません。それにしても、「国際ロマンス詐欺」がアフリカの大学生のアルバイトの舞台になっているとは驚きました。世の中は狭いものです。なにはともあれ、ネットだけでのつながりというのは、映画をみているようなものなんです。目の前のスクリーン(大画面)に見とれているうちに、吉永小百合と結婚できるなんてことが絶対にありえないのを、いつのまにかありうると錯覚して大金を投げ捨ててしまうというものです。ちょっと例え話に品がありませんでしたね、失礼しました。
(2023年8月刊。1100円)

台湾侵攻に巻き込まれる日本

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 半田 滋 、 出版 あけび書房
 「北朝鮮や中国が攻めてきたら、どうする!」
 この不安と焦燥に駆られた人々が5年間に43兆円もの超巨大軍事予算を精神的に支えています。これまで軍事費は年に5兆円を上回っただけでも大問題だったのに、今や年間7兆円を軽く上回る軍事予算です。
 「北朝鮮がミサイルを発射した」と言ってJアラートを発令し、恐怖をあおり立てる政府広報。同じことを韓国がやっても、報道すらされません。北朝鮮のロケット(「ミサイル」の正体)は宇宙空間を飛んでいるのです。「日本の上空」ではありません。「ミサイル対策」と称して、学校や役所で机の下に潜り込む訓練をしていますが、戦前の防火(消火)バケツリレーと同じく、単なる気休めでしかありません。意味のないことはやめるべきです。政府は、それよりイスラエルに軍事行動の停止を求めるべきです。
 自民・公明の岸田政権はアメリカの兵器を「爆買い」し続けています。トマホークなんてスピードが遅いので、もはやアメリカ軍は使っていないとのこと。そして、オスプレイは多くのアメリカ兵を殺してしまった「未亡人製造機」と言われるほどの欠陥機。それを今度は佐賀空港に配備するのです。本当に許せません。
 「戦争が始まったら、シェルターに逃げて…」
 地下のシェルターに逃げ込めて一時的に助かったとしても、地上に誰もいなかったら、どうやって生活していくというのですか…。食料がいつまでもあるはずはありませんよ。
 宮古島に住む全住民を避難させるのに必要な飛行機は363機、船は109隻。そんな大量の飛行機と船が確保できるはずはありません。同じく、沖縄県民146万人を九州に避難させるとのこと。うまく運べたとしても(ありえませんが)、いったい九州のどこにこれだけの人を収容するというのでしょうか…。
 日本政府は、公式見解では台湾を独立国としてみていません。なので、台湾は日本と「密接な関係にある他国」とは言えません。
 アメリカは大量の半導体を必要としている。台湾のメーカー(TSMC)は、世界の半導体シェアの6割を占めている(高性能のものに限れば9割)。だから、台湾を確保しておかないと、アメリカという国自体が存続できない。
 中国は既に空母を2隻保有し、戦闘機も2000機もっている。無人の岩があるだけの尖閣諸島をめぐって武力侵攻するのは、中国の国益に合わない。
 アメリカとアメリカ軍を守るため、日本は集団的自衛権を行使する。つまり、日本を守るためではなく、外国(アメリカ)を守るため、日本人青年の血を流させようということ。
 日本がアメリカから「爆買い」するトマホーク400発を保有したとしても、中国は巡航ミサイルをすでに2200発も保有している。こんな格差があるのだから、「抑止力」が働くはずもない。
 アメリカからオスプレイ17機を購入する代金は3000億円。日本全体の司法予算はそれとほぼ同じの3300億円。しかも年々少しずつ減っている。裁判官の人数は増えていないどころか、減っている。思わず涙が出てしまいます。
 大軍拡予算がすすめられるなかで日本の軍需産業(「死の商人」たち)は喜びに奮いたっている。三菱重工業は誘導弾の新規開発に奔走している。まさしく、金もうけのためなら、何事も身を惜しみませんという姿勢です。
 自民党・公明党の脅しとウソに負けないようにしましょう。それにしても先日の参院選(補選)の投票率の低いこと…。6割以上の人が投票所に行っていません。これでは日本は救われません。
 著者の本は、いつ読んでも具体的な状況が的確に紹介されていて、大変勉強になります。
 一読を強くおすすめします。
(2023年10月刊。1980円)

闇バイト

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 廣末 登 、 出版 祥伝社新書
 「高額案件、即金、仕事」
 「案件次第で日給3万円~50万円可能」
 こんなネット上のコトバにつられて申し込んでしまう若者が後を絶ちません。申し込むと、免許証を写メして、メールで送らされる。個人情報が丸ごと先方に渡ってしまう。やめたいと言うと、「今さら何を言うのか。キミは立派な犯罪者だ。キミの個人情報は承知しているから、まずはネットにさらして、詐欺犯人と公表するかな。それとも警察に通報するかな」と脅される。
 さらに、こんな甘言のささやきもある。
 「持つ者から、持たない私たちが少しいただくだけですよ。あの人たちは数百万円のおカネを寄付しても、何も困りませんよ。これは資本の公平な分配だと思えばいいんです」
 今、こうやってお金に困った若者が闇バイトの世界に足を踏み入れる。警察に検挙された少年の7割が「受け子」で、受け子の5人に1人は少年。
 きのうまではフツーの青少年だったのに、自宅から一歩も出ないまま特殊詐欺グループの一員になってしまう可能性(危険性)がある。この契約の先に待っているのは、社会的破滅に続く、あと戻りできない一方通行の道だ。
 闇バイトの人員を募るのはSNSが多い。特殊詐欺では、かけ子は20%、受け子は10%の報酬がもらえることになっているが、実際に手にできるという保障は何もない。
闇バイトの末端要因である受け子と出し子(UD)は消耗品。
電話をかける「かけ子」は言葉巧みな演技が求められるので、熟練工だ。電話をかけるのはマンションの一室(「ルーム」と呼ぶ)。ここはタコ部屋。「かけ子」は外出禁止、朝の8時から夕方5時まで、電話をかけまくるのが仕事。500万円を被害者から騙し取るのに成功すると、20%の100万円の報酬がもらえる。2~3ヶ月で、ルームは移動する。
闇名簿は高く売買されている。詳しい名簿は1件1万円することもある。使い古された名簿だと、1件300円とか500円とか、安い。金持ち、押し入ったらお金のありそうな人(家)の名簿がつくられ、売買されている。デイサービスや家政婦派遣の情報も売買されている。
 自治体のもっている情報、たとえば税金をいくら納めているとか、そんな情報が売買されている。リフォーム申込者の名簿もよく使われる。
 闇バイトは、一時のおカネを選ぶのか、一生の破滅を選ぶのか、という選択。闇バイトをやったら、破滅するのみ、必ず後悔する。
 特殊詐欺で逮捕されて起訴されると、たいてい実刑となり、刑務所か少年院に入れられる。次に失うものがない「無敵の人」になってしまって、フツーの市民生活を送るのが、とても難しい状況に置かれる。ただ、処罰を厳しくすればよいという考え方は、あまりに安易で、ますます新たな被害者を増やすことになる可能性(危険性)がある。
 闇バイトの危険性、そこに引きずり込もうとするテクニックを知ることができました。
(2023年8月刊。930円+税)

僕の好きな先生

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 宮崎 亮 、 出版 朝日新聞出版
 「維新」は大阪の教育をメチャクチャにしてしまいました。その結果、大阪の学校の教員を志望する人が激減し、途中退職者も続出しています。
維新は学校を「商品」製造工場のように錯覚し、成績主義・競争主義で教師と先生を追い立てています。学校を学力成績の点数で評価するなんて、根本的な間違いです。聞くだけで、「アホちゃうか」と関西弁でこきおろしたくなります。
 松井一郎大阪市長(当時)が、コロナ禍がひどい状況で「小中学校は自宅オンライン学習を基本とする」と、突然に言い出して、大阪全市の学校が一大パニックに陥りました。
 松井市長の思いつき、いつものパフォーマンスでした。学校を所管する教育委員会の意見も十分聞かないまま記者会見したのです。まったく無責任きわまりありません。
 これに対して、現職の小学校校長であった久保敬(たかし)氏が大阪市の教育行政を批判する文書を松井市長に送ったのです。現職の校長が市長を批判する文書を送付した。これは大きなニュースになりました。その結果、自宅オンライン学習は撤回されたのです。ところが、久保さんに対しては「文書訓告」処分が下されました。ひどい話です。
久保校長の教え子にお笑いコンビ「かまいたち」の濱家隆一がいました。久保校長の退職お祝い会に濱家は5分間のメッセージ動画を送ったそうです。そこでは、30年も前の小学校の担任との出来事を昨日のことのように濱家は紹介しました。そして、濱家は小学生のときにもらっていた「学級便り」も全部保管していたのです。それほど記憶に残る担任(教師)でした。
濱家は、「学級便り」のなかで、将来の夢は「マンガ家、まんざい師」と書いていました。これは実現したのですね。すばらしいことです。
「細かいことをバーッて思い出せるのは、本当に楽しかった人やと思いますね。久保先生からは、まわりの友だちを思いやることを教わりました。みんなで目標に向かって一致団結することとか、まわりの人と調和するとかっていうのは、ほんまに久保先生から学んだことです」
先日、大阪で久保先生の話をじかに聞くことができました。腹話術も少しする久保先生は、なるほど教師人生に全力で打ち込んだというオーラを感じました。こんな教師にめぐりあえた子どもたちは本当に幸せです。
子どもを大切にする教師をもっともっと大切にしなければいけないと、つくづく思いました。維新や自民党のような、表面的な成績だけしか目を向けない教育なんて最悪です。
久保先生の話を聞いて、すぐに会場で売られていたこの本を買い求め、帰りの新幹線の中で完読しました。
(2023年9月刊。1760円)

日本維新の会の「政治とカネ」

カテゴリー:社会

(霧山昴)
著者 上脇 博之 、 出版 日本機関紙出版センター
 これまで日本にもたくさんの政党が生まれては消えていきましたが、維新の会ほど厚顔無恥というコトバがぴったりくる政党は珍しいと私は思います。大阪万博とカジノ(IR)誘致です。夢洲(ゆめしま)で来年盛大に開催されるはずの万博は工事が遅れに遅れ、パビリオン建設が具体化している国はいくつもない有り様です。維新の会は税金を全然使わないと公言していたのに、工事費は当初の1.9倍にふくれあがり莫大な税金が投入されつつあります。今からでも中止したほうが、よほど安上がりになるというのが衆目の一致するところです。
 カジノ(IR)のほうもデタラメです。誰がいったいカジノをするのか、それでもうかるのは誰なのか…。カジノなんて有害あって一利なしです。
 この本は「身を切る改革」と言っている維新の会が、実は、自分の身は切らないどころか、税金をうまく私物化していることを鋭く暴いています。読みすすめるほどに、維新の会のえげつなさに呆(あき)れかえってしまいます。
 維新の会は政党助成金を平気で受けとっています。それも27億円近い税金(2015年)を受けとっているのです。しかも、政党助成金を受けとって「使い果たす」ためなら、トンネル・ペーパー団体まででっち上げてしまいます。
 政党助成金が維新の会の財政(収入)に占めるのは80%をこえています。
 政党交付金は、年度末に残金があれば、国庫に返還することになっています。ところが、年度末に残金が出そうだというとき、維新の会は「基金」をつくって貯めこみ、国庫に返還していません。「身を切る改革」は、自分自身については実行しないのです。
 国会議員に交付される「文書返信交通費滞在費」についても、維新は残ったお金を身内に寄付して国庫へ返還していません。
 維新の会も自民党と同じく、政治資金パーティーを開催します。維新の会は総額1億円ほどの収入を計上しています。1口2万円のパーティー券(会費)を企業が何十口も購入するのです。パーティーに参加しなくてもよいのです。つまりは隠れた企業献金です。維新の会は、これの改革は言いません。自分を告発してしまうからです。
 なんとひどい、えげつない政党でしょうか…。腹の立つ本です。でも、目をそらしてはいけません。
(2023年7月刊。1300円+税)

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