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カテゴリー: 社会

獣の奏者、王獣編

カテゴリー:社会

著者:上橋 菜穂子、 発行:講談社
 いやあ、とても面白いです。ワクワクドキドキする痛快ファンタジーです。『ハリーポッター』の第一作を読んだときと同じように興奮してしまいました。いえ、別に変な意味ではありませんので誤解しないようにお願いします。
 ファンタジーですので、物語の紹介はいたしません。ただ、オビに書かれているキャッチコピーは次のようなものです。
 王国の陰謀に勇敢に立ち向かう少女、エリン。獣を操る技を身につけた彼女が選んだ未来とは?
ふむふむ。でも、それだけでは分かりませんよね。王獣(おうじゅう)とは何か、闘蛇(とうだ)とは何か、王獣と闘蛇が戦ったらどうなるのか。ともかく手にとって読んでみる価値はあります。ちょっと疲れたな。気分転換したいな。そう思ったときには最適ですね。そして、あとがきを読んで、私は驚きました。なんと、著者は『ミツバチ、飼育・生産の実際と蜜源植物』という本を読んでヒントを得たというのです。そして、養蜂に関わる場面については、実際に養蜂している専門家に教えを乞い、ゲラもみてもらったというのです。
すごいですよ。ミツバチから、これだけのファンタジーを着想したというのですから。やっぱり、世の中にはすごい人がいるものです。
 テレビのアニメになって放映されているようですね。
(2006年11月刊。1600円+税)

弁護士が書いた究極の勉強法

カテゴリー:社会

著者:木山 泰嗣、 発行:法学書院
 試験に受かるためには、一読了解の文章を書く必要がある。一読了解とは、頭が疲れていても、ユーウツな気分であっても、目で追うだけで分かる文章。そのためには一文は短くする。論理的な流れをつくるため、接続詞を正確に、有効に使う。分かりやすい文章を書くためにはまず書くこと、書いて書いて書きまくること。
 新しいことを勉強するにあたって習慣にしたいのが、音読。音読するメリットは脳の活性化。そして記憶への定着。仲間同士で口でする議論も大切。
 成功を約束するのは、圧倒的努力。単なる努力ではなく、圧倒的な努力こそ必要。ハンパな努力では足りない。好奇心を持つことが、脳をスポンジ状態にするためにも必要。
 スポンジ状態というのは、何でも貪欲に吸収するという意味です。病的な状況を指しているのではありません。念のため。
 試験委員がヘトヘトになって答案を読んでいるときに、すらっと読める答案が光る。人間的なゆとりのある生活、のんびり、ゆったりとした生活は大切なもの。でも、仕事ではスピードが必要。試験でも勉強でもスピード感が大切。速くやるほど成功の確率は高まる。勉強に限らず、集中力は、あらゆる分野で重要。
 試験会場は選べないのだから、ふだんからうるさい場所で勉強しておくと、本番でちょっとやそっとのことがあっても影響を受けず、あわてることなく実力を出し切ることができるようになる。そうなんですよね。集中できないのは困ります。
 とにかく気になった本は、すべて買うようにする。お金がかかるのは、先行投資だから仕方がないと考えたらいい。私も本は買える限り買います。買えないのは図書館で借りてコピーをとったりします。
実力が飛躍的にアップする究極の勉強法は、採点する側を体験すること。なーるほど、これは本当にその通りだと私も思います。
 なるほど、なるほど、そうなんだよね。思わず膝を打ってしまいたくなるほど、勉強法の基本的心がまえを真面目に紹介しています。
(2008年10月刊。1200円+税)

東大合格生のノートはかならず美しい

カテゴリー:社会

著者:太田 あや、 発行:文藝春秋
 東大合格に必要なのは、かなりの量の知識はもとより、それをまとめ組み立てて記述する力、そして問題を見たら反射的に手が動くスピード力。な、なーるほど、そういうことなんですか・・・。
 東大は入試の科目数が日本で一番多い。入試センター試験では、文系だと6教科7科目。理系では5教科7科目。その次の2次試験は全問記述式。このとき文系も理系も4教科5科目が課される。つまり、幅広い分野の知識が求められる。ここに東大入試の特徴の一つがある。
 2次試験では、覚えた知識をフル活用しながら、文章や数式を組み立て、いかに早く答案用紙を埋めていくかという作業がポイントになる。問題を見た瞬間、頭の引き出しを開け、似た問題をそこからたぐり寄せ、反射的に手が動くようにしておかないといけない。そのためには、入試までにできるだけ多くの問題に取り組み、解法パターンを体に刻み込んでおく必要がある。
 知識をまとめる力やスピード力を意識しなくてはいけない。意識して書くことを続けることで力が身についていく。「東大ノート」は、途中で投げ出したりせず、ノートの最初から最後まで同じテンションで書きつづられている。
 「東大ノート」に共通する7つの法則がある。 
第1、文頭をきれいにそろえる。
第2、写す必要がなければ、コピーして貼り付ける。
第3、余白をたっぷりと大胆にとる。あとで追加情報を書き込む。
第4、インデックスを活用して、復習の際の検索機能を高める。
第5、書いたことの全体像を一目で見渡し、体系的に確認できるようにする。
第6、オリジナルのフォーマットを持つ。
第7、筆圧が一定で、文字も同じテンションで書く。採点者にとっての見やすい答案を想定し、読みやすい答案づくりにそなえる。
 東大生の書いたノートを200冊も集めて、そこに法則を見出すという地道な作業を思いつき、それを実行した著者もエライですよね。そして、なるほど、こうすれば理解と記憶に役立つだろうな、と思いました。
ここに書かれていることは単に大学受験に役立つテクニックだというだけではなく、社会人になってからもメモの取り方に生かせるものだと思いました。
(2008年10月刊。952円+税)

責任に時効なし

カテゴリー:社会

著者:嶋田 賢三郎、 発行:アートデイズ
 著者は私より少し年長ですが、同じ団塊世代です。有名なカネボウの常務として財務経理を担当していました。そして、カネボウの再建に尽力しながら、粉飾決算の疑いで逮捕されます。その貴重な体験をもとにした小説ですので、ともかく迫真的です。どこまで事実なのかよく分かりませんが、大企業で恐るべき粉飾決算がまかり通っていること、公認会計士がそれを知りながらチェック(阻止)できていない実態がよく分かります。
大銀行のバンカーは、あからさまなものの言い方は極力さける。いわんや頭取クラスであれば、よほどのことがない限り露骨に直接的な言及はしない。化粧品の営業から叩き上げてきたトウボウの社長にはそれを理解するセンスが欠けていた。むむむ、なるほど……。
 企業粉飾によくつかわれる手法がいくつかある。
 キャッチボールは、トウボウが翌期返品を前提に商品を商社に引き取ってもらう、もっともプリミティブなやり方。
 三角取引とは、トウボウから商社Aに商品を売り、商社Aから商社Bに転売してもらい、翌期以降、トウボウは商社Bから仕入れ形態で買い取る。
 宇宙遊泳とは、トウボウから売られた商品を引き取った商社Aがいろいろな商社に転売していくため、まるで宇宙を遊泳しているように見えるので付けられた栄えあるネーミング。
 これらのとき、商社間で転売されるときには、そのたびに商社マージンが必ず乗せられる。だから、同じ在庫で何回もそれを繰り返すと、簿価が法外にアップする。その結果、異常な在庫簿価を形成してしまう。うひゃあ、すごいですね、ケタ違いの違法行為ですよね。
 労使運命共同体というトップの経営思想が、すべからくトウボウを鵺(ヌエ)のような不可解な企業体質にしてしまった。労働組合は、やはり資本からの自立が必要なのですね。
 トウボウは不良資産の解消のため、「逆さ合併」という手法を長年使ってきた。逆さ合併とは、規模の小さい会社を存続会社として、規模の大きい会社を消滅会社として、小が大をのみこむ合併をさす。赤字会社を存続会社とし、黒字会社を消滅会社として、赤が黒を飲み込む合併をさすこともある。
 黒字会社が赤字会社を吸収合併することは、商法によって原則として禁じられている。ここで赤字会社とは、債務超過または不良資産をかかえた実質債務超過の会社を指している。つまり、財産的な裏付けのない「負の会社」を被合併会社として吸収合併することはできない。だけど、逆に、赤が黒を合併することは禁じられていない。合併法人である赤字会社の繰越欠損金と被合併法人である黒字会社の利益とが相殺されて、合併後の会社は税金逃れ、つまり課税回避のメリットを享受できる。ただし、税務当局から、そんな認定を受けないように知恵を働かす。うむむ、いろんな手法があるものなんですね。
 日本の監査法人は立ち遅れている。企業のトップにあまりにも弱すぎる。監査法人は、組織的な業務運営という看板を掲げながら、有力会計士を中心に実質的にはタテ割運営がなされる傾向が強い。それが「なれあい監査」という悪の温床につながっている。
 もっとも不埒なのは、粉飾決算で利益を出したことにして、多額の役員退職慰労金を手
にして安寧をむさぼっている輩だ。その責任に時効なんかない。
 なかなか読みごたえのある経済企業小説でした。経理や会計用語について解説も入っていますので、理解を助けます。といっても、私はよく理解できないところが多くありました。といっても、大企業の経理って、まるで伏魔殿のようなものなのだということだけはよく分かりました。
(2008年12月刊。1800円+税)

ちひろの花ことば

カテゴリー:社会

著者:いわさきちひろ絵本美術館、 発行:講談社文庫
 小さな文庫本ですが、ちひろの絵がカラー図版でたっぷり楽しめ、心が温まります。あなたも、どうぞカバンに忍ばせて、ちょっと疲れたな、そう思ったときに頁を開いてみてください。きっと気が休まりますよ。
 上條恒彦の歌があります。とてもいい歌です。その歌詞は、なんと、ちひろが自分の結婚式を描いたものだったのです。
 その日、焼け残った神田のブリキ屋さんの2階の私の部屋は、花でいっぱいでした。私は千円の大金をぜんぶ花にしてしまったのです。
 あとは、ぶどう酒一本と、きれいなワイングラス2つ。
 これが四面楚歌のなかでの、二人だけの結婚式でした。
 すごーい、すごいですね。いやあ、すごいです。私の結婚式は、当時はやりの会費制でしてもらいました。夏の終わり、クーラーのきかない労働会館のホールです。ビデオ(今は保存のためCDに変換しています)を見ると、参加者は暑さのために、汗をふきふきしています。今になって申し訳ないと思いますが、当時はこの冷房のない部屋が公共施設にはあったのです。
 ちひろの花の絵は、ありのままの花を描くというより、大胆な構図のものが大半です。それも、ちひろが本当に花が好きで、よく見ていたからこそ描けたのでしょう。
 ちひろは、「春の花には、しきりに蝶が来たり、蜂が来たりする。花のほのかな香りの中にいると、にぶい蜂の羽音が聞こえてくる」と書いた。草むらにしゃがみこみ、花を見つめ、草花の息吹に耳を澄まし、同じ目の高さで花と語り合っていたちひろの姿が想像できる。
 ふむ、ふむ、なるほど、ですね。なんとなく分かりますね、これって……。
 ちひろの描いた子どもたちは、泣きわめくことも、おなかを抱えて笑い転げることも、怒りを撒き散らすことも、ほとんどしない。いつも、どちらかといえば、静かな表情を見せている。ただ、子どもたちと同じ画面に描かれたさまざまな草や花が子どもの心や個性を語っている。言葉には尽くせない思いを花が語っているのかもしれない。
 うーん、これって、ホント、とても的確な表現ではないかと思います。ホントホント、そうですよね。しっとり心に訴えかけてくる子どもの顔ばかりです。
 ちひろは童画について次のように語りました。
「さざなみのような画風の流行に左右されず、何年も読み続けられる絵本を、せつに描きたいと思う。もっとも個性的であることが、もっとも本当のものであると言われるように、私は、すべて自分で考えたような絵本をつくりたい。この童画の世界から、挿絵という言葉を亡くしてしまいたい。童画は、決してただの文の説明であってはならない。その絵は、文で表現されたのとまったく違った面からの、独立した、ひとつの大切な芸術だと思う」
 ふむふむ、まさしくその通りでしょうね。
 ちひろの絵の最大の特色は、豊潤無類の色感の中にある。
 いやあ、本当にそのとおりです。さすが、美術評論家(河北倫明)はいいことを言いますね。まったく同感です。
 年賀状に私を年の暮れにお茶の水駅で見かけたと書き添えていた友人がいました。せっかくですので、一声かけてくれたらよかったのですが……。かなり前のことですが、日比谷公園内を歩いていると、目の前を高校時代の同級生が通っていくのを見つけました。つい声をかけそびれてしまい、あとでハガキを出してそのことを告げてやりました。思わぬところでのすれ違いって、世の中にはあるのですよね。
(2006年9月刊。667円+税)

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