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カテゴリー: 生物

リスの生態学

カテゴリー:生物

著者   田村 典子 、 出版   東京大学出版会
 日本内外のリスを追いかけて、その生態を明らかにした面白い本です。
 リスって、公園で見かけると可愛いものですが、九州では残念なことにあまり見かけませんよね。
リスの祖先は3600万年前に地球上に出現した。
 リス科は、50属260種いる。リスの宝庫は意外なことに熱帯地域である。地上性リスの種は13属100種いて、全体の4割近くを占める。ムササビやモモンガもリス科に属する。
 リス科は、地上性、樹上性、滑空性の3タイプに分けられる。
 リスの門歯には歯根がなく、一生伸び続ける。だから、固い種子を毎日かじり続けて歯が摩耗してしまうことはない。むしろ、かじることによって門歯をとぎ、優れた切削道具として維持できる。
 リスの眼球は、魚眼レンズのように突出し、前方、後方、上方まで幅広い視野をもつ。
 枝から枝へ飛び移る樹上での移動において、瞬時に次に渡る枝までの距離を推定する必要がある。距離感を得るには、両面での立体視が必要である。
 リスは圧倒的に乱婚制である。メスが発情し交尾を受け入れる1日に、複数のオスたちが交尾のチャンスを狙って集まる、いわゆる交尾騒動が繰り広げられるのがリス類の配偶行動の特徴の一つである。
 リーダーオスがメスを独占するといっても、それは交尾の83%。次のオスが辛抱戦略をとるのが10%。さらには、盗み交尾も7%ある。交尾をすませたオスは、たいてい、それ以降の交尾騒動には参加せず、姿を消してしまう。秩序正しい乱婚である。この乱婚性について、その合理性が解明されています。子殺しの行動の可能性のある社会では父親隠蔽の必要性がある。自分が父親である可能性が少しでもあれば、子殺し行動は抑制される。メスは、多くのオスと交尾することによって、父親である可能性を担わせ、自分の子の生命の安全を期している。なーるほど、これってとても合理的なシステムですよね。
 リスの鳴き声にも意味があるようです。
 それにしても、リスの生態調査のために森の中に入っていき、毒ヘビを踏みつけそうになったという体験も紹介されていますが、怖いですよね。よく調査したものです。学者も大変ですね。
(2011年9月刊。3800円+税)
 日曜日にフランス語の口頭試験(準1級)を受けました。問題は2問あって、そのうち1問を選びます。3分前に渡されます。1問目は、3.11のあと海外からの旅行者が減っているが、どうしたらよいかというものでした。むむっ、原発の対応をきちんとやること、その成果を広報すべきだと一瞬考えたのですが、日本語つぃて本当にそれでよいのか不安だったうえに、修復というフランス語が思い浮かばなかったのでやめました。2問目は、政府は国民にすべてを告げるべきかというものでした。日本政府はすべてを国民に伝えていない現実をふまえて、軍事、外交、個人のプライバシーなど死活的に重要なことを除いて伝えるべきだと言いたかったのですが、なにしろ残念なことにフランス語が出てきません。3分間のプレゼンは、実際しどろもどろでした。そのあとフランス人の質問があり、マスコミとの関係で政府がコントロールしているとか、なんとか会話は成立しましたが、客観的には半分程度の成績だったでしょうね。今回は結果は厳しいことを覚悟しました。
 年に一度、最大限の緊張感を強いられる一日でした。

鷹匠は女子高生!

カテゴリー:生物

著者   佐和 みずえ 、 出版  汐文社
鷹匠は、たかじょうと読みます。カを飼いならして、仮に使う人のことです。
その鷹匠に、なんと17歳の女子高校生がなっているというのです。しかも、佐賀県は武雄市の女子高生なんです。私は、てっきり東北地方の話と思っていました。
 飼っているタカは、正しくはモモアカノスリ。名前はモモタロー、6歳です。
 ブリーダーから、生後2週間のヒナ鳥を買って、小さいときから親がわりで育てたのでした。
問題はエサですよね。何だと思いますか?肉食の鳥ですからバナナなんかじゃありません。肉ダンゴでもありません。なんとなんと、ヒヨコなんですよ。ええーっ・・・?もちろん、生きているヒヨコです。ヒヨコって、高タンパク質で、低カロリー食だそうです。そうなんですか・・・。
 タカに狩りをさせるときには、一週間も前からエサを調整して、おなかをすかせておく必要がある。そうやって狩りの本能をかきたてておくのだ。なるほど、そうなんでしょうね。
 写真がありますので、タカがすっかり安心しきって鷹匠である女子高生の腕にとまっている可愛らしい姿を見ることができます。
 それにしても、タカを毎日世話するって大変でしょうね。がんばってくださいな。
(2011年11月刊。1400円+税)

タネが危ない

カテゴリー:生物

著者   野口 勲 、 出版   日本経済新聞出版社
 タネは野菜の種のことです。そのタネが危ないという本なのですが、実は動物というか、人間の生存そのものが危なくなっているのではないかと問いかける衝撃的な内容です。
昔は、世界中の農民が自家採取していた。よくできた野菜を選抜し、タネ採りを続けると、3年たつとその土地やその人の栽培方法にあった野菜に変化していく。
 長野の野沢菜の先祖は大阪の天王寺かぶであり、新潟のヤキナスのもとは宮崎の佐土原ナス。
日本のタネ屋の発祥は江戸時代で、栽培した野菜の中で一番よくできたものはタネ用に残し、二番目を家族で食べ、三番目以下を市場に出していた。
 江戸に種苗店が2件誕生したのは天禄年間(1688~1704年)のこと、フランスで種苗商会が創業したのも同じころ(1742年)。
東京オリンピックを契機にした高度成長時代以後、日本中の野菜の種が自家採取できず、毎年、種苗会社から買うしかないF1タネに変わってしまった。
F1は均一で揃いが良いから、指定産地の共選でで秀品率が高く、歩留まりがいい。固定種の多様性・個性は、販売するには邪魔になる。たとえば、固定種大根は収穫まで4ヵ月かかるのに対し、F1大根なら2ヵ月半でできる。
F1(一代雑種)タネの野菜からタネを採っても親と同じ野菜はできない。姿形がメチャクチャな異品種ばかりになる。
 F1種は、現在、雄性不稔(ゆうせいふねん)という花粉のできない突然変異の個体から作られることが多い。子孫を残せないミトコンドリア以上の植物ばかりになって、世界中の人々がこれを食べている。子孫を作れない植物ばかり食べ続けていて、動物に異常が現れないという保障はない・・・。
 F1は一代限りなので、毎年、交配された新しい種を買わなくてはいけない。種苗会社の大きな利益になる。
 F1種がどのように作られるか、その過程はブラックボックスになっている。種苗メーカーは製造過程の秘密を決して明かさない。タネの小売店にも明かしていない。
 ミツバチが消えていること、人間の男性の精子が減っていることと雄性不稔の関係を、誰かが証明したら、大騒ぎになるのは間違いない。野ネズミや野生のサルはF1野菜を食べないそうです。今のままF1野菜ばかりでいいのか、大いに心配になりました。
(2011年9月刊。1600円+税)

なぜシロクマは南極にいないのか

カテゴリー:生物

著者  デニス・マッカーシ   、 出版  化学同人   
 ガラパゴス島に生息する「ダーウィンフィンチ」は、適応放散の非常に分かりやすい例だ。元は一種だったフィンチが食材を争う必要性を最小限にするために、今では10種以上に分化している。
 鳥の求愛のさえずりは、適応放散を進めるもっとも重要な要素だ。フィンチのひなは求愛の歌を父親から習う。そしてメスは、自らが歌うことはないが、つがいの相手を選ぶときに、そのオスの歌が自分の親の歌と似ているかどうかを選ぶ基準にしている。ある集団が違う島に住みはじめると、その遺伝子だけでなく歌にもさまざまなバリエーションができはじめる。隔離された二つのグループの歌は急速に異なっていき、再び出会ったときには互いの集団の間では繁殖ができなくなっている。これはダーウィンの「種の起源」のきっかけとなるフィンチの違いです。
 性交は進化の非常に強力なエネルギーになる。二つの個体の遺伝子を混ぜあわせ、新たなやり方で分配する機会になるからだ。性交によりさらなる多様性が生まれ、その種は変化したり都合が悪かったりする環境に適応しやすくなる。
 太平洋の真ん中に住む鳥たちが飛ぶ能力を失うという傾向は、飛ぶことにどれほどのエネルギーが必要なのかをあらためて示してくれる。多くの種にとって島という環境は、進化の重要な刈り込みである働きを二つ減らしてくれる。捕食者と、食物をめぐる過酷な競争だ。その結果、島に住む鳥たちは、大陸に住む親戚がもし大陸にもっと楽な条件がそろっていたら、そうなるという姿をしている。つまり、島で進化し、やがて島の鳥の中で多数派になる飛べない側系統(胸筋が弱くなり、翼が小さくなる)は、大陸の個体群でも芽生えているが、大陸ではこうした小枝は結局、主にコヨーテやネコなどの捕食者によって切り落とされてしまう。キウイの祖先は、1000万年前に飛ぶ能力を失った。
 ニューギニアでは、それぞれの谷に別の部族がいた。それぞれの部族は別の言葉を話し、服装の習慣も子育ての傾向も、迷信も性道徳も、病気も遺伝的な異常も違っていた。そのバリエーションは非常に多く、ニューギニアには1000もの言語がある。ヨーロッパ全体でも50しかないのと対照的だ。隔離された部族に生まれた人々は、生まれた場所から15キロメートル以上離れた場所には行こうとしないことが多い。
 人間は地域によって遺伝的な差がない。これは注目すべきことだ。無作為に選んだ2匹のチンパンジーには、無作為に選んだ2人の人間の2倍の遺伝的な差異がある。我々人間は驚くほど単一な種なのである。
 化石の証拠によると、我々の最近の祖先である霊長類ホモ・エレクトゥスはアフリカで進化したが、170万年前にその中からユーラシア大陸に移住したものがいて、東南アジアまで到達した。
 ミトコンドリアの進化の樹からもっとも早く分岐した系統はみなアフリカで発見されているので、イブはアフリカ人だと考えられている。アフリカは人口が多く、原人が遺伝的に非常に多様だったため、個体が有効に適応するチャンスが多かったのだ。
 ユーラシア大陸のすべての地域の人類に、アフリカから70万年前と10万年前の2度にわたって遺伝子拡散が押し寄せ、あふれかえった。ヒト科動物の一番の特徴である、非情に大胆で冒険好きな性質と、身体的な移動能力が非常に高いことが組み合わさり、遺伝拡散を維持し、人類としての特質を広めた。
 人類は総合的な運動選手として第一級の能力をもっていて、ほかの脊椎動物をほとんど寄せつけない。これは人類の突出した均一性を維持する鍵となる能力だ。
 陸上での移動能力は非常に高く、放浪する本能があり、困難な障害に立ち向かい、新たな道の領域へと進んでいく大胆さがあるおかげで、長年、遺伝的に隔離された地域ができなかった。だから大きな差異が出ず、人類全体が同一になった。これほど広い地域で同一性を保っている生物は人類のほかに発見されていない。
 この指摘は私にとって極めて新鮮でした。そうなのか、人類って世界中どこでも一種しかいないから、混血しても何も問題が起きないし、それどころか良性遺伝することが多いんですね。このように、生物学は私たちが何者であるか教えてくれる大切な学問なんですね。
(2011年8月刊。2000円+税)

森の奥の巨神たち

カテゴリー:生物

著者   鈴木 直樹 、 出版   角川学芸出版
 タイの森に棲むアジアゾウの生態がロボットカメラも駆使して、よく撮られています。
 象って、家族愛がすごいんですね。みんなで赤ちゃん象を守り育てていくのです。17歳になったらオスの象は一人立ちします。自由気ままな一人暮らしを楽しむのです。でも、一人立ちしてすぐのころには、元いた母親の群れに戻って甘えることもあるといいますから、まるで人間と同じだなと、つい苦笑いしていました。
 著者によると、動物園で飼われている象と野生の象とでは、まったく別の生き物といってよいほど違う存在だということです。飼われている象は、本来持っている機能、能力、知識のかなりの部分を失っているということです。
 象を森の中に追いかけているうちに、彼らの持っている、人間ですら共感できるほどにはっきりした誇りや意思、さらには細やかな愛情に接することができた。
 象は、まったく人を恐れない動物である。象は、遠い昔から人間のやることをずっとみてきていて、その力を見切っているようである。親から子どもへ、「人間って、たいしたことない」というのを知識として教えている節がある。
 子象の写真がたくさんあります。ほのぼのとした光景です。子象が母親に甘え、子象がイタズラをして大人象たちから叱られているとしか思えない写真まであります。子象たち同士も仲良しで、一緒に遊びます。
 ロボットカメラを使って、人間では撮れない貴重な場面がいくつもある、楽しい象の写真集です。
(2011年10月刊。3200円+税)
同窓会の話の続きです。
私のクラスでは法曹界にすすんだのが私一人だけなのです。珍しいと思います。ちなみに駒場寮の6人部屋からは3人が法曹界にすすみました(私のほかは裁判官2人です)。
銀行員商社マンになった人が多数でした。長い人で累計21年、短い人でも6年くらい海外にいましたということでした。20年も海外にいて、日本のことがよく分からなくなったといいますが、そのとおりだろうなと思いました。団塊世代は、世代の人数比の割には社長が少ないとよく言われます。社長は50代前半ということが大会社でも珍しくはありません。今回は欠席でしたが、一人だけ大会社の現役の社長をつとめています。もう長いよね?と訊くと、いやまだ3年だよ、大会社の場合、社長は6年くらいはやるものだからというコメントが返ってきました。
参加者に現役の社長が何人もいました。大手商社から独立して社長になったり、子会社に移って社長になったりした人たちです。さすがに社長の貫禄がありました。それでも、副社長のときは気楽だったのに、社長となると大変だとこぼしていました。なるほど、そうなんでしょうね。(続く)

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