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カテゴリー: 生物

スズメの謎

カテゴリー:生物

著者  三上 修 、 出版  誠文堂新光社
日本では町内にいるスズメが、ヨーロッパでは林にいる。ヨーロッパの町内にいるのはイエスズメ。ヨーロッパの人はイエスズメをスズメという。
 スズメの重さは25グラム。卵1個の重さは60グラムあるから、卵よりもっともっと軽い。
 鳥をじかに触ってみると、とても温かい。鳥の体温は40度くらい。
スズメは、人がいるところを利用して天敵に襲われないようにしている。人がいないところにはスズメはいない。これって不思議ですよね。人間をとても警戒しながら、人間と共生しているのですから・・・。
 巣立ったヒナは、一度巣立てば巣に帰ってくることはない。スズメ(母鳥)は、全部の卵を産み終えてから卵を温めはじめる。すると、ちょうど同じころにみんなが孵化する。そして、母鳥のお腹の羽は抜けて、皮膚で直接、卵を温める仕組みになっている。
 卵を温めて2週間すると、ヒナが卵からかえる。親鳥がヒナに与える餌は昆虫と植物。とくに昆虫を運んでくる。タンパク質をたくさん与えるため。
生まれたばかりのヒナは2グラムなのに、2週間で10倍の20グラムになる。植物の種子(タネ)をよく与える。巣立ったヒナは1週間ほど親鳥と行動をともにする。親鳥のあとをついてまわり、エサをもらったりして、エサのとり方や、何が危険なのかを教わる。
 ヒナが自分で行動できるようになると、親鳥は、次の巣づくり、子育てを始める。春の頃は、昆虫がたくさんいるから、子育ての季節。1年に2回から3回、子育てをする。春にたくさんの子スズメが生まれ、秋から冬にかけてスズメたちは減っていく。天敵に襲われたり、冬の寒さに負けて死んでいく。体が小さいだけに体が冷えやすく、寒さに対してより弱い。
 スズメのヒナの声は、シャリシャリシャリという声。こんど気をつけて聞いてみることにしましょう。
 スズメは減っているし、スズメの子も少なくなっている。30年前までは5羽の子スズメも珍しくなかったのに、今では子スズメは1羽から2羽になってしまった。スズメが減っているのは、スズメが巣をつくれる場所が減っていることにもよる。
 スズメが減ると、稲の害虫や雑草の種を食べてくれるスズメが減ることになり、農業に打撃を与える。そして、スズメを食べるチョウゲンボウやツミなどのタカの仲間のエサが減るため、町内からチョウゲンボウなどがいなくなる心配もある。
 たしかに、我が家のスズメたちも減ったことを実感しています。
 庭にせっせと硬くなったパンくずをまいているのですが・・・。
(2012年12月刊。1500円+税)
 左肩がしびれる感じがしたり、首がこったりしますので、娘にお灸をしてもらっています。リンパの流れがとどこおっていると指摘されました。毎日、人の悩みに真剣に向きあうなかで、ストレスが身体のなかにこもらないような工夫が必要です。
 ストレス発散になるのが、孫の写真です。いまはスマホで動画つきで長男が送ってくれます。赤ちゃんの動作って、本当に心が癒されますよね。そして、孫が私に似ていると言われたら、なおさらです。うれしい限りです。

アリの巣をめぐる冒険

カテゴリー:生物

著者  丸山 宗利 、 出版  東海大学出版会
アリに限らず、昆虫を調べている学者の語る物語です。
甲虫目は、あらゆる陸上の動物のなかで最大の種数を誇る分類群で、世界に37万もの種が知られている。その大部分は5ミリメートル以下の小型種。
 昆虫のなかでも、とりわけ甲虫が大きな繁栄をとげている理由の一つに小型化がある。甲虫のもっとも重要な、特徴は、前翅を甲羅のように硬くし、後翅と腹部をおおったこと。この特徴は、水分の奪われやすい乾燥した場所や病原菌に感染しやすい加湿な場所でも体の小型化を可能にした。硬くて小さな体は、石の下や朽ち木の隙間などの隠蔽的な場所を中心に、さまざまな環境への適応を可能にし、それが現在の甲虫の繁栄につながっている。
 甲虫学者にとって作図も大切だ。手先の技術という点で、解剖の次に重要なのは作図、絵描きだ。分類学では、写真技術の発達した今なお絵描きの方が有用な手段である。その一番の利点は、利用者にとって重要な部分のみを絵に示し、また強調できること。写真では形を理解することができないことがある。まさに図は命である。百聞は一見に如かずというように、長い文章による種の区別の説明よりも、わかりやすい図が一枚あるほうが、ずっと役に立つ。なーるほど、たしかに写真だと分かりにくいことがありますよね。
 ずっと顕微鏡をのぞいていて目を悪くし、果ては片目を失明してしまった昆虫学者もいた。学者って、本当に大変なんですよね。
 ヒメサスライアリは、アリを専門に食べるアリ。ほかのアリの巣を襲って、成虫や幼虫を狩って食べる。2~5ミリの小さなアリだが、毒針をつかって、自分よりはるかに大きなアリを仕留める。そして、ヒメサスライアリは軍隊アリの仲間でもある。
 グンタイアリは、膨大な数の働きアリから成り、兵アリの顎は湾曲し、女王は巨大である。
 グンタイアリの太い行列の先は団扇のように広がり、数メートル四方がアリで埋まる。絨毯攻撃はすごい。バッタやコオロギ、ゴキブリが飛び出す。捕らえられたバッタはすぐに脚をもがれ、バラバラになってアリに運ばれる。
ヒメサスライアリは、引っ越しを見つけてから、その終了を観察するまで丸々3日かかった。おそらく100万頭以上の規模だ。
昆虫の世界も底が深いこと、学者家業も楽ではないことがよく伝わってくる本でした。
(2012年9月刊。2000円+税)

ぼくは猟師になった

カテゴリー:生物

著者  千松 信也 、 出版  リトルモア
著者は京大文学部に在学中、狩猟免許を取得し、ワナ猟、網猟を学んで実践している現役の猟師です。
兵庫県では河童(カッパ)を河太郎と書き、ガタロと呼ぶそうです。小さいことから野山を駆けめぐって育ち、動物好きになって、自宅では蛇まで飼ったそうです。さすがに、そのときはおばあちゃんが叱りました。その叱り方がすごい。うちの守り蛇が出ていったらどうするの。もう我が家は終わりになるじゃないの・・・。
 実は、我が家にも守り蛇がいます。一度だけ怖さのあまり殺してしまいましたが、大いに反省しました。それ以来、決して蛇を見つけても殺しません。とは言うものの、遭遇したら怖いです。
 著者が大学3年生のとき、4年間の休学を申請したいというのもすごいですね。そして、アルバイトをして軍資金を貯めて、海外放浪の旅に出かけたのです。勇気がありますよね。私には、とても真似できません。韓国を皮切りに、東南アジアへ出かけて、最後に東ティモールに入ったそうです。
 そして、日本に戻ってきて、大学4年生のとき狩猟免許をとったのでした。ワナ猟です。猟銃で殺傷するのではありません。
シカがワナにかかっているのを見つけた。ナイフで頸動脈を切断し、後ろ脚を持ち上げて逆さにして血抜きする。まだ心臓が動いているので、すごい勢いで血が噴き出す。血がある程度出たら、その場で腹を割いて内臓を取り出す。膀胱と肛門周辺の処理は慎重にする。これをおろそかにすると、内容物や糞尿で肉に臭いがついてしまう。腹の中で両手を血まみれにしながら、なんとか内臓を全部取り出す。食べない内臓の部位は土の中に埋める。あとで、いろんな動物がやってきて掘り起こして食べ、きれいになくなる。動物たちのごちそうだ。
 大学の寮で、このシカ肉を解体して、たき火を囲んだシカ肉大宴会が明け方近くまで続いた。20キロを優に超すシカ一頭を丸々食べ尽くした。若者の食欲はすごい。
仕掛けるワナ猟のワナの臭いを消すのが大変。大鍋で、カシやクスノキなど、臭いのきつい樹皮と一緒に10時間以上も煮込んで臭いを消す。
 そして、ワナを仕掛ける前日は風呂場で石けんを使わず、身体を念入りに洗う。タバコもしばらく前から禁煙する猟師が多い。猟師のあいだでは、獲物がかかるのは、一雨降って、臭いが一通り流れたあとというのが定説だ。
イノシシの行動を特定するのに一番よいのは、ヌタ場を見つけること。ヌタ場というのは、イノシシがダニを落とし、体を冷やすために泥浴びをする沼のようなところをいう。
 ワナは、ひとつの山で5丁から10丁を30分か長くても1時間ほど見回れる範囲にしかける。それ以上広げると、毎日の見回りが不可能になる。何日も放っておくと、ワナにかかった獲物が傷ついたり、場合によっては死んでしまう。死んでしばらくたった動物の肉は、血が抜けず臭みが残ってしまったり、腐敗して食べられなくなる。
 見回るときは、トドメ刺し用のナイフ、刃渡り20センチ以上のナイフを持っていく。タヌキやキツネは、煮ても焼いても食えない、臭い。これに反して、アナグマは非常に美味。
 イノシシがワナにかかったのを見ると、まずは心臓をナイフで一突きする。イノシシが意識を取り戻して反撃してくる危険がある。山の動物は、たくさんのダニやイノシシがついているので、運ぶときに背負ったりはしない。
 内臓を処理するとき、胆のうは破らない。これを破ると、とてつもなく苦い汁、胆汁が出て、肉に苦みが付いてしまう。
狩猟は残酷だと人は言う。しかし、その動物に思いをはせず、お金だけ払って買って食べるのも、同じように残酷なことではないのか。
自分で命を奪った以上、なるべくムダなくおいしくその肉を食べるのが、その動物に対する礼儀であり、供養にもなる。だから、解体も手を抜かず、丁寧にやる。とれた肉をなるべく美味しく食べられるよう工夫する。
シカ肉は、全身が筋肉で、脂肪のないきれいな赤身の肉。焼き肉で食べると、やや淡白で味気ない感じ。
 若いイノシシの肉は、市販の豚肉のようにやわらかい。
 イノシシもシカも、オスのこう丸が食べられる。魚肉ソーセージのような感じ、なかなか美味しい。小さめに切ってフライにして食べると、カキフライのようだ。
シカの脳みそは、頭蓋頭を割って取り出し、ムニエルにして食べる。豆腐のような、チーズのような、白子のような感じ、なかなか美味しい。
 私も、一度だけ仔牛の脳みそをムニエルで食べたことがありますが、とても美味しくいただきました。
 猟師に関心のある人には強く一読をおすすめします。
(2008年9月刊。1600円+税)

カラスの教科書

カテゴリー:生物

著者  松原 始 、 出版  雷島社
可愛い気のない鳥、ゴミをつつく邪魔ものの鳥、そんなカラスのすべてを知ることのできる本です。
 日本語の「からす」は、「から」プラス「す」で、「から」は鳴き声、「す」は鳥を示す古語。
ハシブトカラスは「カア、カア」と鳴き、ハシボソガラスは「ガー、ゴアー」と、しゃがれ小声で鳴く。ハシボソガラスが「カア」と鳴くことはない。
 地上に降りたとき、ピョンピョン跳びはねるが、「よいしょ、よいしょ」と大儀そうに歩くのはハシブトガラス。脚を伸ばしてスタスタ歩き、急ぐときは早足になるのがハシボソガラス。
 飛んでいるときに尾羽が長くて丸いのがハシブトガラスで、角尾に近いのがハシボソガラス。ハシブトガラスは青っぽく見える。ハシブトガラスは森林と都市部に分布している。ハシボソガラスは農耕地や河川敷など、開けて見通しのいい場所に住んでいる。ハシブトガラスほど鳴かないのは、遠く目で見通せる所に住んでいるからだろう。
両者の雑種ができることはない。これには私は大変おどろきました。そんなに両者は違いのある生きもの(鳥)なんですね・・・。
 カラスは一夫一妻の配偶システムをもち、縄張りをつくる。カラスの離婚率は低い。
 3月から4月にかけて産卵し、1ヵ月ほどでヒナは巣立つ。ところが、カラスが独りだちするのには2ヵ月から半年かかる。鳥としては異例ほど、親子で過ごす時間が長い。
 巣立ちするのは、2羽くらい。カラスが一世代に72個の卵を産むとしても、そのうち2個しか生きのびない。
飼育下のハシブトガラス集団には非常に明確な順位がある。オスが優位で,攻撃性の高い個体が強い。
 カラスの平均寿命は20年。カラスは何でも食べる。極端な雑食性だ。
 カラスはマヨネーズが大好き。フライドポテトとフライドチキンは大好物。
 カラスは、よく遊ぶ。公園の滑り台にしゃがみ込んで滑ったりもする。鉄道線路の置き石もカラスの仕業のことが多い。
 カラスは、しばしば人間の言葉をまねる。九官鳥やオウムほどではなくても、なかなか上手にしゃべる。
 「カラス避け」グッズは、あまり効果がない。はじめは用心するが、すぐに慣れてしまう。カラス相手に特効薬はない。
 カラスは視覚で餌を探す。カラスをふくめて鳥類は嗅覚がとても鈍い。カラスが人間に敵対的な態度をとるのは、ヒナを守るときだけ。まず、音声によって威嚇する。繰り返しの早い連続した鳴き方、カアカアカアカア!と一声ずつも大きい。しゃがれた声でガララララ・・・・と言い出したら、かなり怒っている。鳴いても効果がないときは、とまった枝をくちばしで叩きはじめる。それでも、ダメなら、威嚇をはじめる。そのときは、必ずうしろから、それも最初はちょっと間合いをとって飛ぶ。うしろから頭を狙って飛びかかる。
 カラスのことがよく分かる本でした。
(2013年1月刊。1600円+税)

細菌が世界を支配する

カテゴリー:生物

著者  アン・マクズラック 、 出版  白揚社
細菌は地球上の元素をリサイクルして、ほかのすべての生き物の栄養補給を支えている。私たちに食べ物を与え、私たちの排泄物を浄化してくれる。気候の調節に役立ち、水を飲めるようにしてくれる。なかには、水蒸気の小さな水滴を集めて雲をつくる化合物を空気中に放出している細菌まである。
 細菌は単純でも、その単純さにだまされてはいけない。複雑とはいえないその構造が、実は地球の生態系で起こっている大切な生化学反応のすべてを進めている。
細菌は小さくても、膨大な数で地球を占領している。細菌は地表から6万メートルも離れた上空にも、深さ1万メートルの深海にも住んでいる。
細菌の総数は10の30乗にもなる。すべての細菌の細胞をあわせた質量は1×10の15乗キログラムに近く、これは地球上に暮らす人間65億人すべてをあわせた質量の2000倍以上にあたる。その細菌の圧倒的多数が土の中に住んでいる。
 細菌は生物学的な作用によって、人間が生きる条件をも整えてくれる。
 細菌には、大切な酵素、タンパク質、そして遺伝の仕組みを入れておくだけの大きさがあれば十分だ。進化を経て、余分なものはすべて切り捨ててきた。小さくて単純な構造のおかげで増殖にかかる時間が短いから、適応が早い。また、小さいから体積に対する表面積の割合が大きく、細菌の代謝は効率の良さの手本になる。
 細菌にどれだけの種があるかは、まだわかっていない。これまでにおよそ5000種の特性が明らかになっていて、そのほかの1万種も部分的に確認されている。
 どんな方法をつかっても、たとえ最強の消毒剤でも、皮膚からすべての細菌を取りのぞくことはできない。皮膚は無菌にはならない。ヒトに住みついた通常の細菌(常在細菌)は、健康で傷のない皮膚にはまったく問題を起こさない。
 ステーキや牛乳が食卓にのぼるのも、牛のルーメン(第一腸)のなかで、嫌気性細菌が草を消化したから。ルーメン発酵は、無酸素の状態で糖を微生物のエネルギーに変え、副産物として酸やアルコールを生みだす。アルコールを生みだす細菌を利用したワインづくりは、紀元前6000年にはメソポタミアで行われていた証拠が見つかっている。
多くの細菌は、水が不足してくると休眠状態に入り、周囲に水が戻ってきたとき、ふたたび増えることができる。
 EUとカナダは、食肉用動物に対して抗生物質の使用を禁止している。しかし、アメリカでは抗生物質の使用が続いている。第一次世界大戦の1000万人にのぼる死者の半数は感染症が死因だ。
緑色植物、海藻、シアノバクテリアは、太陽エネルギーを動物が利用できるエネルギーに変える、地球上の主要な経路になっている。始生代から原生代までのあいだにシアノバクテリアの光合成によって大気の成分が変わり、酸素のない状態から酸素を豊富にふくんだ状態になった。
 古代のシアノバクテリアの痕跡は葉緑体に姿を変え、植物細胞のなかで日光エネルギーを糖のかたちの化学エネルギーに変換する場所になった。
 シアノバクテリアの増殖はほかの細菌にくらべて非常に遅く、およそ一日に1回しか分裂しない。それでも十分に競争に耐えられるのは、丈夫なうえ、ほとんど栄養素なしでも生きられるからだ。シアノバクテリアには、エネルギー源の日光と炭素のもとになる二酸化炭素、そしてほんのわずかな塩分があれば十分だ。
私たちの口に入るステーキの窒素は、遠い海に住むシアノバクテリアが、別の大陸の土からやってきたものと考えても、決して大げさなことではない。
 身近な存在である細菌について、認識を改めさせてくれる本でした。
(2012年9月刊。2400円+税)

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