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カテゴリー: 生物

植物の体の中では何が起こっているのか

カテゴリー:生物

                               (霧山昴)
著者  嶋田 幸久・萱原 正嗣 、 出版  ベレ出版
 植物にも、植物ホルモンと呼ばれる化学物質があるのだそうです。
 植物の体内でつくられ、ごくわずかの量で自身の成長や反応を調節する働きをする。植物ホルモンには、オーキシンとベレリン、エチレン、サイトカイニンなど9種がある。
 人間が地球上で生きられるのは、呼吸のための酸素があるから。そしてオゾン層で紫外線から守られているため。これは、いずれも植物のおかげだ。
 植物は光合成で酸素をつくり出し、酸素は紫外線にあたってオゾン層となり、それが上空に集まってオゾン層を形成する。
 植物は、二酸化炭素と水からエネルギー源である炭水化物とつくり出す。生きていくために必要なエネルギーを自分でつくることができる。
 花の誕生は、植物のみならず、その後の生物の進化における画期的な出来事だった。
植物は生まれた場所でじっと動かずに生きているが、その一生は変化に富んでいる。
 光合成によって炭水化物に固定される化学エネルギーの総量は、世界のエネルギー需要の10倍に相当する。光合成は、この地球上で行われている、もっとも巨大なエネルギー変換である。しかし、葉っぱが集めた光のエネルギーのうち、じっさい光合成に活用できるのは4分の1弱でしかない。
 地球上に降り注ぐ太陽光のうち0.1%のそのまた5%、地球に届くエネルギーのわずか0.005%を元手に、植物は地球上の生命活動のほぼ全てを支えている。光合成とは、光のエネルギーを元手に化学エネルギーを蓄えた炭水化物をつくり出す、エネルギーの変換作業といえる。
 植物は光のもたらす過剰なエネルギーから身を守るためのさまざまな仕組みを備えている。
 ヤナギから採取され、人の解熱剤として使われていたのが、植物ホルモンとして認定されたサリチル酸。医薬品としては「アスピリン」。
 ツタンカーメン王の墓から見つかったエンドウのタネは芽を出して花を咲かせた。3300年前のタネ。
 私たち人間の細胞のなかにあるミトコンドリアも、元をたどれば光合成の能力を蓄えていた。
 人間は、有機物や酸素の生産を植物に頼っているという以上に、もっと深い細胞の仕組みの次元で、植物と分かちがたくつながっている。人間が生きる仕組みの一部(呼吸)は、植物が生きる仕組み(光合成)から派生したものである。
 植物を知ることが人間を知ることにもなるという、想像以上に面白い本でした。
(2015年5月刊。1800円+税)
 なかなか梅雨が明けません。むし暑い日が続いています。
 土曜日に帰宅したら、先日の仏検の結果を知らせるハガキが届いていました。恐るおそる開封すると、「不合格」の文字とともに、74点だったというのでした。
 ヤッター!内心、叫んでしまいました。150点満点で5割りなんて、過去最高です。自己採点の70点より4点も上回っていました。もっとも、合格基準点は6割に近い88点ですから、まだまだ道は遠いのです。それでも、あと14点まできたのですから、もう「不可能」ではなくなりました。引き続き、毎朝のNHKフランス語と毎週の日仏学館通いをがんばります。

愛猿奇縁

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                               (霧山昴)
著者  村﨑 修二 、 出版  解放出版社
 猿回し復活の旅というタイトルのついた本です。猿回し芸の実際がよく分かります。
 猿は、着物を着るとか、烏帽子をかぶるのを大変いやがる。そうなんですね・・・。この本を読むまで、猿は平気でチャンチャンコを着ているとばかり思っていました。
 猿回しは室町時代に一般化し、戦国時代から爆発的に増えた。戦国時代に生活の手段としての「軍兵」をやっていた人々が、戦がなくなり、生まれた土地に帰れず仕事もないという中で、大量の流浪の民が生まれた。この流民たちが大道芸、放浪芸をするようになり、たくさんの河原者(かわらもの)が生まれた。
江戸時代、浅草には猿屋があって、猿を売っていた。
 猿の性格は、みんな違う。十人(猿)十色。
 「反省」のポーズをしている猿は、単に休憩しているだけ。それを口上で「反省」と解説してやっている。
猿飼の基本は、猿を健康にすること。まず首輪をつける。2,3日もしたら猿は首輪になれる。二番目に紐のたすきがけをする。
 猿が一番きついのは、しばられること。そうとうな恐怖を感じて、一日中うずくまって動かないし、オシッコもウンチもたれ流してしまう。
猿の要求は、外へ出て遊ぶこと。猿が小さければ小さいほど遊びたい。外に出て自由に遊びたかったら、たすきをかけてもらうしかない。じっとこらえて、タスキをかけてもらうまで待つようになる。タスキをかけたとたん、飛び出して、いさんで遊びまわる。
 猿が舞台で芸をするのは、外に出られて、皆にほめられ、あとではご褒美でおいしいものを食べられ、休める。猿は外へ出ると喜ぶ。それで、またオリに入りたがる。休めるから。
 ただ、ずっと家にいると旅に出たがる。旅が長くなると、猿は今度は帰りたがる。
 猿まわしは、使う人と仕込む人が分業化している。
猿は飼い主のもとで、衣・食・住のすべてに責任をもってもらって毎日を過ごす。猿は家族なのだ。細やかな芸や動作を仕込むときには、今の仕草のどこが悪かったのか、すぐに知らせてやる。あとではダメ。
 猿は、非常に恐怖心が強い。そして、好奇心が強く、すぐにほかに目が行ってしまう。
 猿が、「もう、あんたがおらんと、私は困る」と言う関係を、一年ほどかけてつくりあげる。
 罰には、当面なくしたいと思うときには効果があるけれど、永続性がない。罰を与えると、その場ではやらなくなる。でも、罰を与える者の目が聞かないところでは、かえってひどくなる。
 早く調教したほうがお金になる。しかし、長い目でみれば、本仕込みで、のんびりと猿と旅行したほうが、みんなから好かれるし、猿も長生きする。
 猿がゆっくり歩行するのは難しいこと。走るのは本能的に出来る。しかし、ゆっくり歩くためには随意性の筋肉をコントロールしなければいけない。
猿の子どもを親離れさせる前は、6ヶ月間、母親にしがみつかせる。とにかくしがみついていて、あの感覚を自分の皮膚できちんと感じるのが、猿にとって大切なことだ。
 猿は体温調節がすごく悪い。だから、猿を追っかけて15分以上というのはヤバイ。続けると、体温が上がりすぎて、ショック死してしまう。
 猿は気に入っていると、耳をかんでくれる。「あんた、好きだ」と・・・。話す代わりに、猿はかんで感情を伝える。
 猿のことがよく分かる本でした。
(2015年4月刊。1800円+税)

タコの才能

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                               (霧山昴)
著者  キャサリン・ハーモン・カレッジ 、 出版  太田出版
 オクト・パスは受験生必勝グッズです。
 タコは8本の足に3つの心臓をもち、変幻自在に皮膚の色を変えることができる。血液は青く、賢い生物。
 タコは、一生のほとんどをひとりぼっちで過ごす。タコは繁殖のときのほかは、仲間と付き合おうとはしない。タコは単独行動で、引っ込み思案のうえ、夜行性である。
 タコは、タラやイカとちがって群れない。巣穴にひとりで暮らし、ひたすら人目を忍んで自分の居場所を確保する。タコには、縄張り意識はあまりない。
 タコのスミには、チロシナーゼという成分が含まれている。敵の目をひりひりさせ、嗅覚や味覚を混乱させて追っ手をまくためのもの。
 タコはアメリカの食卓では、めったに見かけないにしても、世界じゅうでは何百万人もの人々が口にしている。アジアや地中海では、何千年もの前からタコは定番料理になっている。
 タコは、ほぼ全身が筋肉と言ってよい。だから、タコを捕まえたら、石で30~40買いたたくべきだとも言われる。タコは冷凍すると、食感が良くなる。冷凍されると、いちだんと身がやわらかくなる。
タコを解剖すると、青い血が出る。タコの血は、酸素を含んでいるときには青く、酸素が欠乏してくると、だんだん色味が薄れて透き通ってくる。
 タコは、横歩きするカニや逃げようのない二枚目が好物だ。
 太平洋のタコは、1時間のうちに177回も色や模様を変えることができる。
 タコには、3億個の神経細胞がある。人間は1000億個だ。
 タコは、おもちゃと遊ぶのを好む。
 タコって、賢いのですね。バカには決して出来ません。それにしてもタコ焼きって久しく食べていませんが、おいしいですよね。タコの見直しを迫られる本です。
(2014年3月刊。2300円+税)

ネムリユスリカのふしぎな世界

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                              (霧山昴)
著者  黄川田 隆洋 、 出版  ウェッジ
 生物とは何か、死ぬとは、生き返るとは何のことか・・・。
 いろいろと根本的なことを考えさせてくれる生物がいることを知りました。それも、アフリカの灼熱の地に生きる小さなユスリカの話です。
 カラカラに干からびても、水をかけるだけで、たちまち息を吹き返す。100度に近い高温にも、マイナス270度という超低温にも、人が耐えられる1000倍近い放射線にも、アルコールに1週間浸しても、全然平気。宇宙に放り出しても死なない状態で存続し続ける。
 ネムリユスリカは、アフリカにしか生息しない昆虫だ。ナイジェリアに多く見られる。
 ネムリユスリカは、卵の時期から2~3日間、幼虫の時期が1ヶ月間、さなぎが1~2日間、成虫が2~3日間。幼虫の時期が一番長く、その本来の姿だと言ってよい。
 成虫は口がなく、血も吸わない。エサを食べられないので、成虫になったら、すぐに交尾をして、卵を産む。
 幼虫のときに、乾燥耐性(アンヒドロビオシス)の能力が発揮される。卵やサナギ、成虫の時期には、この乾燥耐性は発揮できない。
 ネムリユスリカは、身体を構成するさまざまな細胞のすべてが乾燥という情報を受けとり、乾燥の準備をする。細胞のなかだけの自己完結的なメカニズムで乾燥耐性が実現できている。
 水がなくなったとき、水があった場所と置き換われるように、たんぱく質の表面にトレハロースがくっつくことで、タンパク質が形を変えずにすむ。つまり、体のいろいろな成分の元々の状態を維持させることができるので、水がなくなっても細胞が壊れることがない。
 トレハロースには、2つの特質すべき能力がある。たんぱく質や細胞膜、油の成分の表面にとりついて、水の変わりの役割をするだけではなく、水が元々あった空間の領域も、自分がガラス化することで空間を埋めてやる。
 乾燥というシグナルあるいはストレスが来て初めてグリコーゲンを分解してトレハロースに変える。グリコーゲンを全部分解して、トレハロースに入れかえるのに、2日間かかる。
ネムリユスリカは、乾燥すると、大量のレアたんぱく質をつくる。
 ネムリユスリカでは、27個のさまざまなレアたんぱく質がたまることによって、全たんぱく質の10%以上を占め、それが乾燥耐性に寄与している。
 たんぱく質は、温めたり、干からびたりさせると固まりやすくなる。
 乾燥した時期に、レアたんぱく質とトレハロースが一杯たまることによって、体の細胞の中味を保護している。凝集しないように保護することで、水に入れたときにすぐに元に戻るようにしている。
 ネムリユスリカは、劣化してしまったアスパラギン酸になったものを治す酵素があるおかげで、イソアスパラギン酸に戻すことができる。
 本当に不思議きわまりない生き物です・・・。しかし、よくもこんなことを発見したものです。
(2014年7月刊。1600円+税)

森にすむ人々

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                               (霧山昴)
著者  前川 貴行 、 出版  小学館
 森にすむ人々というので、ジャングルのなかに今も生活している集落を紹介するのかと思うと、まったく違います。サルやチンパンジー、ゴリラや、ボノボなどを紹介した大判の写真集です。
 「彼らと我々は、同じヒトの仲間である」
 このように表紙に書かれています。本当に私もそうだと思うのですが、現実には、「彼ら」は絶滅しかかっています。人間(ヒト)が彼らの安住できる環境を大々的に奪いつつあるからです。諸悪の根源は、まさしく人間なのです。
 ジャングルのなかの彼らの生態が、こんなによく撮れるものかと、思わず驚嘆してしまうほど、よく撮れています。
 オランウータンは、雨が降ると、濡れるのをいやがり、葉の茂った枝をかき集めて、頭に載せます。
 ゴリラの子どもたちが仲良く遊んでいる様子も可愛いですね。
オスの大人のゴリラは、シルバーバックと言われるように、でっかい体格をしていて、背中が白くなっています。ところが、平和主義者で、草食なのです。ヒレアザミが鉱物なので、大きな口を開けてかじります。
チンパンジーは、イチジクの実が大好物です。そして、アカンボウを背中に乗せて、母チンパンジーは森の中を自由に移動します。
 森の中の大型類人猿の迫力あるアップ写真を眺めると、彼らにも個性があり、「人格」というか威厳があることがよく分かります。
 たかがサルなんて言うことは絶対にできないド迫力の写真集です。せめて図書館で手にとって眺めてください。
(2015年3月刊。2700円+税)

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