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カテゴリー: 生物

はぐれイワシの打ち明け話

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 ビル・フランソワ 、 出版 光文社
不思議な本です。いえ、読んでいると不思議な気分にさせる本です。海中にいる魚たちがみんな話しているというのです。
海は音で満たされていて、人間が生きている空気中よりもずっとにぎやかだ。水は空気より密度が高いため振動しやすく、音がよく伝わる。水中では、音は光より遠くまで伝わり、弱まることなく何キロメートルも先まで届く。
クジラは2千キロメートルをこえる距離からデートに誘ったりしている。どんな海でも、クジラの声は海のなかの音のかなりの部分を占めている。冷水と温水の境界である水温躍層の境界でクジラの声は水平方向に何千キロメートルもまっすぐに伝わる。
本のタイトルにもなった有名な52ヘルツの声を出す孤独なクジラがいる。
人間がシャチやイルカと協力して狩りをしているという話もまた有名です。
人間に協力するイルカたちの集団は固有の文化的特徴を有している。このイルカたちは、自分たちの集団に属することを好み、他の集団には混ざらない。
人間に協力するイルカたちは固有のアクセントや鳴き声があって、それが人間と「話す」ことのない同種のイルカとの相違点になっている。
イワシのようにぎっしり詰められるという。たしかにイワシの群れの密度は、1立方メートルあたり15匹。ラッシュアワーに地下鉄の密度の4倍に相当する(これは日本の地下鉄ではなく、アメリカかフランス)。イワシたちは適切な距離と互いを尊重した速度を保つことができる。
イワシの群れでは、何百万匹いても、議論の必要はなく、自然に決断がなされる。そこにはリーダーも全体を支配する集団も、命令も存在しない。ひとまとまりになったイワシの群れは、一致団結して泳いでいる。
スウェーデン海軍は海中に不振な音を探知し、それはロシアの原潜によるものだと疑った。しかし、ロシア海軍は頑張に否認した。学者に調査してもらった結果、それはニシンの群れによる音だった。ニシンは内臓のガス(つまり、おなら)を一定のリズムで排出していて、それによって複雑な情報をやりとりしているのだ。
ザトウクジラは、子育てに長い時間をかけ、頻繁に会話している。ザトウクジラは、集団内で長年にわたって歌を伝承する。
絶えず泳ぎ続けているマグロは、毎日、自分の体重と同じ量のエサを食べなければいけない。マグロは魚のなかで唯一の恒温動物だ。
著者はまだ20代のフランスの物理学者です。流体力学を研究しているとのことですが、スピーチ大会で優勝するほど優れた話し手というわけですから、話の流れが実に見事で、驚くばかりの展開です。海中のにぎやかな会話を翻訳機にかけてぜひ聞いてみたいものです。
(2021年11月刊。税込2090円)
 日曜日、庭の一隅にフジバカマを植えました。インターネットで取り寄せたのです。これでアサギマダラ(チョウチョ)を呼び寄せるつもりです。さて、うまくいくでしょうか。
 庭のチューリップが一斉に咲きはじめました。赤・黄・白と、本当に華やかで、春到来を実感させてくれます。
 春の味覚、アスパラガスも地上に顔を出してくれるようになりました。これから楽しみです。
 日曜日は、午前・午後とロシアのウクライナ侵略戦争反対を街頭で訴える活動に参加しました。黙ってなんかおれません。映像を見るたびに心が痛みます。とりわけ子どもたちの心に大きなショックを与えていることが心配でなりません。
 道の両側に白いコブシの花がずらり、やっぱり平和が一番です。

身近な鳥のすごい事典

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 細川 博昭 、 出版 イースト新書Q
私にとってもっとも身近な鳥はスズメのはずでした。でも、今ではそうとは言えません。わが家には、2ヶ所、スズメの巣があり、その一つはトイレの窓のすぐ上にありました。トイレに入ると、スズメたちが巣を出入りし、また、子育てのときには、仔スズメの可愛らしい声を聞くことができました。今はまったく見かけません。それは、すぐ下の田圃が稲作をやめてからのことです。
スズメは森や林には住まない。また人間が住まなくなった空き家にはスズメも住まない。スズメは人間を恐れるのに…、です。
今や全国的にスズメは減っていて、20年前の2割しかいないとみられている。
「万葉集」にはスズメを詠んだ歌は一つもない。でも「枕草子」や「源氏物語」にはスズメの子を育てて楽しんでいる話が出ている。
わが家の庭によく来るのはヒヨドリです。けたたましく鳴き、自己主張の強い鳥です。平安時代の貴族たちは、ヒヨドリを飼っていて、持ち寄って優劣を競っていたとのこと。鳥に名前までつけていたというから驚きです。ヒヨドリは意外に賢く、好奇心も強い。そして、自分を大事にしてくれる人間を好きになることもある。
うちの庭のスモークツリーの木の上のほうにヒヨドリが巣をつくって子育てを始めたことがありました。あるとき、2羽のヒヨドリが常と違ってけたたましく鳴いて、それこそ騒動しはじめたので、どうしたのだろうとよく見ると、ヘビが木をするすると登っているのです。木の上の巣といっても大人の背よりはるかに高く3メートルほどもあります。よくぞ地上をはうヘビが見つけたものです。なんとか巣のなかのヒヨドリの仔を救ってやりたくて、ヘビを叩き落したのですが、仔のほうまで落ちてしまいました。そこで、鳥籠を買ってきて育てようとしたのですが、結局うまくいかず、哀れにもヘビのエサになってしまいました。鳥籠からいつのまにか逃げ出していたのです。それ以来、ヒヨドリが庭の木に巣をつくることはありません。
秋になると、モズが甲高い鳴き声で飛びまわります。モズは百舌鳥と書いて、たくさんの鳥の鳴き声を上手にまねるらしいのですが、私は聞いた覚えがありません。
モズのオスは、多くの多種のさえずりを正確に真似できるものはメスにもてるというのです。
ツバメがわが家に巣をつくったことは残念ながらありません。前年の巣に戻って、同じ場所で子育てするツバメが多いのは、コストが安くなるから。ゼロから始めると1週間以上かかる巣づくりが補修ですめば2日もかからない。
ツバメは群れをつくることなく、単独で東南アジアの島々やオーストラリア北部から4千キロも飛んでやって来る。体重わずか20グラムもない鳥が、こんなに飛べるなんて、世界の七不思議の一つでしょう…。しかも、眠りながらも海の上を飛行するなんて、すごいことですよね。
ゴミ出しはカラスとの知恵くらべです。わが家は生ゴミはコンポストに入れて肥料にしますので、外にゴミとして出すことはありません。ところが、生ゴミをそのままゴミ袋に入れて路上に放置すると、たちまちカラスの餌食(えじき)になってしまいます。
昔からカラスが嫌われていたのではなく、むしろ、長い時代の日本人はカラスに対して悪くは思っていなかった。「万葉集」のころカラスの声は「愛しい人がやってきた」と告げていると解されていた。
ハシボソガラスは、ガーガーと濁った声で鳴く。これに対して、カーカーと澄んだ声で鳴くハシブトガラスは、森のカラスで、両足をそろえてピョンピョンとホッピングする。
いやあ、鳥をよく研究している人がいるのですね。おかげで、よく分かります。
(2018年1月刊。税込968円)

人、イヌと暮らす

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 長谷川 眞理子 、 出版 世界思想社
子どものいない進化生物学者が愛犬と暮らして学んだことが写真とともに詳しく明らかにされています。犬派の私にとって、うらやましい限りのイヌとの生活です。
著者が飼っているイヌはスタンダード・プードルです。大型犬ですね。
スタンダード・プードルは水鳥を回収するためにつくられた犬種なので、水が大好きで、濡れたあとの毛の乾きが早い。
イヌは、生まれてから3ヶ月は、イヌの親に育ててもらい、しっかりイヌとしてしつけてもらわないといけない。生まれてすぐに親と離しては絶対ダメ。
初めのキクマルは、体高69センチ、体重25.5キロ。
犬が変なものを食べてしまったときには、塩を大量に食べさせるとよい。すぐに吐く。大量の塩を無理やり犬の口に突っ込むと、すぐに吐き出した。
イヌだから、鼻で嗅いで、舌で舐めて、歯でかんで世界を把握する。
イヌもネコも食肉目だが、雑食性はイヌのほうが強い。
イヌは、デンプンを消化するための酵素であるアミラーゼの活性が高いが、これは、デンプンが豊富なパンやご飯など、本来なら食肉目の動物が食べるはずのないものを、人間からもらって食べてきた歴史が長いことを意味している。
イヌは、とても耳がよい。イヌはヒトには聞こえない超音波も聞こえる。だから犬笛がある。
音の定位もヒトより細かくできる。イヌは、ヒトが16方位に分割して知覚できるのに対して、32方位まで分割できる。
イヌたちの耳の動かし方には、音を聞くこと以上の何かがある。耳の表情は独特だ。
イヌの味覚はよくない。
イヌはオオカミである。すべてのイヌの祖先は、タイリクオオカミ一種である。
家畜化したイヌの最古の骨は、1万4700年前のドイツの骨。
世界のイヌは、大きく5つのグループに分けられる。東南アジア、インド、中東、アフリカそしてヨーロッパ。
イヌの家畜化の起源は2万~4万年前。ネアンデルタール人の絶滅もそのころ。イヌはサピエンスの友だった。
犬の品種は800種ほど。
動物の体内には、活性酸素を退治する酵素がある。スーパーオキシドディムターゼ。この酵素のレベルが高い動物ほど、潜在寿命が長い。ヒトは、この酵素のレベルがとりわけ高く、チンパンジーの2倍。なので、チンパンジーの潜在寿命50歳に対して、ヒトは100歳以上まで生きられる。
イヌを一緒に生活できるマンションに住んでいて、近所の公園でドッグランをし、「イヌ友」をつくり、ときに町の祭りにもイヌのおかげで参加できたという楽しい暮らしを紹介している本でもあります。イヌと見つめあうと、ホルモンが出てくるっていう話もいいですね…。
(2021年11月刊。税込1870円)

クマさんの野鳥日誌

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 熊谷 勝 、 出版 青菁社
すばらしい小鳥たちの写真のオンパレードです。しかも、小鳥たちの知られざる生態も紹介されている、楽しい写真集になっています。
野鳥の写真というと、鳥そのものをできるだけ大きくうつすものという先入観があります。それに対して、著者はそうではないと主張します。作品性という観点からは、鳥を大きくうつすより、小さくうつして絵にする。このほうが何倍も難しい。鳥の的確な配置としぐさ、光線状態、季節感、そして空間構成も画面に表現する。
著者は逆光で小鳥をうつしとることにすごくこだわっています。
アオバトが鮮やかな黄色と濃い緑色をした美しい鳥。このアオバトは、ときどき集団で山をおりて海辺の岩場にやってきて、海水を飲むとい変わった習性がある。NHKの「ダーウィンが来た」で、その映像を見ました。
アオバトはハヤブサが狙う。それは、アオバトの肉がとても美味しいから。ハト類は子育て中も穀物か植物の種子しか食べない。そのためアオバトの身は臭みがなく、美味しい。
そして、ハヤブサから襲われたときのアオバトの対抗策は、なんと、羽毛がいとも簡単に抜けてしまうこと。ハヤブサは、だからつかみ損ない、そのチャンスにアオバトは逃げてしまう。
オオジシギは、越冬地のオーストラリアから北海道へ子育てのため渡ってくる。このオオジシギの脚に水かきがないため、渡りの途中で海面に浮かんで、翼を休めることができない。そのため、一度広い海原へ飛び立てば、次の陸地まで一気に飛び続けなければならない。その根性と飛翔力に驚かされる。
カッコウは抱卵中のオオヨシキリに狙いを定めると、何日も監視を続け、オオヨシキリがわずかな間、巣を離れた瞬間に自分の卵を巣のなかに産みつけるという早技をこなす。カッコウは、いつ何時、どんな状態でも自由に体内の卵を外に出すという特殊な能力をもっている。したがって、カッコウは、実の親の愛情を受けることのない、悲しい鳥でもある。
ハヤブサとタカの違い。ハヤブサは猛スピードで直線的に飛翔して獲物を空中で捕える。なので、視界の良い草原や海辺で狩りをして、民家のこみ入った庭先で小鳥を襲うことはない。
タカは、村の中を縦横無尽に飛翔し、障害物を避けながら、逃げ惑う小鳥たちを追撃できる。
ハヤブサの尾羽は短めだが、スピードを出すための翼は長く、先のとがった流線型。
タカは、短めの翼と長めの尾羽で、短めの翼は瞬発力を生み、長めの尾羽は方向転換に役に立つ。
きりりと引き締まったハイタカの眼つきには圧倒されます。
良い野鳥の写真をとるのも十分な根気が必要のようです。とても私には無理です。
(2021年10月刊。税込1980円)

蜜量倍増、ミツバチの飼い方

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者 干場 英弘 、 出版 農文協
養蜂でだいじなことは、ハチの密度をいかに高めてやるか、ということ。一つの蜂群に、女王蜂、働き蜂、オス蜂、卵、幼虫そして蛹(さなぎ)がバランスよく存在し、世代交代されていくことが欠かせない。そのためには、巣箱の中に育児する場所(育児圏)と、蜜を貯める場所(貯蜜圏)とをすっきり分けて、育児圏では巣枠の隅から隅まで蜂児でいっぱいの状態(額面蜂児)の巣枠をつくり、貯蜜圏では蜜だけを貯めこむ巣枠をつくる。
そこで、採蜜群は2段にして、下段を育児圏、上段を貯蜜圏とし、その間に隔王板を入れ、女王蜂が上段の貯蜜圏に行かないようにする。すなわち、養蜂の基礎は、育児圏と貯蜜圏を明確に区別し、それぞれふさわしい間隔に巣枠を整えることであり、それによって最大限の採蜜量が期待でき、質の向上も図ることができる。著者の指導するモンゴルの養蜂家では、年間のハチミツ収穫量が8キロだったのが、糖度80%以上のハチミツを20キロとれるようになった。
ミツバチは1万~数万匹の蜂群単位で生活し、一つの群れには1匹の女王蜂と1万~数万匹の働き蜂、1割のオス蜂から構成されている。女王蜂は3年ほどの寿命だが、養蜂家は女王蜂を毎年更新している。オス蜂は交尾以外には役立たずで、仕事は一切しない。
蜂群内では、女王蜂が中心で、働き蜂が仕えているように思われがちだが、実際には、「上下の関係」や全体を統率する存在はいない。それぞれ個々で行動している。それでも、集団としては秩序が維持され、蜂群が全体として維持されている。
ミツバチを飼育するときには、ハチ1匹の命を大切にする意識をもつ必要がある。燻煙
機を適切につかって、蜂群を丁寧に扱う。ハチに余計なストレスを与えないように心がける。
昆虫は変温動物だが、ミツバチはほとんど恒温動物といってもよいほど。蜂球の内部は30度で、外側は15度ほど。
ミツバチの最大の加害者はミツバチヘギイタダニ。被害全体の6割を占めている。
オオスズメバチなどの天敵もいる。農薬(とくにネオニコチノイド系)による被害も大きい。
ほとんど役に立たないオス蜂児は、高タンパク質、高栄養で、肉食性昆虫の代用食に適している。
ナツメの花からとれたハチミツは、世界でもっとも高価なハチミツとして有名。うへー、知りませんでした。わが家の庭にもナツメの木があります。鋭い棘(とげ)があるので、手入れが大変です。
ミツバチはハチミツを生産するだけでなく、花粉媒介による貢献のほうが5倍も役に立っている。イチゴも、ベリーも、サクランボやタマネギまでもミツバチにお世話になっている。
たくさんの写真とともにミツバチの飼い方が、具体的に説明されていて、写真もたっぷりの楽しいミツバチ飼育法のテキストです。でも、私にはちょっと無理そうでした、残念…。
(2021年3月刊。税込1980円)

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