法律相談センター検索 弁護士検索
カテゴリー: 生物

深海の図鑑

カテゴリー:生物

(霧山昴)

著者 渡部 裕美 、 出版 KADOKAWA

 超深海は海の表面から11キロも離れているけれど、深海と私たちの住む陸上とはつながっていて、お互いに影響を及ぼしあっている。

 ええっ、わずか11キロの深さだし、陸上とつながっているって、どういうことなの……、つい疑問を感じました。超深海が11キロの深さというのが「わずか」と言われても、では地球最高峰のエベレストがどれだけ高いかというと、9キロもないのですよ…。ええっ、11キロしかないなんて言わないでよ…と思ってしまいました。

 海の深いところは光が届かない真っ暗闇の世界。なぜ、光が届かないかというと、水に光が吸収されるから……。水深1キロで光は届かなくなる。海の平均水深は3800メートルなので、海のほとんどは光の届かない暗闇の世界。

 音のほうは、海中では陸上の4倍も速く伝わる。空気抵抗のほうが水中抵抗よりも4倍も大きいということなのでしょうか…。ちょっと、これまた不思議です。

植物は太陽光で光合成する。光の届かない海中では、それに替わるものとして化学反応のエネルギーを使って有機物を生産する。これを化学合成と呼ぶ。

 水深5千メートルあたりは平らな海底となっていて、深海平原と呼ぶ。

ガラパゴス諸島沖の水深2400メートルの海中に発見されたハオリムシは、0も消化管もない生物。ところが、2年で体長1.5メートルまでに成長する。

水深8キロの超深海で発見されたクサウオの仲間のスネイルフレッシュという魚がいる。また、マリアナ海溝の一番深い水深1万1千メートルの海底に、カイコウオオソコエビという無脊椎動物が発見されている。

 ハワイ近くの海中には、アウナケアという、底辺からいうと高さ1万メートルの火山がある。

この本には伊豆半島沖の深さ1100メートルのところに、まるで犬そっくりの形をした生命体が紹介されています。偶然の産物とはいえ、恐ろしく犬そのものなんです。

クジラが死ぬと、遺体は海底に横たわる。そこに、深海生物が集まってくる。クジラの骨には、油が詰まっているので、ホネクイハナムシなどの生物を10倍も養うことが出来る。

 現在、日本が運用している深海調査船「しんかい6500」は建造から30年以上たっている。日本は、新造船の計画がなさそうです。軍事予算にはバカげたほど、税金を使っているのに、深海調査船を新造するときには、「お金がない」と、にべなく政府の感覚は間違っています。なにしろ深海の海底には人類に有益なものが未発見・未活用のまま、ごろごろころがっているのですよ…。

(2023年9月刊。1540円)

『種の起源』を読んだふりができる本

カテゴリー:生物

(霧山昴)

著者 更科 功 、 出版 ダイヤモンド社

 チャールズ・ダーウィンの『種の起源』が書かれたのは江戸時代の末期ころというのに驚かされました。1859年にイギリスで初版が刊行されたのです。日本の江戸時代末期というのは、まさしく激動の時代です。桜田門外の変が起きたのは、1860年だったと思います。安政の大獄があっていたころに、『種の起源』が書かれていたなんて、信じられませんよね。

 ダーウィンの存命中に、第6版(1872年)が出ています。日本は明治維新に突入しています。原書は本文だけで500頁ほどもある大作だそうです。

 そして、『種の起源』は一般人には、とても読みにくかった。なぜなら、神学書なのか科学書なのか、はっきりしない本だったから。

 ダーウィンは初め敬虔(けいけん)なキリスト教信者だった。ところが、晩年は、キリスト教への信仰を完全に捨てたのです。

 「神が生物を創った」と、19世紀のイギリス人は考えていた。それには2つの考えがある。その一は、「すべての生物を神が創った」というもので、もう一つは「最初の生物だけを神が創った」というもの。ダーウィンは、後者の考えを信じて表明した。

ダーウィンは、イギリス海軍の測量船ビーグル号に乗船して世界を一周し、その経験が進化論の形成に大きな影響を与えている。

 ダーウィンは、進化理論を創り上げるのに、20年もの年月をかけている。すごいことですよね、これって…。

 人間の血液型に4つがあり、地域によって、割合はさまざまだ。これは、どの血液型も他のものより有利でも不利でもなかったことから自然淘汰が働かなかったことによる。なーるほど、ですね。ちなみに、本書のテーマとははずれますが、血液型占いが流行っているのは日本だけのようです。まったく科学的根拠のないバカバカしい「占い」です。

 屋久島の縄文杉は樹齢2千年とか3千年という。しかし、屋久島のスギの平均寿命は1年未満でしかない。ほとんどの種子は発芽しても、1年以内に枯れてしまう。生存競争に勝ち続けたスギだけが2千年も3千年も生きることができる。

 自然淘汰というのは、自然界で実際に働いている。そして、品種改良により自然淘汰のほうが、はるかに強力だ。遺伝による変異が生じる原因は突然変異。それもDNAに起きる突然変異が重要。

 ダーウィンが幸運なのは、ダーウィンの理論に反対しながらダーウィンの友人であり続けたり、協力した人がたくさんいたこと。まさしく、ダーウィンの人徳なのでしょうね…。

 海洋島にすんでいる生物の特徴の一つは、コウモリ以外の哺乳類と両生類が少ないこと。生物は自然淘汰によって進化し、共通祖先から分岐することによって、現在のような多様で豊かな生物の世界をつくり上げてきた。

 なんとなく分かった気にさせてくれる本ではありました。

  

(2025年8月刊。1980円+税)

空飛ぶ微生物

カテゴリー:生物

牧 輝弥(講談社ブルーバックス新書)

空気中に、膨大な数と種類の微生物が漂っているということを初めて自覚しました。部屋のホコリは衣類の繊維から出たものです。

ラスコーの洞窟や平尾台のカルスト地形の地下の鍾乳洞などに人間が入ると、人体から出た微生物が洞窟を汚染するのだそうです。考えたこともありませんでした。

オフィスや学校の空気には、1リットルあたり100以上の微生物細胞が漂っている。ヒトは1日あたり125万個もの微生物を吸い込んで、また吐いている計算になる。あらゆる微生物は、肺の奥にまで到達している可能性がある。

森林には大気微生物が発生しやすいホットスポットがある。雨の降り始めた土のにおいがするのは、微生物由来の成分が空気中を舞うため。

高高度の数千メートル上空を微生物は浮遊している。耐塩性細菌は、過酷な大気中で逆流され、黄砂によって中国大陸の砂漠から日本へ運ばれている。黄砂は、3日から4日かけて、大陸から日本へ飛来してくる。さらに、アメリカ大陸まで飛んでいくが、それには7日から10日かかる。

全大気粒子の80%は生物由来の有機物。雲は微生物のゆりかごになっている。アフリカンガストは、アフリカ大陸のサハラ砂漠で生じた砂塵(さじん)であり、アメリカ大陸やヨーロッパ一円まで、砂塵を運んでいる。黄砂や煙霧は微生物の運搬体になっている。

東日本大震災(3.11)では、原発事故による放射線セシウムが空気中に拡散した。汚染された土壌からキノコが放射線セシウムを吸収し、胞子として大気中に再飛散させていることが判明した。まだ、原発事故の処理は終わっていないのに、高市政権は原発再稼働へまっしぐらです。危険きわまりありません。

マイクロプラスチックが、なんと脳の中にまで見つかったとのこと。恐ろしいことです。

太陽光照射によってマイクロプラスチックが劣化すると、有害物質が放出されていく。マイクロプラスチックは、他の有機物と親和性が高いため、PCBやダイオキシンなどを収着して、それによる発がんが心配されるということです。恐ろしいです。

知らないことだらけでした。目が開かされます。

025年9月刊。1100円)

 日曜日にフランス語検定試験(準1級)の口頭試問を受けました。このところ必死にじゅけんに備えて猛勉強していたのです。口頭試問は試験直前(3分前)に2問が与えられて、うち1問について3分間で自分の意見を述べなければなりません。1問は時事問題、もう一門は身近雑記に関わるものです。そこで、AIを含めたネット関係、インバウンド、外国人労働者、過労死・ストレス問題を想定して、答案を作成して備えました。

 本番では、外国人労働者と世代(親子)間の断絶の2問でしたので、外国人労働者を選択し、なんとか3分間話すことが出来ました。前回は頭の中が真っ白になってまともに話せませんでしたので、1点足りずに不合格でしたが、今回は久しぶりに合格できるものと確信しています。

 30年以上、仏検を受験していますが、いつも口頭試問は本当に緊張します。ボケ防止のため、引き続きフランス語の勉強をがんばります。

動物たちのインターネット

カテゴリー:生物

(霧山昴)

著者 アーティン・ヴィクルスキ 、 出版 山と渓谷社

 今やイカロスという極小の発信機を大きな動物から小さな昆虫にまで身体につけることが出来ます。世界中の動物の移動パターンが、リアルタイムで地図上に表示できるのです。

 さまざまな動物から毎日データを集めている。野生生物と地球、そして人類を守るのに役立てている。もちろん、こんな貴重なデータを戦争のためなんかに使ってほしくありません。それにしても、トンボ、キリギリス、シタバチに小さな小さなタグをつけている写真があります。驚異的な小ささです。野生の動物たちと人間との関わりにまつわるエピソードがいくつも紹介されていて、はっと驚かされます。

 渡りの途中で仲間からはぐれてしまったコウノトリがドイツ南部で地元の農家の家族の一員として迎えられてハンジという名前をつけられ、特製のひき肉をごちそうになったり、寒い冬には温かい足湯に入れてもらっていた話は感動的です。

 鳥たちはくちばしを閉じたままささやいてコミュニケーションをとっている。鳴く鳥には鳴管という発生器官がある。人間には何も聞こえず、声を出している様子も見えないけれど、鳥たちは会話をしている。

渡り鳥のシロハラコツグミを捕まえて、1.5グラムもしない超小型の発信機を背中に装着する。すると、ツグミたちは飛行中だけでなく、地上でも互いにささやきあっていることが判明した。

 それでも、受信機が鳥から5キロ以上離れると、信号が受信できなくなってしまう。

トンボにも装着できるサイズの初のナノ無線発信機をつくり上げ、トンボの背に取りつけた。

 ツグミに1.5グラムの重さの発信機を取りつけると、35グラムの自分の体重に加算されないよう、食べるエサの量を減らす。つまり、個体ごとに最適な離陸時と着陸時の体重があり、それにあわせて調整している。

 動物たちも遊ぶ。人間の子どもと同じように、走りまわったり、追いかけっこをしたりする。余剰のエネルギーがあれば遊ぶことができる。

 野生のホッキョクギツネが小枝を拾って目の前に置く。それを遠くに投げてやると、空中で小枝をキャッチする。ちょうど飼い犬と同じようにした。これは遊びだ。

牛は、震源地が半径20キロ以内のものなら地震を予知できる。ただし、本震のあとの余震でないと、観察して証明することは難しい。そもそも地震がいつ起きるかは分からないからだ。余震なら、確実に起きるのは間違いないので、観察できる。

今や動物たちに超小型の発信機を取りつけて彼らの行動を探ることが出来るのです。それにしても、鳥だけでなく、トンボにまで取り付けられるとは、すごいものです。

(2025年10月刊。2420円)

伊藤熊太郎、海を渡った天才博物画家

カテゴリー:生物

(霧山昴)

著者 福地 毅彦 、 出版 山と渓谷社

 これはすごい迫真の金魚たちのオンパレードです。

 魚を水から出すと、体色は短時間のうちに褪せていく。採集して水から出すと驚くほど色が変わってしまう。魚の骨格や筋肉まで把握して、立体感豊かに三次元的に描写している。雲母だけでなく金泥も使って、重量感も立体感も出している。

 「着色美麗、あたかも生けるが如き写生図」(明治36年)

 「画図は色形とともに、いずれも真に迫り、あたかも溌剌(はつらつ)として紙上に踊るがごとく感あり」(同年)

 「繊細なる筆致と絢爛(けんらん)なる色彩は真に迫り、写実の妙を極め」(昭和4年)

 まことにもって同感です。

 魚の生体がまだ本来の色や斑紋(はんもん)を残しているうちに、絵筆を用いて、すばやく、しかも正確精密に、その姿を写し取った。博物画は、ひたすら眼球に物を写しとるアート。

 絵には影が一切描かれていない。いっさいの陰影がないのに、立体的に見える。魚体の丸み、鰭(ひれ)の優美さ、鱗(うろこ)や肉瘤(こぶ)の立体的な表現など、種の特定という実学的な価値のみならず、感傷に値する博物画となっている。

 著者は神田神保町の古書店で1987(昭和62)年12月、素晴らしい金魚の絵31枚を大枚11万円はたいて購入したのでした。いやあ、これはすごいことです。でも、今「お宝鑑定団」にみてもらったら、なんと100万円近くするものなんだそうです。まさしく「お宝」です。

そして、この絵を描いたと思われる伊藤熊太郎なる画工の素性を追跡していくのです。その過程も、この本を読ませるものになっています。

 しかし、ともかく、カラー図判で紹介されている金魚の絵には思わず息を吞んでしまいます。日本は昔から金魚を愛好する人々の多い国です。江戸時代にも、中国からいろいろ輸入して楽しんでいたようです。

 金魚にもたくさんの種類があります。和錦(わきん)とか、らんちゅう、そしてデメキンというのは私も知っています。

 愛好家はいろいろ金魚をかけあわせ(交配させ)て新しい品種をつくり出しています。ワキンとランチュウの交配からキンランシ、ワキンとフナとデメキンの交配からシュブンキンというように…。

 いやあ、それにしてもたいした精密画です。天才博物画家というのに嘘はありません。

(2025年10月刊。2970円)

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.